運動習慣で座っている時の脚も動く?無意識の小さな動きと消費を研究で読む

運動習慣がつくと、座っている時の脚の動きや日常の活動も変わるのだろうか。座っている時の脚の動きや立つ、歩くといった日常活動を、消費エネルギーとの違いから整理する。子どもの筋トレ試験と成人の食事制限試験を読み比べ、運動後の活動が増えた結果と減った結果の条件を分け、生活で確認したい点を示す。

運動した日の夜、ソファから動きたくなくなる。別の日には、机に向かっている間も脚がそわそわする。運動習慣がつけば、こうした無意識の動きまで増えるのだろうか。答えは一律ではない。人の自発的な運動が、それ以外の身体活動に及ぼす影響は大きくばらつき、年齢も関わるとレビューは整理している。[9]

小さな動きにも消費はある。ただし、座って脚を動かすこと、通勤で歩くこと、運動後に安静時の代謝が変わることは同じ現象ではない。日常活動による消費を考える時には、どの動きを測ったかを先に確かめる必要がある。[18][16]

運動を続けているのに普段の活動が増えた実感がなくても、脚の動きだけに原因を求めるのは早い。食事制限を含む成人の試験では、測定室内の小さな活動と自由な生活での活動水準が違う変化を示した。運動の予約表だけでなく、予約のない時間を見る。そのための研究の読み方が今回の問いである。[8]

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小さな脚の動きは、運動の外側にある

意図して行うトレーニングとは別に、立つ、歩き回る、そわそわと体を動かすといった活動がある。これらは自発的身体活動と呼ばれ、英字ではSPAと略される。神経系とエネルギー収支を扱うレビューは、人では目的を定めないこうした行動を、自ら計画する強い運動とは別の活動傾向として説明している。[2]

一方、NEATは非運動性熱産生という言葉で、睡眠、食事、スポーツのような運動以外で使うエネルギーを指す。通勤の歩行、文字を打つ作業、庭仕事、そわそわする動きなどが例に挙がる。動きそのものに注目する言葉と、その動きに伴う消費に注目する言葉は、重なる部分を持ちながら視点が異なる。[18]

だから、脚を揺らす様子だけでNEAT全体を判断することはできない。目の前では静かでも、仕事中に移動が多い人はいる。反対に、椅子ではよく足先が動いても、仕事も買い物も座ったまま済む日がある。レビューが扱う範囲には仕事や居住環境も含まれており、机の下の脚だけを切り取ると生活の広さを見落とす。[18]

中央線で座れた帰り道、脚が動かなかったからといって、その日の活動に赤点を付ける必要はない。電車内の様子から、通勤路や勤務中の動きまでは分からないからだ。観察の単位を「脚の癖」から「生活の場面」へ広げる方が、この用語の意味に合っている。[18]

無意識という言葉も、意志の弱さを表すものではない。自発的身体活動の調節には、食行動にも関係する脳の仕組みが関わるとレビューは論じている。運動をしたかどうかだけで、人が動きたくなる傾向のすべてを説明できるわけではない。[2]

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運動の消費と、その後の活動は別に考える

運動による消費を考える時には、運動中に使う分のほか、運動後の代謝、習慣的な運動に伴う安静時代謝の変化、運動しない時間の消費への影響を区別できる。運動と食事制限のレビューはこれらを分けて検討し、安静時代謝への影響についても研究間で一致しない結果を紹介している。[16]

安静時代謝とは、体を休めていても体の機能を保つために使うエネルギーである。脚を動かすことで生じる消費とは、数える場所が異なる。「運動後も燃える」という表現の中に、回復中の代謝と日常の動作を一緒に詰めると、何が増えたという話なのか曖昧になる。[17][16]

ここでいう活動の補償とは、運動を加えた時に、ほかの時間の活動が減るなどして、追加した消費がそのまま全体の増加にならない可能性を考える視点である。ただし、人の運動とほかの身体活動の関係には大きな個人差がある。運動後には必ず動かなくなるという法則にしてはいけない。[9]

たとえば、運動した日は買い物も歩いて済ませたのか、それとも帰宅後の用事を翌日に回したのか。これは自分の生活を点検する問いとしては使える。ただ、後者だったという記憶だけで、運動で使ったエネルギーがすべて相殺されたとは計算できない。NEATには動きの量と種類だけでなく、それぞれの動作に要するエネルギーも関わるからだ。[18]

運動をした日は、運動をしたという事実がある。それ以外の時間まで自動的に活動的になったとみなす必要も、逆に帳消しになったとみなす必要もない。運動の枠と生活の枠を別々に観察することで、疲れた日の休息に余計な罪悪感を乗せずに済む。

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筋トレで日常の動きが増えた試験もある

運動が日常活動を減らすという見方とは反対に、活動が増えたランダム化比較試験がある。対象はジュニアのアイスホッケーチームに所属する男子で、普段の練習を続けるチームが21人、筋力トレーニングを加えるチームが25人だった。平均年齢はそれぞれ13.2歳と13.4歳である。成長期の男子競技者の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[5]

追加したのは、指導付きの筋力トレーニングを週2回、4か月行う内容だった。研究では、開始時、4か月後、12か月後に、自発的身体活動による消費、筋力、体組成を測った。日常の活動については、3軸の加速度計を7日間使って評価している。[5]

4か月後の自発的身体活動による消費の変化は、介入群でプラス25.5%、対照群で0%だった。12か月後も介入群はプラス13.5%、対照群はマイナス9.5%で、群間の違いは統計的に有意だった。少なくとも、この男子選手たちでは、筋トレを加えた後に日常の活動による消費が増えていた。[5]

ただし、この結果を「大人の女性も筋トレをすれば座って脚が動くようになる」と言い換えることはできない。測ったのは脚の揺れだけではなく、自発的身体活動による消費である。対象も、すでに競技を行っている成長期の男子だった。読者自身と条件がどこで違うかを保ったまま読む必要がある。[5]

また、脚と腕の筋力は増えたが、体組成などほかの変数は変わらず、それらの変化と自発的身体活動の変化との相関も認められなかった。筋肉が増えた分だけ動くようになった、という単純な説明にはならない。研究者は、体組成や筋力の変化とは独立した効果の可能性を述べている。[5]

高齢者の筋力トレーニングを扱うレビューも、日常動作の難しさが減ることや、自発的身体活動への参加が促されることを挙げている。若い競技者の試験とは別の対象でも、運動以外の活動が増える方向の知見はある。高齢者の加齢に伴う機能低下を背景とする整理であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[14]

食事制限と運動の組合せで、活動の変化が違った

成人を対象とする食事制限のランダム化試験は、別の角度からこの問いを照らす。肥満のない48人を、食事制限、食事制限と計画的な運動の組合せ、低カロリー食、体重を維持する対照の各群に分け、6か月調べた研究である。運動だけを加えた試験ではない。18〜39歳の女性だけを対象にした結果としてそのまま当てはめることはできない。[8]

測定には、呼吸室と呼ばれる室内での活動の評価と、自由に暮らす環境での活動水準の評価が含まれた。室内では動いていた時間の割合と活動による消費を測り、生活環境では総消費エネルギーと安静時代謝の比から活動水準を求めている。観察場所だけでなく、指標の作り方も違っていた。[8]

結果は一枚岩ではない。呼吸室で測った自発的身体活動は、どの群でも有意に減少しなかった。一方、生活環境での活動水準は、3か月時点の食事制限群と低カロリー食群で低下し、計画的な運動を行った組合せ群では低下しなかった。室内の活動の変化と、自由な生活の活動水準の変化には関連がなかった。[8]

計画的な運動を加えた群で生活環境の活動水準が保たれた点は、この試験の重要な結果だ。ただし、運動と食事制限を組み合わせているため、運動だけの効果を取り出した比較ではない。食事を変えた条件と、動く機会を加えた条件を対にして読む必要がある。[8]

数字で読む運動と小さな活動

男子選手46人:2チームを分けた筋力トレーニング試験の対象であり、成人一般の集団ではない。[5]

週2回・4か月:普段の競技練習に追加された、指導付きの筋力トレーニングの条件である。[5]

プラス25.5%対0%:4か月後の自発的身体活動による消費の変化であり、体重の変化率ではない。[5]

48人・6か月:食事制限と運動などを比べ、測定室と日常生活の活動を区別した成人試験である。[8]

16人・60日:安静臥床の研究の対象と期間であり、普段どおり働く人の運動習慣とは条件が異なる。[7]

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