女性の筋トレは意味ない?予定の負荷と実際に行った量から成果の読み違いを考える

女性の筋トレを意味ないと決める前に、予定した負荷と実際に行った回数・時間を照合したい。対面指導、アプリ、自主練習を比べた試験から、参加率と成果の関係を読む。続けた人だけの解析が抱える偏りや、筋力と見た目を分ける見方も示し、家で残す記録と支援の選び方を考える。

夜、運動の予定にチェックを入れた。けれど実際には、動画の途中で洗濯機が鳴り、予定していた種目を残したまま終わった。カレンダーには「筋トレ」とある。腕をどれだけ動かしたかは、その印からは分からない。

女性の筋トレを「意味ない」と決める前に確かめたいのは、予定した運動と実施した運動の差である。筋トレ経験のある男女を比べた無作為化比較試験では、同じ頻度と期間を設定しても、指導方法によって実施率と筋力の伸びが異なった。18〜39歳の女性だけの結果として使うには、男性も含む経験者の試験である点を考慮する必要がある。[16]

既存記事「女性の筋トレで体は太くなるのか 閉経後の12週で筋肉は1kg台、スクワットは30kg以上伸びた」に体の大きさの話を譲り、ここでは計画と実行の照合に絞る。毎日のスクワットの配置や、習慣を作る合図も別の問いだ。予定表の達成印を、成果を評価できる記録へ変えるには何を分ければよいのだろう。

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同じ計画でも、実際に行った割合は違う

筋トレでいう実施率は、決めた運動にどの程度取り組んだかを表す指標である。ただし、何を数えるかは研究で違う。ある研究は予定セッションへの参加を、別の研究は頻度と時間を分けて評価している。数字の横にある定義を読まなければ、同じ割合に見えても同じ運動量とは扱えない。[14][20]

指導方法を比べた試験の対象は、筋トレ経験のある男女79人で、女性は48%、平均年齢は30.7歳だった。週3回、10週間の全身筋トレを、対面で監督を受ける群、アプリで導かれる群、文書を使って自主的に行う群へ無作為に割り付けた。18〜39歳の女性の初心者にそのまま当てはめるには、性別と経験の違いを考慮する必要がある。無作為化とは、参加者の好みだけで群が決まらないよう割り付ける方法である。[16]

報告された実施率は対面群88.2%、アプリ群81.2%、文書群52.2%だった。全群が同じ期間の計画を受け取っても、実行の割合はそろわなかったのである。家の棚に置いた計画書には、実施率を自動で高める機能は付いていない。もっとも、この試験を初心者の女性だけの結果に読み替えることはできない。[16]

成果にも違いがあった。スクワットの最大挙上重量、つまり決められた動作で持ち上げられる最大の重さの増加は、対面群26.6kg、アプリ群19.2kg、文書群19.4kgだった。対面群の増加はほかの群より有意に大きかった。一方、ベンチプレスの増加は順に9.1kg、8.2kg、7.7kgで、どの群も開始時より改善していた。[16]

ここから「自主練習は無意味」とは読めない。文書群でも筋力は伸びたからだ。また、実施率が高いほど全種目で同じ割合だけ伸びるという計算にもならない。アプリ群と文書群の実施率には差があるが、スクワットの平均増加量は近い。参加の割合と成果は併記すべき情報であり、そのまま交換できる通貨ではない。[16]

対面指導は参加回数だけでなく、指導を受けるという条件も含む。この試験が比べたのは支援のある運動方法全体であって、実施率だけを単独で操作したものではない。自分の記録を見る際も、参加した日が増えたのか、同じ日の運動内容が変わったのかを分けて考えると、研究との照合が具体的になる。[16]

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出席の印だけでは、時間と負荷が抜け落ちる

運動した日を記録することと、その日に計画をどこまで行ったかを記録することは別である。この違いがよく見えるのが、慢性的な非特異的頸部痛のある女性31人を対象とした予備的な無作為化比較試験だ。平均年齢は22.7歳で、自宅での運動を遠隔支援か運動手引きによって6週間実施した。年齢が近くても患者の治療目的の運動であり、18〜39歳の健康な女性の筋トレへそのまま適用する根拠にはならない。[20]

両群とも運動頻度への遵守は良好だったが、運動時間への遵守は遠隔支援群でより良かった。痛み、生活上の支障、首の運動範囲、筋持久力は両群で開始時から改善したものの、多くの指標で群間の有意差はなかった。首を回す範囲の一部などでは遠隔支援群の改善が大きかった。[20]

この結果は、支援があればあらゆる効果で勝るという話ではない。同じ「運動した」という記録の中に、頻度では近く、時間では異なる状況があり得るという例である。首の痛みに対する運動の試験なので、二の腕の見た目に同じ効果を期待する根拠にはならない。借りられるのは、実施内容を分けて読む視点だ。[20]

たとえば、家での記録欄を「予定」「実施」「変更の理由」に分ける。予定には種目、使う重り、回数、セット、見込んだ時間を書き、実施にはその日に行った内容を残す。これは研究の効果量から算出した処方ではなく、頻度と時間を混同しないための記録案である。未実施の欄を空白にせず、途中で終わったことも書ける形にしたい。[20]

重りのある運動なら、同じ種目で同じ重りだったかも併記する。回数だけを見る記録では、軽い重りへ替えた日と同じ条件で行った日を区別できない。自分のメモに必要なのは立派な専門用語ではなく、後からその日の運動を再現できる言葉だ。予定の数字を実施欄へそのまま写すなら、帳面は整うが照合はできない。

「できなかった理由」も、性格の採点にしない。帰宅が遅れた、器具が使えなかった、痛みがあって中断した、という出来事として残す。時間が取れない日の問題と、運動中の痛みの問題は相談する内容が違う。痛みや治療中の制限がある場合は、予定を埋めるために押し切らず、運動の可否を医師に相談する。

短い自宅運動の研究は、何を成果にしたか

「まとまった時間がないから意味がない」という判断にも、対象と評価項目の確認が必要だ。在宅と出勤を組み合わせて働く、筋トレ未経験の従業員を対象とした予備的な無作為化比較試験では、ゴムバンドを使う15分の運動を週3回、4週間実施する計画が調べられた。運動方法は文章と動画で伝えられた。[18]

参加者は50人で女性41人、平均年齢は46歳だった。男女を含む中年中心の集団であり、18〜39歳の女性に同じ改善量を見込めるかは別に検証する必要がある。46人が試験を完了し、介入群の実施率は89%だった。対照群と比べた椅子からの立ち座りテストの変化の平均差は5.34回で、95%信頼区間は1.94〜8.75回。腕立て伏せテストの平均差は5.00回、95%信頼区間は3.54〜6.46回だった。いずれも30秒間のテストである。[18]

信頼区間は、推定値に伴う不確かさを読む範囲だ。この試験では身体機能のテスト成績が改善したが、それは二の腕の脂肪が減ったことや、服の袖の見え方が変わったことの測定ではない。短い運動でも調べた機能に改善があった、と評価項目を保ったまま読む必要がある。[18]

ここで対面指導の試験と比べ、「文書でも実施率が高いではないか」と感じるかもしれない。しかし、こちらは未経験の従業員の短期間のゴムバンド運動で、文章に加えて動画もある。先ほどは筋トレ経験者による全身筋トレだった。違う研究の実施率を並べても、支援方法だけの優劣を決める比較にはならない。[16][18]

また、平均差は自分に約束された回数ではない。試験の参加者が行った運動と、仕事帰りに自分ができる運動の条件を照らすための数字である。短時間という表面だけを借りるのではなく、実施した内容と、どの能力を測ったかをそろえて読みたい。鏡の印象しか見ていなければ、機能を調べた研究と話がすれ違う。[18]

運動時間の短さと、試験を続けられた人の多さも区別したい。従業員の試験で50人中46人が完了したことは、評価まで残った人数の情報である。介入群の実施率89%は運動への取り組みの情報だ。評価に来た人が予定の運動をすべて行ったとは限らず、逆に運動の記録だけでは評価を終えたかは分からない。[18]

家のノートでも「今も計画を続けている」と「各回を予定どおり実施した」を別々に確認できる。たとえば予定を変更して継続しているなら、変更後の内容で評価する必要がある。最初に書いた計画を残したまま、実施した運動だけが別物になっていないか。この照合をしてから成果を見れば、何に対する評価なのかを自分の言葉で説明しやすい。

数字で読む計画と実行のずれ

79人:指導方法を比べた筋トレ経験者の試験。女性は48%である。[16]

88.2%・81.2%・52.2%:対面、アプリ、文書による自主練習の実施率。同一試験内の比較である。[16]

15分・週3回・4週間:未経験の従業員を対象としたゴムバンド運動の計画である。[18]

67%以上:退職前後の年代の研究で、筋トレへの遵守と判定した予定セッションへの参加割合である。[14]

87%超:高齢のがん経験者の試験で報告された食事・運動セッションの遵守率。効果の保証とは別である。[6]

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宮川涼 Founder

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