間食の素焼きナッツは吸収も変わる?加熱と細胞壁から実際のエネルギーを読む

間食の素焼きナッツは、生のものと同じように吸収されるのか。アーモンドを食べた人の試験と人工消化の実験から、加熱、硬さ、細胞壁、利用されるエネルギーの関係を読む。無塩という表示と加工の違いを分け、成分やアレルギーの研究も踏まえて、間食を選ぶ際に確かめたい点を示す。

夕方、仕事机の引き出しから素焼きアーモンドの袋を出す。塩味の有無はすぐ分かるのに、焼いたことで中身の使われ方まで変わるのかは、袋を眺めても見えてこない。アーモンドでは加熱前後で、体が利用するエネルギーに違いが測定されている。[1]

健康な成人を対象にした食事試験では、丸ごとの生アーモンドより、丸ごとのローストアーモンドのほうが、重量当たりの代謝可能エネルギーは高かった。代謝可能エネルギーとは、食べたものから便や尿に出る分を差し引いて求める、体が利用できるエネルギーの指標である。ただし、これは素焼きを避けるべきだという判定ではない。[1]

本題は「太るか」より手前の、食べ物の構造の話だ。既存記事「ナッツは太らないのか 高脂肪食品と体重の研究が示す、間食選びの意外な答え」に体重の全体像を譲り、ここではアーモンドの加熱と細胞壁に焦点を当てる。無塩を選ぶことと、加熱による構造の違いを知ることは、別々に確かめたい。

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素焼きと無塩を、同じ問いにしない

売り場では「素焼き」「無塩」「丸ごと」といった言葉が隣り合う。選ぶ際には、塩味について知りたいのか、加熱したものを選びたいのか、粒の形について知りたいのかを分けるとよい。塩が加えられているかを確かめたあとも、粒の加工という別の確認事項が残る。袋の表の短い言葉だけで、吸収のされ方まで読み切ろうとしなくてよい。

今回の中心となる試験が比べたのは、丸ごとの生アーモンド、丸ごとのローストアーモンド、刻んだアーモンド、アーモンドバター、アーモンドを含まない食事である。塩味の強弱を比べて吸収を判定した試験ではない。この比較から言えるのは、食品の形と加工の違いが、測定したエネルギーに関わったという範囲だ。[1]

ここでいうアーモンドバターは、アーモンドをすりつぶした形の食品として比較されている。乳製品のバターを足した場合の話と取り違えないようにしたい。丸ごと、刻み、すりつぶしを並べた試験なので、加熱の有無だけでなく、構造をどこまで崩したかも見る必要がある。[1]

たとえば、職場に置く丸ごとのナッツと、パンに塗るペーストを比較するときには、食べる場面からして違う。加工の研究を生活に持ち帰るなら、まず何を何に替える話なのかをはっきりさせたい。同じアーモンドという名前でまとめてから数字を比べると、せっかく測定された食品の違いが消えてしまう。[1]

「無塩なら吸収が少ない」と短絡する根拠にもならない。無塩という条件を大切にして選ぶ場合でも、今回のエネルギーの結果を、そのまま無塩という表示の効果として説明することはできない。買い物では原材料や加工の表示をそれぞれ見て、研究では何を変えて比較したかを読む。この対応が、派手な健康情報に引っぱられない足場になる。[1]

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人が食べた試験では、加熱前後で何が違ったか

Gebauerらの無作為化クロスオーバー試験には、健康な人18人が参加した。クロスオーバーとは、同じ参加者が条件を替えて複数の食事を経験し、その違いを比較する方法である。アーモンドを食べる条件では、管理された食事に1日42gを組み込んだ。自由に好きなだけ食べた日常観察とは異なる設計だ。18〜39歳の女性に同じ測定値をそのまま当てはめられるかは、この健康な人を対象とした比較だけでは判断できない。[1]

各食事に9日間慣れたあと、9日間にわたって尿と便をすべて集めた。研究者は食事、尿、便を分析し、代謝可能エネルギーを求めている。したがって、食べた直後の血液だけで判断した値でも、食品を燃やした熱量だけの値でもない。食品が体を通ったあとの出入りを調べた、人での測定である。[1]

測定値は、生の丸ごとで1g当たり4.42kcal、ローストした丸ごとで4.86kcal、刻んだもので5.04kcalだった。生の丸ごとはローストした丸ごとより有意に低かった。ここで有意とは、統計的な検定で差が認められたという意味であり、すべての人が毎回同じ差になるという意味ではない。[1]

一方、生の丸ごと、ローストした丸ごと、刻んだアーモンドは、いずれも従来の換算係数による予測値より低かった。従来の換算係数とは、食品の栄養成分からエネルギーを見積もる際の係数である。焼くと生より高いという結果と、焼いたものでも従来の予測より低いという結果は、同時に成り立つ。[1]

比較の相手を省くと、ここで話が逆転する。「ローストすると高くなる」とだけ聞けば、予測値を超えて増えたように響く。しかし試験での比較相手は、生の丸ごとのアーモンドだ。生とローストの差、食品の実測値と換算による予測の差は、別のものさしである。[1]

また、参加者が健康な人であり、食事が管理されていた点も忘れたくない。間食の選び方を考える手がかりにはなるが、その日の夕食、体調、普段の食べ方まで全部含めた将来の体重を、この値だけで決められるわけではない。エネルギーを測った試験を、体重変化を保証する試験に読み替えないことが大切だ。[1]

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細胞壁は、脂質を包む小さな境界である

アーモンドの脂質は、袋の中でむき出しの油として存在しているわけではない。細胞の構造の中にあり、細胞壁が保たれた部分では脂質の放出が妨げられる。細胞壁とは、植物の細胞を囲む壁のことである。成分として含まれる脂質の量だけでなく、それが消化の過程で外に出られるかが問題になる。[4]

Mandalariらの研究は、健康な成人4人(女性2人、男性2人)が噛んだ生とローストのアーモンドを用いた、小規模な予備的実験として読む。噛んだ試料を試験管内の胃・十二指腸の消化モデルに移し、脂質が細胞から外へ出る過程を調べた。一般成人の体内での消化吸収率を測った試験ではないため、18〜39歳の女性の吸収率にそのまま当てはめることはできない。[4]

この4人由来の試料で、噛むことによって放出された脂質は、全脂質の7.8〜11.1%で、生とローストの間に有意な差はなかった。胃を模した段階、十二指腸を模した段階でも消化が進んだ。顕微鏡では、細片の表面の細胞や壊れた細胞に変化が見られ、保たれた細胞の壁は脂質が外へ出るのを妨げていた。[4]

この実験でローストしたアーモンドは、噛んだあとに平均的に小さい粒になったが、それが脂質放出の有意な差にはつながらなかった。細かくなることと、その時点で取り出せる脂質が増えることを、いつでも同じ現象として扱えないのだ。口の中で砕けた見た目だけから、消化の結果まで即断しないほうがよい。[4]

人で測ったエネルギーには差があり、人工消化の脂質放出には有意差がなかった。この違いは、都合の悪いほうを捨ててよい理由にはならない。前者は人の食事全体と排泄からエネルギーを測り、後者は噛んだ試料の特定の消化過程を調べた。対象となる結果も、観察の範囲も違う研究である。[1][4]

研究をつなぐときには、細胞壁が脂質を閉じ込める仕組みは理解の助けになるが、それだけで人での差をすべて説明できたと言い切らないことが必要だ。「焼くと壁がすべて壊れ、油が全部吸収される」という単純な図ではない。構造の残る部分と、変化した部分があると考えるほうが、実験結果に沿っている。[1][4]

焼いて軟らかくなることと、油が全部出ることは違う

人の食事試験では、アーモンドを割るのに必要な力も調べている。丸ごとのローストは298N、生は345Nで、ローストのほうが低かった。Nは力の単位である。生のほうは割れたあとに、数が少なく、大きい粒になりやすかった。研究者は、この違いが脂質の放出を妨げ、利用されるエネルギーの違いに関わる可能性を挙げている。[1]

硬さの数値は、口の中の感想をそのまま測ったものではない。それでも「加熱しても同じ粒だから同じ構造だろう」という見方には修正を迫る。外見は丸ごとでも、壊れ方まで同じとは限らない。食べ物は栄養成分の一覧であると同時に、力が加わると割れる材料でもある。[1]

Altanらの画像解析実験では、加熱条件によるアーモンド内部の違いを顕微鏡で調べた。油を使って140℃、150℃でローストした条件は、熱風によるローストや湯通しと比べて微細構造に大きな影響を与え、150℃の油ローストで細胞壁や膜の破断による損傷が大きかった。[3]

ただし、これは油を使った条件を含む食品の実験であり、店頭の素焼き商品をそのまま人に食べてもらった比較ではない。この温度を家庭の加熱の推奨値にしたり、油ローストの画像を素焼き全般の説明に置き換えたりはできない。加熱という言葉の中にも、方法と条件の違いがあることを示す結果として読む。[3]

数字で読むアーモンドの加熱と構造

18人:形の異なるアーモンドを比較した、健康な人での無作為化試験の参加者数。[1]

42g:管理された食事で、アーモンドを食べる条件に組み込まれた1日量。[1]

4.42kcal/g:丸ごとの生アーモンドの代謝可能エネルギーの実測値。[1]

4.86kcal/g:丸ごとのローストアーモンドの代謝可能エネルギーの実測値。[1]

7.8〜11.1%:成人4人由来の試料で噛む段階に放出された脂質の割合。体内の吸収率ではなく、生とローストに有意差はなかった。[4]

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