間食のりんごは酸っぱい品種なら糖が少ない?糖と酸を別々に測る理由を読む

間食のりんごを酸っぱさだけで選んでいないだろうか。品種と産地を比べた成分研究から、糖の含有量、酸の含有量、糖酸比の違いをたどる。同じ品種でも栽培条件によって成分が変わる理由と、甘さの印象を糖質量や腹持ちの評価に置き換えず、好みと食べる量を分けて考える方法を示す。

切り分けたりんごが、ひと口目で頬に響くほど酸っぱい。この酸味は、糖が少ない印なのだろうか。「甘くないから」と残りも皿に足す前に、味の印象と成分の量を分けて考えたい。

酸っぱい品種なら糖が少ない、とは決められない。中国の栽培りんごと野生のりんごを比較した成分研究では、糖と酸の量は遺伝的な背景や育つ場所に影響され、リンゴ酸とショ糖には正の相関も見られた。酸と糖がそろって多い方向の関係もあるのである。[9]

間食選びで役立つのは、酸味を我慢する技術より、糖の量と酸の量を別々に見る習慣だ。「糖質制限のりんご酢は酸味が弱ければ薄い?酸の量と食べやすさを研究で読み解く」が扱う酢の濃さとは区別し、ここでは生のりんごの品種と栽培条件による成分差を読む。

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酸っぱいという感想から、糖の量は逆算できない

りんごの風味を考えるとき、糖だけを並べても十分ではない。果実の可溶性糖と有機酸、その含有量と比率が風味の重要な要素になると、りんごの成分蓄積を扱う実験研究は位置づけている。可溶性糖は果実に含まれる水に溶ける糖、有機酸はリンゴ酸などの成分を指す。味を支える成分が別々に存在する、というところから始めたい。[2][9]

酸味が目立つとき、まず分かるのはその果実を酸っぱく感じたことだ。糖が実際に少なかったのか、酸が多かったのかは、同じ問いではない。比較研究で糖と酸を別々に測り、さらに糖酸比を扱っているのも、その区別が必要だからである。口の感想をそのまま成分量の測定結果に置き換える読み方は避けたい。[9]

糖酸比は、糖と酸の量の比を表す見方だ。同じ糖の量でも酸が違えば比率は違い、同じ比率でも糖と酸の絶対量が一致するとは限らない。これは比率の読み方の問題である。甘さに関わる指標として糖酸比を示す研究も、糖の含有量と酸の含有量を独立した測定項目としている。「甘そう」という方向と「糖が何ほどあるか」という量を分けて読む必要がある。[2][9]

たとえば買い物で「甘酸っぱい」と書かれた袋を手に取った場面を考えよう。その言葉は食べたい味を選ぶ手がかりにはなる。しかし、糖の量を知りたいという目的に対しては、別の情報が必要だ。食べる前の期待を、測定して得た糖の値と同じ欄に置かないことが、研究の結果を生活に持ち帰る出発点になる。[9]

甘い味が好きなら、その好みを責める必要はない。ここで検討するのは果実の良し悪しでも、選んだ人の意志の強さでもない。「酸っぱい」という情報から、糖が少ないという別の情報を取り出せるのか、という狭い問いである。糖と酸を同時に測る研究を見ると、その近道には無理がある。[2][9]

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品種と産地を比べると、糖にも酸にも幅がある

中心となるのは、中国の主要なりんご栽培地域で採れた果実の成分比較だ。対象は栽培品種17種と野生のりんご3タイプ、地域は3か所である。研究者はガスクロマトグラフィーという成分を分けて測る分析法で、可溶性糖、リンゴ酸、アスコルビン酸を定量した。人がりんごを食べて体重や食欲を比べた試験ではなく、果実の中身を比較した研究である。18〜39歳の女性の食欲や体重への影響に、そのまま当てはめることはできない。[9]

総糖量は生の果実で110〜160 mg/g、総酸量は2〜6 mg/gの範囲だった。これらは調べた果実群の含有量の幅であり、日本の売り場にあるすべてのりんごの保証値ではない。また、糖の下限と酸の上限が同じ果実の組み合わせだと考えてはいけない。集団の範囲を並べただけでは、個々の果実の糖酸比までは分からない。[9]

糖の内訳にも特徴がある。多かったのは果糖で、次いでショ糖、ブドウ糖、ソルビトールの順だった。したがって「糖」とひとことで呼んでも、調べたのは単一の成分だけではない。野生のりんごは栽培りんごよりソルビトールが多く、ショ糖が少なく、酸味が強いという違いも認められた。糖の種類ごとの違いと、総量の違いは読み分けたい。[9]

ここで「野生の方が酸っぱいのなら、酸っぱいほど糖が少ない証拠だ」と急いではいけない。報告されたのは、特定の果実群における成分の組み合わせである。ショ糖が少ないという結果だけで、すべての糖が同じ割合で少ないと判断することはできない。ソルビトールでは逆向きの違いがあったからだ。[9]

糖酸比が高く、他の品種より甘い味を示す特徴があったものには、ガラなどが含まれた。これは調査対象の中での特徴づけである。ガラという名前があれば糖の含有量が一定になる、という意味にはならない。研究全体では、遺伝的な背景と育った場所の両方が成分に強く影響していた。品種名は手がかりだが、成分量の固定された札ではない。[9]

標高との関係も単純ではない。リンゴ酸とショ糖は標高と正の相関、ブドウ糖は負の相関を示した。さらにリンゴ酸とショ糖にも正の相関があった。つまり、この比較では、酸が多い方向にあるとショ糖は必ず少ない、という関係ではなかった。相関とは一緒に変わる傾向であり、標高を変えれば誰の果樹でも同じ変化が起きるという因果の証明ではない。[9]

成分の一覧には、アスコルビン酸も含まれていた。野生のりんごではその含有量が高く、栽培品種でも育った場所に強く左右されていた。リンゴ酸はアスコルビン酸とも正の相関があった。ただし、ある酸が多いという結果を、ほかの成分がすべて同じように多いという意味に広げることはできない。成分ごとに測った値を見るという姿勢は、糖だけでなく他の成分にも共通する。[9]

ここには、りんごを「甘いか酸っぱいか」だけで整理したときに落ちる情報がある。総糖量だけを見ると糖の内訳は隠れ、糖酸比だけを見るとそれぞれの含有量は隠れる。品種名だけを見ると産地による違いが隠れる。何かを比べたいときは、その数字がどの情報を残しているかを考えたい。研究の測定項目を分けて読むことは、数字を増やして迷うためではなく、違う質問の答えを取り違えないためである。[9]

同じりんごでも、栽培の条件で組み合わせが変わる

品種間の比較だけを見ると、「自分はこの品種だけ買えばよい」と考えたくなる。そこで参考になるのが、ふじ系の同じ栽培材料で袋をかける栽培と、かけない栽培を比べた実験だ。中国・山東省の試験では、袋をかけない条件で果実の糖含有量が増え、酸含有量が減り、糖酸比を含む風味の指標が改善した。対象は果実であり、18〜39歳の女性が食べた後の反応を直接示す結果ではない。[6]

この実験では果実の重さや香りの成分にも変化が見られた。食べ心地に関わる性質が、品種名以外の条件でも動くことを示す事例である。ただし、これは特定の場所と栽培材料での比較だ。袋の有無という表示だけで、市販の果実の糖の量を正確に順位づけできる、とまでは広げられない。[6]

別の栽培研究では、りんごの樹への窒素施肥の方法を比べている。対象は樹と果実であり、18〜39歳の女性の栄養状態や満足感に直接当てはめることはできない。春にまとめて施す方法、分けて施す方法、量を減らしてこまめに施す方法で、成熟時の果実の可溶性糖、滴定酸、糖酸比などに差があった。滴定酸は分析によって酸の量を評価する項目である。こまめに施す条件では、糖だけでなく滴定酸も高かった。[11]

この結果と袋をかけない実験は、片方が正しくて片方が間違いという関係ではない。栽培材料も介入の内容も異なる。前者では糖が増えて酸が減る方向、施肥の比較では糖と酸がともに高い方向が報告された。りんごの成分がいつも同じ組み合わせで動くわけではないことが、異なる実験から見えてくる。[6][11]

袋の有無を比べた実験では、香りの成分の種類と含有量も増えていた。これは、果実の評価が糖と酸の測定だけで完結しないことを考える手がかりになる。ただし、香りの成分が増えたことと、人がどの程度甘く感じるかは別の評価である。糖の測定値、酸の測定値、香りの分析値を同じ「おいしさ」という言葉でくくると、どこが変わったのかを見失いやすい。[6]

施肥の比較でも、変わった項目は糖や酸だけではなく、果実の重さ、硬さ、可溶性固形分などに及んだ。果実の重さと果実中の成分濃度は、注目する単位が違う。自分が食べる小皿の量を考える場面で、品種の成分濃度の話だけをしても、食べた全量の話にはならない。果実を比べる研究を読む際には、濃度についての結果なのか、果実そのものの特徴なのかを確認したい。[11]

生活への持ち帰り方は、栽培技術を覚えて売り場で推理することではない。同じ品種を買っても前の袋と味が違うとき、「前回より酸っぱいから低糖だ」と結論しないことだ。味の違いを楽しむ話と、成分量を確認する話を分ければよい。りんごに毎回同じ味を要求するのも、なかなか忙しい注文である。[6][9][11]

数字で読むりんごの糖と酸

栽培品種17種と野生のりんご3タイプが、成分比較の対象になった。[9]

中国の主要な栽培地域3か所で、育った場所との関係も調べられた。[9]

総糖量は生の果実で110〜160 mg/g。調査した果実群の範囲である。[9]

総酸量は2〜6 mg/g。糖の値とは別に測定された含有量である。[9]

2022年5〜10月に行われたふじ系りんごの実験では、袋の有無による成分変化が比較された。[6]

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宮川涼 Founder

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