HIITは朝と夜のどっちがよいのか。短いダッシュの出力、運動のきつさ、運動後の睡眠を、朝型・夜型に注目した比較研究で読み分ける。午後や夕方に力を出しやすかった試験の対象と限界を確かめ、自分の生活の中で実施時刻を比べるときの記録と、続ける時間の選び方を考える。
同じ短いダッシュなのに、朝は脚が重く、夕方には動きが軽い。逆に、夜なら時間があるのに、運動を始めるころには気持ちが切れている。「HIITは朝と夜のどっち」と検索するとき、知りたいのは時計の正解だけではない。自分が動ける時間と、空いている時間がずれているのである。
答えの芯は、午後や夕方に短時間の出力が高かった研究はあるが、全員に夜を勧める根拠にはならない、という点だ。朝型・夜型によって運動のきつさが異なった試験もあり、出力だけでなく自分の感じ方を一緒に見る必要がある。[1][6]
さらに、動けた夜と、よく眠れた夜は同じ問いではない。夕方以降の運動後の睡眠には、朝型・夜型や普段の練習時刻で異なる結果がある。[3][4][9] 持久力全般は既存記事「有酸素運動は朝と夜のいつがいい?朝型と夜型で違う持久力ときつさを読む」に譲り、ここでは短い運動を繰り返すときの力の出方を中心に考える。
ここで扱うHIITは、強い運動を区切って繰り返す高強度インターバルトレーニングである。自転車の比較試験でも、持続してこぐ運動とは別の条件として設定されている。[4]

朝型と夜型は、予約できる時間とは別である
クロノタイプとは、朝型・夜型など、その人がどの時間帯を好むかという傾向である。HIITときつさを調べた研究では、朝型・夜型を質問票で分類している。[6] 「朝に仕事があるから朝型」「帰宅が遅いから夜型」という勤務表だけの分類とは区別したい。通える時刻は生活の条件であり、研究で扱う型と同じものではない。
この区別は、友人の成功談を読むときにも役立つ。朝の運動がしっくりくる友人と、夕方に体を動かしたい自分を、意志の強さで並べなくてよい。実際、朝型と夜型を比べた試験では、時間帯と型の組み合わせによって疲労感や活力、主観的なきつさに違いがあった。[6] 早起きの写真だけでは、その人の運動の負担は分からない。
一方で、型を知れば運動の時刻が自動的に決まるわけでもない。出力を調べた研究には中間型と夜型に近い人、睡眠を調べた研究には朝型と夜型、別の研究には中間型が参加している。[1][3][4] 同じ「時間帯の研究」という棚に並んでいても、参加者の生活リズムの分布が違う。どの集団の話かを確かめるところから読み始めたい。
たとえば「夕方が優れていた」と読んだら、まず、何が優れていたのかを聞き直す。ジャンプのパワーか、反復走の成績か、運動後の睡眠か。これらは別々に測られている。[1][3] 予約表に丸を付ける前に、今回ほしいものを「短い反復運動で動きやすい時間」と言葉にしておくと、研究の数字を生活へ移しやすくなる。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
午後と夕方の出力が高かった試験をどう読むか
直接の手がかりになるのは、訓練を積んだ男性選手20人を調べた試験である。対象は中間型と夜型に近い型で、朝7〜8時、昼13〜14時、夕方18〜19時に垂直跳びと20mを6本繰り返す走テストを行った。ジャンプの最大・平均パワーや反復走の成績は、朝より午後・夕方に高かった。対象が男性選手なので、18〜39歳の女性の出力にも同じ時間帯差があるかは別に確かめる必要がある。[1]
ここでいうパワーは、短い動作でどれだけ仕事をするかを見る出力の指標である。試験ではパワーの時間帯差について、部分イータ二乗という統計的な効果量も示され、最大パワーで0.506、平均パワーで0.588だった。[1] ただし、この値を「夕方なら力が約半分増える」と読むのは誤りだ。出力の増加率そのものとして使う数字ではない。
生活へ置き換えるなら、朝に反復する動作が思うように進まなかったとき、「自分はHIITに向いていない」と決める前に、実施時刻も検討材料にできる、という手がかりになる。[1] ただし、選手の走テストを、自宅で行う運動とは種目も対象も違う。比較に使うのは実施時刻であり、選手の検査を自分の回数表にはしない。
この研究の参加者は中間型と夜型に近い男性選手であり、明確な朝型を比べた研究とは分けて読む。18〜39歳の女性にとっては午後・夕方を試す手がかりであり、朝型も夕方が最適という結論には広げない。[1]
また、短いテストで高い出力を出したことと、運動を続けた後に体力がどれだけ伸びるかは、見ている時間の長さが違う。この試験が確かめたのは、異なる時刻で行ったテストの成績と乳酸の反応である。[1] 「夜にできた本数が多い」ことを「夜に通えば長期の成果が必ず大きい」へつなげないことが、実用的な読み方になる。
実際に比較するときは、種目の違いにも目を向けたい。この試験では、垂直跳びと短い走動作を用いている。[1] 自転車で行うインターバル運動の結果と合わせて考えることはできても、足を着く動作と座ってこぐ動作を同じ成績表にはできない。自分の朝の自転車と夕方の跳ぶ運動を比較しても、変わったのが時刻なのか種目なのかを整理しにくくなる。時刻を試す日は、まず何の動きを比べているかを固定しておく、という使い方が現実的である。

同じ運動でも、きつさは型によって違った
出力の隣に置きたいのが、本人が感じるきつさである。朝型12人と夜型11人、いずれも平均年齢21歳の参加者を調べたランダム化クロスオーバー試験では、朝8時と夜20時の高強度インターバル運動を比較した。同じ参加者が異なる条件を経験する試験で、疲労感、活力、気分、主観的運動強度を調べている。18〜39歳の女性全体に同じ負担の差があるかは、この小規模試験だけでは判断できない。[6]
主観的運動強度とは、自分で評価する運動のきつさである。この試験では、運動前の評価を朝と夜で比べると、朝型は夜のほうが高く、夜型は朝のほうが高かった。朝の条件では、夜型は朝型より運動前と終了30分後のきつさが高かった。一方、夜の条件では、朝型と夜型のきつさに有意な差は見られなかった。[6]
大事なのは、運動前の値と終了後の値を混ぜないことだ。「朝型は夜の運動をしている最中ずっとつらかった」といった物語へ伸ばさず、評価した時点に沿って読む。研究では気分の尺度も、運動前、終了12時間後、24時間後に測られている。朝の条件では型によって疲労感や活力などに差があり、夜の条件での型の差は終了12時間後に見られた。[6]
立川駅北口に着いた時点で「もう今日は重い」と感じる場合、その感覚を、実際に運動した後の感想と分けて記録してみる意味がある。これは研究の測定の分け方を日常へ応用する案である。[6] 始める前の気の重さ、運動で動けた程度、終えてからの疲れを一括して「向いていない」にすると、時間帯との相性を見失いやすい。
ただし、きつさが高いから出力も高いとは限らない。出力を測った選手の試験と、きつさを比較した試験は別の研究である。[1][6] 朝の自分が苦しく感じたことを、夕方以上の仕事をした証拠にはしない。きつかったか、狙った動作を保てたかを、別の欄に書くほうが役立つ。
乳酸が多い夕方は、悪い時間なのか
男性選手20人の試験では、反復走の終了3分後の血中乳酸は、朝より午後・夕方に高かった。これは参加した中間型と夜型に近い型の双方に見られた結果であり、18〜39歳の女性にも同じ乳酸反応があるかは別の検証が必要である。同じ試験で午後・夕方の成績も高かったため、乳酸の数字だけを切り取り「夕方は運動の質が低い」と判断するのは合わない。[1]
終了33分後の回復時点では、夜型に近い参加者は、朝や午後より夕方に乳酸の除去が良好だった。一方、中間型では、この回復時点の乳酸に時間帯による差がなかった。[1] 運動直後にどれだけ増えたかと、その後にどう変化したかは別の比較である。ここでも「夜型と中間型は同じ」とひとまとめにはできない。
もっとも、乳酸の変化を、その夜の眠りや翌日の元気へ置き換えることはできない。この試験で扱ったのは走テスト後の採血であり、睡眠を調べた研究は別にある。[1][3][4] 自分の運動記録にも「脚に負担を感じた」「その後に眠れた」をそれぞれ残すほうが、実験で分けられた問いに沿って考えられる。
数字で読む実施時刻と体の反応
20人:中間型・夜型に近い男性選手を調べた出力と乳酸の試験の人数である。[1]
20m×6本:朝・昼・夕方で比較した反復走の内容であり、初心者への推奨本数ではない。[1]
朝8時と夜20時:朝型12人・夜型11人のきつさを比較した試験の実施時刻である。[6]
終了33分後:夜型に近い選手で、夕方の乳酸除去が良好だった回復評価の時点である。[1]
10人:夜の自転車運動と睡眠を比較した、中間型の男性参加者の人数である。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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