ダイエットの間食にキウイを選ぶとき、皮まで食べるべきか迷う。皮と果肉の食物繊維を比べた研究から、乾燥重量の割合と実際に食べる量の違いを読む。ポリフェノールの分析、腸内発酵の実験も取り上げ、成分の多さを人の減量効果と取り違えず、食べやすさを含めて選ぶ視点を示す。
キウイを半分に切って、スプーンを差し込む。そこで「皮を捨てると食物繊維まで損をするのか」と手が止まる。間食を少し工夫したいだけなのに、皮まで残さず食べることが宿題になってしまう。
答えの芯は、皮は繊維の割合が高い部分だが、その割合を丸ごとの果実に当てはめない、である。皮と果肉を比べた研究では、乾燥重量あたりの食物繊維は皮で35〜49%、果肉で8〜23%だった。ただし、これは水分を含んだキウイを同じ重さだけ食べたときの数字ではない。[4]
皮を足したときの便のかさへの寄与はラットで調べられているが、人の減量効果を表す結果ではない。[4] 皮を食べるかどうかは、成分の濃さ、果実の中での量、口に入れたときの受け入れやすさを分けて考えたい。皮を残す食べ方にも、果肉を食べるという中身がある。

皮の繊維は多い、ただし何を同じにして比べたか
皮と果肉の比較に正面から答えるのが、キウイの複数の品種を使い、それぞれの部分の成分と便のかさへの寄与を調べた研究である。便への作用を調べた対象はラットであり、18〜39歳の女性で同じ作用が起こるかは別に検証が必要だ。[4] 食べ物の構成を読むうえで重要な測定も含まれている。皮には食物繊維が多いという説明を、この研究では乾燥重量に対する割合で示している。[4]
乾燥重量とは、水分を除いたあとの重さである。生の果実の重さと、水分を取り去ったあとの重さは、同じものさしではない。研究の皮35〜49%、果肉8〜23%という数字は、水を除いた各部分のうち、どれだけが食物繊維だったかを表している。[4] 「皮の半分ほどが繊維」とだけ言うと、食卓のキウイの皮をそのまま量った話に見えてしまう。
もう少し台所に近づける。同じ皿に皮と果肉を載せていても、その皿には水分も一緒に載っている。乾燥後の割合は、組織の特徴を比べるのに向く。一方、いつもの間食でどれだけの成分を口にするかを考えるには、食べる部分の量も必要になる。割合の高さと摂取量の多さを、別の問いとして扱うわけだ。[4]
この研究では、生のキウイ100 gに対して、皮が占める乾物の重さはどの品種でも5%未満であり、果肉の乾物は生の果実重量の最大20%を占めた。[4] 皮は濃い部分であっても、果実の大部分を占めるわけではない。「濃いところを食べれば、果実全体の価値が何倍にもなる」と読む前に、量の小ささを置いておく必要がある。
また、皮と果肉それぞれの数値には幅がある。この幅の端だけを組み合わせて、手元のキウイの皮は果肉の何倍だと計算するのは避けたい。品種をまたいだ測定範囲は、そのまま同じ果実の組合せにはならない。[4] 比較の条件を省略しないことは、細かい理屈というより、買ってきた果物に過剰な期待を載せないための工夫である。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
果実全体では、薄い皮と多い果肉を一緒に見る
生の果実の中で各部分がどれほどあるかは、緑色と黄色のキウイを調べた成分分析も参考になる。この研究は、熟して食べ頃の果実を市場で購入し、皮、果肉、種に分けて調べたものである。可食部の平均では、果肉が90.4%、皮が8.0%、種が1.6%だった。[11]
こちらは乾燥した各部分の繊維濃度ではなく、果実の構成を示す数字である。[11] 先ほどの研究の乾燥重量あたりの割合と、ここでの生の各部分の比率を、そのまま掛け合わせて自宅のキウイの繊維量を求めることはできない。別々の果実を別々の目的で測った値だからだ。[4][11] 数字が並ぶと計算したくなるが、計算できる形と、計算してよい条件は違う。
この区別をすると、皮をむくことの見え方も変わる。皮を除けば皮にある成分は食べないことになるが、果肉は残る。果肉にも乾燥重量あたり8〜23%の食物繊維が測定されている。[4] 皮を食べなければキウイの繊維はゼロになる、という二者択一にはならない。
昼休みに容器へ果肉だけを入れてきた日と、家で皮をどう扱うか考えられる日とでは、選べる食べ方も違う。出先で続けやすいかを判断するとき、乾燥重量の濃度だけで食べ方を決める必要はない。研究の数字は、選択の材料である。皮を捨てた自分に点数を付ける採点表ではない。
ここで扱うのは、食べる部位による成分の違いである。既存の「ダイエットの肉はキウイに漬けると消化も違う?柔らかさと酵素を研究で読む」が扱う肉と酵素の問いは、そちらに譲る。また「間食の果物はキウイを選ぶ?続けた時の便の回数とお腹の張りを研究で読む」とも区別し、皮を加える判断のために、部位と測定条件を追っていく。
ポリフェノールの多さは、繊維の数字とは別である
皮を勧める説明では、食物繊維と一緒にポリフェノールも登場しやすい。皮と果肉から成分を取り出して比較した実験では、皮のほうがポリフェノールとフラボノイドに富み、皮でそれぞれ12.8 mg/g、2.7 mg/gという値が報告された。[3] ポリフェノールは、ここでは抽出して組成や反応を調べる対象となった植物成分を指す。
大事なのは、その数字が食物繊維量ではないことである。繊維の割合を比べた研究と、抽出したポリフェノールの成分や活性を比べた研究は、違うものを測っている。[3][4] 「皮は栄養が多い」とひとまとめにすれば短くなるが、どの成分がどの条件で多かったのかが消えてしまう。
この実験では、取り出した成分の抗酸化活性なども調べている。[3] 抗酸化活性とは、この場面では測定系の中で酸化に関わる反応をどれほど抑えるかという指標である。果実を食べた人の体重や、運動後の疲労の変化を測った数字とは性質が違う。反応の強い抽出物が得られたことから、そのまま間食の効果を約束することはできない。[3]
別の研究では、緑色と赤色のキウイについて、果肉と皮の組成や生物活性を比較している。全般に皮の抗酸化活性が高く、成分の特徴は品種と部位で異なっていた。赤色のキウイでは皮と果肉のトコフェロールが多く、果肉のアスコルビン酸も最も多かった。[9] 皮が何もかも上回るという単純な順位ではなく、どの成分を見るかで焦点が変わる結果だ。
このような分析は、普段捨てている部分にも利用できる成分がある、と問い直すきっかけになる。[3][9] ただし、台所で皮を残した人の健康と、実験室で回収した成分の利用価値は別々に考えたい。食品資源として価値があることを、毎回すべて食べ切る義務に変換しないほうが、研究の意味を落ち着いて読める。
皮と果肉を比べる実験では、抽出という操作も結果を読む鍵になる。抽出とは、果実の一部から調べたい成分を取り出すことである。皮と果肉のポリフェノールを比較した研究では、取り出した成分を測定系に加え、反応を確かめている。[3] 噛んだ果実の皮が、食後もそのまま同じ濃度で体の各所に届くという想定とは違う。数値の横にある単位だけでなく、何を取り出して何に加えた実験かを見ると、日常への距離がつかめる。
また、比較には相手がある。皮を果肉と比べて高かった結果と、皮を搾りかすの粉と比べて高かった結果では、答えている問いが違う。[3][10] 「皮が高い」という結論だけを並べると一致した証拠が増えたように見えるが、検証した比較条件はそれぞれ異なる。間食のキウイをどう食べるか考えるなら、まず皮と果肉の比較を中心に置き、粉の実験は加工原料の性質を知る補助として読むほうがよい。
成分の種類を分ける視点も持っておきたい。緑色と赤色のキウイを比べた研究で、皮の抗酸化活性が全般に高いことと、赤色の果肉にアスコルビン酸が多いことは、両立している。[9] 食品の価値を単独の指標で順位づけすると、こうした部位ごとの特徴が見えなくなる。「皮か果肉か、勝ったほうだけを食べる」という読み方より、果実の中で成分の分布が違うと捉えるほうが、結果に忠実である。
自宅のキウイの品種が分からない場合も、研究の幅を無理にひとつの値へ縮めなくてよい。皮の繊維に35〜49%、果肉に8〜23%という幅があること自体が、比較対象の違いを含んだ情報だ。[4] 手元の果実の正確な量を当てるより、皮は繊維の濃い部分、果肉は果実の多くを占める部分、という関係を理解するために使う。[4][11] 買い物のたびに分析値を探し直さずとも、割合と量を区別する読み方は次の果物にも持っていける。
数字で読むキウイの皮と果肉
皮の食物繊維35〜49%:乾燥重量あたりの割合であり、生の皮の重量あたりではない。[4]
果肉の食物繊維8〜23%:同じく乾燥重量を基準にした値で、果肉にも繊維がある。[4]
皮の乾物は5%未満:生の果実100 gに対する皮の乾物の寄与である。[4]
果肉90.4%、皮8.0%:別の成分分析で示された可食部の平均構成である。[11]
結合型フェノール23種類:皮の食物繊維を調べた試験管内実験で同定された成分数である。[1]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
1
2







