インナーマッスルの肩トレは横向きで行う?立位のチューブと抵抗の向きを読む

横向きの外旋では棘下筋と周囲の筋肉の活動比が、立位を含む姿勢比較では体幹の参加が運動選びの手掛かりになる。筋活動が高いことと外旋する力が大きいことを分けて読み、チューブの固定位置、腕の位置、動かすか止めるかを確認する方法を示す。男性中心の研究と若い女性への応用の距離も考える。

帰宅してチューブを引く動画を開いたら、次の動画では横向きに寝て重りを持っている。どちらも「肩のインナーマッスル」と呼ばれているのに、手が動く向きも、体を置く場所も違う。床を片づける前に、何が変わるのかを知っておきたい。

横向きは有力な選択肢である。男性中心の大学関係者の研究では外旋種目によって棘下筋の活動が違い、健康な競技愛好者の等尺性比較では姿勢間の外旋の力に有意差がなかった。[4][14] 18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、対象と運動条件の違いを考える必要がある。

選ぶ手掛かりは、寝るか立つかだけではない。何に抗して動くのか、どの筋肉の参加を見たいのか、動かす運動か止める運動かをそろえて読む必要がある。[1][4][14] ここでは肘を離す角度そのものよりも、姿勢と抵抗を組み合わせる意味に焦点を当てる。

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肩のインナーマッスルは、奥だけを働かせる話ではない

肩でいうローテーターカフは、腕を回す働きに加え、肩関節を安定させ、上腕骨の頭の移動を制御する筋群である。肩の運動をまとめたレビューは、この筋群を単なる回転装置として扱っていない。腕を上げる際にも、ほかの筋肉が生む力と釣り合いを取りながら働く。[1]

外旋とは、上腕を外へ回す動きである。肘を曲げた姿勢なら、前腕が外へ開く様子として見やすい。研究で頻繁に測られる棘下筋はその外旋に関わる筋肉で、肩の後ろにある。一方、肩の表層にある三角筋や、肩甲骨に関わる僧帽筋も、外旋運動の比較で測定されている。[1][14]

したがって「インナーマッスルの運動だから、ほかの筋肉が働いたら失敗」とはならない。レビューでは、ローテーターカフも三角筋も肩の運動に力を提供し、関節の安定にも関わる複雑な分担が示されている。[1] 目標が棘下筋の選択的な活動なら周囲の筋肉との比率が大切になるが、肩と体幹を一緒に働かせたい場面なら評価の軸は変わる。[4][14]

たとえば、服を着たまま壁際で行える運動を探す人と、マットの上で肩の動きに集中したい人では、欲しい条件が違う。生活上の選びやすさと、実験で測った筋肉の反応を、同じ「よさ」の箱に入れないことが出発点になる。床に寝られること自体が、筋力測定の成績ではない。

既存記事「インナーマッスルの肩トレは肘を離す?外旋する角度で変わる筋肉の働きを読む」には、腕の角度による分担を譲る。脇のタオルや親指の向きもそれぞれ別の問いであり、この記事では横向きと立位を比べる際に見落としやすい条件を追う。

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横向きで活動が高かった研究は、何を比べたのか

健康な大学関係者を対象にした横断研究では、男性24人、女性6人の計30人が、異なる外旋運動を行った。横向きの通常の外旋、横向きのワイパー運動、立位の外旋、うつ伏せで腕を横へ開き外旋する運動を比べ、棘下筋、僧帽筋中部、三角筋後部の表面筋電図を記録した。平均年齢は22.6歳だが男性が多く、18〜39歳の女性だけでも同じ活動比になるかは、この集団の結果からは決められない。[14]

筋電図は、筋肉が活動するときの電気的な信号を記録する方法である。この研究で示された棘下筋の活動は、横向きのワイパー運動で55.98±18.79%、通常の横向き外旋で43.38±22.26%、立位外旋で26.11±15.00%だった。ワイパー運動の値は、ほかの比較運動より有意に高かった。[14]

ここで大切なのは、通常の横向き外旋と横向きのワイパー運動が、別種目として調べられている点である。「横向き」という共通点だけを拾うと、最も高かった数値を別の運動の成績として紹介してしまう。研究が比較した単位は、床に寝たかどうかだけではなく、それぞれの運動だった。[14]

三角筋後部の活動は、ワイパー運動と通常の横向き外旋で似ており、うつ伏せの運動と立位外旋より低かった。またワイパー運動では僧帽筋中部の活動が最も少なかった。棘下筋を働かせながら、測定した周囲の筋肉の参加を抑えたいという研究の目的に対しては、この組み合わせに意味がある。[14]

ただし、棘下筋の活動率を、そのまま運動後の筋力の増加率と読んではいけない。これは異なる運動を行っているときの反応を調べた横断研究である。数週間続けた人同士の成長を比較した試験として読むことはできない。[14] 動画の見出しにある「効く」が、その瞬間に働く意味なのか、長く続けて変わる意味なのかを分ける必要がある。

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立位と横向きで、外旋の力が同じだった比較もある

別の研究では、健康なレクリエーションのオーバーヘッド競技者25人、男性9人と女性16人が、立位、横向き、サイドプランクで抵抗に抗して外旋した。オーバーヘッド競技とは、腕を頭上へ使うスポーツを指す。ここで調べたのは、動きを止めた等尺性の外旋である。競技愛好者の結果を18〜39歳の女性一般へそのまま当てはめるには、競技経験の違いも考慮する必要がある。[4]

その結果、姿勢間で外旋トルクに有意差はなかった。トルクは回転させる作用の大きさであり、この比較では外旋する出力に当たる。一方、測定した肩と体幹の筋肉の多くでは、姿勢によって筋電図の活動が異なっていた。[4] 出力と、筋肉が仕事を分け合う様子は別の指標である。

サイドプランクでは、立位や横向きと比べ、棘下筋、僧帽筋中部、非利き側の外腹斜筋と内腹斜筋の活動が高かった。体幹も一緒に働かせる目的なら、この姿勢に意味があるという結果である。[4] しかし、それは肩だけに集中したい初心者へ、すぐサイドプランクを勧める根拠とは別である。

先ほどの横断研究と結論が食い違って見えるのは、問いが異なるためでもある。片方は異なる外旋種目での筋活動と選択性を、もう片方は姿勢を変えた等尺性外旋でのトルクと筋活動を調べた。[4][14] 「横向きがよい」「姿勢で変わらない」と短く切り取ると、どちらも肝心な測定項目を落としてしまう。

力の差が有意でなかったことも、すべての人がすべての重さで完全に同じ力を出すという意味ではない。この結果が支えるのは、調べた条件で姿勢間のトルク差が検出されなかったという範囲である。[4] 肩の運動を選ぶなら、外へ回す力を見たいのか、特定筋の参加を見たいのかを先に決めるほうが、姿勢の順位表を探すより話が早い。

抵抗の向きを見ると、器具の比較が具体的になる

横向きで重りを使う運動と、立ってチューブを引く運動を見比べるなら、手の軌跡だけでなく、抵抗を与えるものまで名前に含めたい。外旋という同じ動作名であっても、研究では姿勢、腕の角度、負荷の条件を区別している。[2][4][7] 「外へ開く」という説明だけでは比較条件が足りない。

実物を確認するときは、横向きなら床と体の位置、立位のチューブなら固定場所と手元との関係を眺める。これは研究から決まる万能の設置法ではなく、自分がどの運動をしているかを言葉にするための観察である。器具を持ち替えたら、前と同じ運動をそのまま再現できたと考えず、負荷をかける条件も変えたと記録しておきたい。

立位の弾性バンド外旋を調べた健康な男性13人の研究では、低い抵抗と中程度の抵抗を比較している。中程度では低い抵抗より、僧帽筋上部と下部、棘上筋、棘下筋の活動が増えた。男性だけの比較であり、18〜39歳の女性にも同じ程度の変化が生じるかは別に確かめる必要がある。[2] チューブを強くすれば、狙う筋肉だけが都合よく増えるという単純な図にはならなかった。

同じ研究では腕を体側に置く条件と、腕を離した条件も比較し、角度によって肩甲骨周りやローテーターカフの反応が変わっていた。[2] したがって、横向きの重りを立位のチューブに変え、さらに腕も高く上げた動画を比較するなら、姿勢だけの差だとは呼べない。姿勢と器具と腕の位置が同時に変わった比較になる。

負荷を見る際には、重さの数字と回転させる作用も区別したい。肩のレビューでは、大きな筋力を出す筋肉が、そのまま腕を上げる作用の大きい筋肉になるわけではなく、力が回転へ働く際の腕の長さも関係すると説明されている。[1] 外旋の器具を比べる際にも、持った物の名称だけで負荷の内容を言い切らない姿勢が必要である。

チューブの色や重りの表示だけを書き写すよりも、「どこに固定し、どの姿勢で、どの方向へ動かしたか」を残したい。研究で示された姿勢と抵抗の組み合わせを読み解くための記録であり、家庭の器具の張力を正確に測定したことにはならない。[2][4]

数字で読む肩の外旋比較

30人:外旋種目ごとの選択的な筋活動を比較した、健康な大学関係者の人数である。[14]

43.38±22.26%:その研究での通常の横向き外旋における棘下筋の活動であり、長期の筋力増加率ではない。[14]

26.11±15.00%:同じ研究の立位外旋での棘下筋活動であり、条件の違う立位運動すべての代表値ではない。[14]

25人:立位、横向き、サイドプランクの等尺性外旋を比べ、外旋トルクに姿勢間の有意差がなかった研究の人数である。[4]

13人:立位の弾性バンド外旋で腕の角度と抵抗の強さを調べた、健康な男性の人数である。[2]

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