再生ポリエステルとオーガニックコットンの違いを、ユニクロ・ナイキ・無印良品・GOTS の公式情報から確かめます。混率、丈、価格、お手入れ、購入経路を同じ物差しで並べ、更衣室、前屈、汗じみ、洗濯機の場面に下ろしました。20 代の女性がタグを見て一枚を選ぶための材料です。
更衣室で、レギンスのウエストの内側についたタグを指でめくります。素材の欄に「ポリエステル」と書かれていて、その前に「再生」の二文字がある日とない日があります。同じ棚に並ぶ二本なのに、価格は近く、色も似ている。違うのは、タグの一平方センチほどの文字だけです。
「リサイクル素材」という言葉は、ヨガウェアの売り場のあちこちにあります。けれど、何をリサイクルしているのか、どのくらいの割合で入っているのか、どう洗えばいいのかは、商品ごとにばらばらです。再生ポリエステルとオーガニックコットンは、どちらも環境という言葉と一緒に並びますが、成り立ちがまったく違います。片方は使い終わったペットボトルや製造工程のくずから糸をつくり、もう片方は畑で綿を育てる条件から始まります。
この記事では、2026 年 10 月に各社の公式サイトで確認できた文だけを並べます。混率、丈、価格、お手入れ、購入経路という同じ物差しに置いてから、更衣室、前屈、汗じみ、電車、洗濯機という場面に下ろします。数字がそろわない項目は「確認できず」と書きます。そろっていないことを、そろっているように見せないのが約束です。

タグの裏を見たとき、最初に確認する三つの数字
最初に見るのは、素材の名前ではなく三つの数字です。混率、丈、価格。この三つが決まらないと、手に取った一枚が自分のレッスンに向くかどうかを判断できません。
混率は、もっとも信頼できる手がかりです。ユニクロは、生地の 30% にペットボトルを再利用したリサイクルポリエステルを使用していると説明しています[1]。別の頁では、生地の 100% に使ったフリースについても説明しています[2]。同じ会社の中でも、ここまで差があります。さらに「商品、カラーごとに再生ポリエステル使用率は変わります」と明記しています[1]。同じ形の服でも、色違いで混率が変わる前提でタグを見ることになります。
丈は、レギンスなら股下、トップスなら着丈です。ヨガのレギンスは 9 分丈、7/8 丈、フルレングスという呼び方で並びます。呼び方が違うだけで、くるぶしからの距離は数センチずつ違います。前屈で裾がつっぱるかどうかは、素材より先に丈で決まることが多いです。
価格は、税込でいくらかという一点だけを見ます。セールの数字と定価の数字が混ざると、同じ商品の比較ができなくなります。この記事では、公式サイトで確認できた税込価格だけを書きます。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
再生ポリエステルは、何からできているのか
再生ポリエステルの出発点は、着なくなった服ではありません。この記事で見た範囲では、飲み終わったペットボトルと、工場で出る生地や糸のくずが主な原料です。ユニクロは、ペットボトルを回収して、砕いて洗って、再生ポリエステルチップをつくって、糸にする、という流れを説明しています[1]。飲み終わったペットボトルから糸を生産し、新しい服をつくる。これが再生ポリエステルの基本の流れです[2]。
素材メーカーの東レは、自社の再生ポリエステル繊維「エコユース®」について、独自のルートで回収した PET くずや製造工程くずを原料として、糸、綿、生地、繊維製品をつくると説明しています[4]。原料の純度が高く、異物が少ないため、品質のばらつきを小さく抑えられるとしています[4]。再生原料は不純物が多いほど、糸の太さや断面が安定しません。ユニクロと東レの取組みを伝える 2019 年の発表には、回収されたペットボトルに混入した異物のため、特殊な断面を持つ繊維や極細繊維の生産が難しかったこと、従来のリサイクル繊維には劣化による黄ばみの問題があったことが、課題として書かれています[3]。再生素材は使えばよいという単純な話ではなく、原料を選び、異物を除く工程があって初めて、普通の糸に近づくのだと読めます。
性能について、東レはエコユース®がバージン PET 繊維に較べて遜色ない強伸度特性を持つと説明しています[4]。再生だから強い、再生だから弱いという話ではなく、同じ水準を目指してつくられている、という言い方です。CO2 については、ユニクロが、ペットボトルリサイクル素材を使った場合、繊維の原料となるポリエステルチップ生産時の CO2 排出量は、原油を使った場合の約 1/3 になると説明しています[1]。これはチップをつくる段階の数字で、糸を紡ぎ、布を織り、縫い、運び、洗濯して捨てるまでの全体の数字ではありません。ここを混ぜると、数字が一人歩きします。
ナイキは、リサイクルポリエステルのレギンスの頁で、これらの製品にはリサイクルポリエステル素材を 50% 以上使用していると説明しています[6]。回収したプラスチックボトルを洗浄し、フレーク状に砕いてペレット化し、そのペレットから紡いだ糸で製品をつくる、という工程です[6]。再生品ではないポリエステルと比べて CO2 排出量が約 30% 少ない、という説明は、頁の文言そのままではなく、取得時の要約として記録されています[6]。
オーガニックコットンは、畑の条件から始まる
オーガニックコットンは、原料の出どころが畑です。無印良品は、よくある質問の頁で、3 年以上無農薬、化学肥料を使用しない土壌で、農薬・化学肥料を使用せず生産された綿花のこと、と説明しています[9]。これは一ブランドの定義で、認証の基準そのものではありませんが、考え方の入口にはなります。綿花は、育てる段階で農薬や化学肥料を使うかどうかが分かれ目になります。再生ポリエステルが使い終わった物をどう戻すかの技術だとすれば、オーガニックコットンは最初にどう育てるかの話です。同じ環境という言葉でくくられていても、見ている工程が違います。
認証の代表が GOTS(Global Organic Textile Standard)です。GOTS は、オーガニック繊維でつくられたテキスタイルのための、世界で認知されている認証だと説明しています[8]。オーガニックのテキスタイルは、オーガニック農業の仕組みから生まれた繊維でつくられたもの、と定義しています[8]。繊維の含有率など細かい基準は、GOTS の基準文書にあります。今回確認した説明頁では、その数字までは読み取れませんでした。数字を書くときは、認証機関の基準文書で確かめてからにしてください。
もう一つ、OCS(Organic Content Standard)という基準の名前を、タグや売り場で見かけることがあります。運営団体の頁も、パタゴニアの日本公式サイトの素材頁も、確認のために開こうとしましたが開けなかったため、この記事では中身と数字を書きません。名前を見かけたら、運営団体の公式文書で、どの区分の認証なのかを確かめてください。
ここで大事なのは、この記事の範囲では、オーガニックコットンのヨガウェアで、混率、価格、サイズ、お手入れまで公式頁で確認できた商品がなかった、という点です。素材の定義は説明できますが、商品の比較はできません。だから、店頭でオーガニックコットンと書かれたヨガウェアを見かけたら、混率と認証の表示を自分で確かめることになります。定義を知っておくと、その表示が何を意味しているかを読み解けます。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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