ダイエットのファスティング後は力が続かない?糖の貯蔵と運動の関係を読む

空腹時に脂肪の利用が増えても、運動を続ける力が高まるとは限らない。筋肉と肝臓に蓄える糖の役割を整理し、断食後も持久力が保たれた試験と低下した試験を比較する。男性を対象にした小規模研究の条件と女性への適用範囲を確認し、直前の補給だけに頼らず食事と運動の予定を考える。

食事を抜いてから運動に来た。最初は動けたのに、途中からいつもの動きを続けるのがつらい。「脂肪を使うなら、もっと粘ったほうがよいのか」と迷う場面である。だが、脂肪を使いやすい状態と、運動を長く続けられる状態は同じではない。脂肪の供給を増やした研究を扱うレビューでも、筋肉の糖の消費が抑えられる一方、運動能力の一貫した改善は見られなかった。[2]

ファスティング後の持久力は、試験の条件によって結果が分かれている。若い健康な男性を対象にした比較研究には、長い断食後も低めの強度で運動時間が保たれた結果がある。一方、別の男性の試験では、より高い強度の運動で断食後に時間が短くなった。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、女性を対象とする検証が必要である。食べていない時間だけでなく、どの負荷を、誰が続けるかを読む必要がある。[8][9]

ここで追うのは体重の減り方ではなく、動きを支える燃料の行方である。運動後の回復食の問いは既存記事「有酸素運動後のプロテインは糖質の代わりになる?次の運動へ向けた燃料の回復を読む」に譲る。今回は筋肉と肝臓の糖の蓄えから、空腹のまま頑張る意味を考える。

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蓄えた糖は、筋肉と肝臓を分けて読む

グリコーゲンは、糖をつなげた貯蔵物質である。筋肉では収縮に必要なエネルギーを支える。糖を利用する経路だけでなく、筋肉は脂肪酸もエネルギーに使う。糖か脂肪かという選択問題に見えても、実際の筋肉は複数の燃料を利用する仕組みを持つ。[17]

肝臓の糖の蓄えは、健康で標準体重の子どもを対象とした無作為割り付け試験でも測られている。一晩の絶食で肝グリコーゲン濃度は低下し、その後の糖質を含む飲料の摂取によって、水だけの場合とは異なる濃度変化を示した。筋肉内の貯蔵と肝臓の貯蔵は、分けて測る対象なのである。子どもの結果を18〜39歳の女性の貯蔵量や運動能力にそのまま当てはめるには、対象と測定項目の違いがある。[20]

「断食したから筋肉の糖は空だろう」という推測も急ぎすぎだ。健康な若い男性8人で、一晩の絶食と3.5日間の断食を比較した研究では、運動前の筋グリコーゲン量は同程度だった。断食中に糖の利用が変わることと、筋肉の貯蔵量が必ず大きく減ることは分ける必要がある。この研究では安静時の糖の流れと糖質の酸化は減っていたが、筋肉の蓄えは同じ方向の変化を示さなかった。男性の結果であり、18〜39歳の女性でも同じ変化になるかは検証を要する。[8]

同じ「糖が少ない」という言葉でも、食べた糖質が少ない、筋肉の貯蔵量が少ない、血液を通る糖の量が少ない、では意味が違う。研究では血液、呼気、筋肉の試料などを用いて、それぞれを調べている。お腹の空き具合だけを計器にして、そのすべてを見通すことはできない。[8]

立川駅北口からスタジオへ向かう途中で「今日は昼を食べていない」と気づいたとしても、それだけで体内の燃料の残量まで分かったことにはならない。研究を生活に引き寄せるなら、まず食事の事情と動ける感覚を別々に扱う。その区別が、空腹への根性試しを運動の目的にしないための出発点である。

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脂肪が使えても、長く動けるとは限らない

脂肪酸は脂肪由来の燃料である。脂肪酸を筋肉へ多く届ける方法を検討したレビューでは、訓練していない人と訓練した人の研究で、糖質の酸化と筋グリコーゲンの利用が減ったと報告されている。対象になった運動は中程度から強い負荷で、持続時間は15〜60分だった。訓練歴の異なる人の研究をまとめた結果であり、18〜39歳の女性に同じ節約幅が当てはまるかは、この比較から確定できない。[2]

このレビューにある筋グリコーゲンの節約幅は、対照条件と比べて15〜48%である。かなり大きな数字に見える。しかし著者は、脂肪酸の供給が増えても運動能力の系統的な改善は見られないと整理している。糖の使用量を抑えられたことだけで、最後まで動く力が増したとは判断できない。[2]

ここで使われた方法には、飲食によるものだけでなく脂肪を含む液の注入も含まれる。したがって、この節約幅を「朝食を抜けば筋肉の糖をこれだけ節約できる」と読み替えることはできない。研究で操作した条件と、自分が行おうとしていることを並べる作業が要る。断食という言葉が登場していても、レビュー内の数値には断食以外の操作による効果も含まれる。[2]

また、糖の節約はそれ自体が日常の運動の最終目標ではない。予定した動きを無理なく行うこと、運動のあとに仕事や家事へ戻ることなど、人によって目的は違う。「糖を使わなかった」という代謝上の結果と、「今日の予定に合った運動だった」という判断は、別の欄に置いてよい。

既存記事「朝食前の運動は脂肪を燃やすか 空腹時の燃焼と体脂肪の減少を分けて読む」が扱う燃焼と体脂肪の問いとも、ここは区別したい。今回の研究から見るのは持久力である。燃料の使い分けを調べた数字に、体形の評価や食事を抜く義務まで背負わせる必要はない。[2][8][9]

持久力が保たれた試験と、短くなった試験

低めの負荷で持久力が保たれたのは、男性8人を対象にした比較研究である。運動は最大酸素摂取量の45%で、疲労困憊まで続けた。最大酸素摂取量は運動強度を表す基準として使われている。3.5日間の断食では、一晩の絶食に比べて、運動中の糖の流れ、全身の糖質の酸化、筋グリコーゲンの利用速度が低下した。それでも運動を続けられた時間は同程度だった。18〜39歳の女性での持久力を直接調べた結果とは区別して読む。[8]

断食時には、血液中の脂肪酸とケトン体が多く、インスリンは低かった。ケトン体も燃料の利用状態を読む際の指標である。この試験の重要な点は、糖の使い方が変わっても、同じ低めの負荷での運動時間は保たれたことである。「糖を使う量が減るなら必ず動けなくなる」という単純な説明には合わない。[8]

一方、男性5人の対照を置いた臨床試験では、最大酸素摂取量の70%で自転車をこぎ、疲労困憊までの時間を測った。36時間の断食後は77.7±6.8分、一晩の絶食後は119.5±5.8分で、前者が有意に短かった。脂肪酸などの利用可能性は増えていたが、持久力は低下した。18〜39歳の女性にも同じ時間差が生じるかは、この男性の試験では判断できない。[9]

どちらも男性の小規模な研究であり、断食の長さ、負荷、実験条件が異なる。この比較だけで「強度がここを超えると急に失速する」という境界は決められない。しかし、断食の長さだけを並べて効果を予測できないことは分かる。長い断食で時間が保たれた試験があるからといって、短い断食後の強い運動が容易になるという予測には結びつかない。[8][9]

女性が仕事帰りのヨガや有酸素運動を考えるときには、さらに対象の違いがある。これらの結果を「女性にも同じ時間の変化が起こる」という予告には使えない。参考になるのは、食事の条件と運動の負荷をセットで見る姿勢である。研究の数字は予定表のノルマではない。[8][9]

運動を続けた時間という指標にも注意が要る。これらの試験は、決められた負荷で疲労困憊まで行う設計である。普段の運動のように、自分で速度を落としたり、動作を変えたりする場面とは評価の仕方が違う。試験の時間差を、そのまま日常のレッスンで動ける時間差に置き換えることはできない。一定の条件にそろえて比べたからこそ得られた数字なのである。[8][9]

また、低めの負荷の試験では、運動中の糖の流れまで測定している。断食時には、運動開始後の血液へ現れる糖と血液から消える糖の関係も、一晩の絶食時とは異なった。運動時間という表面の結果が同じでも、その裏の代謝には違いがあった。「できたから体内の条件も同じ」という読み方を避けるために、時間と代謝の結果を併記したい。[8]

この違いは運動の予定を振り返るときにも役立つ。いつもと同じ動きを終えたかという記録と、食事の事情が普段と違ったかという記録は、両方残せる。動けた日を食事抜きの成功例とする必要も、続かなかった日を意志の弱さに変換する必要もない。小規模試験の結果が分かれたこと自体が、単純な採点を避ける理由になる。[8][9]

数字で読む断食と運動の燃料

8人:低めの負荷で断食と糖代謝を比べた研究の対象は、健康な若い男性だった。[8]

45%:その研究の運動強度。最大酸素摂取量に対する割合であり、日常の感覚の点数ではない。[8]

77.7分と119.5分:男性5人の試験で、36時間断食後と一晩の絶食後に自転車運動を続けた平均時間である。[9]

15〜48%:レビューに含まれる脂肪酸供給の研究で見られた筋グリコーゲンの節約幅。持久力の改善幅ではない。[2]

22.9%:健康な子どもを調べた研究で、一晩に低下した肝グリコーゲン濃度の平均割合。空になった割合とは違う。[20]

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