体重への偏見と自己批判は減量を助けるのか 自分を責める前に読みたい研究

体重計の数字を見て、自分の意志まで採点していないだろうか。体重への偏見を自分に向ける「内面化」と、食行動・運動回避・減量との関連を論文から読む。大規模調査とメタ分析が示すこと、因果関係の限界、自分への思いやりに期待できる範囲を整理し、日常での言葉と行動を考える。

運動施設の入口で、周囲に体形を見られることが気になり、入るのをためらう。運動の予定は立ててあったのに、参加する前から評価の場面を想像してしまう。減量に取り組む成人の多国間調査では、体重への偏見を自分に向ける傾向と、ジムを避ける行動が関連していた。[1]

体重への否定的な決めつけを自分に当てはめ、自分を軽んじることを、研究では体重偏見の「内面化」と呼ぶ。系統的レビューでは、こうした内面化と心の健康の悪さに強い関連が報告されている。自分に厳しくすれば減量が進む、という素朴な期待には、立ち止まる理由がある。[8]

偏見と健康行動の関係を調べた研究では、自己否定の強さと、食事や運動の難しさを分けて測っている。遺伝や運動後の食欲を扱う隣の記事とは視点を変え、体重にまつわる言葉が、食事や運動を続ける場面にどう関わるかを考えたい。

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体重の評価と、自分への評価を分ける

体重スティグマとは、体重を理由に人の社会的な価値を低く扱うことである。人から受けた経験と、その価値判断を自分に向ける内面化は区別される。体重をからかわれた経験があることと、「この体重の私は意志が弱い」と信じることは、研究上も別の指標で扱われる。[16][8]

この違いを日常に置くなら、「最近、食事の準備が難しかった」は状況の記述で、「私はだらしない」は人全体への判定である。どちらも反省に見えるが、見ている対象が違う。内面化の研究が問うのは、生活上の課題を認めることの是非ではなく、体重についての否定的な固定観念が自己評価に入り込む問題である。[8]

質問票と面接では、捉えられる経験が違う。臨床試験の参加候補者を面接した混合研究では、広く使われる内面化尺度で高得点だった人でも、最大66%が否定的な固定観念に賛同せず、自分にも適用していないと答えた。[19]

この研究は、84人と129人の別々の集団を対象に、質問票と半構造化面接を組み合わせている。半構造化面接は、共通の質問を軸にしながら本人の回答を詳しく聞く方法である。両集団の平均年齢は47.8歳と50.0歳、女性の割合は83.3%と88.4%だった。前者では黒人が67.9%、後者では白人が65.1%を占め、平均の体格指数はそれぞれ39.2と37.8だった。よく挙がった固定観念は、怠惰、意志や自己統制の不足、悪い食習慣だった。一方、体重の影響として多かったのは自己像や感情への影響である。「体重がつらい」と「太っている人は怠惰だと信じる」は重なる場合があっても、完全に同じではない。[19]

たとえば、洋服の選択や人前に出ることへの困り事を語った人に、「あなたは偏見を内面化している」と返せば、本人が話していた具体的な問題を取り落としかねない。この面接研究は、点数だけで経験を説明し切れないことを示している。支援を考えるなら、どの言葉がつらいのか、どの場面で行動が止まるのかまで聞く必要がある。[19]

面接で報告された影響の内訳にも違いがある。自己像への影響は70%超、感情への影響は68〜83%だったのに対し、社会的な懸念は37〜62%、健康上の懸念は20〜25%だった。約60%は、体重が自分に向ける考えや感情に「非常に」から「極めて」影響すると答えた。これらは2つの臨床試験の参加候補者についての値であり、一般成人の割合ではない。固定観念への賛同を尋ねるだけでは、自己像や感情に及ぶ負担を十分に拾えない可能性がある。[19]

自分の体に不満があること自体を、新たな失格項目にする必要はない。研究の概念を使う目的は、心の持ち方に合否を付けることではなく、自己否定と日々の行動の関係を理解することである。体重計には人格を測る機能が付いていない。その区別を保ったまま、食事や運動の課題を見ることが出発点になる。[8][19]

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大規模調査では、自己否定は行動の難しさと並ぶ

減量に取り組む成人13,996人を調べた多国間研究では、内面化の点数が高い人ほど、過去1年の体重増加、ストレス、気持ちに対処するための食事、ジムを避ける行動が多かった。食事や身体活動を自分で実行できるという感覚も低かった。対象は欧米の6か国で、多くが白人、中年の女性、過体重または肥満に分類される人だった。[1]

この「自分で実行できるという感覚」は、自己効力感と呼ばれる。食事を選ぶ、運動に向かうなどの行動について、自分にはできそうだと思えるかを表す。調査では、他者から偏見を受けた経験や参加者の特徴を統計的に考慮しても、内面化と好ましくない健康指標の関連が見られた。[1]

ただし、これは同じ時期の質問票による調査である。自己否定が先に起きて体重が増えたのか、体重が増えた経験から自己否定が強まったのかは決められない。研究者は、方向と因果関係を判断するための追跡研究や実験を求めている。[1]

もう一つの調査は、減量プログラム参加者18,769人を対象にしている。女性が94.6%、白人が91.1%を占め、内面化の強さは、減量の少なさ、記録などによる自己観察の少なさ、食事の自己効力感の低さと関連していた。体重増加、増減の繰り返し、ストレス、対処としての食事とは正の関連があった。[2]

興味深いのは、他者から偏見を受けた経験の有無には、減量が多く、体重増加が少ないという関連もあったことである。内面化の結果と方向が違う。偏見の経験に関する他の変数との関連は小さく、回帰係数の絶対値は0.10未満だった。[2]

この調査は2017〜2018年にオンラインで行われた。偏見を経験したかに加え、いつ始まったか、過去1年の頻度や苦痛、誰から受けたかも尋ねている。これらを分析に加えた後も、内面化と各健康指標の有意な関連は残った。外から受けた経験の詳細を考慮しても、自分に向ける評価が健康指標と結び付いていたのである。[2]

帰宅して運動着を出す場面を想像したい。「昨日は行けなかったから、今日は予定を確かめよう」と「こんな体で行くのは恥ずかしい」では、次に検討できることが違う。後者のような身体への否定と、ジムを避ける行動との関連が大規模調査で見られた。ここで見直したいのは意志の強さの採点より、参加する前に何が障壁になっているかである。[1]

多くの研究を束ねても、すべてが確定するわけではない

149の標本または部分標本をまとめたメタ分析では、内面化は心理・社会的な健康、身体的な健康、食事や身体活動などの行動の悪い指標と、幅広く関連していた。メタ分析とは、複数の研究の結果を統計的にまとめる方法である。関連の大きさは小さいものから非常に大きいものまであり、何を測るか、誰を対象にするかで違った。[13]

収集された標本の人数は14〜18,766人、平均年齢の範囲は9.95〜65.70歳と幅があった。研究者は、性別、人種、年齢、体格指数だけでなく、標本の種類や研究の質によって関連が変わるかも分析した。横断的な関連と将来の指標との関連の両方を対象にし、後者では減量の少なさや否定的な心理状態の増加との関連について予備的な証拠を報告している。同じ時点での関連が広く見られることと、追跡による証拠が十分に蓄積していることは区別して読む必要がある。[13]

このメタ分析が統合したのは、内面化と健康指標の相関である。体重維持や生活の質、健康的な食事、身体活動など、異なる結果をそれぞれ検討している。体重の増減だけに絞った分析より、生活のどの側面と内面化が結び付くかを広く見渡せる構成である。[13]

先行する74研究の系統的レビューでも、心の健康との負の関連は強かった。一方、身体的な健康を調べた研究は少なく、結果の一致度も低かった。体重への偏見を問題にする理由は、体重を増やすかどうかだけではない。心理的な負担との関連は、身体の数値について確定していない点が残っていても、別に評価すべき結果である。[8]

では、他者からの偏見と不調の間に、内面化が挟まるのだろうか。その関係を整理した系統的レビューは、17研究、計21,172人を含んでいた。8研究では、偏見の経験または認知と、乱れた食行動との関係を内面化が仲立ちするという一致した結果があった。抑うつと不安を扱ったのは2研究で、結果は一致していなかった。17研究のうち15研究は心理的な結果だけを測定しており、身体的な結果まで同じ厚さで調べられていたわけではない。[5]

研究でいう「仲立ち」は、媒介という統計的な関係である。外からの偏見、内面化、食行動の指標を結ぶモデルがデータに合うことを示す。ただし、モデルの適合は原因がその順で働くことの証明ではない。[5]

測定方法にも共通点がある。17研究のうち、別の内面化尺度を使ったのは1研究だけだった。先ほどの面接研究で見えた、尺度の点数と本人の語る経験のずれは、こうした共通の測定方法を評価する際にも重要になる。[5][19]

数字で読む体重偏見の研究

13,996人:欧米6か国の減量参加者の調査。内面化とジム回避などの関連を調べた人数である。[1]

18,769人:別の減量参加者調査。偏見の経験と内面化では、体重変化との関連の方向が異なった。[2]

74研究:系統的レビューの対象。身体の健康との関係は、心の健康ほど一貫していなかった。[8]

149標本:メタ分析がまとめた単位。健康指標との関連の大きさには幅があった。[13]

17研究、21,172人:媒介関係を扱ったレビュー。乱れた食行動と、抑うつ・不安では結果の一致度が違った。[5]

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