プロテインを牛乳で飲むと甘さも変わる?乳糖の量と香りから一杯を読み分ける

プロテインを牛乳で飲むメリットを、甘さの感じ方から考える。同じように甘くても乳糖の量が同じとは限らず、香りや甘味料、配合で評価は変わる。牛乳・豆乳の官能評価や乳製品の研究をもとに、水割りと比べる条件、表示と好みの分け方、飲み終わりまで確かめる工夫を読む。

シェーカーに同じ粉を入れたのに、水で作った昨日は少し苦く、牛乳で作った今日は甘く感じる。替えたのは割る液体だが、口の中で変わったものは甘さだけだろうか。ここで「牛乳の乳糖が増えた分だけ甘くなった」と答えを急ぐと、香りや苦味との関係を見落とす。牛乳と豆乳を使った小規模な官能評価では、チョコレートの香りによって甘さが強まり、苦味が弱まる条件が確かめられている。[2]

したがって、牛乳割りのメリットを味の面から考えるなら、飲みやすい配合を探す余地がある。ただし、誰のプロテインでも牛乳なら必ず甘くなる、という約束にはできない。研究で比較されたのは特定の甘味料と香りを組み合わせた飲料であり、水割りのプロテインすべてとの優劣を決めた試験ではない。[2]

既存記事「プロテインはとろみが増すと甘さも変わる?口当たりと味の評価を分けて読む」には粘りの論点を譲る。また「女性のプロテインは乳糖を分解すると甘くなる?糖の量と味を分けて研究で読む」には乳糖分解の工程を譲る。こちらの問いは、牛乳を選ぶときに、成分としての乳糖と口で感じた甘さをどう区別するかである。シェーカーは計量器にもなるが、舌は成分表の代わりにはならない。[2][6]

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牛乳割りの甘さを乳糖だけで説明しない

まず分けたいのは、何が入っているかと、何を強く感じたかである。牛乳に加えた甘味料と香りを変える研究では、配合を管理したうえで人が甘さや苦味を評価している。成分を調べる作業と、感覚を測る作業を分けるからこそ、香りを足したときの変化を追える。[2]

この研究で使った甘味料は、砂糖に加え、レバウディオシドAとレバウディオシドMである。後者は強い甘さを持つ一方で、苦味や苦い後味も生じうるものとして検討された。甘い材料を入れた飲料にも、苦味や後味がある。苦味や渋味も含む組み合わせとして評価する必要がある。[2]

牛乳を足した後に「甘くなった」と感じた場合も、その言葉だけで原因を決めないほうがよい。甘味が目立ったのか、苦い後味が気にならなくなったのか、香りを含めて好みに近づいたのか。研究ではこれらを別の評価項目として扱い、チョコレートの香りによって複数の項目が同時に変化していた。[2]

家庭の一杯でも、感想を「甘い」で終わらせず、「口に入れたときの甘さ」「飲み込んだ後の苦味」「香りの好み」に分けて書くと、次に比較したいことが見える。これは糖の量を推定する方法ではない。官能評価で分けている項目を、自分の選び方にも借りる工夫である。[2]

乳糖という成分名を知っていると、それだけで説明が完了した気になりやすい。だが、ミルクコーヒーやチョコレートの配合を変えた研究でも、甘さとともに苦味、乳らしさ、滑らかさなどの時間的な印象が変わっている。乳糖だけを切り離した実験と、複数の配合が異なる製品比較は区別して読むべきである。[6]

だから、牛乳割りに替えた日に確認する順番は、まず材料と量、その後に味の感想となる。「甘く感じたから糖が多い」「甘くないから糖が少ない」と逆算するより、何を替えた結果なのかを残すほうが、研究の比較の仕方に近い。印象の強さと成分の量を、別々の記録にするのである。[2][6]

同じ「牛乳で飲む」でも、粉の香りや甘味料が違えば、研究と重なる条件は変わる。材料を確認する際には、牛乳という液体だけでなく、粉がどんな味として作られているかも比較に含めたい。牛乳と豆乳の研究で香りと甘味料を組み合わせたのは、飲料の名前だけでは感覚を説明しきれないからである。[2]

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香りを止めると消えた甘さの上乗せ

牛乳と豆乳の研究では、無香料、バニラ、チョコレートという香りの条件に、それぞれの甘味料を組み合わせた。牛乳と豆乳について各9試料を作り、豆乳は9人、牛乳は8人の評価者が調べた。大人数の食生活調査ではなく、条件を作り分けて味の特徴を見る官能評価である。18〜39歳の女性の好みにそのまま当てはめるより、この評価者が特定の試料で示した感覚の変化として読む。[2]

結果は、チョコレートの香りがレバウディオシドAとMの甘さを有意に強め、苦味、苦い後味、渋味を減らしたというものだった。この変化は牛乳と豆乳の双方で見られた。一方、バニラの香りによる甘さの増強は、チョコレートほど有効ではなかった。[2]

ここで興味深いのは、香りを足した条件だけで比較を終えなかった点である。研究者は鼻をクリップで閉じ、嗅覚からの入力を遮った条件でも同じ試料を評価した。すると甘さの増強と苦味の抑制は検出されなくなった。香りと味の相互作用が結果に関わることを、比較条件を変えて確かめたのである。[2]

この結果は、「香りのある飲料を甘く感じるのは気のせい」と片づける見方に修正を求める。嗅覚を使える条件と遮った条件で評価が異なったのだから、香りを含めた甘さは測定の対象になる。ただし、変化が何倍だったかという共通の数値を、手持ちの粉に当てはめることはできない。[2]

また、「バニラならいつでも甘さを足せる」という決め方も慎重にしたい。香りの名前だけでなく、甘味料との組み合わせ、飲料の種類まで研究条件に含まれている。今回の結果はチョコレートがより有効だったという比較であり、すべてのバニラ配合を否定する判定ではない。[2]

立川駅北口の帰り道に選んだチョコ風味を、翌朝は牛乳で作る。その一杯を好ましく感じることと、牛乳が筋肉に特別な効果を加えたと判断することは別の問いだ。この研究が測ったのは味の特徴である。口が納得した理由を、体への効果にまで広げず受け止めたい。[2]

鼻を閉じた比較は、普段の飲み方を勧めるためのものではない。香りが入る経路を変え、甘さの変化に嗅覚が関わるかを確かめる実験上の操作である。家庭で同じことを繰り返すよりも、研究が何を切り分けて確かめたのかを理解する材料として読めばよい。[2]

評価者の人数にも意味がある。牛乳の8人、豆乳の9人という数字は、広い年齢層の好みの割合を表す数字ではない。特定の試料の特徴を言葉で測るための集団である。「多くの人が牛乳割りを好む」という話に変えず、条件をそろえたときにどの感覚が動いたかを見る研究として扱いたい。[2]

豆乳の好みの研究は、牛乳との勝敗ではない

香りと甘さの関係を読む補助になるのが、豆乳の受容性を調べた研究である。市販の3種類と研究室で開発した2種類を対象に、100人の消費者が評価した。外観、におい、味、風味、口当たりなど、合計20の感覚的な特徴を整理し、好みとの関係を調べている。対象はこれらの豆乳を評価した消費者であり、18〜39歳の女性の好みにそのまま当てはめるには対象も試料も異なる。[5]

消費者には、甘い特徴やナッツを思わせる特徴、炒った大豆や加熱した大豆を思わせる風味が好まれた。甘さの評価は、ナッツ様のにおいや炒った大豆のにおい・風味と密接に関連していた。甘さが、香りから完全に切り離された評価ではないことを考える材料になる。[5]

ただし、これは豆乳の試料間でどの特徴が好まれたかを調べた結果である。香りだけを変えた前の研究とは異なり、複数の特徴が違う試料の関係を統計的に見ている。ナッツの香りを加えれば必ず甘くなる、という因果の証明として読んではいけない。[5]

さらに、牛乳と豆乳のどちらでプロテインを飲むべきかを決めた試験でもない。豆乳の消費者評価で高く評価された試料があったとしても、それを牛乳割りより優れるという結論には置き換えられない。対象の食品も、比較した組み合わせも、実際の選択とは違うからである。[5]

一方で、自分の一杯を選ぶときの視点は借りられる。甘さは好ましいのに香りが苦手、香りは好きだが口当たりが気になる、と分けてみることだ。研究でも総合的な好みと個々の項目を別に評価している。「甘いほど好き」と決めずに、好みを構成する項目を探すほうが実用的である。[5]

甘さを控えたつもりの飲料を好めなかった日に、自分の意思の問題へ話を飛ばす必要もない。食品の評価には味、におい、口当たりが並んで関わっている。どの条件なら飲みやすいかを考える場面では、材料の優劣よりも、どの感覚が合わなかったかを具体的にするところから始められる。[5]

総合的な好みと、繰り返し飲みたいかという評価も、同じ意味ではない。豆乳の研究では、再び利用したいか、人に勧めたいかも評価されていた。日常で飲み続ける候補を選ぶなら、初めて飲んだ日の面白さと、普段の飲み物として選びたい気持ちを分ける視点も参考になる。[5]

数字で読む牛乳と甘さの研究

牛乳と豆乳は各9試料。甘味料と香りを組み合わせた比較である。[2]

牛乳の評価者は8人。小規模な官能評価として読む数字である。[2]

豆乳の消費者評価は100人。香りや味と好みの関連を調べた。[5]

ミルクコーヒーなどの時間的評価は23人。続けて口にしたときの感覚を追った。[6]

乳を煮詰めた食品の消費者評価は129人。牛乳の飲料そのものとは対象が違う。[1]

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宮川涼 Founder

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