ソイプロテインは糖質も一緒なら筋肉に有利?インスリンの反応から考える

ソイプロテインに糖質を足すと筋肥大に有利なのか。インスリンの上昇、筋肉内の合成の合図、短時間のたんぱく質合成、長期の筋肉量を分け、人の比較試験と動物実験から考える。糖質だけの食事との比較が何を示すのか、運動帰りの補食を選ぶ前に確かめたい条件も整理する。

シェーカーの横のおにぎりは、筋肉のために必要なのか。ソイプロテインを水で溶かしたあと、食べ合わせが気になった。「インスリンが出たほうが筋肉にいい」という話を思い出すと、糖質を足さない一杯が急に頼りなく見えてくる。

答えの芯は、インスリンが上がることと、筋肉が長期に増えることを同じ成果として扱わないことである。糖質とソイを組み合わせた動物実験では筋たんぱく質合成が促されたが、人の筋肥大に対して糖質追加が必要だと決める証拠にはならない。[2][5]

既存記事「空腹有酸素前プロテインは糖質ゼロなら同じ?インスリンと脂肪利用のずれを読む」は空腹時の脂肪利用に問いを譲る。ここで考えるのは、ソイに糖質を添える判断を、食後のインスリン反応だけで決めてよいかという問題である。既存記事「ソイプロテインでお腹が張るのはなぜ?たんぱく質と残る糖質を分けて考える」が扱う糖質と腸の不快感の論点にも踏み込まず、筋肉への反応に焦点を絞る。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

インスリンの上昇は、筋肉が増えた量ではない

まず、食事のあとに何を測ったのかを分けたい。健康な人を対象にした小規模な無作為化試験では、じゃがいも、パスタ、米を単独で食べる場合と、ソイまたは羊肉のたんぱく質を組み合わせる場合を比較した。参加者は15人で、たんぱく質量や脂肪の条件をそろえた食事である。どちらのたんぱく質を加えた食事も、主食だけの食事より食後の血糖反応を下げ、インスリン反応を高めた。健康な参加者の食後反応を、18〜39歳の女性の筋肥大へそのまま当てはめることはできない。[6]

この結果で目を止めたいのは、血糖とインスリンが同じ方向へ動いていない点だ。「血糖が低めだから、インスリンも低いはず」とは読めない。ソイと羊肉の差は小さく、血糖反応の差も一貫して有意ではなかった。研究の中心は、どちらの原料が勝つかより、主食だけの場合とたんぱく質を含む食事の場合の違いにある。[6]

ただし、この比較の出発点は主食である。主食にソイを加えた結果を、ソイに主食を加えたときの筋肉への上乗せ効果として読み替えることはできない。レジ袋には同じ食品が入っていても、研究で問うた差は別である。追加する側の食品を確かめることは細かな言葉遊びではない。普段すでにソイを飲んでいる人と、主食だけを食べている人では、試験結果を持ち帰る出発点が異なるからだ。ここを逆向きに読むと、「糖質と一緒なら反応した」が「糖質を加えなければ筋肉に使われない」に変わってしまう。[6]

インスリン反応は、この食後の比較で測られた項目のひとつだ。筋肉量や筋力という長期の成果は別の試験で確かめる必要がある。成人の長期比較をまとめたメタ分析では、主としてソイからなる植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の補給で、除脂肪量や筋力に統計的な有意差はなかった。食後の採血で差を見つけることと、継続後の体の差を見つけることは同じ仕事ではない。[8]

運動後の買い物で知りたいのは、しばしば「今の食べ方を変えると、練習の成果がよくなるか」である。それに対して、食後のインスリンがどう変化したかという試験は、問いの一部に答える。測った項目を言い添えずに「筋肉に有利」とだけ書くと、採血の結果がいつの間にか筋肉量の結果になってしまう。[6][8]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

糖質とソイの実験は、比較相手から読む

糖質との組み合わせを直接扱った研究として、雄ラットが持久運動のあとに食事をとった実験がある。運動はトレッドミルで2時間、その後の食事は糖質のみ、糖質とソイ、糖質とホエイに分けられた。運動後1時間の筋肉では、ソイとホエイを含む食事のどちらも、糖質だけの食事より筋たんぱく質の合成率を高めた。雄ラットの結果が18〜39歳の女性にも当てはまるかは、人で検証する必要がある。[5]

合成率とは、ここでは筋肉のたんぱく質が作られる速さを表す測定値である。ソイでもホエイでも糖質だけより高まったことは、「ソイでは合成を促せない」という一律の見方と合わない。ただし、対象は運動したラットであり、人が筋トレを続けたときの筋肉量そのものではない。この実験は持久運動後の早い反応を調べた研究として読むのが正確だ。[5]

さらに、食事の分け方が重要である。糖質だけと糖質にソイを加えた食事の比較から分かるのは、糖質を含む条件でのソイ追加の違いだ。ソイだけを飲んだ場合に糖質を追加すると、どれほど合成が変わるかという比較とは異なる。「ソイと糖質の組み合わせがよかった」という短い紹介文では、この向きが抜けやすい。[5]

同じ実験では、ソイ群とホエイ群で血中アミノ酸の様子や筋肉内の合図も同一ではなかった。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分であり、ホエイ群ではソイ群よりロイシンとイソロイシンが高かった。一方、筋たんぱく質合成全体と合成開始に関わる反応は、両たんぱく質で同程度に促されたと報告された。途中の数字の大小だけで最終の順位を決められない具体例である。[5]

別のラット実験では、ソイ、アミロペクチンという糖質、クロムを組み合わせた補給が検討された。35匹を5群に無作為に分け、運動だけ、運動とソイ、運動とソイとクロム、さらにアミロペクチンを組み合わせる群などを比較した。組み合わせた補給では合成率、インスリン、グリコーゲンなどが増え、もっとも大きな反応は全成分を組み合わせた群で観察された。ラットでの成分の組み合わせの効果を18〜39歳の女性へ直接移すことはできない。[2]

これは複数の成分を段階的に組み合わせた実験である。ソイと糖質だけを日常の食事で組み合わせれば、人の筋肉が同じように増えるという話には直結しない。クロムも含む条件の結果を、コンビニで主食を足す理由としてそのまま使うのは飛躍だ。実験の組成と生活の献立を並べ、同じところと違うところを残して読む必要がある。[2]

この研究は、筋たんぱく質を作る側の経路に加え、分解に関連する経路も調べている。たんぱく質を作る反応と分解に関わる合図の変化が報告された点は、仕組みを考える材料になる。ただ、その合図の変化を人の筋肉が増えた重量として表すことはできない。仕組みへの手がかりを、人への摂取指示まで一気に進めないことが大切だ。[2]

筋肉内の合図と実際の合成も分けて考える

筋肉の研究では、mTORという、たんぱく質合成を調節する経路が登場する。その働きに関わる物質のリン酸化、つまり分子にリン酸が付く変化を測り、食事に筋肉がどう応じたかを見る研究がある。人を対象にした朝食の比較でも、この経路の反応が検討されている。[4]

中年男性20人の無作為化クロスオーバー試験では、健康な男性10人とメタボリックシンドロームの男性10人が、乳たんぱく質中心の朝食とソイ中心の朝食を順序を変えて食べた。クロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を経験する比較方法だ。食事のエネルギーをそろえ、食前と食後2時間、4時間に筋肉を採取して合図の変化を調べた。中年男性の結果が18〜39歳の女性にも当てはまるかは、この比較だけでは判断できない。[4]

乳中心の朝食のあとには、mTORとその下流にあるリボソームたんぱく質S6のリン酸化が増えたが、ソイ中心の朝食では同じ増加はみられなかった。また、別の合図であるp70S6Kのリン酸化は、健康な群では食後に増えた一方、メタボリックシンドローム群では増えなかった。食事の原料だけでなく、対象者の状態によっても反応が違ったのである。[4]

ここで「ソイは筋肥大しない」と結論するのは早い。測られたのは中年男性の混合朝食に対する筋肉内の合図であり、継続した筋トレ後の筋肉量ではない。先ほどのラット実験でも、ホエイで一部の合図がより強く反応した一方、合成全体の反応はソイと同程度だった。合図は役立つが、すべての成果の代役にはならない。[4][5]

培養したマウスの筋細胞を使った研究では、消化を模した処理後の各種たんぱく質が、合成に関わる経路をどれほど刺激するかを比較した。大豆、乳、魚など、原料でまとめた群の間に統計的な有意差はなかった。また、ロイシン量や分岐鎖アミノ酸の合計量だけでは、経路の活性を予測できなかった。培養したマウスの細胞での反応を、18〜39歳の女性が食事をとった際の効果と同一視はできない。[3]

この細胞実験の反応は、最大のインスリン反応を基準に割合で表された。これは測定の物差しであって、人が飲んだあとのインスリン分泌量を表す割合ではない。同じ「インスリン」という語でも、食後の採血と細胞実験の基準では役割が違う。数字を引用する前に、何を基準として何を測った値かを読むと、宣伝文句から少し距離を置ける。[3]

数字で読むソイと食後の反応

15人:主食だけと、ソイまたは羊肉のたんぱく質を加えた食事を比較した人の試験の参加者数である。[6]

2時間:糖質、ソイ、ホエイを比べたラット実験で、食事前に実施した持久運動はこの長さだった。[5]

35匹・5群:ソイ、アミロペクチン、クロムの組み合わせを調べたラット実験の規模である。[2]

20人:乳中心とソイ中心の朝食に対する筋肉内の合図を調べた、中年男性の比較試験に参加した人数を示す。[4]

18試験・1,893人:植物性と動物性のたんぱく質補給を長期に比較したメタ分析の規模である。[8]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約