間食のみかんは搾って置くと苦くなる?果汁の時間と品種で違う味の変化を読む

間食用に搾ったみかんが後から苦くなるのはなぜか。リモニンが増える果汁の研究を手がかりに、温州みかんと交雑品種の違い、搾る前と後の時間、加熱やろ過の影響を整理する。苦味の強さを糖の少なさや減量効果と結びつけず、家庭の作り置きで確かめたい条件まで考える。

搾りたては甘酸っぱかったみかんが、後で飲むと苦い。間食のために用意した一杯で、予想と違う後味に出会う。「皮まで強く押しすぎたのか」と搾り器を見ても、朝の手つきはもう戻らない。柑橘の果汁には、搾った直後には目立たなかった苦味が時間を置いて現れる「遅延苦味」があり、リモニンという成分の生成が関わる。[2][4]

苦味の出方は、みかんの種類によって違う。近縁の交雑品種同士でも、保存中に遅延苦味が出るものと出ないものがあった。温州みかんでは、別の柑橘ほど明瞭な遅延苦味を示さない例も報告されている。家にある果実の種類を飛ばして「搾って何時間なら大丈夫」と決めるのは早い。[4][13]

ダイエット中の間食として知りたいのは、苦い果汁ほど体によいかという順位ではなく、選んだ果実をどう扱うと好みの味になるかである。既存記事「疲労回復のみかんは白い筋も食べる?果肉との成分差と運動後の補食を読む」に部位ごとの栄養と補食の話を譲り、ここでは搾った果汁の時間変化に絞る。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

後から出る苦味は、最初から苦いことと違う

柑橘の味は、糖と酸だけで決まらない。品種と果実の発達段階を調べた成分研究では、糖、酸、フラボノイド、リモノイドの組み合わせが風味に関わるとされている。フラボノイドとリモノイドは植物に含まれる成分群で、後者にリモニンが含まれる。名前が似ていても、リモニンは酸味そのものを表す言葉ではない。[6][11]

遅延苦味を考える際には、飲んだ時点の苦さと、その後に苦さが増したかを分ける必要がある。朝の時点ですでに苦かった果汁と、朝は飲みやすかったのに後で苦くなった果汁では、確かめたい変化が違う。交雑柑橘の研究は、保存に伴う苦味だけでなく、糖、酸、酸性度なども測り、官能評価、つまり人が実際に味わう評価と照らし合わせている。[4]

ニューホールというネーブルオレンジの果汁を使った実験では、保存時間が長くなるにつれてリモニンが増え、やがて最大の水準に達してほぼ一定になった。際限なく増え続けるという結果ではない。「後から変わる」ことと「時間に比例してずっと悪くなる」ことは同じではないのである。[2]

この実験は、酸に促されて前駆体がリモニンへ変わる仕組みを支持している。前駆体とは、目的の物質ができる前の材料になる物質だ。果汁中で苦味成分が形成されるなら、搾った瞬間の味だけでは後の味を代表できない。朝のひと口で分かるのは、その時点の味である。[2]

一方で、飲んで苦いと感じただけで、リモニンの量まで言い当てることはできない。多様な柑橘を調べた研究では、リモニン以外のリモノイドや複数のフラボノイドも苦味と関係していた。リモニンは重要な手がかりだが、苦味の説明をすべて引き受ける単独の成分ではない。[7]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

同じ「みかんジュース」でも品種を飛ばせない

保存中の変化がよく分かるのが、近縁の交雑柑橘を比較した研究である。研究者はアンバースイートと、USDA 1-105-106という系統を対象に、人による味の評価と機器による成分分析を行った。両者は近い関係にあるにもかかわらず、化学的な特徴も、味として受け取られた特徴も異なった。[4]

後者の系統では、果汁を4時間を超えて保存すると遅延苦味が現れた。一方、アンバースイートでは同じような遅延苦味は現れなかった。アンバースイートの苦味には収穫時の成熟度がより影響し、早く収穫した果実の果汁では可溶性固形分が低く、滴定酸度と苦いリモノイドが高かった。可溶性固形分は果汁に溶けた成分の指標、滴定酸度は中和に必要な量から酸を評価する指標である。[4]

ここでの4時間は、あらゆるみかんに共通する境界ではない。特定の系統を特定の条件で比べた際の観察結果だ。同じ家で搾った果汁でも、買ってきた果実が別の種類なら、そのまま時計だけを引き継げるとは考えにくい。研究が示す品種差を、家庭での一律の待ち時間へ置き換えないことが肝心である。[4]

温州みかんを含む柑橘の遺伝子研究も、その区別を支えている。苦味の少ない形への変換に関わる酵素の遺伝子を比較すると、配列が同じでも、働き始める時期には違いがあった。温州みかんで明瞭な遅延苦味がない一方、強い遅延苦味を示すスイートライムでも同じ配列が見られたという。[13]

この報告では、果皮内側の白い組織であるアルベドで遺伝子が発現し始める時期が、温州みかんでは満開後60日、スイートオレンジとサワーオレンジでは120日、グレープフルーツとスイートライムでは210日だった。研究者は、発現の遅れと果実内でのリモノイド配糖体の蓄積の少なさが、遅延苦味と関係すると考察している。[13]

配糖体とは糖が結びついた形の化合物である。この話での「糖が結びつく」は成分の構造の話であり、果汁に砂糖を足す話ではない。家庭で甘く味付けすることと、果実が育つ過程で成分の形が変わることは、同じ操作ではない。[6][13]

搾る前の時間と搾った後の時間は逆向きにも働く

「置くと苦くなる」という言葉は、何を置いたのかを省いている。ニューホールの実験では、搾った果汁の保存時間が長くなるとリモニンが増えた一方、収穫後から搾汁までの果実の時間が長いほど、果汁で最終的に達するリモニン濃度は有意に低くなった。時計の針は同じ方向に進んでも、測定された変化は逆向きだった。[2]

これは、果実を丸ごと置くことと、搾って液体になったものを置くことが別の条件だと教える。朝から夕方まで保存したジュースと、買った日に食べず後日に搾った果実を、「どちらも作り置き」とひとまとめにすると、この違いを見落とす。研究結果を暮らしへ移すときには、時間の始点を言葉にしたい。[2]

もっとも、この結果を理由に家庭の果実を長く放置する必要はない。研究の焦点はリモニンの形成であり、苦味成分の最終濃度が低いことだけを、保存方法全体のよさとするのは評価を広げすぎる。おいしさの相談をしていたはずが、いつの間にか保存の正解まで決めてしまわないようにしたい。[2]

木になっている間の成熟も別の軸である。キノーマンダリンを異なる気候の産地で収穫し、成熟段階ごとの成分を測った研究では、成熟が進むにつれてフラボノイドとリモノイドの濃度は下がる傾向だった。ただし、中間の成熟段階ではリモニンやノミリンなどが一時的に増え、低温や霜の時期と重なっていた。[3]

したがって、「熟すほど苦味成分が必ず一定の速度で減る」という単純な線でもない。同じ研究では栽培地の気候による濃度差もあった。果実が育った環境と収穫時点を含む話を、冷蔵庫に入れてからの変化だけで説明しようとすると無理が生じる。[3]

温州みかんのグオチンという品種で、連続する3栽培シーズンの果実を調べた研究でも、苦味成分は発達に伴っておおむね減少したが、対応する発達段階での量は年によって大きく変動した。「去年の袋は平気だった」という記憶があっても、それだけで今年の果汁の成分量は決められない。[14]

成熟を比較した研究の結果は、店頭の色だけで苦味を判定する方法とも違う。キノーマンダリンの研究は、収穫段階と栽培地を分け、機器で個々の成分を同定して濃度を測っている。見た目の印象だけで「この袋は熟しているから苦くならない」と判断する話へ縮めず、対象の果実で確認された成分変化として受け取る必要がある。[3]

時間を考える際には、成分の形にも目を向けたい。異なる品種の発達段階を比べた研究では、成熟に伴ってフラボノイドが減る一方、リモノイド配糖体は蓄積していた。別の研究で「リモノイドが減った」と聞いたからといって、成分の形ごとに増減を確かめる必要がある。植物成分の大きな分類名と、その中の個々の化合物を行き来するときこそ、説明の主語を確かめたい。[3][11]

数字で読む柑橘果汁の苦味

4時間超:特定の交雑系統で遅延苦味が現れた保存時間。他の交雑品種では同様の変化がなかった。[4]

60日・120日・210日:柑橘群ごとに異なった、満開後の関連遺伝子の発現開始時期。家庭の保存日数ではない。[13]

6段階:キノーマンダリンの収穫成熟度を比較した段階数。成熟途中には一時的な成分増加もあった。[3]

3シーズン:温州みかんの苦味成分を追った栽培期間。年ごとの違いも捉えた研究である。[14]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約