疲労回復のために休日に昼寝をすると、夜の寝つきは悪くなるのか。午後の早い時間に終える試験と、遅い午後の昼寝で夜の睡眠が変わった試験を比較する。長さだけで決めず、前夜の睡眠や研究対象、測定方法の違いを分け、昼の休息とその夜の眠りを一緒に確かめる方法を考える。
昼食の皿を洗い終え、休日のソファに横になる。次に時計を見たときには、窓の明るさが変わっている。その夜、布団の中で「昼に寝たせいだろうか」と考え始める。疲れを取りたかっただけなのに、昼寝の採点が深夜まで続く。
疲労回復の昼寝は、午後ならいつでも同じとは考えにくい。学生アスリートでは、午後の昼寝の機会を15:00に終える条件で、その夜の睡眠に有意な悪化は認められなかった。アスリートの結果を18〜39歳の女性全体へそのまま当てはめるには、生活条件の違いを考える必要がある。一方、健康な若者に遅い午後の昼寝をさせた実験では、夜に眠り始めるまでの時間が延びた。[2][11]
ただし、この違いから全員共通の締め切り時刻は決められない。対象も実験の目的も異なるからだ。休日の寝方を考えるなら、昼寝の長さに加え、いつ終えたか、前夜はどう眠ったか、その夜はどうだったかを組にして見るのがよい。早い午後が認知機能への利点を得やすいとするレビューも、この条件の整理を支える。[10]

15:00に終えた昼寝では、夜に何が起きたか
夜の睡眠を直接調べた無作為化クロスオーバー試験がある。クロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を経験する比較方法である。対象は平均年齢23歳の学生アスリート14人で、女性と男性が7人ずつだった。昼寝なし、14:35〜15:00の25分の昼寝機会、13:30〜15:00の90分の昼寝機会を比較した。男女混合の競技者の試験であり、18〜39歳の女性全体に同じ結果が出るかは別途確かめる必要がある。[2]
ここでそろえられたのは、長さよりも終わる時刻である。短い条件も長い条件も15:00に終わった。その後は自宅で眠り、手首につけた活動計で就床時刻、起床時刻、総睡眠時間、入眠後の覚醒などを評価した。夜を実験室だけで完結させず、自宅で測っている点も生活に近い。[2]
昼寝なしの夜の総睡眠時間は平均7時間13分、25分条件の後は7時間5分、90分条件の後は7時間1分だった。平均値は完全にはそろっていないが、総睡眠時間を含む評価項目に統計的な有意差はなかった。就床・起床時刻、入眠後の覚醒、浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠にも悪化は認められなかった。[2]
「90分も横になれば必ず夜が台無しになる」という断定は、この条件の結果には合わない。ただし、有意差がなかったことは、どの人にもどの程度の変化も起こらないという保証ではない。少人数の学生アスリートを調べた結果であり、仕事や家庭の事情が違う大人全員への許可証にはならない。[2]
さらに、この試験が比べたのは昼寝をするために用意された時間である。「90分の昼寝機会」と「90分ずっと眠っていた」は別の表現だ。予定表に入れた休息の枠と、実際の睡眠を分けて読む必要がある。夜に悪化がなかったという結果を、長い睡眠量そのものの安全性に置き換えないことが大切だ。[2]
夜の評価項目を分けておくことにも意味がある。就床時刻は布団に入った時刻、起床時刻は朝に起きた時刻であり、その間には、眠るまでの時間や途中で目覚めた時間も含まれる。試験では床にいた時間だけでなく、総睡眠時間や眠った後の覚醒も測っていた。「布団に入るのが遅れなかった」だけを、夜の睡眠が保たれた根拠にしているのではない。[2]
自分の休日を振り返るときにも、夜更かしした日と、いつものように横になったのに眠れなかった日を分けたい。前者は生活の予定、後者は眠りに入るまでの経過という違いがある。学生の試験の就床時刻の結果と、遅い午後の実験の入眠潜時の結果は、そもそも同じ項目の報告ではない。この区別が、数字を読む際の取り違えを減らす。[2][11]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
遅い午後には、寝つきが延びた実験もある
対照的な結果を示すのが、健康な若者を対象とした、遅い午後の昼寝を用いる薬剤の無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験である。この記事で注目するのは薬の効果ではなく、通常の夜と、昼寝後にプラセボを用いた夜との比較だ。プラセボは比較のために用いる偽薬である。[11]
その比較では、昼寝後の夜に入眠潜時が延び、総睡眠時間と徐波睡眠が減った。入眠潜時は眠りに入るまでの時間、徐波睡眠は深いノンレム睡眠を指す。睡眠中の脳波活動にも変化が観察された。遅い午後の昼寝の後に、その夜の眠りが乱れるという実験例は存在する。[11]
ただし、これを先ほどの試験と横に並べて「15:00を過ぎた瞬間から危険」とは読めない。同じ参加者に、同じ長さの昼寝を異なる時刻に行わせた直接比較ではないからだ。片方は学生アスリートの昼寝機会の長さを比べ、片方は夜の睡眠を乱す実験条件の中で薬剤を評価している。[2][11]
研究の役割を分ければ、実生活に持ち帰る答えも明確になる。早い午後に終える条件で夜への悪影響が見られない場合がある一方、遅い午後の昼寝が寝つきに響く場合もある。「昼寝はよい」「昼寝は悪い」という看板より、どの時間帯の、誰の昼寝かという説明のほうが役に立つ。[2][11]
立川駅から買い物をして帰り、夕方にソファで眠った日と、昼食後に休息を終えた日を、どちらも「休日は昼寝した」とだけ書くと違いが消える。記録に残したいのは昼寝の有無だけではない。時計の位置を残すという工夫は、この研究結果の違いを生活の中で見分けるための方法である。[2][11]
前夜の寝不足で、昼寝の意味が変わる
午後の時刻だけで夜の結果を説明できないことは、睡眠不足を伴う実験からも分かる。15〜19歳の57人を昼寝あり・なしの群に無作為に割り付けた研究では、夜の床上時間を5時間に制限する期間と、9時間にする回復期間を組み合わせた。昼寝群には、睡眠制限後の14:00から1時間の昼寝機会が設けられた。思春期の男女の結果なので、18〜39歳の女性の休日に同じ変化が起こるかは、この試験だけでは判断できない。[9]
昼寝群では、睡眠制限中の夜に、睡眠段階の一つであるノンレム睡眠の第2段階に入るまでの時間が延び、総睡眠時間、睡眠効率、徐波エネルギーが低下した。睡眠効率は床にいた時間のうち眠っていた割合、徐波エネルギーは深い睡眠に関連する脳波の指標である。研究者らは、昼寝によって睡眠圧が下がったと解釈している。[9]
睡眠圧とは、眠りを必要とする力のことである。この研究では昼寝後に夜の睡眠の様子が変わったが、その変化は、昼の睡眠で夜に必要な眠りの一部が満たされた可能性も含めて読む。回復夜の変化は昼寝なし群のほうが大きく、昼寝は助けになった一方、睡眠制限による影響は残っていたという結果だからだ。[9]
重要なのは、昼寝をしていた群でも睡眠不足の影響が消えなかった点である。夜の床上時間を5時間にした日が5夜続くことで生じた脳波の変化は、9時間の回復睡眠を2夜設けても解消されなかった。昼寝は十分な夜間睡眠の代わりにはならない、という結論である。[9]
平日に眠る時間を削り、休日の昼寝だけで帳尻を合わせたい場面はある。しかし、この思春期の実験は、その計画を万能な回復策として扱えないことを示す。大人に同じ数値を当てはめるのではなく、前夜までの不足を抱えた昼寝と、普段どおり眠れた後の昼寝を分ける理由として読むべきだ。[9]
昼に眠った後の夜が短くなっても、前夜からの睡眠条件を確認せず、その昼寝だけを原因と決めるのは早い。逆に、昼寝後に楽になったから夜を削ってよいとも言えない。昼の感触と夜の睡眠を同じ記録に置くことで、昼寝の直後の印象だけで判断するのを避けられる。[9][10]
睡眠制限の研究は、学生宿舎で生活条件をそろえながら行われ、脳波などの記録も繰り返し取られていた。単に「昼寝をする人は夜の睡眠が短い」と尋ねた調査とは異なり、睡眠機会を操作した中で、夜の生理的な変化を確認した実験である。そのため、昼寝が夜の睡眠圧に関わることを考える材料になる。[9]
同時に、これは忙しい学校生活を模した強い睡眠制限の条件である。いつもより少し早く起きただけの休日に、同じ変化が同じ大きさで起こると想定する必要はない。研究を生活に移すときは、結果だけでなく、そこに至る前提も一緒に持ち帰る。昼寝の開始時刻をまねる前に、対象者が夜にどの程度眠れる条件だったのかを見る順番が大切だ。[9]
数字で読む昼寝と夜の睡眠
14人:15:00に終わる昼寝機会と、その夜の睡眠を比較した学生アスリートの人数。[2]
25分と90分:同じ終了時刻にそろえた昼寝機会の長さであり、実際に眠った時間そのものではない。[2]
7時間13分・7時間5分・7時間1分:昼寝なし・25分条件・90分条件後の平均総睡眠時間。有意差はなかった。[2]
14:00から1時間:思春期の睡眠制限研究で設けられた昼寝機会。夜の睡眠圧は下がった。[9]
15研究・326人:高齢者の昼寝を扱う系統的レビューの規模。夜への害を示す証拠は乏しかった。[7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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