運動前のサンドイッチはつぶすと楽に噛める?パンの密度と口に残る時間を読む

運動前のサンドイッチを薄くつぶせば、急いで食べても楽なのか。パンの圧縮、気泡、水分の入り方、唾液と噛む動きを調べた研究から、見た目の小ささと口の中での扱いやすさを分けて考える。運動の準備を急ぐ日に、パンの種類やひと口の取り方を見直すための視点を示す。

運動着を詰めたバッグからサンドイッチを出すと、包みの中でパンが平たくなっている。これなら早く食べられそうだ、と包みを開く。厚みが減ったことと、口の中で楽にまとまることは同じなのだろうか。

つぶしたパンは、噛み始めにかえって硬くなることがある。白パンを扱ったロボット咀嚼の研究では、圧縮によって初めは硬さが増し、その後に徐々に軟らかくなった。薄さと噛み始めの軟らかさは、別に確かめたい性質である。[1]

運動前に軽く食べる場面では、厚みだけを頼りに口へ運ぶ速さを決めないことが大切だ。ここでは補食の栄養量や食べる時刻の正解ではなく、パンを押すことで変わる構造と、噛んで飲み込むまでの扱いやすさを考える。耳と満腹感の問いは既存記事「朝の食パンは耳を残すと満腹感が違う?噛む時間と補食の判断を分けて考える」に譲り、今回は平たくなったパンの中へ進む。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

薄くなることと、噛む負担が減ることを分ける

サンドイッチを押すと、包みやすさや持ちやすさは変わる。ただし手で持った感触だけでは、噛み始めの硬さ、口の中での付着、飲み込む前のまとまりまで見通せない。白パンのロボット実験では、硬さだけでなく付着力や凝集性も調べられている。付着力はくっつく性質、凝集性はまとまりを保つ性質を表す指標であり、それぞれに影響する条件が違った。[1]

この研究は、人が飲み込むまでに要した咀嚼回数を先に調べ、その過程をロボットで再現した実験である。奥歯の動く軌道、噛み合わせる力、人工唾液の流量を変えながら食品の変化を測った。白パンでは圧縮に伴う初期の硬化に続いて軟化が起こり、付着力には唾液の分泌条件、凝集性には噛む軌道の影響が強かった。[1]

つまり、手でつぶす工程と、口の中で噛む工程は異なる。パンを押して厚さを減らしても、その後の口の中では水分が入り、噛む力が加わり、食べ物の状態が変わり続ける。圧縮した時点の見た目から、飲み込める状態までを一直線につなぐことはできない。[1]

ただし、この結果をそのまま弁当箱のサンドイッチに置き換えるのも早い。研究で扱った白パンの変化は、限られた均質な参加者から得た条件を使うモデルである。人の口の働きを手がかりにした実験ではあるが、具のあるサンドイッチを各自が食べる状況とは条件が異なる。18〜39歳の女性が日常で食べる際にも同じ変化を示すかは、このモデルだけでは判断できない。[1] 朝の台所で採用したいのは「強く押すほどよい」という新しい決まりではなく、薄さ以外にも見る場所がある、という視点だ。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

気泡の多いパンは、水分の通り道まで違う

パンの中の穴は、単に空いている場所ではない。バゲットの内部構造と吸水を調べた実験では、気泡の多さだけでなく、細かな空間のつながりが水の入り方に関係していた。多孔性とは内部に空間を持つ性質であり、パンの白い内側にもその構造がある。[6]

この実験は、構造や配合が異なるフランスパンを用い、吸水の変化を連続的に測ったものだ。さらに吸水前後の内部を画像で調べた。気泡が最も多い工業製法のバゲットは、より密なほかのバゲットよりも水を取り込む速度と容量が大きかった。ただし、気泡の割合だけでは吸水の挙動を十分に予測できなかった。[6]

注目されたのは、直径2 mm以下の小さな空間が関わる毛細管作用である。毛細管作用とは細い隙間に水が引き込まれる働きであり、こうした空間が多数存在してつながることが、吸水の時間や容量に影響する可能性が示された。[6] 大きな穴が目立つパンを眺めるだけでは、水の通り道の全体は分からない。

サンドイッチをつぶす前後で穴の形が変わったとしても、「密になったから必ず水を吸いにくい」「薄くなったから必ず早く湿る」と片づけるのは難しい。吸水には微細な構造が関係し、気泡の割合だけでは決まらないからだ。[6] この研究を使うなら、密度を単独の判定札にしないという読み方が適している。

また、水を取り込む実験の速さは、胃の中で消化が終わる速さと同じ測定ではない。[6] 運動の直前に気になるのはお腹の具合かもしれないが、パンが湿る様子から、運動までに必要な待ち時間を計算することはできない。手で押した感触、口で噛む過程、食後に感じる状態は、観察する場面を分けて扱いたい。

噛む時間は硬さと内部構造の組み合わせで変わる

トーストしたパンを比べた食品実験は、食感と噛む時間をもう少し直接につないでいる。似た材料を使いながら質感や構造が異なる市販のトーストパンを選び、機器による測定と人による評価を組み合わせた研究だ。総咀嚼時間、飲み込むまでの回数、噛む頻度、ひと口の量も調べている。対象はトーストパンとそれを評価する人であり、18〜39歳の女性のサンドイッチの食べやすさへ直接当てはめるには、食品と食べる条件の違いを考慮する必要がある。[2]

結果として、硬い試料では咀嚼時間と噛む回数が多く必要だった。一方、内部の気泡の面積が大きい、開いた構造を持つパンでは、必要な咀嚼が少なかった。パンの種類によって、噛んでできた食べ物のかたまりの性質にも違いがあり、内部の硬さが低い白パンは、より凝集性の高いかたまりを作った。[2]

ここで面白いのは、測定機器では硬さ、切断に必要な力、気泡の程度に差があったのに、評価者はパンの違いを感覚で見分けられなかった点だ。[2] 手に取ったときに「どれも似たパン」と思えても、噛む時間や回数には差が生じた。棚での第一印象と、口の中で過ごす時間にはずれがある。

研究ではトーストを使い、水分量の違いが評価に与える影響を取り除こうとしている。[2] そのため、この結果から具の水分を含んだサンドイッチの順位表を作るのは適切ではない。硬さと気泡の構造が咀嚼に関係することを読み取り、乾いたトーストと湿ったサンドイッチを同じ条件だと考えないことが肝心だ。

仕事帰りの軽食選びで応用するなら、「軟らかそうだから早く食べ終わるはず」と先回りせず、自分が噛んだときのほどけ方や、口に残る感じを確かめる。これはパンの優劣を決める話ではない。急ぐ日に見た目だけで食べ方を速めないための、観察する項目の話である。

硬さを測ることと、人が噛んでいる時間を測ることにも違いがある。機器がパンを押す測定なら、決めた動作に対して食品がどう応じるかを見る。一方、人が食べる測定なら、噛む回数、動きの速さ、ひと口の取り方が重なった結果を見ることになる。トーストの研究が機器測定だけでなく、総咀嚼時間や回数、食塊まで調べたのは、食べ始めと食べ終わりの間にある過程を捉えるためである。[2]

例えば、硬いパンを噛む回数が多かったとしても、それはすべての人が同じ回数を必要とするという意味ではない。総時間と回数は別々に測られ、さらに噛む頻度も評価されている。[2] 家で試す際にも、回数を競うより「口の中に長く残った」「噛み始めに力が要った」と感想を分けたほうが、自分が何を食べにくいと感じたのかを整理しやすい。

もうひとつ区別したいのが、焼き方によってできた構造と、食べる直前に手で押してできた形である。吸水の研究は製法や配合が違うバゲットを比較し、トーストの研究はパンの種類による構造の違いを比べている。[2][6] ふだんのサンドイッチを押す操作だけを同じ条件で比較した試験として読むことはできない。違う製法のパンの結果を、そのまま手のひらの圧力の効果へ置き換えないようにしたい。

この区別は、パンを選ぶ場面でも役立つ。いつもの食パンと別のパンを買って比べ、片方だけを強く押したなら、感じた差にはパンの種類と押し方の両方が重なっている。具や焼いた状態まで違えば、どの変更が自分の感想につながったのか、さらに見分けにくくなる。家庭で厳密な実験をする必要はないが、「つぶすとよかった」という短い感想の隣に、何を食べたかを書いておく意味はある。

また、実験で変化が報告されたことと、日常で感じる差がどのくらい大きいかは別の問いである。トーストでは機器が捉えた差を評価者が感覚で区別できなかった。[2] 測定できる差を、誰にでもはっきり分かる差として語らない姿勢が必要だ。逆に、自分には気になる口への付着があれば、ほかの人が気にしないからといって、その感覚を消す必要もない。

運動前の買い物で使う判断は、もっと小さくてよい。気に入ったパンを、落ち着いて食べられる予定に入れられるか。口の中で扱いにくい日は、つぶす強さを増やして解決しようとしていないか。食品の構造を調べる研究は、選択肢を順位づけするより、こうした見直しの理由を与えてくれる。平たくなったサンドイッチを見て「準備完了」と決める前に、自分が実際に食べる過程へ目を戻すのである。

数字で読むパンの構造と咀嚼

4種類のトーストパンを比較した実験では、硬い試料ほど咀嚼時間と回数が多く、開いた内部構造の試料は少ない咀嚼を要した。[2]

4種類のフランスパンの吸水実験では、内部構造や配合によって水の取り込み方が異なった。[6]

直径2 mm以下の小さな空間が、毛細管作用によるパン内部への吸水に強く関わっていた。[6]

8人が参加した香りの実験では、同じ原材料で作った3種類のバゲットについて、口の中での変化を比較した。[5]

ロボット実験では、飲み込むまでの咀嚼過程を0%、25%、50%、75%、100%の段階で調べ、白パンでは初期の硬化に続く軟化が観察された。[1]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約