有酸素運動後の食欲は体格で違う?過体重の試験から空腹と食事量を読み分ける

有酸素運動のあと、自分だけお腹が空くのは体格のせいなのか。過体重・肥満の男性を対象にした試験から、空腹感、食欲に関わるホルモン、実際の食事量、体重の変化を分けて読む。体格の異なる友人との比較や、男性の研究を女性に当てはめる際の限界も確かめ、運動日の記録に生かす。

友人と同じコースを歩き終え、靴ひもをほどくとき、自分は夕食のことを考えているのに、隣の人はまだ食べる気がしない。「体が大きいから空くのか」と考えたくなる場面だ。しかし、過体重・肥満の人を調べた試験の結果だけで、体格の違う人どうしの食欲の順位は決められない。[2][5]

有酸素運動後の空腹感は、食べた量や体重の変化と分けて扱う必要がある。過体重・肥満の若い男性の運動試験では、食欲に関わるホルモンと空腹感がともに増えた一方、体重には統計的に明確な差が認められなかった。18〜39歳の女性に同じ反応が起きるかは、この男性の試験では確かめられていない。空腹を感じたことだけで、運動が無駄になったとは判断できない。[2]

既存記事「有酸素運動でお腹が空くのは強度次第?直後の食欲と一日の食事量を分けて読む」には、強度と測定時間の問いを譲る。ここでは、研究の対象者の体格を見たとき、どこまで自分に引き寄せて読めるのかを考える。

既存記事「食欲を抑えるなら筋トレと有酸素運動のどちら?空腹感と食事量が違う研究の答え」が扱う種目間の比較とも問いを分け、ここでは研究対象の体格と、自分への当てはめ方に焦点を置く。

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対象者の体格と、体格差の比較を区別する

研究に「過体重・肥満の男性」と書かれていると、その人たち特有の反応が分かったように感じる。だが、対象をその範囲に絞ることと、別の体格の集団と比較することは違う。運動方法を比べた試験なら、主に答えているのは方法の違いである。体格の小さい人と大きい人のどちらが空腹になりやすいか、という問いにそのまま置き換えることはできない。[2][5]

たとえば、高強度の走運動と自転車運動を比べた研究には、過体重・肥満の男性が参加した。参加者全体の平均BMIは28.3だったが、その数字は対象者の特徴を示す情報だ。この研究では同じ参加者が両方の運動を行っている。比較の中心は、体格の異なる集団ではなく、同じ人が運動方法を替えた場合にある。男性で得られた結果を18〜39歳の女性へ直接当てはめるには、対象の違いが残る。[5]

ここでのBMIは体格を表す指標として登場する。研究の参加条件や集団の特徴を読む手がかりにはなるが、平均値が自分に近いという理由だけで、食欲の変化まで一致すると考えない。年齢や性別、食事の条件、行った運動も合わせて見る必要がある。実際、この試験は絶食状態の男性を対象にしており、夕食後に軽く歩く女性と同じ条件ではない。[5]

日常の友人との比較では、同じ道を歩いたという部分だけが目に入る。そのうえで体格に理由を求める前に、「研究では何と何を比べたのか」を確かめたい。対象者の説明を、体格による違いの証明へと読み替えないためである。[2][5]

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若い男性の試験では、空腹と体重は同じ方向に動かなかった

過体重・肥満の若い男性30人を対象にした無作為化比較試験では、参加者を走運動による高強度インターバルトレーニング、自重運動を組み合わせた高強度機能的トレーニング、対照の各群に分けた。平均年齢は22.6歳、平均体重は101.4kg、平均BMIは31.1だった。運動は監督下で週3回、8週間行われた。年齢が重なる18〜39歳の女性でも、男性と同じ結果になるかは別に検証する必要がある。[2]

高強度インターバルトレーニングは、研究ではHIITと表記される。もう一方のHIFTは、自重で行う複数の運動を用いた方式だ。この試験は、気の向いた日に散歩をする生活の観察ではない。運動内容を決め、介入の前後を対照群と比較した試験である。したがって、その結果をすべての有酸素運動や日常の歩行に広げる際には距離がある。[2]

興味深いのは結果の組み合わせだ。運動群では、食欲に関わるPYYとGLP-1というホルモンの血中濃度が上がり、空腹感も増えた。一方で、満腹感や食べたい欲求などには統計的に明確な変化が認められず、体重にも明確な差がなかった。体脂肪率や腹囲、心肺体力には改善が報告されている。[2]

「空腹が増えた」と「体重が増えた」は、ここでは同義ではない。また、体重で明確な差がなかったことを、体に何の変化もなかったと読むのも違う。食欲の感覚、体の大きさに関わる測定値、運動する力は、それぞれ別の結果として確かめられている。[2]

夕方に運動したあとでお腹が空くと、その日の取り組み全体を採点したくなる。だが、この試験から持ち帰れるのは、空腹だけで成否を決めないという視点だ。体重を減らすことを目標にしていない人にまで、空腹を抑えることを運動の合格条件として課す理由にはならない。[2]

研究の人数も見ておきたい。若い男性の試験では、各群の参加者は10人だった。無作為に分けた比較であっても、年齢や体格の幅広い人全体の反応まで描くには対象が狭い。「自分と同じくらいの体格」という共通点があっても、運動歴や暮らしまで重なるとは限らず、対象者に近いことと結果が再現することは区別しておく。[2]

また、この試験で体重の差が統計的に明確でなかった際の値はp=0.14だった。これは体重が増減した人の割合ではない。満腹感のp=0.48、食べたい欲求のp=0.20も、それぞれの評価についての統計値である。食欲という言葉を使った結果が並んでいても、どの感覚に差が見つかり、どれには見つからなかったかを具体的に読む。[2]

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食欲ホルモンの名前だけでは、食卓の量を予測できない

アスリートや身体活動の多い人を主眼に、運動、環境、食事と食欲ホルモンの関係を扱ったナラティブレビューでは、高強度の有酸素運動やインターバル運動が、食欲を抑える方向のホルモン変化と関連すると整理されている。グレリンの低下や、満腹に関わるホルモンの上昇を通して、食欲が抑えられるという見方である。18〜39歳の女性の日常的な運動にも同じ程度の反応があるかは、競技や活動量の条件を分けて考える必要がある。[4]

ところが、先ほどの若い男性の試験では、PYYやGLP-1が上がるのと並んで空腹感も増えていた。レビューの説明と個別試験の結果を並べると、「このホルモンが上がったから、この人は食べたくなくなる」と一直線に言えないことが分かる。食欲を採血の結果だけで代弁させるのは難しい。[2][4]

さらに、空腹、満腹、食べたい気持ちは、研究でも別々に評価されている。若い男性の試験では空腹感に変化があっても、満腹感や食べたい欲求に明確な差は出ていない。「食欲が変わった」という短い表現の中に、異なる質問への答えをまとめてしまわないほうがよい。[2]

日常なら、「胃が空いた感じがする」と「目の前の料理をもっと食べたい」は、言葉として分けて書ける。これはホルモン値を推定する方法ではなく、自分が何を感じたかを混同しないための記録案だ。空腹という見出しの下に、食事の量まで先回りして書き込まない。研究を読む際にも、測った感覚の名前を残すことが役に立つ。[2][5]

走るかこぐかを比べても、体格の順位は出てこない

別の小規模試験では、過体重・肥満の男性12人が、エネルギー消費をそろえた高強度の走運動と自転車運動を行った。平均年齢は44.4歳である。18〜39歳の女性への当てはめには、年齢と性別の両方に違いがある。運動中から回復期にかけて食欲を評価し、食事質問票で24時間の摂取エネルギーも記録した。[5]

結果は、運動方法による食欲や24時間の摂取量の違いが認められなかったというものだ。走ったほうが必ず食べたくなる、自転車なら必ず食事が減る、という方法の優劣は、この試験からは付けられない。ただし、「違いが見つからなかった」は、誰が行っても完全に同じ反応になるという保証でもない。[5]

この研究では回復期の脂肪酸化、すなわち脂肪を燃料として使う反応が運動前より高まったが、方法間の差はなかった。食欲と燃料利用は同時に測られていても別の結果である。お腹が空いた実感から脂肪の使われ方を推定したり、その逆をしたりする読み方は避けたい。[5]

この比較を自分の日程に落とすなら、運動方法の名前に食欲の運命を預けないことだ。走る日とこぐ日がある人は、何をしたかと、帰宅後にどう感じ何を食べたかを別の欄に残せる。目的は、どちらを選べば食べずに済むかを競うことではなく、自分の生活の中で起きたことを区別することである。[5]

同じ人が両方を試す方式では、参加者が違うことによる比較のずれを抑えながら、方法の違いを見られる。一方、この研究の運動はエネルギー消費をそろえている。同じ時間だけ走る場合とこぐ場合、同じ距離を進む場合の比較に、そのまま読み替えることはできない。条件をそろえた箇所も、結果を読むうえで対象者の体格と同じくらい大切である。[5]

食事量の数字が何から得られたかも確認したい。この試験は食事質問票を用いており、食欲は感覚を線上で評価する方法で測っている。感覚の評価を摂取エネルギーの実測値のように扱わず、質問票の結果を長期の体重変化のようにも扱わない。測り方を読むと、「食欲に差がない」という短い紹介の射程がはっきりする。[5]

数字で読む体格と食欲の試験

30人:若い過体重・肥満男性を対象とした無作為化比較試験の参加者数である。[2]

31.1:同試験の平均BMIであり、空腹が増える境界値を示した数字ではない。[2]

8週間:監督下での運動介入期間。運動直後だけを見た結果と混ぜない。[2]

12人:走運動と自転車運動の両方を行った、別の試験の参加者数である。[5]

24時間:食事質問票で摂取エネルギーを記録した範囲。長期の体重変化そのものではない。[5]

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宮川涼 Founder

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