小さな皿に替えれば食べすぎは防げるのか。盛り付ける量を変えた実験と、器だけを変えた実験を分けて読む。成人のメタ分析や複数日にわたる試験から、摂取量の差、後の食事での埋め合わせ、長期の体重効果の限界を確かめ、家庭の夕食で試せる量の見直し方を考える。
夕食の皿を洗うとき、今夜もきれいに食べたと思う。だが、食べ始める前にどれだけ盛ったかは、案外覚えていない。ご飯をよそう手が少し大きく動いた日も、残ったおかずをまとめて載せた日も、食後には同じ空の皿になる。
そこで「小さな皿に替える」という助言が気になる。食器なら食事の好みを変えずに試せそうだ。しかし、提供する料理の量を減らす研究では摂取エネルギーの低下が示される一方、皿そのものを小さくした研究では一貫した効果が確認されていない。[1][5][8] 皿の直径と、そこに載る料理の量は、似て見えて別の介入なのである。
この違いを知ると、食べ終わってから意志の強さを採点する必要は薄れる。今日の皿に何をどれだけ用意するか。その手前にある選択を、実験で測られた範囲から考えてみたい。

盛られた量は、食べる量を動かす
ポーションサイズとは、ここでは食事で提供される料理の量を指す。論文によっては食べる機会ごとのエネルギー量として扱うため、重さで比較した実験と、エネルギーで比較した実験を区別して読む必要がある。[1][3] 大盛りを選んだ人と普通盛りを選んだ人の体重を比べるだけでは、もともとの空腹や生活の違いが混ざる。量を実験的に変える研究は、その点を確かめるためのものだ。
提供量と1日の摂取量を検討した系統的レビューとメタ分析がある。系統的レビューは条件を決めて研究を集める方法、メタ分析は複数の結果を統合する方法である。少なくとも丸1日の摂取エネルギーを測った14研究を統合した結果、小さい量を提供された条件では、大きい量の条件よりも1日当たり約235 kcal少なかった。[1] 14研究は85の効果を分析に提供している。[1]
この分析の標準化平均差は−0.709で、95%信頼区間は−0.956〜−0.461だった。[1] 標準化平均差は異なる研究の測定値を共通の尺度に置き換えた値である。信頼区間は推定の不確かさを読むための範囲である。約235 kcalという説明と、標準化した効果量とは、同じ結果を別の尺度で示している。
健康な19〜65歳の成人を対象とした、無作為化比較試験の別のメタ分析でも、大きい量の条件では1日の摂取量が多かった。量に関する24比較で、その差は295 kcal、95%信頼区間は202〜388 kcalだった。[3] 無作為化とは条件の割り当てを偶然に任せる手続きで、背景の違いによる偏りを減らす。ただし、このレビューでは研究間の結果のばらつきが大きく、長期の体重効果を判断する情報は足りなかった。[3]
約235 kcalと295 kcalは、どちらかが間違いだから違うのではない。採用する研究や比較のまとめ方が異なる分析の値である。[1][3] ここで強く支持されるのは、提供する量が、食べる総量に影響しうるという方向である。[1][3]
では、量の影響は食欲を抑えられない人だけに起きるのか。成人111人を対象とする3つの無作為化比較試験のデータをまとめた分析では、通常の大きい量、約75%の量、約50%の量で昼食を比較した。性別、体重、感情に反応して食べる傾向、残さず食べる傾向、自己制御などを調べても、量を減らした効果を安定して変える参加者特性の証拠は見つからなかった。多数の参加者で摂取量が減った。[6]
参加者には男性55人、女性56人が含まれ、体格指数は19〜42の範囲だった。体格指数は体重と身長から体格を表す指標である。提供量を減らしても摂取量が変わらない人より、摂取量が一貫して減る人のほうが多かった。[6] 「自分は意志が弱いから大盛りに反応する」と決めつけるより、盛り付けも食事を構成する条件だと捉えるほうが、実験の結果に近い。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
自分でよそっても、提供量の影響は残る
量を変えた古典的な実験では、標準体重と過体重の男女51人が、週に1回、4週間にわたって昼食を取った。主菜はマカロニとチーズの料理で、提示された量は500、625、750、1000 gだった。最も大きい量では、最も小さい量に比べて摂取エネルギーが30%多かった。[7] 提供量の増加に対して、食べた量の増加は30%だった。料理を用意した量と実際に食べた量を別々に測ることで、この差が見える。[7]
この実験には、料理を皿に載せてもらう条件と、提供された料理から自分で皿によそう条件があった。量の影響は、誰が盛り付けるかによって変わらなかった。[7] 大皿にたっぷりある料理からよそう場面も、提供量という条件の内側にある。
家庭の夕食に置き換えるなら、最初に個人の皿へ載せる量だけでなく、食卓に置く全体の量を見てみるという応用が考えられる。自分でよそう方式でも提供量の影響が残ったという結果を、配膳の見直しに使う提案である。[7] 家族の人数や好みが違えば、必要な料理も変わる。
この昼食実験では、性別や体格指数、食べる量を抑えようとする傾向、抑制が外れて食べる傾向によっても、提供量への反応は変わらなかった。[7] 盛り付ける人と食べる人の特性の両方を調べた点が、この実験の特徴である。
複数日にわたる実験では、32人の成人が、食事と飲み物の量を通常の100%、150%、200%に変えた条件を経験した。同じ参加者が条件を替えて比較する、無作為化クロスオーバー試験である。量を50%増やすと1日の摂取量は16%増え、倍にすると26%増えた。この増加は連続する2日間で続いた。[9]
量を50%増やした条件での差は、女性で335 kcal、男性で504 kcalだった。倍の量では、女性で530 kcal、男性で812 kcalだった。[9] この実験では、大学の地域社会から参加者を募り、各週の連続する2日間、主な食事を管理された場所で食べ、間食も渡された。毎週同じ献立を用い、料理と飲み物の提供量を変えていた。[9]
大きく盛ると、満腹だから後で必ず帳尻を合わせる、という期待は、この2日間の結果では満たされなかった。[9] 観察は連続する2日間であり、長期の体重変化は別の問いになる。量の実験を読むときは、測った食事と測った期間を数字と一緒に覚えておきたい。
皿を小さくするだけでは、料理は減らない
食器の大きさを操作した研究を集めたメタ分析では、8報の論文に含まれる9実験が対象になった。多くの実験で、小さい食器と大きい食器の摂取量に有意な差はなかった。全体の標準化平均差は−0.18、95%信頼区間は−0.35〜0.00で、効果は小さく、研究間のばらつきも大きかった。[8] 有意差がないとは、少なくともそのデータから明確な差を確認できなかったという意味である。
皿の変更だけで誰もが食べる量を減らせると勧める根拠としては弱い。このレビューも、食器サイズが摂取量に一貫した効果を持つとは示されていないとしている。[8] 盛り付けの量を減らしたメタ分析の結果と、ここを混同しないことが大切だ。
量の調整に使う道具を広く検討した別のレビューでは、36報を分析し、そのうち28報をメタ分析に用いた。小さいボウルやスプーン、目盛りや区分のある食器などを含めた道具全体では、食物摂取量への効果量は−0.22だった。一方、小さい皿だけでは−0.03、95%信頼区間は−0.12〜0.06で、明確な効果は確認されなかった。[5]
ここでいう道具には、料理をすくうものと、載せるものと、量の目安を示すものが含まれる。[5] 食器売り場では同じ棚にあっても、介入としての働きは同じではない。レビュー全体の良い結果を取り出して「小皿の効果」と呼ぶと、対象をすり替えてしまう。買い替えるなら、道具の名前より、実際の盛り付けに何を変えたいかを先に考えたい。
成人を対象にした3つのクロスオーバー実験でも、皿を小さくしたことによる摂取量の有意な低下はなかった。料理を大皿から取る実験、同じ量を異なる皿に載せる実験、複数の料理から選ぶ実験が行われた。食べ放題の条件では、小さい皿を渡された参加者が料理を取りに行く回数を増やした。[12] 皿の容量は小さくても、足は料理の場所へ戻れる。
数字で読むポーションサイズ
14研究の統合では、小さい提供量で1日の摂取量が約235 kcal少なかった。体重の減少量ではない。[1]
成人の無作為化比較試験の24比較では、大きい提供量で1日295 kcal多かった。95%信頼区間は202〜388 kcalだった。[3]
男女51人の昼食実験では、最大の提供量で摂取エネルギーが30%多かった。単一の料理での比較である。[7]
小さい皿だけの効果量は−0.03だった。95%信頼区間は−0.12〜0.06で、明確な差は確認されなかった。[5]
若い女性24人の試験では、提供量を25%減らすと摂取量が10%減った。連続する2日間の結果である。[19]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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