縄跳びダイエットで太ももは太くなる?跳ぶ時の筋活動と続けた後の変化を読む

縄跳びを始めて太ももの働きが気になっても、それだけで筋肉が大きくなったとは判断できない。跳び方を比べた実験と、若い成人が運動を続けた試験から、筋活動・体力・体組成の違いを読む。太くなるとも細くなるとも急いで決めず、研究の対象や期間、生活で確かめたいことを整理する。

公園で縄を片づけたあと、前ももに手を置いて考える。脚を動かすために始めたのに、このまま続けたら太ももが太くなるのだろうか。検索窓には「縄跳び ダイエット 太もも 太く なる」と入れたくなる。けれど、運動中にどの筋肉が働くかという実験と、続けた後に体がどう変わるかという試験は、別の問いに答えている。[1][5]

先に答えの芯を置く。縄跳びで太ももの筋肉が働くことから、そのまま大腿部の筋量増加は決められない。健康な若い成人の無作為化比較試験では、縄跳びを続けて心肺体力は向上した一方、体組成には群間でも各群の前後でも有意な差がなかった。したがって「続ければ必ず太くなる」という見方を、この試験は支えない。[1][5]

同時に「必ず細くなる」という約束もできない。跳び方による筋肉の使い分け、全身の体組成、運動の成績を順に読むと、脚の見た目だけで運動を採点する必要はなくなる。体型を変えることが目標でなくても、縄を回す時間には別の評価軸を持てる。[1][5][15]

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太ももが働くことと、太ももが育つことは別の問いだ

「筋肉を使った」と「筋肉の量が増えた」を、日常会話ではつなげやすい。縄跳びの研究でも脚の筋活動を調べているが、これは動作中に筋肉がどのように働いたかを見るための測定である。長い期間を経て筋肉がどれほど大きくなったかとは、確かめる場面が違う。[1]

男子の思春期参加者を対象にした実験は、両脚で弾む跳び方と、左右交互に跳ぶ方法を比べた。関節の動き、床から受ける力、表面筋電図を合わせて調べている。表面筋電図は皮膚の上から筋肉の活動に伴う電気的な信号を捉える測定で、この実験では跳び方によって活動の分担が違った。対象が発育期の男子であるため、18〜39歳の女性の筋肥大反応にそのまま当てはめることはできない。[1]

ここから言えるのは、縄跳びをひとまとめにして「脚のどこにも同じ刺激が入る」と考えないほうがよい、ということだ。太ももを使う場面があるからといって、その信号を将来の筋肉の厚みに読み替えることはできない。運動の最中に撮った働きの記録と、運動を続けた後に確かめる体の変化には、それぞれ役目がある。[1][5]

たとえば、帰宅してから「今日は前ももで跳んだ気がする」とメモしたなら、それは今日の動作を振り返る言葉として残せばよい。そこに「だから太くなった」と書き足すには別の判断が要る。研究を生活に使うとは、自分の感覚を消すことではない。感覚に付ける結論を、測定の種類に合わせて控えることである。[1]

この問いはふくらはぎの形の話とも分けたい。既存記事「縄跳びダイエットでふくらはぎは太くなる?筋肉の厚さと内部の形を研究で読む」では下腿を扱っている。ここでは太ももに焦点を置き、跳ぶ最中の働きから、続けた後の大きさをどこまで判断できるかを考える。脚という大きな袋に、すべての部位の答えを詰め込まない。[1][5]

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両脚跳びと交互跳びでは、力の分担が違う

跳び方を比べた実験の参加者は男子の思春期の若者16人だった。両脚で弾む跳び方では、交互跳びよりも床反力のピークと平均の荷重速度が小さかった。床反力は着地の際に床から体へ返ってくる力、荷重速度はその力が増える速さである。両脚跳びでは接地中の一部で股関節と膝の曲がりも大きかった。これは男子の動作比較であり、18〜39歳の女性でも同じ差になるかは、この実験だけでは判断できない。[1]

筋活動を見ると、両脚跳びは交互跳びより前脛骨筋と腓腹筋外側頭の活動が高く、半腱様筋と腸腰筋の活動は低かった。前脛骨筋はすね側、腓腹筋はふくらはぎ、半腱様筋は太もも裏、腸腰筋は股関節を曲げる働きに関わる筋肉である。研究者は両脚跳びを下腿側、交互跳びを大腿側の力の発揮に寄った方法として解釈している。[1]

大切なのは、その比較が相対的なものだという点だ。交互跳びで大腿側の関与が大きかったとしても、両脚跳びなら太ももが使われない、とはならない。また、前ももの大きさへの心配に、太もも裏を含む活動の差だけで答えることもできない。「太もも」という日常の呼び方と、実験で見た筋肉の名前を対応させて読む必要がある。[1]

この実験では交互跳びで接地中の膝が内側に入る角度も大きかった。したがって、太ももを使わない工夫を探すつもりで跳び方を変える場合でも、脚の形だけに注意を絞るのは早い。着地の力や関節の動きも変わるからだ。研究が示した負担の違いは、細くなる方法の順位表ではない。[1]

立川駅北口から帰る途中、公園で軽快な交互跳びを見かけると、慣れた人の動きほど楽そうに映る。ただし、見た目の軽さと脚に入る力は同じ尺度ではない。少なくともこの男子の実験では、両脚で弾む方法より交互跳びの床反力が大きかった。音や印象だけで、太ももの将来まで判定しなくてよい。[1]

若い成人が続けた試験では、体力と体組成は同じ動きをしなかった

運動を続けた後の話に移る。健康な成人59人、そのうち女性29人、平均年齢21.7歳の無作為化比較試験では、参加者を間欠的な高強度縄跳び、連続的な中強度縄跳び、運動しない対照群に分けた。無作為化とは、割り当ての偏りを抑えるために参加する群を偶然に決める方法である。[5]

高強度群は最大心拍数の80%を目安に2分間の運動を9回行い、間に1分の活動的な回復を入れた。実施は週3回だった。中強度群は最大心拍数の70%を目安に30分間を週5回、いずれも8週間続けた。これは試験の条件であり、太ももを太くしないための処方ではない。[5]

心肺体力は最大酸素摂取量で評価した。これは運動中に酸素を取り込んで利用する能力を表す指標である。高強度群では平均43.8から48.4 mL/kg/minへ改善した。運動後の平均値の95%信頼区間は43.9〜52.9 mL/kg/minだった。信頼区間は推定の不確かさを表す幅で、平均値を全員の到達点として示す数字ではない。[5]

両方の運動群で心肺体力が改善した一方、体組成には群どうしの比較でも、各群の介入前後でも有意な差がなかった。体組成は体を構成する脂肪や脂肪以外の成分に着目した評価である。息を使う能力と、体の構成は同じ速度で同じ方向に変わるわけではなかった。[5]

この結果は「体が変わらなかったから運動は無駄だった」という採点に疑問を投げかける。研究の中では体組成に明確な差が出ずとも、心肺体力という別の面が改善している。逆に、体力が伸びたから太ももの筋量も増えた、と補って読むのも行き過ぎである。どちらも同じ試験の結果として並べておきたい。[5]

ただし、有意な差がないという結果を「誰の体にも何も起きない」と言い換えることはできない。統計的な比較の結果と、個々の人の体型の保証は別である。また、全身を扱う体組成の結果を、そのまま太ももの輪郭の答えとして使わないことも大切だ。この試験を使うなら、体力向上と体組成変化を切り離せる、というところまでが実用的である。[5]

また、運動の楽しさも評価され、運動群の間でも、それぞれの群の開始時と終了時でも有意な差はなかった。強い運動を選べば満足度が高くなる、あるいは連続して行うほうが楽しく続く、という単純な順序にはならなかった。心肺体力、体組成、楽しさは同じ人たちを調べても別々の結果になる。[5]

運動条件を比較する際は、強度だけでなく、連続する時間、休憩の入れ方、週の頻度にも目を向けたい。この試験では高強度群と中強度群で実施頻度も違う。したがって、結果を「速く跳ぶか、ゆっくり跳ぶか」だけに縮めると、日程を含む条件が消えてしまう。自宅で運動を選ぶ場面にも、速さ以外に検討する余地がある。[5]

さらに、男子の思春期参加者の動作実験と、女性を含む若い成人の継続試験では対象も異なる。前者の筋活動の差と、後者の体組成の結果をつなぎ、特定の跳び方なら成人女性の太ももがこう変わる、と計算することはできない。違う集団の研究は、同じ人の経過を追った連続写真ではないのである。[1][5]

数字で読む縄跳びと脚の研究

16人:跳び方による脚の力と筋活動を比べた男子の参加者数である。[1]

59人:心肺体力と体組成を検討した健康な若い成人の参加者数である。[5]

8週間:成人の縄跳び試験の期間。生涯の体型を予言する長さではない。[5]

43.8から48.4 mL/kg/min:高強度群の最大酸素摂取量の平均値の変化である。[5]

40人:食事制限と縄跳びを比べた予備的試験で、介入を完了し解析された人数である。[16]

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