深いスクワットの効果は腱にも表れる?筋力と膝の腱が変わる時間を分けて読む

深いスクワットで筋肉が育てば、膝の腱も同じように変わるのか。深さを比べた試験と継続的な筋トレの研究から、筋力、腱の断面積、伸びにくさを分けて読む。変化を確かめた期間や対象者、コラーゲン補給の結果の食い違いも整理し、回数や重さの記録をどう受け止めるか考える。

しゃがんだ位置から立ち上がる動作が、以前より楽になった。家で続けるスクワットで、前より深く腰を下ろせる。そこで「筋肉だけでなく、膝の腱も強くなったのだろうか」と考える。その問いには、持ち上げられた重さだけでは答えられない。筋肉の変化と腱の変化を測り分けた試験では、結果がそろわないことがある。[11]

深いスクワットと浅いスクワットを比べた男性学生の試験では、深く行った群のほうが太もも前面の筋肉の断面積の増加で優れていた。一方、膝の腱の断面積に群間差はなかった。深さの利点は、何を測るかによって異なる。男性学生での比較なので、18〜39歳の女性に同じ結果をそのまま当てはめることはできない。[11]

腱は筋トレで変化し得る。ただし、太さ、引っ張られたときの伸びにくさ、組織の材料としての性質は別の指標であり、年齢や負荷、測定時期でも結果は違う。[3][7][8] ここでは「深いほど効くか」を膝の腱まで広げ、記録帳の筋力と体の内部の変化を同一視しないための読み方を考える。

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深くしゃがんで育つ筋肉と、膝の腱は同じ結果ではない

直接の手掛かりになるのは、男性学生17人を無作為に分けた、段階的に負荷を上げる12週間のスクワット試験である。深い群は膝を曲げる角度が0〜120度、浅い群は0〜60度だった。反復回数をそろえ、それぞれの動作で反復できる限界に応じたセットを用いた比較である。18〜39歳の女性での効果を直接確かめた試験ではない。[11]

深い群では、深いスクワットと浅いスクワットの最大挙上重量がともに約20±3%増えた。浅い群では、浅い動作の最大挙上重量が36±4%、深い動作では9±2%増えた。最大挙上重量とは、その動作で持ち上げられる最大の重さである。力の伸びを読むときは、どの動作で測った値かを外せない。[11]

浅い群の36%という数字だけを見れば、浅いほうが全面的に優れているように見える。しかし、それは浅い動作で測った伸びである。深い動作での伸びや筋肉の大きさまで含めると、評価は変わる。深い群では太もも前面の筋断面積が4〜7%増え、その増加は浅い群より優れていた。[11] 数字は大きければ勝ち、とはいかない。競技の種目が違うまま得点を比べないことだ。

同じ試験で調べた膝蓋腱の断面積には、深い群と浅い群の差が認められなかった。[11] 膝蓋腱は膝の前側にある、筋肉の力を伝える腱としてここでは考える。断面積は輪切りにした面の大きさに相当し、太さを表す指標だ。筋肉で深い群が優れていた結果を、そのまま腱の太さに移すことはできない。

また、「群間差がない」は「どちらの腱にも一切変化がなかった」と同じ意味ではない。この試験から言えるのは、深いスクワットの優位性が筋肉の断面積には表れた一方、膝蓋腱の断面積の比較には表れなかったことだ。[11] 深さの選択に答える研究と、腱のあらゆる性質に答える研究は区別したい。

対象は男性学生であり、負荷を調節したトレーニングである。[11] 自宅で重りを使わずに行うスクワットや、運動を始めたばかりの女性に、同じ増加率を約束する数字ではない。膝を深く曲げられたという達成と、研究と同じ刺激が加わったという判断も分けておく必要がある。

足首の腱については既存記事「縄跳びダイエットで足首のばねは育つ?腱の硬さと練習期間の意外な関係を読む」に譲る。こちらの中心は、スクワットで伸びる筋力と膝の腱の変化が、同じ成績表にならない点である。

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腱の太さと伸びにくさは、別々に測る

腱の研究で出てくる「硬さ」は、触って硬いかどうかではない。スティフネスとは、力を加えたときにどれだけ伸びにくいかを表す力学的な指標である。さらにヤング率という、腱の形や大きさを考慮した材料としての性質を示す指標も使う。継続的な筋トレの試験では、断面積とこれらの数値が別々に測られている。[3][8]

若く健康で、日常的に体を動かす男性39人を対象にした無作為化プラセボ対照試験では、週3回の下半身の筋トレを15週間行った。コラーゲンペプチドを摂る群と、比較用のプラセボを摂る群を設け、腱の大きさと力学的な性質を開始前と終了後に調べた研究である。18〜39歳の女性に同じ変化率が生じるかは、この男性の試験だけでは判断できない。[3]

膝蓋腱のスティフネスはコラーゲン群で17.3%、プラセボ群で20.9%増えた。ヤング率もそれぞれ17.8%、20.6%増え、どちらの群でも開始前からの変化は統計的に有意だった。しかし、補給による追加効果を示す群間差は認められなかった。[3] 両群で変わったことと、片方が優れていたことは別の結論である。

太さは違う動きをした。各群だけで見た膝蓋腱の平均断面積や部位別断面積には有意な変化がなく、全員をまとめた時間の効果として平均で1.4%、膝に近い部分で2.4%という小さな増加が認められた。[3] 大きく太くならなくても、伸びにくさが変化する場合がある。鏡で見える体つきだけでは、この変化を読み取れない。

この試験では、腱の伸びの量と、元の長さに対する伸びの割合も両群で減った。[3] 断面積の図だけを見た人と、力を加えたときの図を見た人では、「腱が変わったか」への返事が違ってしまう。研究結果を紹介する言葉が同じでも、実際に測っているものを確認する必要がある。

「腱が硬くなった」を、そのまま「膝を傷めなくなった」に置き換えるのも避けたい。ここで挙げた試験の数値は、腱の形や力学的な性質を表す結果である。[3][11] 読者の膝の痛みの診断や、今後のけがの有無までを、その数値から判定することはできない。

何週間で変わるかは、終了時の数字だけでは決まらない

深さを比べたスクワット試験は12週間、下半身の筋トレと補給を比べた試験は15週間の前後で評価した。[3][11] これらは「その期間を経てどう変わったか」に答える。変化が始まった日や、筋力と腱のどちらが何日早かったかを、そのまま示す数字ではない。

時間の経過を追った別の研究では、21〜27歳の男性9人が、足首を動かさずに力を出すトレーニングを3か月続け、その後3か月休止した。開始時と各月にアキレス腱を測定したところ、スティフネスはトレーニング2か月まで変わらず、終了時に50.3%の有意な増加に達した。18〜39歳の女性の膝蓋腱に、この時期や変化率をそのまま当てはめることはできない。[19]

ただし、これは足首のアキレス腱の研究であり、膝蓋腱や深いスクワットの予定表ではない。[19] 役立つのは、運動を始めれば腱の指標が直ちに一様に上がる、と決めつけない見方だ。足首で確認された時間を膝へコピーすれば、せっかく分けた部位の違いが消えてしまう。

短期間の反応を調べた研究もある。慢性的な膝蓋腱の障害がある18人と、対応する健康な18人を調べた研究で、各群は女性8人と男性10人だった。健康な参加者は片脚で高負荷の筋トレを3回行った。8日間の評価では、腱の調べたたんぱく質の区分で、運動による合成速度への有意な影響は認められなかった。男女と患者を含む比較であり、18〜39歳の健康な女性だけの反応を示す結果ではない。[13]

これは「筋トレは腱に無効」とする結果ではない。短期間の合成速度と、長期間続けた後の伸びにくさは、測定しているものが違うからだ。[3][13] 今日の練習を終えたという事実に、内部の組織がどれほど作り替わったかという答えまで付け足す必要はない。

例えば、開始前と終了後の測定だけで変化が確認された場合、その途中の経過には複数の可能性が残る。少しずつ変わったのか、途中から変わったのかは、終了時の差だけでは区別できない。スクワットの深さを比べた試験と毎月測った足首の試験を並べる意義は、変化率の競争より、この測定の仕方の違いにある。[11][19]

さらに、短期の研究では、溶けやすい組織成分と溶けにくいコラーゲン成分を分けて調べ、たんぱく質の合成速度が前者で10〜20倍高かった。[13] 腱全体をひとまとめに「コラーゲンが作られる」と表現すると、この内部の違いが隠れる。運動後の合成の話を聞いたときも、どの成分を、どの期間で測った話かを確認したい。

数字で読むスクワットと腱の適応

12週間:男性学生17人で深いスクワットと浅いスクワットを比べた期間。[11]

4〜7%:深い群の太もも前面の筋断面積の増加。膝蓋腱の断面積には群間差なし。[11]

17.3%と20.9%:15週間の試験での膝蓋腱スティフネスの群内増加。補給の群間差とは別の値。[3]

8日間:短期の高負荷運動で、調べた腱のたんぱく質合成への有意な影響がなかった評価期間。[13]

3か月:高齢者の試験で、筋力は改善しても膝蓋腱の力学的性質は変わらなかった期間。[7]

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