女性のプロテイン、一回の量は多いほどよい?筋肉の合成と吸収の違いを読む

女性のプロテインは一回に多く飲むほど筋肉に役立つのか。若い男性と閉経後女性の試験を比べ、吸収、筋肉の合成、アミノ酸の酸化を分けて読む。食事や運動の条件で変わる量の目安と、研究の数字をそのまま自分の上限にしない考え方を示し、運動帰りに追加する前の確認点を整理する。

シェーカーのふたを閉める直前、粉をもうひとすくい足そうか迷う。せっかく体を動かしたのだから、材料も多い方がよさそうだ。しかし、飲むたんぱく質を増やせば、その分だけ筋肉をつくる速さも上がり続ける、という関係ではない。[3][8]

一方、「一定量を超えると吸収できず、全部無駄になる」も違う。血液中へ届くアミノ酸の量と、筋肉のたんぱく質を新しくつくる反応は別の指標である。摂取量を増やすと血液中で利用可能になるアミノ酸が増える研究でも、筋肉の合成は別の用量反応を示す。[6][10]

女性の一回量を考えるなら、まず研究が誰に、どんな食事と運動の条件で行われたかを見る必要がある。若い男性で得られた量を女性全員の上限にはできない。閉経後女性の試験でも、量を増やすほど反応が高まり続けたわけではなかった。[3][8]

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一回量の「上限」は何の上限なのか

筋たんぱく質合成とは、筋肉のたんぱく質を新しくつくる過程である。食事由来のアミノ酸はその材料となり、食後の合成反応を刺激する。ただし、筋肉の合成、筋肉の分解、全身のたんぱく質の収支は同じ意味ではない。合成が速くなることだけを見て、全身での使われ方を言い切ることはできない。[7][12]

この違いが、検索で見つかる「一回の上限」をややこしくする。ある試験で合成反応が頭打ちになった量は、その条件で筋肉の合成をそれ以上増やせなかった量である。消化管がそれ以上受け付けない量でも、安全性の境界でもない。吸収の研究と筋肉の合成の研究は、違う場所を観察している。[6][8]

実際、たんぱく質の摂取量を段階的に変えた持久運動後の試験では、筋肉の合成が最大に達したとされた量より多く摂っても、全身の正味のたんぱく質収支はさらに増えた。正味の収支とは、全身での合成と分解の差を見る指標である。筋肉という行き先だけでは、食べたたんぱく質の働きを数え切れない。[10]

袋の表示を読むときも、「粉の重さ」と「たんぱく質の量」は分けておきたい。論文で比較しているのは、主に含まれるたんぱく質の量である。シェーカーの容量や粉の山の高さを、そのまま研究の用量と比べることはできない。[3][8] 自分のメモには商品をすくった回数だけでなく、栄養表示のどの欄を見たかも残すと整理しやすい。

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若い男性の試験では、増量で酸化も増えた

筋トレ習慣のある若い男性を対象とした無作為化比較試験では、参加者は48人だった。18〜39歳の女性の一回量へ直接当てはめるには、性別や運動条件の違いがある。たんぱく質を含む朝食の3時間後に片脚の運動を行い、その直後にホエイを0、10、20、40gのいずれか摂った。ホエイは乳由来のたんぱく質で、試験では飲んだ後の4時間の筋肉の合成などが測定された。[8]

研究者は、体重がおよそ80kgのこの男性集団では、20gで安静側と運動側の筋肉の合成を最大限刺激するのに十分だったと結論した。一方、40gではフェニルアラニンというアミノ酸の酸化と、尿素の産生が増えた。筋肉の合成を増やす以外の経路にも、摂ったアミノ酸が回った結果である。[8]

酸化とは、ここではアミノ酸が分解されて処理される経路を指す。尿素の産生も、余剰のアミノ酸の処理に関わる。レビューでは、筋肉のたんぱく質合成能力を上回って供給されたアミノ酸が、酸化、尿素産生、糖をつくる経路などへ回ることが説明されている。「筋肉にならなかった」と「体内に入らなかった」は同じではない。[20]

ただし、この結果を「女性も20gを超えたら捨てている」と読むのは飛躍だ。参加者の性別、体格、筋トレ歴に加え、先に朝食を食べていた条件もある。空腹で飲む日と夕食を食べた後の日を、同じ数字だけで扱う根拠にはならない。[8] スプーンを大きくする前に、試験の食卓まで見る必要がある。

また、酸化が増えたことから直ちに健康への害を断定することもできない。この試験が比べた中心は運動後の短時間の代謝反応であり、長期間の健康状態を判定する試験ではない。[8] 「余分に筋肉が増えなかった」という結果に、病気になるという別の結論を足さないことが大切だ。

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女性の試験では35gと60gに差がなかった

女性を対象とした無作為化比較試験もある。対象は過体重の閉経後女性40人、平均年齢は約59歳だった。短期間のエネルギー制限を行った群で、ホエイ15、35、60gを比較している。18〜39歳の女性が通常の食事を摂って運動する場面へ、その用量を直接当てはめることはできない。[3]

筋肉の収縮に関わるたんぱく質の合成率は、15g群で毎時0.032%、35g群で0.043%、60g群で0.042%だった。35gと60gは15gより高かったが、35gと60gの間に有意な差はなかった。つまり、この条件では少ない量から増やす意味はあっても、さらに多くすれば上積みが得られるという結果ではない。[3]

研究では、筋肉に取り込まれる標識付きアミノ酸を追い、筋肉の組織を採取して合成率を測っている。この数値は筋肉の重さが毎時同じ割合で増えたという意味ではない。新しくつくられる速さを測った値であり、長く続けた後の筋肉量とは区別して読む必要がある。[3]

安静時より摂取後、運動と摂取を組み合わせた条件で合成率は高かったが、摂取後と運動後摂取の間には有意な差が検出されなかった。これは、この試験の短時間の比較結果である。運動には意味がないという話に広げず、何を比較して差が出なかったかを残しておきたい。[3]

ここから持ち帰れるのは「女性は全員35g」という答えではない。同じ女性という言葉の中にも、年齢、閉経、エネルギー摂取、体格という条件がある。男性の試験と女性の試験で数字が異なることは、性別だけが違いの原因だという証明でもない。複数の条件が違う試験の数字を並べるときは、性別だけを抜き出して比較しない。[3][8]

吸収を調べると、量だけでなく年齢や種類も関わる

若年者から高齢者を含む18件の無作為化比較試験、計602人のデータをまとめた解析は、ホエイ、カゼイン、乳たんぱく質の消化と吸収を調べた。摂取量が多いほど、食事由来のフェニルアラニンが血液中で利用可能になる量は増えた。18〜39歳の女性だけの解析ではなく、全体の結果をそのまま女性の吸収率にはできない。筋肉の合成の頭打ちと、吸収の上限は区別する必要がある。[6]

食後5時間に血液中へ現れた食事由来フェニルアラニンの割合は、全体で平均50%だった。だが、これを「たんぱく質は半分しか吸収しない」と読み替えてはいけない。特定のアミノ酸が、特定の観察時間内に血液中へ現れた割合であり、食べたたんぱく質全体の最終的な吸収率という数字ではない。[6]

同じ解析では、たんぱく質の種類や年齢でも経過が異なった。若年者と高齢者を比べた部分集団では、血液中へ現れた割合はそれぞれ51%と45%だった。これは年齢が消化と吸収の動きに関わるという結果である。18〜39歳の女性に高齢者の値を当てはめる比較ではない。高齢者の食事を、若い人と同じシェーカーの量だけで考える難しさが見えてくる。[6]

消化の速さそのものを比べる問いは、隣の記事「女性のプロテインは吸収が速い方がよい?カゼインとホエイの時間差を読む」に譲る。ここで注目したいのは、血液まで届く段階と、筋肉が材料を利用する段階を、量の話の中でも分けることだ。[6][12]

研究の量を生活に置く際には、飲料だけを切り出さないことも必要だ。この男性の試験は朝食後に実施され、持久運動の試験では糖質も一緒に摂っていた。どちらも、空腹のまま粉だけを飲む状況とは違う。[8][10] たとえば帰宅後に夕食を食べる予定があるなら、飲料と食事を別々の帳簿にするより、同じ時間の流れに置いてみる。何をどれだけ足すかを考える前に、研究と自分の生活で一致する条件、違う条件を見える形にするのである。[17]

数字で読む一回量の研究

20g:筋トレ習慣のある若い男性の試験で、筋肉の合成を最大限刺激するのに十分とされたホエイの量である。[8]

35gと60g:短期のエネルギー制限を行った過体重の閉経後女性で、合成率に有意な差がなかった。[3] 比較した量の多さだけで優劣は決まらなかった。[3]

602人:消化とアミノ酸吸収を調べた、18件の試験を統合した解析には、これだけの参加者が含まれた。[6]

30g:若い男性の持久運動後の試験で、筋肉の収縮に関わるたんぱく質の合成に十分とされた乳たんぱく質量である。[10]

18〜25g:運動後の急性反応を統合した解析で、一部のたんぱく源の合成反応が最も高いと予測された用量域である。[1]

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