プロテインを食後のいつ飲むか迷ったら、食べ始めと食べ終わり、飲む時刻を分けて考えたい。運動後のホエイと食べる速さを調べた試験を軸に、食欲、胃の感覚、血中アミノ酸、筋肉の反応を混同せず、普段の夕食と補給を振り返る記録の作り方を読む。研究の量や待ち時間を、そのまま自分の正解にしないための記事である。
夕食の皿を流しに運び、シェーカーを手に取る。「食後に飲む」と決めたのに、急いで食べた日と、話しながらゆっくり食べた日とで、同じ予定だったのか分からなくなる。食後という言葉は便利だが、食卓で過ごした時間までは書き込まれていない。
プロテインを食後のいつ飲むべきかを、この場で一律の待ち時間にすることはできない。手がかりになる無作為化試験は、筋トレ後にホエイを飲み、その後の食事を調べたものだ。飲む順序が逆の夕食に、その間隔をそのまま当てはめるのは避けたい。[1] まず食べ始め、食べ終わり、飲み始めを別々に残す。これは吸収を高める処方ではなく、違う夕食を同じ条件だと思い込まないための記録である。
既存記事「プロテインは食事の最初に飲むと違う?運動後の胃と食欲、順番の研究を読む」には順序の比較を譲る。ここで扱うのは、食後に飲む日の食事時間と、その日の感覚をどう読み分けるかだ。運動前の一気飲みや、ソイを運動前後に配分する話とも分け、夕食が終わってからの手帳を開く。

「食後」の前に、食べていた時間を残す
食べ終わりだけを記録すると、それ以前の経過が消える。仕事帰りに弁当を急いで食べた夕食と、家族と食卓を囲んだ夕食では、食べ始めからシェーカーまでの流れが違う。どちらにも「夕食後」と書けば、手帳の上では区別がつかない。だから食事の開始と終了を分ける。時計から胃の状態は測れないが、何を起点に比べたかは明確になる。
食事時間を気にする理由は、食べる速さと実際の摂取量が、運動後のたんぱく質補給を調べる試験でも別々に測られているからだ。筋力トレーニングをしている若い男性15人の試験では、下半身の筋トレ後にホエイ飲料か糖質飲料を取り、その60分後に自由に食べられる食事が出された。[1] 食事の時計は、飲料の時計に結び付けて設定されていた。対象は若い男性であり、18〜39歳の女性の食後にも同じ反応が出るかは、この比較では判断できない。[1]
この設定で比べたのは「ホエイを先に飲んだ場合」と「糖質を先に飲んだ場合」である。食事の後にホエイを追加する場合や、夕食の開始時と終了時に飲む場合の勝負ではない。[1] 数字だけを持ち帰って「食後も同じだけ待つ」と決めると、研究の条件から離れてしまう。研究の時計は、前後の向きまで含めて読む必要がある。
普段の記録には、食べ始めと食べ終わりに加えて、食事が慌ただしかったか、途中で席を立ったか、といった場面を短く添えるとよい。これは食べ方を採点する欄ではない。電話に出ながら食べた日を、落ち着いた夕食と無理に並べないための補助だ。「遅く食べられなかったから失敗」と書く必要はない。時計は反省文より、出来事の順序を残すのが得意である。
また、記録の起点を運動終了にするのか、食事終了にするのかも先に決めたい。帰宅までの移動がある日は、運動後と食後が同じ意味にならない。研究でも筋トレ、飲料、食事は順に配置されていた。[1] 手帳でもそれぞれを別の出来事として残せば、「運動後すぐのつもりだった」という曖昧さをほどける。予定と実際が違った日は、その違いごと記録にできる。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
食べる速さが下がった試験を、食後へ移し替えない
先ほどの無作為化二重盲検試験では、参加者の平均年齢は21歳で、普段から筋トレをしている男性だった。運動後5分以内に飲むホエイのたんぱく質量は平均23.9 g、比較する糖質飲料の糖質量は平均26.5 gである。飲料はエネルギー量と容量がそろえられていた。[1] 若い男性の運動直後を調べた試験なので、18〜39歳の女性の夕食後に同じ量や結果を当てはめるには条件が違う。[1] 飲料のエネルギー量と容量をそろえた点が、この試験の読みどころだ。
その後の食事の平均摂取エネルギーは、ホエイ条件で3742 kJ、糖質条件で4172 kJだった。平均の食べる速さも、ホエイ条件では339 kJ/分、糖質条件では405 kJ/分と低かった。摂取量の差は統計的に有意で、速さの差も有意だった。[1] ここでいう速さは、口を動かす回数ではなく、時間当たりに取ったエネルギーとして表されている。
したがって、この値から「よく噛む回数」を決めることはできない。また、速さの変化と摂取エネルギーの変化には関連が見られたものの、ホエイが食べる速さだけを通じて食事量を減らしたと断定する段階でもない。研究者は、食べる速さの低下が一部を説明する可能性を示している。[1] 一緒に変わった指標と、変化を起こした原因は、同じ言葉で扱わない方がよい。
平均の周囲にどれくらいばらつきがあるかも見たい。食事の摂取エネルギーはホエイ条件で3742±994 kJ、糖質条件で4172±1132 kJと示されている。食べる速さも、それぞれ339±102 kJ/分、405±154 kJ/分だった。[1] 平均値の差があっても、参加者全員に同じ差が出るという意味ではない。家庭の夕食で平均値を目標にするより、誰のどの場面を測った数字かを確認する方が、この問いには役立つ。
飲料をそろえていても、参加者が感じる味や質感は完全には同じではなかった。ホエイ飲料は、よりクリーミーで濃く、好ましさや甘さ、爽快さは低いと評価された。[1] 飲料の名前だけを見て、食卓での体験まで同一だったと考えないことも大切だ。自分の記録で味、濃さ、飲み物の量まで一度に変えれば、飲む時刻だけを比べるつもりが、別の飲料を比べる話になる。
さらに、食事量が減ったという結果は、食事を減らす目標を全員に渡すものではない。運動後に夕食をしっかり食べたい人にとっては、次の食事がどうなったかも気になるはずだ。研究の結果を読むときは、「少なかった」を自動的に「よかった」に置き換えない。補給の目的が食事を補うことなら、飲んだ量と同じくらい、その後や前後の食事をどう取れたかを残す意味がある。[1]
空腹感、胃の重さ、吸収は別の欄にする
食べる量に差が出た試験で、主観的な食欲の測定には条件と時間の交互作用が認められなかった。[1] 難しく見えるが、要点は、実際の摂取量の結果と、本人が答える食欲の結果が同じ形でそろったわけではないことだ。食欲を尋ねることには意味がある。ただし、その返事だけで食事量の変化まで言い切ることはできない。
食後の手帳では、「食べたい感じ」と「胃が重い感じ」を別の言葉で残したい。そこに「吸収が悪かった」と結論まで書き込むと、感覚の記録が体内の測定に化ける。空腹を感じなかったという出来事はそのまま残せばよく、たんぱく質が使われなかったという判定を足す必要はない。本人の感覚と、血液や筋肉を調べる研究の指標は、まず別の欄に置く。[1][20]
若い健康な女性15人を対象とした無作為化クロスオーバー試験では、菜種由来のカノーラたんぱく質とホエイなどを、それぞれ20 g飲んだ後の血中アミノ酸を5時間追っている。[20] クロスオーバーとは、同じ参加者が別の条件も経験する比較方法である。アミノ酸はたんぱく質の材料で、この試験は飲んだ後に血液中へ現れる経過を測っていた。[20]
ホエイでは未加工のカノーラたんぱく質より血中アミノ酸が速く上昇した。一方、加工の違いによって上昇の速さが変わっても、観察した5時間全体の総アミノ酸の増加面積には、条件間で有意差がなかった。[20] 「早く上がる」と「観察期間全体で多い」は、違う問いである。この区別をしておくと、食後に軽く感じたから速く吸収された、という飛躍にも気づきやすい。
ただし、これは食後の胃の重さを比べた試験ではない。若い女性の研究だからといって、同年代の読者の夕食へ、結果を丸ごと移せるわけでもない。[20] 持ち帰りたいのは、体感、血中濃度、その時間経過を分ける読み方だ。手帳に書く主観は主観として価値がある。専門的な言葉を付け足さなくても、繰り返す場面を誰かに説明する材料になる。
数字で読む食後の補給を考える条件
15人:運動後のホエイと、その後の食事量・食べる速さを比べた若い男性の人数。[1]
60分:その試験で、運動後の飲料から食事までに置かれた間隔。食後の推奨待ち時間ではない。[1]
339対405 kJ/分:ホエイ条件と糖質条件で測った、その後の食事の平均摂取速度。[1]
20 g:若い女性の血中アミノ酸試験で使った各条件のたんぱく質量。個人向けの指定量とは区別する。[20]
5時間:同試験で血中アミノ酸を追った期間。速い上昇と全体の増加面積を読み分ける枠である。[20]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
1
2







