女性の体脂肪は生理前に増えて見える?周期と電気で測る数値のずれを研究で読む

生理前に体脂肪率が上がると、食事や運動が足りなかったのかと気になる。電気で体組成を測る研究を読み、水分や体重の変動と脂肪の変化を分ける。周期で差が出た研究と出なかった研究、平均と個人差の違いから、測定を休むべきか、同じ時期に比べるべきかを具体的に考える。

生理前の体脂肪率は、毎朝確かめなければいけないのだろうか。測定は義務ではなく、短期の表示だけで食事や運動を変える必要もない。生理前だから体脂肪率が必ず高く出る、という決まった動きは研究で確認されていない。周期の異なる時期を比べても、体脂肪率に有意な差を認めなかった研究が複数ある。[1][18][19]

一方で、周期とともに体重や電気的な指標、水分が動いた研究はある。それらの変化と同時に、脂肪の推定値には有意な差がなかった。体重の増加と体脂肪の増加を、その朝の表示だけで同じ出来事にしないほうがよい。[5][11]

ここでは、体脂肪を減らす食事法ではなく、「月経周期をまたいで、電気で測った体脂肪率をどう比較するか」を考える。食欲と体重全般は既存記事「月経周期と体重の揺れを論文で読む 食欲と運動を数字だけで決めないために」に譲り、測定の読み方に焦点を絞る。

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体組成計は電気の情報から脂肪を推定する

大規模な疫学研究での測定を扱うレビューによると、生体電気インピーダンス法は、電気の通りにくさなどを利用して体の構成を推定する方法で、研究では略してBIAと呼ばれる。短時間で体を傷つけずに測れる一方、測定環境や対象者の集団、月経周期、基礎にある健康状態などが結果に関係する。測る人と条件に合う推定式かどうかも、数字の意味を左右する。このレビューは若い女性だけを対象とした検証ではなく、18〜39歳の女性への適用には、その集団と条件での検証が必要である。[4]

脂肪を目で数えて表示しているのではない。水分や体積を計算に含む測定法では、周期に伴う水分の変化が推定値に影響する可能性がある。この可能性を実際に検討したのが、周期を追って繰り返し測定する研究である。仕組みから想像できることと、人で確かめた結果とを分けて読む必要がある。[1]

たとえば、体組成計に体重、水分、体脂肪率が並んでいても、それぞれを同じ種類の実測値として扱わないことだ。研究で水分に関係する電気的指標が変わり、体脂肪率は変わらなかった例がある。同じ画面の隣同士でも、同じ動きをする約束はない。[5]

測定技術の比較全般は「体脂肪率はどこまで本当か 家庭の体組成計とDXAのずれから数字の読み方を学ぶ」が扱っている。また「女性の体脂肪率は手足が冷たいと変わる?肌の温度と測定値のずれを読み解く」とも問いが異なる。ここで確かめたいのは肌の温度ではなく、同じ女性の周期内で測定値がどの程度変わるかである。

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「生理前なら必ず高い」は測定研究と合わない

大学生年代の女性43人を調べた反復測定研究では、月経期、卵胞期、黄体期の前半と後半に、接触電極を使う異なる体組成計で測った。卵胞期は月経から排卵へ向かう時期、黄体期は排卵後の時期を指す。使用した4種類の機器のいずれでも、周期の時期による体組成の有意な差は認められなかった。[19]

つまり、この対象と機器では、月経中という理由だけで体組成の測定値が変わるという見方は支持されなかった。生理前の表示に必ず上乗せがあると決めつけたり、月経中に測った数字をすべて無効にしたりする読み方は、この結果と合わない。研究は、周期が測定をいつでも台無しにするという話を退けている。[19]

十分にトレーニングした女性を対象にした別の研究もある。自然な月経周期がある52人と、同じ用量構成の経口避妊薬を使う33人で、周期の異なる時期にBIAを行った。体重、脂肪量、除脂肪量、総体水分などに有意な差はなく、時期を比較した効果量はごく小さいか小さかった。除脂肪量とは、脂肪以外の体の成分をまとめた量である。十分にトレーニングした女性の結果を、運動歴の異なる18〜39歳の女性全般へそのまま当てはめることはできない。[18]

この研究は、運動を積んだ女性では、周期内のどの時期でもBIAを行えるという解釈を示している。記録には、運動習慣と避妊薬の使用の有無も添えておくと、自分がどの群の条件に近いかを確認しやすい。研究結果を選ぶ際にも、参加者の条件から読める。[18]

さらに、18〜33歳の計54人を対象にした対照群付き反復測定研究では、ホルモン避妊を用いる女性19人、用いない女性17人、男性18人を比較した。月経期、卵胞期後半、排卵期、黄体期後半に、BIAだけでなく空気の置き換わる量を利用する方法と皮下脂肪の厚さを測る方法も用いた。男性は対照群であり、18〜39歳の女性への適用は、女性の各群の結果と18〜33歳という対象年齢を踏まえて考える。いずれの方法でも、体組成の周期的な有意な時間変化はなかった。[1]

同研究の個人内の変動係数は、指標によって0.5〜5.2%だった。これは平均に対するばらつきの指標であり、「体脂肪率がその幅だけ上下する」という意味ではない。有意差がないことも、毎回まったく同じ数字が出る保証ではない。差の検定と測定の揺れは、別々に理解したい。[1]

水分と体重が動いても、脂肪率に差が出ない例がある

身体活動のある、自然な月経周期を持つ女性21人を追った2026年の観察研究は、その区別をよく示している。月経開始の記録と尿のホルモン検査を用いて時期を決め、卵胞期の早い時期、排卵期、黄体期の中頃に測定した。BIAは複数の周波数を使う方式だった。[5]

体重の平均は、卵胞期の早い時期の65.2kgから、黄体期の中頃の64.9kgへ低下した。細胞の外にある水分の割合も0.376から0.374へ下がり、電気的な性質を表す位相角は5.85から5.98へ上がった。一方で、除脂肪量と体脂肪率の推定値には有意な差がなかった。著者らは、体重と電気的指標の揺れを、組織そのものより水分の移動を反映する可能性が高いと解釈している。[5]

位相角の増加を、そのまま「脂肪が減った」と翻訳してはいけない。この研究では、まさに位相角が変わっても体脂肪率に有意な差がなかった。測定器が別の名前を付けて出している項目には、別の問いを向ける必要がある。電気的指標の変化を脂肪の変化へ読み替えると、研究が分けて示した情報を再び混ぜてしまう。[5]

女性42人に周期中、週2回の体重、周径、皮下脂肪の厚さ、BIA測定を行った研究では、月経中に体重が比較対象の時期より0.450kg高かった。細胞外水分は0.474kg高く、ほかの体組成には有意な変化を認めなかった。体重増加は主として細胞外の水分貯留によるものと解釈された。[11]

ここでの0.450kgと0.474kgは、集団の比較から得た値である。自宅で増えた体重から同じ量を引けば本当の脂肪が分かる、という補正式ではない。研究の平均を、毎朝使える消しゴムにしないことだ。また、増加が観察されたのは月経中であり、「生理前」という呼び方で周期のすべてをひとまとめにしないほうがよい。[11]

避妊薬の使用についても区別が必要である。54人の研究はホルモン避妊の有無と男性の対照群を設け、トレーニングした女性の研究は自然な周期と経口避妊薬の周期をそれぞれ追っている。どちらも体組成に有意な時期の差を認めなかったが、薬を使う人と使わない人を最初から同じ群として扱ったわけではない。自分と近い条件の結果を読むための設計である。[1][18]

また、21人の研究では、卵胞期早期の体重は65.2±7.4kg、黄体期中頃は64.9±7.3kgと報告された。平均の横のばらつきまで見ると、研究参加者がみな同じ体重で、同じ幅だけ変化したのではないことが分かる。自分が平均と違う動きをした朝に、直ちに測り方の失敗だと判断する理由にはならない。[5]

研究で有意な差があっても、その差だけで日常の行動を変えるべきかは別の問いである。この観察研究は、体重や電気的指標の周期内の違いを調べたもので、表示に合わせて食事や運動を変える方法を比較した試験ではない。測定結果の説明から、行動の処方まで一足飛びに進めない。まずは、変わった成分と変わらなかった成分を区別して受け取る段階である。[5]

数字で読む周期と体組成の測定

43人:大学生年代の女性を4種類の接触電極式機器で測り、周期の時期による有意な差はなかった。[19]

54人:対照群を含み、異なる測定方法を併用した研究でも、体組成に有意な時間変化はなかった。[1]

65.2kgと64.9kg:活動的な女性の卵胞期早期と黄体期中頃の体重平均。体脂肪率の推定値は有意に変わらなかった。[5]

0.450kg:女性42人の研究で月経中に観察された体重の増加。細胞外水分の増加は0.474kgだった。[11]

30人:運動習慣のある若い女性を調べた研究では、脂肪の平均値は似ていた一方、個人の反応に大きなばらつきがあった。[15]

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