基礎代謝を上げるには高たんぱく食?食後の消費と安静時の変化を分けて読む

基礎代謝を上げようと、いつもの食事にプロテインを足せばよいのか。食後に増える消費と安静時の消費、筋肉量の維持を分け、高たんぱく食のレビューと比較試験を読む。女性の食事配分の試験や高齢男性の運動試験から、代謝の数字を大きく見積もらずに食事と運動を考える視点を示す。

朝食の横にプロテインを置く。「これで基礎代謝が上がる」と思うと、飲み物が小さな暖房器具に見えてくる。だが、高たんぱく食の研究が述べる消費の増加には、食後の反応と、体の組成を保つことを通じた安静時の消費維持という別の話がある。[18]

たんぱく質は、炭水化物や脂質より食事誘発性熱産生が大きいとされる。一方、高たんぱく食で除脂肪量の減少を抑えることは、減量中の安静時エネルギー消費を維持する助けになる。ここから直ちに「飲むほど、何もしていない時間の消費が増え続ける」とは読めない。[18]

知りたいのは、食事を替えた日の反応か、続けた後の体の変化か。既存記事「ダイエットに効く食事誘発性熱産生」に食後の消費の詳しい話は譲り、ここでは安静時の消費を軸にする。食後に消費が増えることと、長期に安静時の消費が増えることを分けて読むのが出発点だ。[18]

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食後に増える消費を、そのまま基礎代謝に足さない

食事誘発性熱産生とは、食事をとることに伴って増えるエネルギー消費である。高たんぱく食の臨床研究と仕組みを整理したレビューは、たんぱく質のこの反応が炭水化物や脂質より大きい点を、消費に関わる経路として挙げている。これは「食べた後に何が起きるか」という説明である。[18]

同じレビューは、もう一つの経路として除脂肪量の維持を挙げる。除脂肪量は、体重のうち脂肪を除いた部分を指し、筋肉だけを意味する言葉ではない。高たんぱく食によってその減少を抑えることが、体重が減る過程での安静時の消費維持につながる、という整理だ。[18]

したがって「高たんぱく食で代謝が上がる」という見出しだけでは足りない。食後の熱産生を測ったのか、安静時を測ったのか、体重が変化する途中なのかで、読める内容が変わる。このレビューが述べる食後の反応と安静時の維持は、同じ消費量として足し合わせてよい宣伝文句ではない。[18]

検索では基礎代謝という言葉を使っていても、以下の試験の多くが評価しているのは安静時代謝率や安静時エネルギー消費である。この記事では研究の評価項目に合わせて「安静時」と書く。運動中や食後の消費を含む結果を、そのまま基礎代謝の上昇と呼ばないためだ。[17][20]

たとえば、朝食を食べた後の体感と、長く食事を整えた後の安静時の測定結果は、別々に考えたい。体が温かいという感想から、安静時の消費が恒常的に増えたとは判定できない。高たんぱく食の説明に登場する熱産生は、まず食事に伴う消費の話として受け止めるのが筋である。[18]

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「上げる」より「減るのを抑える」が近い場面もある

高たんぱく食のレビューでは、低エネルギーの食事でも通常のエネルギー量の食事でも、脂肪量を減らしながら除脂肪量を保つ結果が紹介されている。比較的長い試験として扱われている期間は6〜12か月である。ただし著者らは、12か月を超える長期試験でさらに確かめる必要も指摘している。[18]

ここで読み落としたくないのが「保つ」という動詞だ。安静時の消費が減る状況で、その低下を小さくすることには意味がある。しかし、開始前より大きく増えることとは違う。維持を上昇と呼び替えると、食事に期待する仕事がいつの間にか増えてしまう。[18]

減量中の体組成を守るという考え方は、食べる量を減らすほどよいという考え方とも異なる。高たんぱく食のレビューが論じるのは、体重だけでなく脂肪量と除脂肪量の変化である。体重計の数字が動いたことだけをもって、安静時の消費を守れたとは判断できない。[18]

実際、過体重または肥満のある生殖年齢の女性を対象とした食事試験では、体重と脂肪量が減る一方、除脂肪量も減少した。食事を調整した結果は、体重の増減だけでは表せない。食事の工夫を評価するなら、何が減り、何が保たれたのかという区別が要る。[12]

この見方は、体重を減らす必要のない読者にも関係する。減量試験で除脂肪量の維持に役立つ可能性があるからといって、誰もが食事を制限して高たんぱく食に替える理由にはならない。研究が扱う目的は、体重を減らす場面での体組成と消費の維持であり、全員に共通する体重目標ではない。[18]

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高齢男性の試験では、増えたのはどの消費か

健康な高齢男性33人を対象とする無作為化試験は、この区別を具体的に見せてくれる。平均年齢は67歳で、筋力トレーニングの有無と、ホエイたんぱく質による高たんぱく食の有無を比較した。介入期間は12週間、筋力トレーニングは週2回であった。高齢男性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめ、同じ変化量を予測することはできない。[17]

食事側の介入は、ホエイたんぱく質25gを1日2回とる条件と、比較用のマルトデキストリンをとる条件である。マルトデキストリンは炭水化物の一種だ。試験では呼吸室での測定に加え、日常生活での活動も評価し、安静時と活動時を含めた消費の内訳を調べた。[17]

運動をしなかった条件と比べ、筋力トレーニングによって除脂肪量は1.0±0.3kg、安静時代謝率は1日36±14kcal大きく増加した。睡眠中の代謝率と座っている間の消費も増えた。一方、日常生活の活動による消費は1日90±25kcal減少し、総エネルギー消費は増えなかった。[17]

この結果を「プロテインで基礎代謝が36kcal上がった」と紹介するのは誤りである。安静時代謝率の増加は、筋力トレーニングをした条件としなかった条件の比較で得られたものだ。たんぱく質をとる条件では脂肪量の減少などが認められたが、異なる比較の結果を混ぜてはいけない。[17]

また、安静時に増えた分だけ、丸ごと日々の消費が上乗せされたわけでもない。体の変化と日常の動きの変化を同時に測ると、安静時の増加と活動による消費の減少が並んでいた。安静時の数字だけを見て、総消費まで増えたと想像すると、同じ試験の結論から外れる。[17]

中央線で座れた帰り道を、代謝の数字で採点する必要はない。ただ、「安静時が上がった」という説明を聞いたら、「総消費も増えたのか」と一度問い直せる。この試験の対象は高齢男性であり、若い女性にも同じ増加幅が出るという予測には使えない。[17]

筋肉が増えても、安静時の数字が変わらなかった試験がある

別の比較試験では、胃バイパス手術から2〜7年が経過した人を対象に、筋力トレーニングとホエイたんぱく質の補給を組み合わせた。完了者は、比較群17人、たんぱく質補給群18人、運動群13人、運動と補給の併用群15人に分かれていた。参加者の88.9%は女性である。女性が多い試験でも術後という条件があり、18〜39歳の一般の女性にそのまま当てはめることはできない。[20]

併用群では除脂肪量が1.46±1.02kg、骨格筋量が0.91±0.64kg増加し、比較群より大きな変化だった。しかし、安静時エネルギー消費には、時間経過と群の組み合わせによる有意な差が認められなかった。体組成の改善と安静時消費の増加は、この試験では同時に成立していない。[20]

これは、運動や栄養の工夫が無意味だったという結果ではない。著者らが認めたのは、筋肉に関連する指標の改善である。それを安静時消費の上昇に読み替えず、変わった指標をそのまま受け取る。筋肉の役割を、消費カロリーの増加だけに狭めない読み方でもある。[20]

術後の栄養状態という条件は、一般の健康な読者とは異なる。だからこそ、この試験の補給方法を日常の処方としてまねるのではなく、「筋肉が増えれば必ず安静時消費も増える」という断言を点検する材料にする。同じ方向に動くはずだという期待と、測定された結果を分けたい。[20]

安静時の数字を目的にしていた人には、少し拍子抜けする結果かもしれない。しかし、比較群との違いが確認された項目と、確認されなかった項目を分けることが、この試験を読む要点である。除脂肪量の増加量だけを抜き出して、その先の消費増加を推測で補う必要はない。[20]

高齢男性の試験と並べると、運動で安静時代謝率が増えた例と、運動と補給の併用でも安静時消費の有意な変化がなかった例がそろう。前者は健康な高齢男性、後者は胃バイパス手術後の人で、対象も介入条件も違う。平均の増加量を交換可能な数字として使わず、それぞれの結果として扱うべきである。[17][20]

食事を整えた後に期待した数字が出なかったとしても、すぐに補給量を増やすという判断には結びつかない。少なくともこの併用試験が示すのは、筋肉関連の変化と安静時の消費が別々の結果になりうることだ。評価する項目を増やすことと、食べる量を増やすことを混同しない。[20]

数字で読むたんぱく質と安静時消費

33人:健康な高齢男性を対象に、運動と高たんぱく食を比較した試験の人数である。[17]

12週間:同試験の介入期間で、筋力トレーニングは週2回だった。[17]

36±14kcal/日:運動条件で、非運動条件より大きかった安静時代謝率の増加量である。総消費の増加とは異なる。[17]

1.46±1.02kg:術後の試験で、運動とたんぱく質補給の併用群に認められた除脂肪量の増加である。安静時消費の群間の変化には有意差がなかった。[20]

43人:食事のたんぱく質配分を比較した女性の試験の完了者数である。[12]

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