ダイエット中の水で体重が増える日、飲んだ量と体内に残る量はどう違うのか

ダイエット中、水を飲んで体重が増えると太った気がする。だが飲んだ量、尿として出た量、体内に残る量は同じではない。運動後の補水試験や減量研究から、短時間の水分変化と体脂肪の変化を読み分け、体重計の数字に合わせて飲水や食事を削る前に確認したい条件を考える。

帰宅して水を飲み、体重計に乗ったら、運動を終えた直後より数字が増えていた。使い終えたタオルの横で、空に近づいたボトルと増えた表示を見比べる。そこで「水でも太るのか」と検索したくなる。

答えの芯は、補水による短時間の体重変化を、そのまま体脂肪の増加と読まないことだ。運動後に飲料を比べた試験では、ほぼ同じ量を飲んでも体内に残る水分の割合が違った。一方、減量に関するレビューでは、体重や体組成の評価に体内の水分変化が影響することが指摘されている。[19][4]

水を飲んだ事実と、飲んだ後の体液収支と、脂肪が増減したかという判断を分けたい。ここで扱うのは「水で太った」と感じる日の数字の読み方であり、体重を減らすことを全員の目標にする話ではない。既存記事「ダイエットの果物は焼くと糖が増える?水分と一個分を分けて考える台所の比較」の食品の水分とは異なり、今回は飲んだ後の出入りに焦点を当てる。

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飲んだ量は、残った量の答えではない

水分の研究でいう「保持」は、飲んだ水分が観察している時間の中でどの程度体内に残ったかを見る考え方である。飲料を口に入れた量だけを調べるのではなく、尿量や体重を組み合わせて評価する。健康で活動的な男女の成人を対象にした無作為化試験でも、飲んだ後の尿と体重を追って体液の収支を検討している。18〜39歳の女性だけの結果ではなく、保持の程度をそのまま当てはめることには限界がある。[15]

ボトルに書いた目盛りが教えるのは、主に飲んだ側の情報だ。「これだけ飲んだから、明日まで全部残る」とは決まらない。反対に、トイレへ行ったから先ほどの飲水がすべて帳消しになったとも判断できない。研究が摂取後も測定を続けるのは、飲んだ瞬間だけでは比較が終わらないからだ。[15][19]

ここで体液収支とは、水分の出入りを差し引きしてみる見方である。とくに運動後の試験では、汗で失った状態からどの程度回復したかという出発点がある。普段の体重と、汗をかいた直後の体重とでは、比較の起点が違う。補水後の表示が運動直後より大きいときも、運動前を基準にした収支を別に確かめる必要がある。[19]

これは帳簿の欄を分ける作業に近い。飲水量の欄、排出の欄、測った時刻の欄を混ぜると、「増えた」という同じ言葉に別の現象が入り込む。体重計の表示を否定する必要はない。その数字が何の変化を含むのかを、飲水の前後関係と一緒に読むのである。[15][19]

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同じくらい飲んでも、補水後の収支は違った

暑い環境での自転車運動を行った大学生16人の無作為化試験では、水、スポーツ飲料、乳糖を除いた脱脂乳を比べた。参加者は各条件で体重のおよそ2%を失うまで運動し、その減少量の150%に相当する量を飲んだ。飲料の順番を無作為に変え、同じ参加者が異なる飲料を試す設計である。18〜39歳の女性の日常の飲水へ当てはめる際には、暑い環境で運動した大学生という条件の違いを考える必要がある。[19]

飲んだ量は、各条件ともおよそ同程度だった。水は1,992 mL、スポーツ飲料は1,999 mL、乳糖を除いた脱脂乳は1,993 mLである。摂取を終えてから3時間追うと、水分保持は脱脂乳で約69%、水で約40%だった。入口の量が似ていても、観察時間内に残った割合はそろわなかった。[19]

さらに重要なのは、運動前からの正味の体液収支である。3時間後の値は脱脂乳で−0.26 kg、スポーツ飲料で−0.42 kg、水で−0.67 kgだった。補水をした後でも、出発点に対しては負の値が残っている。「運動直後より体重が戻る」と「運動前より水分が余る」は同じ説明にならない。[19]

この試験で保持が高いことは、運動による水分不足から戻すという目的に沿った結果だった。「体内に残る」という響きだけで、脂肪が蓄積することや病的なむくみと結び付けるのは読み違いである。評価しているのは暑い環境での運動後の補水であり、長期の体脂肪増加を比べた試験ではない。[19]

だからといって、日常の飲み物をすべて脱脂乳へ替える結論にもならない。対象は大学生で、運動による水分喪失があり、飲む量も研究の条件に合わせて決められている。通勤の途中で飲む水、食事と一緒の飲料、運動後の補水を、同じ条件として扱う必要はない。[19]

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体内に残る量には、時刻と飲料の条件がある

別の無作為化試験は、健康で活動的で、水分状態が満たされた成人37人を対象にした。男性22人、女性15人で、平均年齢は30歳だった。グリセロールという水分保持を調べる成分と、ナトリウムの濃度を変えた飲料を用い、摂取後210分まで尿と体重を測定した。男女を合わせた結果であり、18〜39歳の女性に同じ予測値が当てはまるかは別に確かめる必要がある。[15]

この研究の特徴は、濃度と時間から体液収支を予測する統計モデルを使ったことだ。210分時点で、成分を含まない比較飲料の予測値は体重変化率−0.69%だったのに対し、ナトリウムだけを含む一定の濃度範囲では−0.58%から−0.21%だった。条件によって、水分の収支の予測が変わった。[15]

ここで小数点の差だけを持ち帰ると、かえって話を誤る。示されたのはモデルの予測であり、その予測の検証には今後の研究が必要だと研究者は述べている。具体的な濃度を家庭で再現したり、体重を操作するための飲み方へ転用したりする話には進めない。[15]

それでも、数字の見方には役立つ。水分状態が満たされた人を観察する試験と、運動で水分を失った人を観察する試験とでは、同じ「保持」でも背景が違う。前者の体重変化率と、後者の体液収支のkgを並べても、飲み物の総合順位表にはならない。単位、出発点、観察時間まで合わせて読む必要がある。[15][19]

生活の場面なら、職場で飲んだ後に量った日と、運動後に飲まずに量った日を隣り合わせにしない工夫になる。数字の上下に点数を付ける前に、いつ何をした後かを記録するという提案だ。研究の測定条件をそのまま自宅へ持ち込むのではなく、比較する条件を言葉にする考え方を借りる。[15][19]

体重と体脂肪は、同じ速さで答えが出ない

健康な成人や身体活動の多い成人、アスリートを主に扱い、過体重・肥満の臨床研究も参照する減量のレビューでは、短期の食事試験において、グリコーゲンと体内総水分の移動が体組成の推定に影響し得ることが述べられている。グリコーゲンは体内に蓄える糖の形である。とくに炭水化物を強く制限した食事を比べる場合、脂肪以外の変化を含めて評価する必要がある。対象が幅広いため、18〜39歳の女性だけに同じ変化が起こるかは、この総論から個別には判断できない。[4]

除脂肪量という言葉にも注意したい。これは脂肪以外の部分をまとめた指標であり、短い期間の推定値をそのまま筋肉の増減だけと受け取らないほうがよい。レビューは、短期試験における水分などの変化が評価に関わる点を挙げている。体重だけでなく、別の指標にも測定の前提がある。[4]

一方、過体重または肥満の高齢者90人を対象にした無作為化の予備試験は、食事介入を9か月続けた。対面でのエネルギー制限、遠隔でのエネルギー制限、食べる時間帯の制限を比べ、平均体重変化はそれぞれ−4.4 kg、−6.7 kg、−1.0 kgだった。エネルギー制限の群では脂肪と除脂肪の軟部組織の両方が減った。高齢者の結果であり、18〜39歳の女性にこの減量幅をそのまま当てはめることはできない。[14]

この結果を若い女性の目標値にはしない。対象も方法も違ううえ、体重減少の内訳を一緒に見ている研究だからだ。数時間の補水試験と、食事を続けた期間の試験が答える問いは異なる。夕方に水を飲んだ後の増加を、この長期試験の減量幅と逆向きの出来事だと考えるのは早い。[14][19]

また、研究に出てくる平均値は、自分の飲水後の予報ではない。大学生の補水試験で示された保持の割合を、そのまま自分のボトルの量へ掛けても、今日の体重変化を説明する計算にはならない。暑い環境での運動、水分を失った程度、飲む条件を含めた結果だからだ。数字を理解することと、個人の値を算出することには距離がある。[19]

成人の飲料試験でも、結果は濃度と時間を組み込んだ予測として提示されている。数字の細かさを、誰にでも当てはまる確かさと取り違えないことが大切だ。職場に置いた水筒の残量から分かることは残量であり、脂肪の変化の判断には別の評価が要る。研究が測った対象と、自分が知りたい対象を照らし合わせるところで立ち止まりたい。[15][4]

数字で読む、水分の出入りと観察時間

16人:暑い環境の運動後に飲料を比較した大学生の人数。日常生活全体の代表値ではない。[19]

約69%と約40%:乳糖を除いた脱脂乳と水の保持割合。補水後の短時間の評価である。[19]

−0.26 kgと−0.67 kg:同じ試験の脱脂乳と水の正味の体液収支。補水後も負の値だった。[19]

210分:健康で活動的な成人の飲料試験で、尿と体重を追った時間。濃度と時間を組み込んで予測した。[15]

9か月:高齢者の食事介入試験の期間。短時間の補水とは別の時間軸である。[14]

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宮川涼 Founder

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