ダイエットのスープは煮詰まると塩分も増える?濃度と鍋全体の量を分けて読む

ダイエット中の食事で、温め直したスープがしょっぱく感じるとき、塩分の濃度と鍋全体の量、飲む量をどう区別すればよいのか。塩味とうま味の実験、鶏スープの調理研究、食後の反応を比較し、水を足す意味や味見の限界を考える。研究の濃度を家庭の推奨値に置き換えない読み方も示す。

塩を足していないのに、温め直したスープがしょっぱい。お玉ですくうと、朝より汁が少ない。「煮詰まったら塩分も増えたのか」。ふたを外した鍋の前では、味の変化と中身の量の変化が、一つの出来事に感じられる。

答えの芯は、「濃くなる」と「鍋にある塩分の総量が増える」を分けることだ。水だけが減り、塩分が鍋に残るという条件なら、濃度は上がるが塩分の総量は変わらない。まずは、鍋に残る塩分と水の量をそれぞれ捉えたい。スープの実験でも、塩分は濃度で示す場合と、食べた食事に含まれる量で示す場合がある。[2][4]

もう一つ分けたいのは、舌が感じた濃さと、実際に飲んだ塩分だ。うま味の有無で同じ食塩濃度の評価は変わり、過去の塩味の記憶も実際の味からずれることがある。[2][5] 今夜のスープを読む手がかりは、「どれだけしょっぱいか」だけでは足りないのである。

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煮詰まりは「何に対して濃いか」から考える

濃度を考えるときは、含まれる塩分と、それを含む液体の量を組にして見る。水が減る条件を置けば、同じ塩分がより少ない液体に含まれる。反対に水を足す条件を置けば、その塩分をより多い液体に分けることになる。この関係と、塩や調味料を追加して塩分そのものを増やす操作は区別できる。研究を読む際にも、濃度を変えた試験と摂取量を変えた試験を一緒にしないことが出発点となる。[2][4]

たとえば、食卓で同じ器に同じくらいの高さまで注ぐなら、濃度の違う汁を同じ量だけ飲む場面になる。一方、鍋の中身をすべて食べるなら、注ぐ器の大きさを変えても、食事全体を見なければならない。これは特定の減塩効果を示す計算ではなく、「何を一定にして比較するか」の整理だ。食後の反応を調べた実験では、スープに含まれるナトリウム量を定めて比較している。[4]

家庭の鍋では、途中で取り分ける、具を加える、調味料を足す、汁を残す、といった操作が重なる。したがって、「昨日より汁が少ない」という観察だけから、今日食べた塩分まで決めることはできない。鍋の変化と自分が口にした分を、別々に確かめたい。研究の読み方に置き換えれば、調理条件と摂取条件をそろえずに結果を比べない、という姿勢になる。[4][16]

濃度を見直す場面では、汁そのものを比べたいのか、食事を比べたいのかも決めておく。お玉の中の汁を味見するなら、その試料の味の話である。器に盛って具も一緒に食べるなら、食事として取り込む内容の話になる。鶏を煮た研究でも、材料に対する食塩添加と、出来上がったスープ中の成分分析を区別している。[16] 鍋を見ながら行う判断にも、その区別を持ち込める。

たとえばレシピを変えた日に、昨日と同じ調味料を使ったという理由だけで、同じ仕上がりだとは決めない。研究で食塩添加条件を比較するときには、鶏と水の重量比も示されていた。[16] 家庭でも、材料と水をどのように変えたかが比較の手がかりになる。煮詰まった汁へ何かを足す前に、変更した工程を思い返す。味の感想とは別に、工程を説明できる状態にするのである。

ここで扱うのは、加熱した汁物の量と味の関係である。麺を洗う工程の話は、既存記事「ダイエットのそうめんは水洗いで塩分が変わる?調理後の量と洗い方を読む」に譲る。洗った水を流す場面と、鍋に水を加えてその汁も食べる場面は、作業としても別に考えたい。

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同じ食塩濃度でも、うま味で評価は変わる

健康な参加者584人が、日本の19地域で味を評価した無作為化二重盲検実験がある。用いたのは、食塩濃度0.3%、0.6%、0.9%の溶液で、それぞれにうま味物質であるグルタミン酸ナトリウムを0.3%加えた場合と、加えない場合を比較した。性別や年齢などによらずおおむね同様の結果だったが、18〜39歳の女性の家庭料理にそのまま当てはめるには、溶液と料理の違いを考える必要がある。二重盲検とは、評価に関わる人が試料の条件を知らないようにする方法だ。[2]

塩味の評価は食塩濃度に応じて高くなった。ただし、食塩0.3%では、うま味物質を加えた溶液のほうが、加えない溶液より塩味を強く評価された。おいしさの評価は、調べた食塩濃度のいずれでも、うま味を加えたほうが高かった。特に食塩0.3%にうま味物質を加えた条件では、加えない場合の約2倍のおいしさ評価となった。[2]

この結果は、「しょっぱいと感じた分だけ、食塩が多い」と単純には判断できないことを示す。塩味の感覚と食塩濃度は関係するが、同じ目盛りではない。研究者は、うま味が減塩によるおいしさの低下を補いうると述べている。これは評価実験の結果であり、参加者の長期的な食生活や体重の変化を測った結果とは分けて読む必要がある。[2]

また、ここで示された数字は、試験に使った溶液の条件だ。「家庭のスープも必ずこの濃度にする」という処方にはしない。使ったうま味物質はグルタミン酸ナトリウムであり、食塩の添加量だけを見た話と、ナトリウム全体の話を混ぜないことも大切だ。調味料を選ぶ際は、味を整える目的と、成分表示で量を確認する目的を分けておくと判断しやすい。[2]

なお、おいしさが約2倍という表現は、評価尺度の得点についての比較である。[2] 塩分を半分にできるという意味でも、同じ量を飲んだ人の満足が必ず倍になるという意味でもない。試験で示された評価と、生活の中で食べる量をつなげるときには、別の問いが挟まる。数字の勢いでそこを飛び越えないようにしたい。

立川駅北口から帰って、夕食の鍋に調味料を足す。その前に、「薄いから塩を足したい」のか、「香りやうま味が物足りない」のかを言葉にしてみる。実験が示すのは、おいしさの評価には、食塩の濃さに加えてうま味も関わるということだ。[2] 味見の感想を細かく分けることは、研究の条件を暮らしへ移すための手がかりになる。

鶏スープの割合は、何の重量を基準にしているか

鶏スープの調理研究では、雲南の在来鶏24羽を用い、食塩の添加量を変えて煮込んでいる。食塩は鶏の屠体重量に対して1.5%、2%、2.5%、3%で、水と鶏の重量比は鶏が1に対し水が2だった。[16] ここで見落としたくないのは、食塩の割合の分母が「完成したスープの重量」ではない点である。

官能評価、つまり人が味や香りなどを評価する試験では、2%と2.5%の添加群の得点が高かった。水に溶ける小さな分子として、アミノ酸とその誘導体、核酸、小さなペプチドなどが調べられ、その濃度は添加条件で異なり、2.5%群で最も高かった。香りに関わる揮発性成分の相対的な濃度も、2.5%群で最も高かった。[16]

研究者は、この調理条件では2.5%の食塩添加が風味に適していたとまとめている。[16] しかし、これを先ほどの溶液実験の食塩0.3%と横並びにして、「どちらのスープが好ましいか」を決めることはできない。前者は鶏の重量に対する添加割合で、後者は溶液の食塩濃度だからだ。[2][16] 数字の見た目が似ていても、何で割った数字かが違う。

この研究は、塩を加える条件と、スープの風味に関わる成分との関係を読む材料になる。[16] 一方、家庭で鍋を火にかけた時間に応じて食塩濃度がどう変わるかを計算する式としては使わない。塩の添加条件を比較した結果と、水分の減り方を比較する問いは、別々に扱うべきものだからである。

料理の記事にある「最適」という言葉にも、何に適していたかを添えたい。この場合は、特定の鶏と水の割合、食塩添加条件で調べた風味の評価だ。[16] 毎日の摂取量の目標でも、体重を変えるための濃度でもない。鍋の中でおいしさを比べる問いと、人の食生活として何が合うかという問いは、同じ数字では答えられない。

数字を読む順番は、対象、操作、評価である。溶液を飲んで好みを答える試験と、鶏を煮て成分を測る研究を、その順番で読み分ける。[2][16] 同じスープという言葉でも、調べているものが違うと分かれば、食卓で使える部分も選びやすくなる。

数字で読むスープと塩味の実験

584人:日本の複数地域で、食塩濃度とうま味の有無を比較した健康な参加者数である。[2]

0.3%、0.6%、0.9%:溶液実験で用いた食塩濃度で、家庭向けの推奨値ではない。[2]

135人:減塩スープを経験するパターンと、塩味の記憶を調べた実験の参加者数である。[5]

24羽:食塩添加量と風味成分を調べた鶏スープの材料で、人を対象にした健康効果の人数ではない。[16]

16人:ナトリウム量の異なるスープを飲んだ後の反応を調べた、健康で血圧が正常な成人の数である。[4]

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