ホットヨガ後の湯船は熱さを足してよい?運動の前後で変わる体温と心拍を読む

ホットヨガ後に湯船で休むつもりでも、温浴は体温や心拍をさらに上げる場合がある。温浴と運動を比べた研究、運動の前後に入浴した試験から、追加の熱と回復の違いを読む。研究の温度や時間を家庭の目標にせず、帰宅後の入浴をどう考えるか、体の熱さと気分を分ける視点を示す。

浴槽のふたを開けると、湯気が顔に触れる。汗を流して、湯船でようやくひと息。ホットヨガを終えた夜なら「運動は済んだ。あとは休むだけ」と考えたくなる。しかし、脚を動かさず湯に浸かっていても、体温や心拍は上がりうる。湯船は椅子と同じ休息ではない。[9]

ホットヨガ後の湯船は、熱さを足せば回復が進むと考えず、追加の加温として選びたい。暑い環境での運動後に温浴を加えた試験では、運動だけで終えた条件より、その後の深部体温が高かった。深部体温とは体の内部の温度を指す。動くのをやめた時刻と、熱を加えるのをやめた時刻は別である。[16]

既存記事「ヨガのクールダウンはすぐ座ってよい?運動後の脚と血液の戻り方を読む」には姿勢と脚の働きの話を譲る。ここで考えるのは、温まった体に湯船の熱を重ねる意味だ。暑さへの慣れを作る話も「ホットヨガの暑さへの慣れは入浴でも得られる?運動後の温浴と比べて読む」に譲り、今夜の運動前後で、体温と循環に何が起こるかに絞る。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

湯船で動かなくても、心拍は上がる

温浴と運動を比べた研究として、中年で過体重または肥満のある男女を対象にした試験がある。女性15人、男性10人が、胸の中央まで浸かる40°Cの温浴と、自転車運動を、それぞれ30分、無作為の順序で別の日に行った。自転車の強さは最大心拍数の60〜70%である。入浴の後に運動した試験ではなく、異なる日にそれぞれの反応を比べた試験だ。中年の男女の結果であり、18〜39歳の女性のホットヨガ後に同じ変化が出るかは、この比較では判断できない。[9]

深部体温の上昇は温浴で0.91±0.32°C、自転車で0.72±0.29°Cだった。心拍数の増加も温浴で33±14拍/分、自転車で25±12拍/分と、温浴の方が大きかった。動かない条件の方が、これらの指標では変化が大きい。運動量を脚の忙しさだけで数えると、湯船で加わった負荷を見落とす。[9]

この比較が示すのは危険度の順位ではなく、体温と心拍の変化である。比較した運動の強さ、温浴の温度や深さ、対象者が決まっているからだ。研究が示すのは、この条件では温浴にも相応の体温・心拍の変化があったこと。若い女性のホットヨガ後に同じ増加幅が出るという予測ではない。[9]

血圧の動きも心拍と同じ向きではなかった。温浴後の収縮期血圧は平均5.7mmHg、拡張期血圧は9.2mmHg下がり、自転車後より低下が大きかった。収縮期は心臓が血液を送り出すとき、拡張期はその合間の圧力である。脈が速くなることと、血圧が上がることを同じ現象として扱えない。[9]

この研究の血圧低下を、入浴で必ず体調が良くなる証拠として読むのも早い。研究者は心臓の機能の指標も測ったが、変化が長期的にどんな意味を持つかは今後の課題としている。その夜の湯上がりの変化と、長く続けたときの利益は別の問いだ。体に反応が起きたことだけで、効果の良し悪しまで決めない。[9]

数字の後ろの「±」も読み飛ばしたくない。心拍数が33拍/分増えたという平均の周囲には、参加者の反応のばらつきがある。平均を自分の脈に足して入浴後を予測する使い方はできない。対象の条件に加え、結果の広がりも含めて受け取る数字だ。[9]

また、温浴と自転車で体温も心拍も上がったからといって、同じ運動をしたことにはならない。この研究は急性の心臓の機能を比べており、継続した場合の成果は別に調べる必要がある。今回の読みどころは、湯船にも測定できる反応があることにある。[9]

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熱い空気と熱い湯は、同じ温まり方ではない

暑さを比べるとき、室温と湯温の数字だけを並べると話が単純になりすぎる。日常的に体を動かす13人、うち女性5人が参加した交差試験では、熱い湯への入浴、サウナ、暑い環境での運動などを別々に経験した。交差試験とは、同じ人が複数の条件を経験して比較する方法である。男女を含む活動的な集団の結果であり、18〜39歳の女性だけの反応として適用するには別の検証が必要だ。[15]

温浴は40°C、暑い環境での運動は気温40°C・相対湿度52%という設定だった。この試験では、暑い環境での運動が、加温中とその後の回復期を通じて最も大きな循環の負荷をもたらした。深部体温、心拍数、発汗量の増加も運動条件で最大だった。先ほどの試験とは温浴と運動の大小関係が違うが、対象と運動条件が異なるため、矛盾と片づけるべきではない。[15]

前の試験は中年で過体重などのある人の、決められた自転車運動との比較だった。こちらは暑い空気の中で動く条件との比較である。温浴の方が強い場合も、暑い中の運動の方が強い場合もある。「入浴か運動か」という名前だけでは、体に加わる負荷の順番は決まらない。[9][15]

研究では、繰り返しの曝露によって温度の感じ方や気分が好ましい方向に変わる一方で、加温方法ごとの負荷の違いも認められた。気分が慣れてきたことを、体温や循環の反応が消えたことに置き換えない。よく通う部屋だから平気、いつもの湯温だから休息、という判定は粗い。[15]

暑熱と脱水を扱ったレビューでは、皮膚温が高いこと、それに体の内部の温度上昇が重なることが、運動中の循環の負担を増やす主要な説明として挙げられている。同じ動作でも相対的な運動強度が高まり、きつさや早い疲労につながるという整理だ。これは有酸素運動についての説明で、ヨガの各ポーズの効果を測ったものではない。[5]

帰宅したときの「もう運動していない」は事実でも、体の熱が下がったかどうかは別に考えたい。湯船を予定に加える際には、今日どんな環境で、どれほどきつく動いたかも比較の条件になる。入浴の予定表には空欄があっても、体の側では直前の運動が続きの条件になっている。[5][16]

前に入るか後に入るかで、熱の残る場面が変わる

順序を直接比べた試験では、10人が、暑さと低酸素を組み合わせた環境で短い全力運動を繰り返した。環境は40°C、標高3000mに相当する低酸素で、一般のホットヨガとは大きく違う。温浴を運動前に行う条件、運動後に行う条件、前後とも適温の環境で座って休む条件を比較した。特殊な環境で全力運動をした参加者の結果で、18〜39歳の女性が行うホットヨガへの適用は検証されていない。[16]

運動前に温浴を行うと、運動の各まとまりで発揮するパワーが、温浴を行わない条件より14.8〜16.2%低かった。深部体温も運動前から高く、運動中も高かった。一方、運動後に温浴を行う条件では、運動終了までのパワーと深部体温は、温浴を行わない条件と同様だった。後から入る湯が、既に終えた運動のパワーを下げるわけではない。[16]

しかし、運動後の観察が終わる時点では、後に温浴した条件の深部体温が高かった。運動への影響が小さいことと、運動後に熱を下げることは別なのだ。論文が運動後の温浴を運動前より好ましく評価していても、それはこの運動成績と生理的な反応を比較した結論であり、一般の入浴の許可証ではない。[16]

深部体温が38.5°C以上だった時間は、前に温浴した条件で48.1±22.5分、後に温浴した条件で31.0±11.3分、温浴なしで15.8±16.3分だった。この温度は研究で熱への曝露を比べるために用いた指標で、家庭で目指す数字ではない。運動後の加温でも、高い体温で過ごす時間が延びた点が、この問いにとって大切である。[16]

「ホットヨガ前のお風呂なら、先に温めておけるのでは」という発想にも、この順序の違いが関わる。試験では、先に温めた条件で運動中のパワーが低下した。この低下率はヨガの動きの予測には使えず、体を温める準備と、暑い場所で動くための余力を残す準備は、必ずしも一致しない。[16]

研究の運動後の観察時間を、そのまま「その時間だけ待てば入浴できる」と読むこともできない。試験で設定された時間は条件をそろえる枠であり、各人の入浴再開を判定する時計ではない。帰宅までの移動時間だけで追加の加温を決めず、まずは熱を足す予定を急がない、という順番がこの結果に沿う。[16]

数字で読む運動前後の温浴

25人:温浴と自転車運動を別の日に比較した、中年で過体重または肥満のある男女の人数。[9]

0.91±0.32°C:40°C・30分の温浴で上がった深部体温。家庭の入浴の予測値ではない。[9]

33±14拍/分:同じ温浴条件での心拍数の増加幅。動かなくても循環は反応した。[9]

14.8〜16.2%:暑さ・低酸素下の反復運動前に温浴した条件で低下したパワー。[16]

31.0±11.3分:運動後に温浴した条件で深部体温が38.5°C以上だった時間。推奨の入浴時間ではない。[16]

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宮川涼 Founder

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