いつもの散歩に速歩を挟むと、体重や体脂肪は変わるのか。インターバル速歩の比較試験を軸に、脚の筋力と持久力が改善した結果、減量では差が出なかった結果を読み分ける。運動全体のレビューとの違い、速く歩く時間の意味、研究の設定を日常に取り入れる際の考え方まで確かめる。
駅へ向かう道では急ぎ足、買い物の帰りはゆっくり。歩く速さは、意識しなくても変わっている。では、その変化を計画して、速歩と普通歩きを交互にすれば、いつもの散歩は減量のための運動になるのだろうか。
中高年を対象にしたインターバル速歩の試験では、脚の筋力や歩行時の持久力の改善が報告されている。一方、高齢者の別の小規模試験では、普通の一定ペースの歩行に比べて体重や体脂肪量の有意な差は出なかった。速歩の成果を、体重計の数字だけで語ると、どちらの結果も取りこぼす。[7][4]
ここで知りたいのは、歩く途中に速い区間を作る意味である。脂肪燃焼ゾーンの議論や階段昇降の負荷は、特集の別の記事に譲る。まずは歩行の試験で何が測られ、何が変わり、何がまだ確かめられていないのかを見よう。

交互に歩くとは、研究ではどんな設定なのか
インターバル速歩は、単に目的地まで急いで歩くこととは違う。代表的な無作為化試験、つまり参加者を偶然の割り当てで分けて比較した研究では、低強度の歩行と高強度の歩行を、それぞれ3分ずつ繰り返す設定だった。対象は平均年齢63歳の男性60人、女性186人で、実施期間は5か月である。[7]
低強度区間は歩行時のピーク有酸素能力の40%、高強度区間は70%を超える強度だった。ピーク有酸素能力は、この試験が運動の負荷を決めるために測った能力の指標である。速さを全員同じにするのでなく、その人の測定結果を基準にしていた点を押さえたい。指示はこの組み合わせを1日5セット以上、週4日以上行うことで、加速度を測る装置を使って歩行を監視していた。[7]
比較相手も、何となく散歩する人ではなかった。中強度の一定ペースの歩行群には、ピーク有酸素能力のおよそ50%で歩き、歩数計で1日8,000歩以上を週4日以上確認するよう指示している。運動しない群も設けられた。したがって、この試験の問いは「歩けばよいか」よりも、「歩く運動の組み立て方を変えると、測定した成果に差が出るか」に近い。[7]
別の高齢者の歩行試験では、最大心拍数に対する割合で強度を決めていた。65歳以上の参加者を各13人の群に分け、インターバル群は85%と55%の区間を3分ごとに交代し、一定ペース群は70%で歩いた。どちらも集団で30分、週3回、8週間行っている。研究によって強度の基準も頻度も異なるため、「交互に歩く」という名前だけでは同じ運動を指さない。[4]
試験では負荷と時間を決め、実施状況も確認していた。街で歩くときも、区間の長さと自分に合う強度を別々に考えると、研究の設定を理解しやすい。[7][4]
この8週間の試験では、歩く運動の前後に体組成だけでなく、認知機能、気分、身体機能も調べている。運動後の群間比較で、体重のp値は0.74、体脂肪量は0.45、骨格筋量は0.77だった。p値は、差を統計的に評価するための指標である。認知機能の総合得点、抑うつ、生活の質、睡眠の質にも有意な群間差はなかった。検査の範囲は幅広いが、改善が検出された項目は限られていた。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
脚の筋力が伸びても、減量の証明にはならない
先ほどの5か月の試験では、インターバル群の膝を伸ばす力は13%、曲げる力は17%増加した。また、自転車運動で測るピーク有酸素能力は8%、歩行で測るものは9%改善し、これらの増加は中強度の一定ペースの歩行群より有意に大きかった。安静時の収縮期血圧の低下も、インターバル群のほうが大きいという結果だった。[7]
この試験の成果の中心は筋力、有酸素能力、血圧である。体重の群間差を何kgと示した研究ではない。膝を伸ばす力と曲げる力は、関節を動かさずに力を出す等尺性の測定で、運動の前後に同じ項目を調べていた。[7]
目標を満たした人数にも群ごとの違いがあった。インターバル群では男性19人中11人、女性68人中31人、中強度群では男性16人中8人、女性59人中43人と記載されている。研究の要約には達成状況の違いの理由は書かれていない。実施条件と達成者の人数を合わせて読むことで、改善の数字の背景が見える。[7]
筋力と有酸素能力の各増加は、インターバル群内の前後比較でp<0.001、中強度群の増加との比較でもp<0.01だった。安静時の収縮期血圧の低下についても群間比較でp=0.01と報告されている。収縮期血圧は、血圧測定で上の値に当たる指標である。成果の種類だけでなく、運動前後の変化なのか、別の歩き方との差なのかも区別して示された試験だった。[7]
体重を落としたくて歩き始めた人にとって、筋力の数字は回り道に見えるかもしれない。しかし体重と体力は別々に測定する項目である。この研究の成果を評価する際は、体重の期待をいったん横に置き、脚の力や持久力を改善できたという範囲で見る必要がある。体重計は、膝を伸ばす力までは表示してくれない。[7]
速く歩く時間の研究は、長ければ長いほどとは言わない
運動時間の中身を調べた研究もある。参加者の研究は2005年4月から2008年2月にかけて行われた。[8]平均年齢65歳の男女679人が5か月のインターバル速歩を完了した研究では、比較する群を置かない前後の比較で、推定ピーク有酸素能力が平均14%増加し、生活習慣病に関するスコアが17%低下した。参加者には、速歩と低強度歩行を各3分、1日5セット以上、週4日以上繰り返すよう指示していた。[8]
実際に行った時間には個人差があった。週あたりの速歩時間は平均88分、標準偏差65分、低強度の歩行時間は平均100分、標準偏差86分だった。標準偏差は値のばらつきを示す数字であり、平均だけを見て全員が同じ量を行ったと考えないための手掛かりになる。[8]
この研究では、速歩時間が週50分まで増える範囲で、有酸素能力とスコアの改善との関連がみられ、それを超えると改善は頭打ちになった。一方、低強度の歩行時間や総歩行時間には、改善との正の相関がみられなかった。歩いた総量だけでなく、速い区間をどれほど含んだかが重要だったという結果である。[8]
これは速歩時間を異なる量に無作為に割り当てた試験ではなく、完了者が実際に行った量と変化の関連を分析した研究である。週50分は、その分析で関連が頭打ちになった目安として読む。[8]
スコアの17%低下は生活習慣病に関する指標の変化であり、体脂肪や病気の発症の減少率とは異なる。研究では速歩と低強度歩行の時間を分け、時間帯ごとの集団に整理して関連を調べた。さらに複数の要因を同時に扱う重回帰分析でも、速歩時間が有酸素能力とスコアの改善に関わる主要な要因だった。[8]
研究の条件を添えて読む。主要な歩行試験は平均年齢63歳または65歳の男女を対象にしており、実施した区間の時間と測定した体力を対応させていた。日常で記録をつけるなら、外出の総時間と速歩区間を分ける方法が考えられる。[7][8]
速歩時間の分析では、週60分までの範囲を6分ごとの時間帯に分け、それより長い範囲は30分または60分の幅で整理した。速歩時間と有酸素能力の改善の関連を示す決定係数は0.94、スコアの改善では0.51だった。決定係数は、分析した関係がデータの変動をどれほど説明するかを表す指標である。同じ速歩時間でも、体力と生活習慣病のスコアでは関連の強さが異なっていた。[8]
参加者の年齢の標準偏差は7歳で、完了者の平均年齢65歳にも幅があった。速歩の強度は推定した歩行時のピーク有酸素能力の70%以上、低強度区間は40%という設定だった。平均値の14%と17%は、こうした個別の基準で運動した人たちの開始前からの変化をまとめたものとして位置づけられる。[8]
数字で読むインターバル速歩
5か月:平均年齢63歳の男女を対象にした、筋力と有酸素能力の無作為化試験の期間。[7]
3分ずつ:低強度歩行と高強度歩行を交互に行った区間の長さ。[7]
13%と17%:インターバル群で増加した、膝を伸ばす力と曲げる力。[7]
週50分:完了者679人の分析で、速歩時間と改善の関連が頭打ちとなった目安。減量の基準ではない。[8]
8週間:各13人の歩行比較試験の期間。体重や体脂肪量に群間の有意差はなかった。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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