疲労回復の昼寝は上体を起こして眠る?横になる場合と眠りの深さを研究で読む

疲労回復のための昼寝は、椅子で上体を起こす場合と横になる場合で何が違うのか。座席の角度を比較した実験から、総睡眠時間、深い眠り、レム睡眠の違いを読む。短い昼休みへの当てはめ方、目覚めた後の余裕、睡眠中の呼吸に問題がある場合の注意まで、研究の対象と条件を分けて考える。

同じ時間だけ目を閉じるなら、椅子にもたれるのと横になるのとで、眠りの中身は変わるのか。昼食を片づけた机の前では座って休める。休日の寝室なら体を水平にできる。休める場所が違うとき、背もたれの角度にはどんな意味があるのだろう。

睡眠そのものを比べるなら、上体を起こした姿勢と水平な姿勢は同じではない。健康な成人を対象に座席の角度を変えた実験では、上体を起こした座席より、背を倒した座席や水平な座席で睡眠量と質が概して良好だった。ただし、これは短い昼休みではなく、夜の睡眠機会を制限した後の長い昼寝を調べた結果である。[17]

したがって、この実験が示したのは、角度による睡眠の違いだ。眠れた量、眠りの中身、起きた後にできることを分けて考える必要がある。[17][16] 既存の「疲労回復の昼寝は起きてすぐ動ける?眠る長さと目覚めた後の重さを読む」には長さと目覚めの話を譲り、ここでは体をどう預けるかに焦点を絞る。

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座席を倒すと、睡眠の何が変わったのか

直接の比較を行ったのは、健康な成人6人がそれぞれ異なる座席条件を経験した実験である。女性3人、男性3人が参加し、女性の年齢は27.0歳、男性は22.7歳と報告されている。条件ごとに、まず午前2時から6時までベッドで眠る機会を取り、その後、午後1時から5時まで座席で眠る機会を設けた。夜も昼も睡眠機会は4時間だった。男女を合わせた小規模な実験なので、18〜39歳の女性全体への当てはめには追加の検証が必要だ。[17]

比べたのは、垂直方向を基準に背もたれが20度、40度、90度になる座席である。20度は上体を起こした条件、40度は背を倒した条件、90度は水平な条件に当たる。ここで角度の基準を読み違えると、研究と別の椅子を思い浮かべてしまう。床から何度かではなく、垂直からどれだけ倒れたか、という表記だ。[17]

眠ったかどうかは、本人の感想だけで決めていない。睡眠ポリグラフという睡眠の状態を記録する検査を使い、総睡眠時間や睡眠段階のほか、途中で覚醒する様子や段階の切り替わりを調べた。背もたれ角度は、睡眠量に関する4指標のうち3指標、睡眠の質に関する4指標のうち3指標に有意な影響を及ぼした。[17]

水平な座席と比べると、上体を起こした座席では総睡眠時間が29%少なく、徐波睡眠が30%少なかった。徐波睡眠とは、この研究で深い眠りとして評価された睡眠段階である。さらにレム睡眠は79%少なかった。目を閉じて座席にいた時間が同じでも、その中で実際に眠った時間と睡眠の構成は違っていたわけだ。[17]

昼休みの予定表には「休憩」としか書けない。しかし研究では、その箱の中をさらに開けている。横になれたかどうかは、単なる気分の問題として片づけられない一方、睡眠量の差をそのまま仕事の能率や筋肉の回復率に置き換えることもできない。この実験が比べた中心は、睡眠の量と質である。[17]

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少し倒せば、水平と同じ眠りになるのか

背を倒した40度の座席では、水平な座席と総睡眠時間、徐波睡眠の量が同程度だった。一方でレム睡眠は水平な座席より37%少なかった。レム睡眠は、徐波睡眠とは別の睡眠段階である。総量だけを見ると似ていても、レム睡眠の量には差が残った。[17]

この違いは「眠りの深さ」という言葉の扱いにも関わる。深く眠れたという感想には、長く眠れた、途中で目が覚めなかった、目覚めがよかった、といった別々の経験が混ざりやすい。研究では総睡眠時間と徐波睡眠、レム睡眠を分けて測っているため、「深く眠れる姿勢」とひとまとめにするより、何が増減したかを確かめる方が正確だ。[17]

たとえば自宅のソファで背を預ける場面を考える。ベッドまで移動せずに休みたいという希望はあっても、「少し倒せばベッドと完全に同じ」という説明にはならない。実験では総睡眠時間と徐波睡眠は似ていたが、レム睡眠には差があったからである。似た結果が出た指標と、異なる結果が出た指標の両方を残しておきたい。[17]

逆に、レム睡眠が少なかったことだけで、その座席での休憩を無意味と決めるのも早い。背を倒した座席と水平な座席では、上体を起こした座席より睡眠量と質が概して良好だった。選択肢が限られた場所なら、完全に水平にできるかという二択ではなく、背を預ける条件を変えられるか、という問いが生まれる。[17]

ただし、これを家庭のソファや職場の椅子の性能保証にしてはいけない。研究で操作したのは座席の背の角度であり、身の回りの椅子を商品ごとに比べたわけではない。使う際は家具の名前より、垂直から測った角度と頭の預けやすさに目を向けたい。[17]

上体を起こすと眠りにくい理由はどこまで分かるか

研究者は、上体を起こした姿勢で頭を快適な位置に保つ難しさを、結果を説明する仕組みの候補に挙げている。とくにレム睡眠では筋肉の緊張が非常に低くなるため、この難しさが増す可能性があるという説明である。頭の支えが関わるという仮説であり、枕の形や首の角度を個別に比較した結果として読むものではない。[17]

もう一つの候補は、自律神経の働きである。研究者は、上体を起こした姿勢では交感神経活動が高まり、副交感神経活動が低下することで、生理的な覚醒の水準が高くなる可能性を挙げている。交感神経、副交感神経は体の状態を調整する自律神経の働きの区分だ。座席実験で見られた差について、姿勢と覚醒の関係から説明を試みている。[17]

眠気と体温調節を扱ったレビューにも、姿勢に関する手掛かりがある。横になる、消灯するといったリラックスに伴う眠気では、手足の皮膚温の上昇が見られ、点灯や仰向けから立位への姿勢変化では逆方向の変化が生じると整理されている。眠りに入る状況は、背もたれだけで完結するものではない。[6]

ただし、手足が温かければどの姿勢でも同じように眠れる、という結論ではない。このレビューは、覚醒中にたまる眠気、体内の時刻に関係する眠気、目覚めた後に残る眠気を区別している。これらを同じ仕組みで説明せず、体温調節との関係にも違いがあるとしている。[6]

昼休みの椅子選びで、自律神経を自在に切り替えようと考える必要はない。研究の仕組みの説明は、姿勢を変えると睡眠条件も変わり得ることを理解する助けである。頭を預けにくい席で眠れなかった経験を、気合いの不足に置き換えずに済む。頭の支えは、研究者が挙げた仕組みの候補として捉えたい。[17]

同じ参加者が異なる角度を経験している点にも意味がある。ある人は椅子、別の人は水平な席で眠るという比較より、個人による違いを切り分けて姿勢を見るための設計になっている。それでも対象は健康な成人6人である。性別ごとの違いや、普段から座って眠る人への当てはまりまで、この人数から広げるのは慎重でありたい。[17]

また、29%という差は、横になって眠った時間を比較の基準にした相対的な差である。「座っていると休憩時間の29%が必ず無駄になる」という意味ではない。睡眠に入るまでの時間を含む睡眠機会と、その中で記録された総睡眠時間は区別される。時計で測った休憩時間に直接この割合を掛けると、研究とは違う計算になる。[17]

眠りの質に関する結果には、レム睡眠に入るまでの時間、覚醒、睡眠段階の切り替わりも含まれている。どの姿勢で何分眠れたかだけを調べた実験ではない。途中で眠りが変わる様子まで測っているからこそ、「座席の角度で睡眠の構成も違う」という説明になる。反対に、こうした睡眠の指標から、翌日の疲労感や運動後の筋肉の状態までを一度に判定することはできない。[17]

数字で読む昼寝の姿勢

参加者6人。健康な女性3人と男性3人が、異なる座席条件を経験した小規模実験である。[17]

背もたれ20度・40度・90度。垂直から測った角度で、上体を起こす条件、倒す条件、水平な条件を比べた。[17]

総睡眠時間29%減。上体を起こした座席を、水平な座席と比べたときの差である。[17]

徐波睡眠30%減。これも上体を起こした座席と水平な座席との比較である。[17]

レム睡眠37%減と79%減。水平な座席に対し、背を倒した座席と上体を起こした座席で、それぞれ少なかった。[17]

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