パーソナルトレーニングは女性の2ヶ月と3ヶ月で比べる?伸び率の落とし穴

扱える重さが増えても、伸び率が小さくなるのはなぜか。割合の分母になる開始時の値と、実際に増えた量を論文から読み分ける。筋力と筋肉の大きさを区別し、高齢者研究の数値を若い女性の合格点にしない読み方も示す。通い始めて2ヶ月と3ヶ月の記録を、次の面談でどう比べるかを考える。

トレーニングノートの重量欄は伸びているのに、隣の伸び率は前ほど華やかではない。重りを戻したあと、「もう効果が止まったのか」と手が止まる。増えた重さと割合が違う印象を与えるときは、計算の出発点を見直したい。

パーソナルトレーニングを始めた女性が2ヶ月と3ヶ月の効果を比べるなら、まず開始時と現在の実際の値を並べたい。変化率は出発点の値に大きく左右されるため、割合だけでは増えた量を正しく比べられない。これは筋トレ研究の統計の使い方を検討した論文でも指摘されている。[19]

また、筋力が伸びた割合を、そのまま筋肉の大きさが増えた割合として読むこともできない。筋力と筋肉の厚さの変化の関係は、運動の条件によって異なる結果が報告されている。月数を合格期限にする前に、何を、どこから、どう比べた数字かを確かめるのが先だ。[5]

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伸び率の分母には、出発点が入っている

変化率を見るときの核心は、増えた量を開始時の値との関係で表す点にある。同じだけ増えても、開始時の値が小さければ割合は大きくなる。反対に、すでに大きい値から増える場合には、同じ増加量でも割合は小さくなる。割合が小さいという理由だけで、増えた実量まで少ないと決めつけることはできない。[19]

Dankelらの方法論を扱うレビューは、開始前から終了後までの変化量が同じ筋力トレーニング群を想定したデータで、統計の見せ方によって評価が変わることを示した。群内の効果量という指標では対照群に有利に、変化率では実験群に有利に見える結果になった。同じ変化でも、表し方が判断を動かすのである。[19]

ここでいう効果量は、変化の大きさを統計的な尺度で表したものだ。この論文が問題にした群内の効果量は、開始前の値のばらつきに大きく影響される。数字に専門的な名前が付いていても、答えたい問いに合う指標を選ぶ必要がある。著者らは、別の統計を使う場合でも元の値を報告する重要性を強調している。[19]

自分の記録に置き換えるなら、「何%伸びたか」の横に「どの種目で、開始時はいくつ、今回はいくつだったか」を残す発想になる。割合は消す必要がない。ただ、元の数字から切り離さない。これは同論文の指摘を個人の記録に応用する読み方であり、記録法そのものの効果を示す試験とは区別したい。[19]

トレーナーから成績表を受け取った場面でも、色の付いた上昇率だけで会話を終えないほうがよい。「実際にはどれだけ増えたのか」と尋ねる余地がある。大きな割合を見て喜ぶことと、その割合が何を表すかを確かめることは両立する。小さな割合を、ただちに失敗の印にする必要もない。[19]

割合と実量は、競合する評価ではない。「開始時と比べてどれくらい変わったか」を知りたいなら割合が役立ち、「扱える量がどれだけ変わったか」を知りたいなら元の単位の差が役立つ。どちらかだけを正解にすると、違う問いへの答えを取り落とす。元の値を報告するという提案は、割合を禁止するためではなく、読み手が変化を確かめられるようにするためのものだ。[19]

ここは他人の成績と並べる場面で、とくに注意したい。友人の割合が大きく、自分の割合が小さいとき、出発点が異なれば、その差には計算の構造が含まれる。そこから練習への熱心さや指導の優劣まで推定することはできない。同じ増加量のデータでも、割合の比較では一方が有利に見えたという方法論の例は、数字がそのまま順位を意味しないことを教える。[19]

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比較する期間と、比較の出発点をそろえる

「始めてから現在まで」と「前の測定から今回まで」は、異なる比較である。前者は全体の経過を振り返る問い、後者は途中の変化を見る問いだ。途中の値を新しい出発点として計算すると、分母も変わる。開始時の値が変化率を左右するという指摘は、他人との比較だけでなく、自分の記録を区切るときにも関係する。[19]

たとえば面談で、通い始めた頃との比較を聞きたかったのに、直近の測定からの伸び率だけが示されると、知りたいことと返ってきた数字がずれる。記録を読む前に「入会時との比較か、前回との比較か」を決めておく。分母をたどれるようにするための、実務上の工夫である。[19]

期間の長い記録と短い記録を、そのまま順位にするのも避けたい。月数の違いに加えて、開始時の力、測った項目、実施した運動が違えば、割合の差を期間の効果に帰せない。変化率の解釈に元の値が必要だという方法論上の注意は、「長く通ったのに負けた」という読み方にも歯止めをかける。[19]

検索で見つけた体験談に自分を重ねるときは、終了時の立派な数字より、出発点が書かれているかを先に見る。元の値が見えない場合、その割合から自分の到達点を決めない、という判断ができる。数字を疑って捨てるのではなく、比較に必要な情報がそろうまで判定を保留するのである。[19]

測定そのものへの慣れは、既存記事「女性の筋トレは半年で伸びたか一度で分かる?測る練習と力の変化を読む」に譲る。ここでは、測定結果を受け取った後の計算と解釈に焦点を絞る。測れた数字が同じでも、分母の置き方で見え方が動くという問題が残るからだ。[19]

女性の筋肉は、増えた量と割合で見え方が違う

筋肉の大きさを扱った研究にも、絶対的な変化と相対的な変化の違いが現れる。絶対的な変化は増えた実量、相対的な変化は開始時の大きさに対して増えた割合である。Refaloらの系統的レビュー・メタ分析は、同じ筋力トレーニングを行った健康な男女の結果を、この両方の観点から比較した。[1]

対象は18〜45歳の健康な男女で、統計解析には29研究が含まれた。18〜39歳の女性も対象範囲に含むが、その年齢の女性だけの到達率としては使えない。筋肉の大きさの絶対的な増加は男性がやや大きく、標準化平均差は0.19、95%信用区間は0.11〜0.28だった。一方、相対的な増加の男女差の推定は0.69%、95%信用区間は−1.50〜2.88%で、著者らは男女で同様と評価している。[1]

信用区間は、この解析で推定値の不確かさを示す範囲である。相対的な増加の差は、女性側が大きい可能性も男性側が大きい可能性も含む。したがって、0.69%を男性全員の確定した優位として読むのは適切ではない。この数値は男女差の推定であり、女性本人が得られる筋肉の増加率でもない。[1]

この結果は、女性にも開始時から相対的に筋肉を大きくする可能性があるという理解を支える。一方、「男女の結果はどの指標でも完全に同じ」とは言わない。増えた実量では差があり、上半身の絶対的な筋肥大では男性に有利な結果が見られたが、下半身ではそうではなかった。どの部位を何で測るかまで含めて読む必要がある。[1]

仕事帰りに友人と成果を話すなら、「何%か」だけでなく「筋肉の何を測ったか」まで言葉にするとよい。扱える重さ、画像で測った筋肉の大きさ、鏡での印象は、同じ欄に入れる成績ではない。このメタ分析が扱ったのは筋肉の大きさであり、本人の見た目の満足度や、パーソナルトレーニングの契約期間の優劣を判定したものではない。[1]

男女差のメタ分析でも、実量での比較と割合での比較が異なるのは、どちらかの結果が間違いだからではない。研究者が異なる問いを立てているからである。「同じ運動でどれだけ大きさが増えたか」と「元の大きさに対してどれだけ増えたか」を区別すると、男性にやや有利という結果と、男女で同様という結果が並ぶ理由が見えてくる。[1]

さらに、ここでいう「同様」は、女性の集団の中の個人差が消えるという意味ではない。解析の中心は男女の比較であり、自分と同じ年齢や生活を送る女性の予定表を作る研究ではない。面談でこの論文の結果に触れるなら、女性にも相対的な筋肥大の可能性があるという見通しと、本人の到達率を保証する話を分けたい。性別への思い込みを修正する材料として使うのが、結果の範囲に沿う。[1]

数字で読む、伸び率の読み違い

29研究:健康な成人男女の筋肉の大きさの変化を統合した解析である。[1]

0.19:筋肉の大きさの絶対的な増加を男女で比べた標準化平均差であり、増加率ではない。[1]

0.69%:相対的な筋肥大の男女差の推定値であり、個人の目標値ではない。[1]

9.3〜10.4%:65歳を超える女性の握力試験での最大握力の増加。18〜39歳の女性の目標値には当てはめない。[3]

18.40%:平均年齢60歳以上を扱う研究の統合で得られた、筋力の変化率の群間差。18〜39歳の女性の伸び率の予測には使わない。[6]

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