退屈で食べてしまう理由と間食の科学 空いた手が袋に伸びる前の行動を決める

お腹は満ちているのに、することがなくてお菓子に手が伸びる。退屈と食べ方の関連をまとめたメタ分析、女性を対象にした心理的介入試験、子どもの実験を照らし合わせる。退屈なら必ず食べ過ぎるという思い込みをほどき、きっかけと次の行動を結びつける工夫と、体重の変化とは分けて見たい点を考える。

お菓子の袋を開けた理由を、味では説明できないことがある。楽しみにしていたわけでも、食事を待ちきれなかったわけでもない。ただ、見るものもすることも途切れた。袋の底が見えたところで、ようやく「退屈だったのかもしれない」と気づく。

こうした場面を考える手がかりが、感情に反応して食べる「感情的摂食」である。悲しさだけでなく退屈も、その研究対象に含まれる。地域の女性を対象にした試験では、不安や抑うつに反応する食べ方より、退屈に反応する食べ方が多かったと報告された。[12] 大きな事件がない日にも、食べ方のきっかけは生まれうる。

ただし、退屈という言葉を見つけただけで減量の答えが出るわけでもない。この記事では、食べた後の自分への向き合い方を扱う隣の記事に譲り、食べる直前の「手持ち無沙汰」と、その後に選ぶ行動に焦点を絞る。間食の回数や食品選び全体とは別に、袋を開けるまでの道筋を眺めたい。

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退屈に反応する食べ方は、どこまで確かめられたか

まず、退屈食いを珍しい性格の問題として扱わないための研究がある。2024年のメタ分析は、自己申告の感情的摂食と、問題を伴う食行動との関連を調べた67研究、計26,289人をまとめた。対象研究の年齢の範囲は18.0〜61.8歳であり、退屈だけでなく、抑うつ、怒りや不安、肯定的な感情に反応する食べ方も分けて検討している。[11]

退屈に反応する食べ方と問題を伴う食行動との関連は、効果量d=0.38で、小さい正の関連だった。[11] 効果量とは、研究の結果を共通の尺度で表すための数字である。これは退屈な人が何割余分に食べたかを示す値ではなく、体重がどれだけ増えたかを表す値でもない。関係は見つかるが、退屈という要素だけで個人の食べ方を言い当てることはできない、と読むのが適切だ。

同じ分析では、広い意味での否定的感情に反応する食べ方と問題を伴う食行動との関連はd=0.40、肯定的な感情への反応ではd=0.08だった。[11] 楽しい席で食べることと、つらさや退屈をきっかけに食べることを、同じ「気分で食べた」の箱に入れると見落とす違いがある。自分の間食を振り返るときも、食べ物の名前だけでなく、その場の気持ちを言葉にする余地がある。

ここで測っているのは質問票による自己申告である。「退屈なときに食べがちだ」と答えることと、その瞬間に実際に口へ運んだ量を測ることには距離がある。[11] たとえば、食べたことを後悔している日は、直前の気分も悪かったと振り返るかもしれない。これは日常で考えられる例であり、分析がその道筋を証明したという意味ではない。関連の数字を、自分を裁く点数へ変えないことが大切だ。

体重との関係を考えるときには、もう一段の区別も要る。問題を伴う食行動と結びつくという結果から、退屈を減らせば何kgやせる、と計算することはできない。[11] ここで得られるのは、食べ方を見直す際に退屈を候補から外さなくてよいという手がかりである。まず行動のきっかけを扱い、その変化と体重の推移は別々に確かめる。この順序なら、期待を膨らませず研究を暮らしに持ち込める。

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子どもの実験では、退屈になっても選択は変わらなかった

関連があるなら、退屈にさせれば食べ物の選択が増えるのだろうか。2024年の実験は、6〜9歳の子ども347人を、対照、悲しさ、退屈を誘う動画の条件へ無作為に割り付けた。その後、量の異なる4種類の間食の画像から、仮に食べるものを選んでもらった。[1] 実際に食べた量ではなく、画面で選んだ食品のエネルギー量を調べた研究である。

動画によって退屈や悲しさは誘発できた。しかし、その気分が子どもの食品選択に与えた影響は有意ではなかった。[1] 退屈を感じたことと、間食の選択が増えたことが、この実験ではそろわなかったのである。気分を動かせば食べ方も機械的に動く、という単純な説明に歯止めをかける結果だ。

一方、保護者が報告した健康上の理由による食事制限や、子どもの否定的な感情の傾向は、選択したエネルギー量の多さと関連していた。[1] ただし、保護者の対応を無作為に変えた試験ではないため、制限したから選択量が増えたとは決められない。子どもの食べ方が気になった結果として保護者が制限を強める、という逆向きの経路も区別されていない。

この結果を、大人の退屈食いは存在しないという反論に使うこともできない。子どもと大人、画面の選択と実際の摂取、その場の動画と日常生活では、確かめている対象が違う。[1][11] 反対方向に見える研究を並べる意味は、どちらかを捨てることではなく、「誰が、何をした結果なのか」を狭く正確に読むことにある。

家庭で子どもがお菓子を求めたときも、「退屈だから」と即断するより、本人の言葉を聞く場面として考えたい。大人が自分を観察するときにも同じ余白を残せる。時計を見て空腹のはずだと決めるのでも、食べ終わったから退屈だったと決めるのでもなく、その場でどう感じたかを確かめる。研究の結果がそろわないことは、日常の理由を丁寧に聞き取る動機になる。

日常の調査では、退屈と体重をどう分けて見るか

生活の条件が変わったときの観察もある。隔離措置中の生活を調べた2022年の研究は、感染者とその濃厚接触者など8,075人のオンライン回答を分析した。感染者は隔離中に平均1.2kg減り、接触者は平均1.6kg増えた。接触者は感染者より、退屈を理由に食べる傾向が強かった。[9]

この数字だけを見ると、退屈食いによる体重増加が測れたように感じる。だが、感染者では味覚の喪失や体調不良が体重変化の理由として主に挙げられていた。心理的な負担の強さと対処の乏しさは、体重増加だけでなく減少にも関連していた。[9] 同じ外出しにくい状況でも、体調、気持ち、食べ方が重なり、体重は違う方向へ動いている。

したがって、接触者の平均増加量を「退屈で増える重さ」と呼ぶことはできない。[9] この調査は、家にいる時間の変化を考えるための場面を提供している。通勤や外出がなくなった日、予定が急になくなった日には、食べ物だけを見直す前に、その日の過ごし方がどう変わったかを思い出す視点が持てる。そこで浮かんだ仮説と、研究で確定した原因は区別しておきたい。

日常の瞬間を繰り返し測る方法も使われている。減量手術を受けた成人150人を対象とした縦断研究では、術後1年、2年、3年の時点で、それぞれ1週間、1日5回、退屈、ストレス、食べることを制御できない感覚を評価した。[2] 後から全体を思い出す質問票とは異なり、生活の途中で気分と食べ方を尋ねる方法である。

同じ人の中でその時々の退屈と制御できない食べ方の強さが結びついたのは、術後2年の時点だった。人と人の比較では、退屈の強い参加者ほどその食べ方が強いという関連が術後2年と3年に見られた。[2] 「普段から退屈しやすい人」と「いつもより退屈している瞬間」は別の問いなのである。対象が手術後の人であることも含め、一般の間食へそのまま広げず、状況に応じて関連が変わる例として受け止めたい。

たとえば、退屈の強い人ほど食べ方の困りごとも強いと分かっても、その人が今日いつもより退屈した瞬間に食べ方が変わるとは限らない。術後の研究が両者を分けたことで、この違いが見えやすくなっている。[2] 自分の暮らしで考えるなら、家族や友人より間食が多いかを比べる問いと、自分の中でどんな待ち時間に手が伸びるかを探す問いを分けられる。後者は、次の行動を決める場面を絞るために使える。研究の評価回数をそのまま日課としてまねるより、自分が困る場面を言葉にするほうが、生活上の計画として扱いやすい。

数字で読む退屈と食べ方

67研究、26,289人:感情的摂食と問題を伴う食行動のメタ分析全体の規模である。[11]

d=0.38:退屈に反応する食べ方と問題を伴う食行動との小さい正の関連である。[11]

347人:子どもの動画実験の人数で、退屈の誘発による食品選択への有意な影響はなかった。[1]

240人:きっかけと対応を結ぶ心理的介入の試験に参加した女性の人数である。[12]

d=0.29:その介入で見られた、追跡時の退屈に反応する食べ方への効果量である。[12]

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