体幹トレーニングは靴の底でも変わる?不安定な足元と筋肉の負荷を読み解く

体幹トレーニング用の靴は、底が不安定なほどよいのか。立位中の腰の筋活動、靴の構造による揺れ、歩行の変化、継続後のバランスや腰痛を調べた研究を読み分ける。その場で筋肉が働くことと、鍛えた成果が残ることの違いから、日常で履く靴と運動の条件を考える。

靴売り場で試着して立つと、丸い靴底が前後に転がる。立っているだけでお腹まで鍛えられるなら、靴選びに運動の期待も加わる。けれど、その揺れを「体幹に効いた」と呼ぶ前に、どこの筋肉がどう働いたのかを確かめたい。

不安定な靴で立つと、腰の筋活動が増える場合はある。ただし、無症状の成人を調べた比較研究で示されたのは、履いている最中の腰の筋活動や脊柱の動きの違いである。お腹全体が強くなった、長く履けば腰痛を防げる、という結論ではない。[1]

また、不安定な靴ならどれも同じように揺れるわけでもない。若い女性の立位を比べた試験では、足裏にかかる力の中心の動きは靴の構造によって異なった。「靴を履いて立つ」という同じ場面でも、足元の課題は変わるのである。[17]

立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

靴の底が変わると、腰の働きも変わるのか

体幹トレーニングと聞くと、マットに肘をついて姿勢を保つ場面を思い浮かべやすい。今回の問いは、立っているときに靴底を替えると、胴体を支える筋肉や動きがどう変わるかである。座った状態の不安定さは既存記事「姿勢改善のクッションは揺れるほどよい?座る安定と体幹の筋活動を読み解く」に譲り、ここでは履物を通じた立位と歩行を扱う。

無症状の成人27人を対象にした比較研究では、不安定な靴と標準的な靴を履いて両足で立ち、脊柱の配列や動き、筋電図を比べている。筋電図は筋肉の電気的な活動を記録する測定で、この研究では腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、胸部や腰部の背筋を調べた。対象は無症状の成人であり、18〜39歳の女性に同じ変化量をそのまま当てはめるには、対象を絞った検証が必要である。[1]

結果として、不安定な靴では腰部脊柱起立筋の活動が18.2%増えていた。腰部脊柱起立筋は、ここで腰の背面側を支える筋肉として読めばよい。お腹の前面を含めて測った研究だからといって、この18.2%を「腹筋がよく働く割合」に置き換えることはできない。増加が報告された部位を、そのまま読む必要がある。[1]

同時に、胸の背骨の中ほどでは曲がる角度が0.8度増え、胸と腰の境目で角度が変わる平均速度は11.2%、腰と骨盤の間では10.8%増えていた。靴の底の違いに対し、腰の筋肉だけが単独で反応したのではなく、胴体の動き方にも違いが出た比較である。[1]

この結果を「よい姿勢になった」と翻訳するのも早い。研究で比べたのは角度、動く速度、筋活動であり、外見上の理想の姿勢を採点したわけではない。腰の活動が増えたことと、背すじが望ましい形に整うことは別の問いとして残る。[1]

通勤用の靴を探すときには、商品説明の「体幹」という大きな言葉より、立って測ったのか歩いて測ったのか、腹部なのか腰部なのかに目を向けたい。研究の結果を日常に持ち帰る入口は、筋肉の名前を全部覚えることではない。何が測られた結果なのかを見失わないことである。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

不安定な靴という名前でも、揺れ方は同じではない

若い女性16人を対象とした試験では、不安定さをうたう複数の構造の靴、標準的な靴、裸足という5条件を、順序を無作為にして比べた。両足立ちと片足立ちで、床から受ける力の中心がどこへ動くかを測定している。[17]

この力の中心は足圧中心と呼ばれ、足元の揺れを読むための指標になる。この試験では、前後にどこまで動いたかと、左右方向に動いた距離の積み重ねを区別していた。大きく前後に動くことと、左右へ細かく動き続けることを、同じ「ぐらぐら」の言葉で済ませなかったのである。[17]

丸みのある底と柔らかい素材を使った構造では、裸足や標準的な靴より、両足立ちでも片足立ちでも前後の動きが大きくなる結果である。空気を利用した構造でも、片足立ちでは裸足より前後の動きが大きい。一方、素材の密度を変えた構造では、静かに立つ課題中の足圧中心に変化が生じなかった。[17]

つまり、「不安定な靴」という分類だけでは、履く人の揺れ方を決められない。靴底の形や素材によって結果が異なり、同じ靴でも両足で立つか片足で立つかによって比較の結果が変わっていた。[17]

靴売り場で触った柔らかさ、見た目の厚さ、立ったときの揺れは、ひとまとめにしない方がよい。厚い底だから体幹への負荷が大きい、軽い靴だから負荷が小さい、とこの試験から順位を付けることもできない。試した構造と立ち方の組み合わせについての結果だからだ。[17]

ここでの揺れは、筋力の成績表でもない。足圧中心の変化を測った研究から、腹筋の筋力が増したと結論することはできない。腰の筋電図を測った比較と併せて読むと、足元の動きと胴体の活動をそれぞれ確かめる必要が見えてくる。[1][17]

歩くときは、負荷が増えるだけとは限らない

靴底が前後に転がる形の靴を、ロッカーソールと呼ぶ。オーダーで作られたこの形の靴に関する系統的レビューでは、28研究をまとめ、主に歩行中の動きや時間の配分を検討している。含まれた研究の偏りのリスクは低度から中等度で、筋電図や力の測定を扱った研究は、時間や角度を扱う研究より少なかった。[2]

このレビューでは、通常の靴より足が地面についている時間が短く、歩くテンポが高い傾向が示された。足首の動く範囲は減り、膝と股関節の動きは大きく変わらないという整理である。さらに、足が地面から離れる前の蹴り出しで足首が生み出すパワーの低下と、歩幅の短縮が示されている。[2]

このため「底が転がる靴を履けば、全身の筋肉が一様に強く働く」とは読めない。歩き方の変化には、動く範囲が減る関節や、出力が小さくなる局面も含まれる。腰の筋活動が増えた立位の比較と、歩行中の足首の結果は、違う場所で違うことを測っている。[1][2]

結果の方向が違う研究もある。足の親指の付け根に変形性関節症がある人を対象に、靴や足底装具を比べた研究では、ロッカーソールの靴で歩くテンポ、地面についている時間の割合、股関節の前後方向の動く範囲が減った。通常の靴との即時比較であり、健康な人の立位試験とは対象も課題も異なる。18〜39歳の女性の普段の歩行へそのまま当てはめず、関節症がある人の結果として読む。[12]

テンポが高くなるというレビューの整理と、低くなるという個別研究を、都合のよい方だけ採用することはできない。対象者や靴の設計が異なる結果を並べると、「ロッカーソールなら必ず同じ歩き方になる」という一括りの説明が難しいと分かる。[2][12]

不安定な靴の歩行を扱った別の系統的レビューも、準実験研究10本を検討し、ほかの要因が動きの測定結果に大きく影響しうると指摘している。靴の名称だけをそろえるより、対象や条件をそろえた検討が必要だという結論である。[10]

歩行研究を読むときには、足裏のどこを支えているかにも目を向けたい。親指の付け根の関節症を対象とした研究では、足底装具とロッカーソールの靴は、どちらもその関節の下の最大圧を減らしたが、圧を変える仕組みは異なるとされた。ロッカーソールでは、ほかの足指の付け根やかかとの下の最大圧も減っていた。足首の角度だけを追うと、こうした足裏の違いを見落としてしまう。[12]

この研究では、割り付けられた対象は102人で、歩く時間配分や関節の動きのデータは88人、足裏の圧のデータは87人から得られている。参加人数と、各測定に使えた人数も同じとは限らない。靴の効果を示す数字を見るときは、大きく見える変化だけでなく、その数字がどの対象のどの測定から来たのかまで戻って読みたい。[12]

たとえば、買い物で歩き続ける日の靴と、室内で姿勢を保つ練習の靴では、自分が知りたい場面が違う。両足で止まって測った腰の筋活動を、歩き続けるときの負荷の説明へそのまま移すことは避けたい。立位研究と歩行研究を並べる意味は、どちらかを上位に置くことではなく、靴を使う場面に合う結果を選ぶことにある。[1][2]

数字で読む靴と体幹の研究

27人:無症状の成人の両足立ちを、不安定な靴と標準的な靴で比較した人数である。[1]

18.2%:その比較で増えた腰部脊柱起立筋の活動。腹筋の筋力増加率ではない。[1]

16人:靴の構造による足圧中心の違いを調べた若い女性の人数である。[17]

28研究:オーダーのロッカーソールを扱った系統的レビュー。主に歩行の研究である。[2]

12週間:振動する台と靴を組み合わせた小規模試験の実施期間である。[6]

115人:慢性腰痛でロッカーソールと平底を比較した無作為化試験の対象者数である。[16]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約