筋肉痛が強いほどカロリー消費は多い?翌日の痛みと運動の消費量を分けて読む

筋肉痛が強ければ、そのぶんカロリーも多く使ったのか。運動中の消費、運動後の安静時代謝、数日間の総消費を分けて、筋トレや衝突競技の試験を読む。代謝が増えた研究と増えなかった研究を比べ、翌日の痛みを食事の追加量や運動の成績に換算しないための考え方を示す。

スクワット翌朝、腕の時計に残った消費カロリーの表示と、椅子から立つときの脚の痛みを見比べる。数字は控えめなのに、太ももは大仕事をしたように痛む。時計の表示と体感が違うとき、どちらを運動の成績にすればよいのか。翌日の脚は消費カロリーの領収書を発行していない。

筋肉痛の強さだけから、運動中や回復中に使ったカロリーを読み取ることはできない。筋トレ中の消費量が大きく違っても、その後の安静時代謝には有意な違いが出なかった試験がある。一方で、運動後に安静時の消費が増えた試験もあり、「回復中は何も変わらない」と言い切るのも正確ではない。[9][14]

必要なのは、痛みを消すか増やすかの採点ではなく、何をどの時間幅で測った数字かを確かめることだ。筋肉の損傷を示す血液の値、本人が感じる痛み、全身のエネルギー消費は、研究でも別々に測られている。[3][9][14]

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筋肉痛とカロリーは、測っているものが違う

筋肉痛と聞いて思い浮かべるのは、椅子から立つときの脚や、腕を伸ばしたときの背中の痛みだろう。慣れない伸張性の運動、つまり筋肉が力を出しながら引き伸ばされる動作を扱ったダンスのレビューでは、遅れて現れる筋肉痛に加え、腫れ、痛みなく動かせる範囲の減少、筋力の低下が整理されている。痛みは、こうした運動後の反応の一部である。[8]

これに対し、消費エネルギーは活動や安静に伴う量だ。筋トレの試験では、運動そのものの消費と、運動を終えた後に安静で測る代謝が区別されている。運動中に多く使ったという結果を、そのまま翌朝にも同じ勢いで使っているという意味に読み替えてはいけない。[9]

さらに、クレアチンキナーゼという酵素の血中の値も登場する。筋損傷を検討する指標として使われるが、これも痛みの点数やカロリーそのものではない。筋トレ経験のある男性10人が複数関節と単一関節の運動を行った無作為化クロスオーバー試験では、この酵素の反応が違う一方、測定した代謝反応は似ていた。18〜39歳の女性への当てはまりは、この男性の結果だけでは判断できない。[3]

研究で別の欄に記録されるものを、日常では「効いた感じ」の一言にまとめがちだ。脚が痛かったか、どんな運動をしたか、どれほどエネルギーを使ったか。これらを同じ意味にしてしまうと、痛みを増やすことが目的に入り込む。少なくとも、損傷の指標が大きいほど測定された代謝反応も大きい、という単純な対応は試験で支持されていない。[3]

既存記事「【連載】その常識、研究では? 第2回|筋肉痛は効いた証拠か——遅発性筋痛と筋肥大の関係」は筋肉が育つかという問いを扱う。ここでは筋肥大の評価には踏み込まず、痛みから消費エネルギーを推定できるかに絞る。血液検査の読み方や、腫れが引く時期も、この問いとは分けて考える。

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運動中に多く使っても、安静時の上乗せは別だ

直接の手掛かりになるのが、筋トレ経験のある男性8人を対象にした無作為化試験である。参加者は、最大挙上重量の85%という同じ強度で、総負荷量が10,000 kgまたは20,000 kgとなる運動を別の日に行った。総負荷量はその運動全体の量であり、重りそのものをその重さに設定する意味ではない。男性の筋トレ経験者における試験なので、18〜39歳の女性に同じ消費量や運動後の反応をそのまま当てはめることはできない。[9]

運動中の消費エネルギーは、総負荷量が小さい条件で247±18 kcal、大きい条件で484±29 kcalだった。運動中に使った量には有意差があった。ところが、運動後12、24、36、48時間に測定した安静時代謝では、時間による有意差も、条件間の有意差も認められなかった。[9]

運動後過剰酸素消費とは、運動を終えた後も酸素消費が安静時より高くなる反応を指し、この試験ではその上乗せが検討された。著者らは、この条件の筋トレでは安静時代謝の基準値を超える有意な増加がなかったと結論している。運動の量を増やしたことと、その後の代謝が明確に高まったことは同義ではなかった。[9]

一方、大きい総負荷量の条件では、運動後12時間のクレアチンキナーゼが運動前より有意に高かった。筋損傷に関わる指標が上がったことと、安静時代謝の有意な増加が見られなかったことは、同じ試験の中で両立している。「筋肉が傷ついているなら、休んでいても必ず大幅に消費する」という読み方には合わない結果だ。[9]

ただし、有意差がなかったという結果は、誰にでも変化が完全にゼロという証明ではない。対象は筋トレ経験者の男性であり、この運動条件と測定時点における結果である。初めて運動した人や、別の種目の翌日まで同じ数値になるとは決められない。ここから持ち帰るべきなのは一律のカロリーではなく、運動中と運動後を分ける視点だ。[9]

代謝が増えた試験でも、痛みとは一致しない

逆方向の結果もある。健康な若い男性10人を対象に、筋トレ、ランニング、運動しない条件を無作為の順で比べた試験では、筋トレとランニングの後に安静時エネルギー消費の増加が観察された。運動時間はどちらも60分で、各運動に対応する最大能力の70〜75%という条件だった。18〜39歳の女性にも同じ大きさの代謝変化が生じるかは、この男性の試験だけでは判断できない。[14]

筋トレ条件では、運動前の安静時エネルギー消費が1,972 kcal、運動終了10時間後が2,124 kcal、24時間後が2,081 kcalと報告され、後の測定値は運動前より有意に高かった。これらは安静時消費として報告された値であり、「10時間の間に追加で2,124 kcalを使った」という意味ではない。安静時の値と、その時間中の積算消費を取り違えないことが大切だ。[14]

この試験で特に注目したいのは、筋肉痛とのずれである。遅発性筋痛、すなわち運動から遅れて現れる筋肉痛が24時間後に有意に増えたのは筋トレ条件だけだった。しかしランニング条件でも安静時消費が有意に増えた測定時点があった。筋肉痛が有意に増えなかった条件でも、代謝の増加は観察されている。[14]

つまり、筋肉痛の有意な増加がなければ代謝も増えない、という考えは、この結果では否定された。ただし、参加者全員について痛みと消費がまったく無関係だったとまで広げる必要はない。研究が示したのは、条件ごとの変化が同じようには並ばなかったということだ。痛みの強さを代謝計の代わりにするには足りない。[14]

先の筋トレ経験者の試験とは結論が違うように見えるが、運動の条件や参加者、測定の組み方が異なる。どちらかを捨てて「運動後は必ず増える」「運動後は増えない」とするのは急ぎすぎだ。増加を観察した試験も、観察しなかった試験もある。そして、どちらも翌朝の痛みを一定のカロリーに変える方法にはなっていない。[9][14]

研究を生活へ移すときには、比較の相手も確認したい。筋トレとランニングを比べた試験では、同じ時間と相対的な強度を設定している。一方、総負荷量を比べた試験では、筋トレの強度をそろえて量を変えている。前者は運動の種類の比較で、後者は筋トレの量の比較だ。「運動をした人の研究」という共通点だけでは、同じ実験にはならない。[9][14]

総負荷量の試験の測定予定を読むと、比較の仕方が見えてくる。男性8人の安静時代謝は運動前8.5時間と1.5時間にも測られ、その後の12、24、36、48時間の値と比較された。運動後の値だけを見て高いか低いかを決めたのではなく、運動前の基準を置いている。18〜39歳の女性の個別の消費量を求める実験ではないが、運動前後を比較する際の着眼点になる。[9]

もう一方の若い男性10人の試験は、運動前と運動後10、24、48、72時間に安静時消費を測った。筋トレでは10、24時間後、ランニングでは10、48時間後に有意な増加があった。測定した時点と、有意な増加が認められた時点は区別して読む必要がある。また、測定時点を線で結んだ図を想像しても、その間ずっと同じ消費が続いたと扱うことはできない。18〜39歳の女性の回復過程についても、この測定予定から増加の持続時間を決めることはできない。[14]

数字で読む筋肉痛と消費のずれ

8人の筋トレ経験男性の試験で、運動中の消費は247±18 kcalと484±29 kcalだった。運動条件による差である。[9]

同じ試験では運動後12〜48時間に安静時代謝を測定し、有意な時間差や条件差を認めなかった。[9]

別の健康な男性10人の試験では、筋トレ24時間後の安静時消費は2,081 kcal、運動前は1,972 kcalだった。測定値の比較である。[14]

プロの男性ラグビー選手6人の試験では、衝突を含む条件で5日間の総消費が増え、推定された条件差は4.96±0.97 MJだった。[6]

心臓病患者20人の運動試験では、消費が2.4 kcal/分と3.1 kcal/分だった両条件とも、48時間以内の筋肉痛は報告されなかった。[7]

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