ダイエットの飲み物は冷たいと甘さが変わる?運動帰りに温度と味を分けて読む

運動帰りにコンビニで買った飲み物が、家では違う甘さに感じられる。冷たさだけで糖の量を判断してよいのか。飲料の比較試験、室温を変えた官能評価、消費者調査から、飲む温度と部屋の温度、製造時の温度を分けて読む。麦茶を選ぶ日にも使える、味の印象と表示の確かめ方を考える。

冷蔵庫から出した飲み物を、家事の途中で机に置く。あとで続きを飲むと、さっきは気にならなかった甘さや後味が残る。そんな場面で「冷たいと砂糖の味が隠れるのか」と考えることがあるだろう。

答えの芯は、冷たさだけから甘さの変化や糖の量を決めつけられない、である。冷蔵と室温の飲料を含む比較試験がある一方、室温を変えた試験では甘味料によって目立つ味の変化が異なった。何の温度を変え、何を評価した研究なのかで、答えは変わる。[4][20]

ダイエットの飲み物をコンビニで選ぶ場面でも、「甘く感じないから糖が少ない」と即断しないことから始めたい。甘さ、酸っぱさ、苦さ、好みは同じ評価ではない。麦茶を選ぶか、甘い飲料を楽しむかという判断の前に、口の中の印象を少し分解してみる。[4][8][16]

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冷たい飲料と室温の飲料、比較試験は何を比べたか

飲料の甘さを人が評価する官能試験では、成分の測定とは別に、「似ている」「甘い」「酸っぱい」といった回答を集める。人の感覚を調べる研究であり、糖を分析して含有量を測る作業とは役割が違う。飲料の比較試験では、同じ参加者の評価でも、質問の仕方によって見えてくる特徴が異なっていた。[4]

ぶどう風味の飲料を使った比較試験では、参加者は27人で、冷やした条件か室温の条件に無作為に割り付けられた。飲料にはアスパルテーム、または濃度の異なるショ糖が使われた。ショ糖は砂糖の主成分であり、この試験では甘さを比較する相手として扱われている。[4]

参加者は飲料の組み合わせについて甘さの似方を答え、さらに形容詞を使って各飲料を評価した。似方の評価では、比較した組み合わせの甘さに違いがあるとは認識されなかった。一方、形容詞による評価では、アスパルテームと低濃度のショ糖の飲料は、高濃度のショ糖より甘さが弱く、酸っぱさが強いと評価された。[4]

ここで読者が持ち帰れるのは、「冷蔵なら甘さが必ず弱くなる」という単純な法則ではない。甘さが似ているかという問いと、個々の飲料をどれくらい甘く、酸っぱく感じるかという問いは、同じ答え方にならないという点だ。この結果を、あらゆる飲料に共通する温度の順位へ広げるのは慎重でありたい。[4]

たとえば冷たい果実風味の飲料を「軽い味だ」と感じても、それが甘味の弱さなのか、酸っぱさとの組み合わせなのかは分けて考えられる。研究で低濃度のショ糖の飲料に甘さの弱さと酸っぱさの強さが並んだように、口に入ったときの印象には複数の味が関わる。「すっきり」は便利な言葉だが、それだけでは何を感じたかがまだ曖昧なのだ。[4]

この試験の読みどころは、評価する言葉を具体的にした点にもある。飲み物をひと口飲んで「同じくらい甘い」と答えることと、「こちらは酸っぱい」と答えることは両立しうる。甘さの似方だけを読むと、ほかの味の違いを見落とす。反対に、酸っぱさの違いだけを見て、甘さまで大きく変わったと判断するのも早い。評価項目を分けた研究だからこそ、その区別を残して読める。[4]

さらに、甘味料を変えた比較と、飲む温度だけを変えた比較も別である。冷たい飲料と室温の飲料を飲み比べるなら、中身まで別の商品にしてしまうと、成分の違いも一緒に比べることになる。これは研究結果を日常へ移す際の整理である。同じ条件をそろえて比べるほど、何を変えたときの感想なのかを書き留めやすい。[4]

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部屋の温度が変わると、目立つ味も変わる

飲み物のボトルが冷たいことと、飲む部屋が涼しいことは別の条件だ。室内の温度を変えた官能試験では、消費者60人が、20℃、24℃、26℃に厳密に調整された実験室で評価を行った。参加者は3日間の分析に参加し、甘味料の異なる7種類の機能性飲料を評価した。[20]

この試験が使ったのは、時間の流れに沿って、そのとき最も目立つ感覚を答える方法だ。甘さをずっと同じ点数で採点するのではなく、飲んでいる途中で苦さや果実の風味など、どの感覚が前に出るかを追っている。甘さが一番目立たなかったことと、甘さを全く感じなかったことは同じではない。[20]

室温は7種類のうち4種類で、こうした感覚の移り変わりに影響した。涼しい環境では、ステビアやネオヘスペリジンで甘味を付けた試料の苦味が強調された。暖かい環境では、ショ糖で甘味を付けた試料に果実風味のピークが見られ、ネオテームの試料では甘さが最も目立つ割合が低かった。[20]

「暖かければ甘い、冷たければ甘くない」と並べると、この結果の大事な部分が消える。変化は甘味料によって異なり、甘さだけでなく苦味や果実風味にも及んだ。温度の影響は、味のつまみを全部同じ方向へ回すようなものではなかった。[20]

運動後に外から冷房のある場所へ入る場面を考えると、この区別は役に立つ。ただし、実験室で管理した室温と、駅から家まで移動する日常は同じ条件ではない。研究が示したのは、室内環境が飲料の感覚評価に関わりうるという範囲である。運動で何が変わったかまで、この試験から決めることはできない。[20]

また、時間とともに最も目立つ感覚を答える方法では、甘さ以外の感覚が前に出れば、甘さの目立つ割合は相対的に低くなる。この試験の「甘さの優位が低い」を、そのまま糖の濃度が低いという意味には読めない。評価の対象は、分析装置で測る成分ではなく、飲んでいる人がその時点で選んだ感覚だからだ。味の順位を追う結果と、成分表の数値には、それぞれ別の役割がある。[20]

後味を評価したい人は、飲んだ直後の印象だけで結論を急がなくてもよい。実験で使われたように時間の流れを意識すると、「入口は果実の風味、あとから苦さ」という書き分けができる。これは味を細かく採点する宿題ではなく、自分が気にしている感覚を見つけるための読み方である。[20]

清涼感と低温、製造時の加熱を混同しない

すうっとした清涼感があることも、飲料そのものの温度が低いこととは分けたい。メントールを加えた水溶液の実験では、人による感覚評価で甘さへの影響は認められなかった。一方、甘味料アセスルファムKの不快な苦味を認識する濃度の境目は、メントールの添加で21.35 mg/Lから36.93 mg/Lへ移った。[8]

これは、清涼感を加えれば甘さが必ず強くなるという結果ではない。甘さの評価は変わらなくても、苦味の気づかれ方は変わりうるという結果である。清涼感、甘さ、苦味をひとまとめに「飲みやすさ」と呼ぶと、この違いが見えにくくなる。冷たそうな印象を持ったこと自体から、甘さの強弱を逆算しないほうがよい。[8]

もう一つ紛らわしいのが、飲料を作るときの温度だ。発酵茶のコンブチャを調べた食品実験では、ショ糖の濃度と発酵温度を変え、11日間発酵させた試料を消費者111人が評価した。高い発酵温度では有機酸が多くなり、渋味が強く、甘さは抑えられた。低い温度で発酵した試料のほうが好まれた。[14]

同じコンブチャの試験では、ショ糖濃度7.5%と10%の試料の間で、好みの差は認められなかった。砂糖を増やせばその分だけ好まれる、という関係でもなかったのである。発酵温度は感覚の特徴に大きく関わり、ショ糖濃度は発酵の速さや有機酸の生成に関わった。材料として入れた糖の濃度だけで完成品の印象を説明せず、工程を経た飲料として読む必要がある。[14]

ここで変えた温度は、完成品を飲む直前の冷蔵温度ではない。製造工程で発酵が進む条件を変え、その結果として違う性質を持つ飲料を比較している。したがって「発酵温度が高いと甘さが抑えられた」を、「同じ飲料を温めると甘くなくなる」へ置き換えてはいけない。[14]

コンブチャのレビューでも、残った糖が甘さを、有機酸が特徴的な酸っぱさを担い、甘味料の種類や量だけでなく製造条件が関わると整理されている。工程の温度は、発酵や成分の変化を読むための条件である。検索結果に「温度と甘味」とあっても、まず温度を変えた場所を確かめたい。[2]

数字で読む飲み物の温度と感覚

27人:冷蔵または室温のぶどう風味飲料を含む比較試験の参加者数である。[4]

60人:室温を管理した環境で、時間とともに目立つ感覚を評価した消費者数だ。[20]

20・24・26℃:室温の試験条件であり、飲料の推奨温度ではない。[20]

21.35→36.93 mg/L:メントール添加で変わった、アセスルファムKの苦味を認識する濃度の境目である。[8]

111人:発酵温度とショ糖濃度を変えたコンブチャの感覚と好みを評価した消費者数だ。[14]

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