糖質制限のラーメンは黄色い麺ほど糖質が多い?かん水と色の変化を分けて読む

糖質制限中にラーメンを食べたいとき、黄色い麺と白い麺を見比べても糖質量の答えは出ない。アルカリ性の麺を調べた食品実験から、色の変化、かん水に関わる硬さ、水分、食物繊維とでんぷんの消化を読み分ける。見た目やコシを栄養表示の代わりにしないための、買い物と食卓の確認点を示す。

鍋から引き上げた中華麺の黄色が、ゆでる前より薄く見える。「色が抜けた分、糖質も減ったのだろうか」。湯切りのざるを前に浮かぶその問いは、麺の色と中身を分けて考える入り口になる。

その判断を、麺の黄色さだけに任せることはできない。黄色いアルカリ麺の実験では、配合や調理によって色が動き、同時に硬さや弾力も違う動き方をしている。これらは試作麺の色や物性を測った食品実験であり、黄色い色素が発色する反応そのものの説明とは分けて読む。[6][19]

糖質制限中にラーメンを食べたいときの確認先は、黄色の濃淡より、その商品の表示と実際に食べる量である。ここでは「白い麺なら安心」という別の決めつけも置いておく。かん水に関わるアルカリの働き、時間で変わる色、配合による消化の違いを分けて考えたい。[14][15][18]

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黄色さと糖質量を、同じ物差しにしない

まず、研究で測ったものを確かめる。大豆の分離たんぱく質で小麦粉の一部を置き換えた黄色いアルカリ麺を、配合や架橋処理を変えて調べた食品実験がある。架橋とは、ここではたんぱく質どうしをつなぎ、麺の構造を変える処理である。調理すると明るさは増し、赤みと黄色みは減った。引っ張ったときの強さや弾力も下がり、その程度は配合や処理によって異なった。[19]

注目したいのは、同じ系統の麺でも、調理の前後で黄色みが固定されていない点だ。黄色みが薄くなったという測定結果を、そのまま「糖質が同じ割合で減った」に読み替えることはできない。研究で測った色、物性、成分は、それぞれ名前を付けて読む必要がある。[19]

この実験では、リボースを使った処理の麺は明るさが低く、黄色みと赤みが高かった。一方、酵素を使った処理の麺は色の値が中間でも、引っ張ったときの強さと弾力が最も高かった。濃い色の麺が最も強いわけでも、最も明るい麺が最も弱いわけでもない。色と噛み応えの順位さえ、きれいには重ならなかったのである。[19]

別の食品実験では、こんにゃく由来のグルコマンナンという素材を、そのまま加える場合と、キトサンで包む処理をして加える場合で比較した。処理した素材を加えた麺は、未処理の素材を加えた麺より明るく、黄色みが薄かった。その一方で、難消化性でんぷんの含有割合は増えた。難消化性でんぷんは、消化されにくいでんぷんを指す。明るさの変化と、でんぷんの性質の変化を分けて追った実験だ。[6]

ただし、これを「薄い黄色ほど低糖質」という新しい見分け方にしてはいけない。比較したのは特定の素材と処理を使った試作麺である。色が薄い市販麺を集めて糖質量の順に並べた研究ではない。個別の製法で起きた変化は、その比較条件の中で受け取るのが適切だ。[6]

「糖質制限のそばはゆで汁も飲むべき?ルチンの行き先と体への吸収を分けて読む」では、そばの成分の行き先を扱っている。ここで考えるのは飲むか捨てるかではなく、目に見える麺の色を、食べる成分量の代用にできるかという問いである。

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かん水に関わるアルカリは、麺の構造にも働く

かん水を含む麺を考えるとき、アルカリは単なる色の目印ではない。食塩とアルカリを加えた生麺を比べた研究では、アルカリの添加で、小麦のたんぱく質が作るグルテンの強さと麺の硬さが、より大きく増した。食塩を加えた生地は、伸びやすさに優れていた。同じ塩類の添加でも、麺の性質への働き方は違った。[14]

顕微鏡で見た構造も異なる。食塩では繊維状のグルテン構造、アルカリでは膜のような構造が観察された。アルカリ麺では水と固形分との相互作用が強まり、水の動きやすさが低下した。硬さという口の中の感覚の背後に、たんぱく質のまとまり方や水の状態があるという結果である。[14]

この違いを知ると、「コシが強いから糖質が多い」という推測にも立ち止まれる。硬さの測定は、麺がどのように力に抵抗するかを見ている。糖質量の測定とは目的が違う。アルカリによる構造と水の状態の変化が示された以上、噛み応えだけで成分量まで言い当てることはできない。[14]

炭酸ナトリウムを使った別の食品実験の対象は、アルカリ麺の生地から分離した小麦でんぷんである。調べているのは色素の反応ではなく、アルカリ塩によるでんぷん構造や調理特性の変化だ。添加量が増えるにつれ、でんぷんの膨潤力、つまり水を含んで膨らむ性質が増している。結晶の型は同じでも、相対的な結晶化度は低下するという結果だった。内部構造の変化と、糖質の含有量は別の測定対象である。[16]

具体的には、炭酸ナトリウムの添加範囲が100 g当たり0〜3.2 gの条件で、膨潤力は7.28 g/gから10.70 g/gへ増え、相対的な結晶化度は30.11%から23.13%へ低下した。さらに、アルカリ処理したでんぷんから作った麺では、調理損失と再吸水の値がそれぞれ42%、36%増えた。[16]

ここでいう調理損失は、ゆでる過程で失われる固形分を見る指標である。「調理損失が42%増えた」を「糖質が42%減った」と読めば、比較の対象も測ったものもすり替わる。増えたのは対照と比べた損失の値であって、食べる麺の糖質がその割合だけ少なくなったという結論ではない。[16]

実際、食塩とアルカリを比較した生麺の研究では、どちらの添加も調理損失を増やした。一方、乾燥した黄色いアルカリ麺の製造条件を調べた研究では、食塩の増量は調理損失を減らし、アルカリの添加は増やした。結果の方向がそろわない部分がある。生麺と乾燥麺、材料と工程が異なる結果を、一律の台所の法則にまとめないことが必要だ。[14][8]

時間で暗くなる色には、複数の理由がある

袋を開けたときと、しばらく置いた後とで、麺の色が違って見えることもある。アルカリ麺の研究では、時間とともに暗くなる現象に、ポリフェノール酸化酵素という酵素の働きと、それ以外の仕組みが関わると報告されている。黄色の濃さと、保存中に暗くなる程度も、分けて考える対象だ。[18][20]

小麦試料を調べた研究では、502試料で、穀粒の酵素活性とアルカリ麺の暗色化との相関係数は0.64だった。相関は、関連して動く程度を表す数値である。酵素の働きを抑える実験でも暗色化は減ったが、低活性の品種と高活性の品種では減り方が異なった。酵素が重要な一因であり、品種によって寄与が異なるという結果である。[20]

ただし、酵素活性を低くすれば色の変化がすべてなくなる、という単純な話ではなかった。同じ研究は、測定した酵素活性がゼロでも、相当の暗色化が起こると推定している。色の変化には別の仕組みも加わるという見方だ。相関があることと、それだけで全体を説明できることは違う。[20]

その別の部分に着目した研究では、酵素活性が高いオーストラリアの小麦5品種を対象にした。平均すると、通常のポリフェノール酸化酵素によらない暗色化が、全体の69%を占めると推定された。そのうち約3分の2は表面の性質などの物理的な変化、約3分の1は化学的な変化によるものとされた。[18]

この69%を、あらゆるラーメンの麺に当てはめることはできない。対象は選ばれた小麦品種であり、数字はその条件での内訳である。それでも、色の濃さを読むには、原料の違いや時間による変化まで関わると分かる。色から糖質量へ直行するより、色そのものに複数の理由があると捉えるほうが、研究の結果に沿っている。[18][20]

酵素を抑える処理によって暗色化がどれほど減るかも、品種で違った。低活性の小麦品種では13〜25%、高活性の品種では39〜54%の抑制だった。同じ操作でも出発点が違えば、色への影響は変わる。この食品実験の操作は、家庭で麺に何かを加える勧めではない。色を変える仕組みを切り分けるための比較として読むものである。[20]

色を測る場面では、原料と処理、観察した時点をそろえて初めて比較が成立する。店頭で異なる商品の色だけを見比べる場面には、こうした条件の違いが重なっている。見た目の差があることと、その理由を特定できることの間には距離がある。[18][19][20]

数字で読むアルカリ麺の色と構造

502試料:小麦の酵素活性と麺の暗色化の関連を調べた試料数である。[20]

0.64:その研究での相関係数。糖質量との相関を示した数字ではない。[20]

69%:小麦5品種で推定された、通常の酸化酵素によらない暗色化の平均割合である。[18]

7.28→10.70 g/g:炭酸ナトリウムの添加増加に伴う、分離でんぷんの膨潤力の変化である。[16]

30.11→23.13%:同じ実験での相対的な結晶化度。糖質の含有割合とは異なる。[16]

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