ダイエットの間食のせんべいは湿ると違う?保存後の硬さと噛む回数を分けて読む

ダイエット中の間食のせんべいが湿ったとき、噛む回数も減るのだろうか。保存中に硬さが増した食品試験と、硬さ・密度・唾液・口の動きを調べた人の実験を読み分ける。割れる感触と飲み込むまでの作業を区別し、食感だけで腹持ちや体重への効果を決めずに、日々の間食を選ぶ視点を示す。

袋を留め直しておいたせんべいを、夕方のお茶と一緒にかじる。開封した日と違う噛み心地だ。軽く割れるつもりで口に入れたのに、妙に噛み続けてしまう。「湿ったから軟らかいはず」と思うと、少し話が合わない。

答えの芯は、湿ったという印象だけでは噛む回数を決められない、ということだ。保存中に硬さが増した食品試験があり、人の実験でも噛み方には硬さだけでなく大きさや密度が関わった。開封時の食感と、口の中で飲み込める形にする作業は分けて考えたい。[19][10]

既存記事「間食のせんべいは焼く物と揚げる物で違う?油と一枚の栄養を読み解く研究の話」には製法と栄養の比較を譲る。ここで追うのは保存後の食感と口の動きである。硬い物を選べば体重管理に有利、という順位表を作るのではなく、袋を開けた後の違和感を研究の測り方に沿ってほどいていく。

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保存後のせんべいは、必ず軟らかくなるのか

食品の硬さを測った研究から始めよう。米の品種や成分、加工したせんべいの物性を調べた食品実験では、市販のせんべいの保存中の変化も評価している。35℃で20日間保存した条件で、硬さと脂肪酸度が明らかに増加した。少なくともこの試験では、保存後の変化は単純な軟化ではなかった。[19]

温度と期間を定めて測定した食品の結果である。保存という言葉が同じでも、試験の条件と家庭の袋の中を区別して読む。「保存すると必ず硬くなる」と読み替えるのも、「湿れば必ず軟らかくなる」と決めるのも行き過ぎだ。この研究から受け取れるのは、保存に伴う品質の変化を硬さという測定値で追えることと、その値が増す場合もあることだ。[19]

脂肪酸度の変化も硬さと一緒に調べられているが、両者を同じ意味にはしない。硬さは物理的な性質として、脂肪酸度は別の品質指標として測られた。硬くなったという感触を栄養の改善と呼んだり、口で割れやすいことを品質全体の保証と扱ったりする読み方は、この試験の評価項目を混同してしまう。[19]

そもそも、開封前からせんべいの構造は一様ではない。米の生地を蒸す時間と練る時間を変えた製造実験では、生地の粘弾性、つまり変形して戻る性質や流れやすさと、できあがったせんべいの体積や内部の構造に関係が見られた。蒸し方と練り方を長くすると内部の壁が薄くなるなど、製造段階で構造に違いが生じていた。[13]

興味深いのは、練る時間と硬さの関係が、蒸す時間によって逆向きになった点だ。5分または30分蒸した生地では、練る時間が延びるにつれて硬さが増した一方、60分蒸した生地では硬さが低下する方向だった。「よく加工するほど硬い」といった短い説明でも、この違いを収めきれない。[13]

買った日に軽く割れたせんべいと、別の種類のずっしりしたせんべいを、数日後に比べたとする。その違いには保存だけでなく、もともとの構造も入り込む。保存の影響を考えたいなら、まず同じ食品の開封時と後日の感触を分けて思い出すほうが話が整理しやすい。種類をまたぐ比較では製造由来の差も含む、というのが食品実験からの実用的な読み方だ。[13][19]

台所で感じた「しけた」は生活の言葉である。それを研究の言葉に置き直すなら、割れ方、測定した硬さ、保存条件を区別する必要がある。この区別を省くと、食感の変化を見つけた直後に、噛む回数や体への効果まで決めてしまう。食品を測った実験と人が食べた実験は、ここから別々に読むことになる。[19][10]

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硬さと噛む回数は関係するが、同じ指標ではない

若い人20人と高齢の人21人にせんべいを自由に噛んでもらった実験では、硬い、または大きいせんべいほど、噛む時間が長く、噛む回数も多かった。対象は若年群と高齢群であり、高齢群で増えた回数を18〜39歳の女性の噛み方にそのまま当てはめることはできない。硬さとの関係に加え、対象者の年齢と食品の条件を合わせて読む。[10]

研究では噛む時間や回数に加え、噛む周期も評価している。周期とは、噛む動作を繰り返すときのひと巡りにかかる時間である。全体を何回噛んだかと、各動作がどれくらいのテンポだったかは別の指標だ。回数は動作の総数、周期は動作ごとの時間を表すため、両方を見ると食べ終えるまでの過程が分かる。[10]

多くの条件では、噛む周期は年齢やせんべいの違いによって変わらなかった。一方、硬さと密度が最も低いせんべいでは、ほかのせんべいより周期が長かった。また、そのせんべいからできた食塊の吸水速度は、ほかより大きかった。食塊とは、口の中で噛んでまとめられた食べ物の塊のことだ。[10]

ここで密度という視点が効いてくる。密度は、同じ体積にどれだけ物が詰まっているかを表す性質である。実験では、硬さ以外の性質も噛む行動に影響することが示された。指で持った軽さ、歯が触れた瞬間の抵抗、口の中で水分を含んだ後のまとまりを、すべて「硬い・軟らかい」に押し込める必要はない。[10]

さらに、噛んでいる途中の動きも一定ではなかった。噛む周期は中盤で短くなり、その後に長くなる変化を示し、終盤では舌骨上筋の活動が増した。舌骨上筋は顎の下にある筋群で、口を開ける動きや食塊を作る作業に関わる。袋から出した時点の硬さだけでは、この途中経過を表しきれない。[10][8]

年齢の比較も慎重に読みたい。高齢の参加者では噛む時間と回数が増えたが、噛み終えた食塊の物性には年齢群間の差がなく、最初の食品の性質に依存していた。噛む回数の違いは、その人が食品を扱う過程の違いでもある。「回数が多い人ほど食べ方が正しい」という採点には使えない。[10]

昼休みの短い間食なら、口に入れてすぐ割れた感触を「食べやすい」と呼びたくなる。しかし測定上は、割るところだけでなく、噛み終えるまでの時間や食塊の状態も見る。最初の歯応えを覚えておくことと、最後まで楽に扱えたかを振り返ることは、違う観察なのだ。[10]

軟らかいせんべいでも、口の作業は残っている

健康な若い成人20人を対象にした実験では、ピーナッツと異なる種類のせんべいを片側で噛んでもらい、筋肉の電気的な活動と顎の動きを測った。硬い食品ほど最初に飲み込むまでの時間が長く、噛む動作あたりの咬筋の活動も大きかった。咬筋は、顎を閉じて噛む力を出す筋肉である。健康な若い成人での結果であり、18〜39歳の女性全体の噛み方をそのまま代表するものとしては扱えない。[8]

一方、軟らかいせんべいでは噛む速さと、動作あたりの舌骨上筋の活動が大きかった。研究者は、軟らかいせんべいの咀嚼、とくに終盤では、舌骨上筋が食塊を作る役割を担うことを示している。軟らかい食品でも、口の中でまとめる作業に筋肉が働いている。[8]

異なる食品を比べる実験は、食品ごとの口の作業の違いを捉える。保存で同じ食品が変わる過程とは、比較の軸が異なる。硬さの感触と筋肉の仕事が単純な比例関係ではない、という視点は役に立つ。「すぐ割れるのに口の中に残る」という感覚を、矛盾と決めずに考えられる。[8]

また、筋肉の活動が大きいことを、間食の優秀さに置き換えない。ここで測っているのは口の作業であり、食後の満足や体重の変化ではない。硬い食品では咬筋、軟らかいせんべいでは舌骨上筋というように、注目する筋肉を変えると見える結果も変わる。強く噛んだ感触だけで、食べる作業全体を評価するのは早い。[8]

実験の装置が記録する筋肉の活動と、本人の「噛み応えがあった」という感想も区別したい。顎を閉じる筋肉と顎の下の筋群を同時に調べることで、食品によって作業の配分が違うことが見えてくる。感想を否定するのではなく、感想だけでは見えない過程を測定で補う研究と読める。[8]

たとえば、最初は軽く砕けたのに食べ終わるまで長く感じたなら、「割れやすさ」と「まとめやすさ」を別の言葉で表してみる。実験では、せんべいの咀嚼終盤に食塊形成に関わる筋肉の働きが示されている。最初の抵抗が小さかったという経験と、最後まで口を動かしたという経験は、両立してよいのである。[8]

製造中の生地を測る実験、保存した食品を測る実験、人の筋肉や顎を測る実験は、それぞれ焦点が違う。結果をつなぐ際にも、食品の構造から人の動作へ、さらに食後の感覚へと、測る対象が移った場所を意識したい。今回はまず、口の中の動作までを確かめる読み方である。[13][19][8]

数字で読むせんべいの食感と咀嚼

35℃・20日間:この保存条件の食品試験では、せんべいの硬さと脂肪酸度が増加した。[19]

若い人20人・高齢の人21人:硬さや大きさ、年齢と噛み方の関係を比べた実験の対象である。[10]

健康な若い成人20人:この人数で咬筋と舌骨上筋、顎の動きを記録した。[8]

健康な成人21人:唾液の分泌を減らした条件でクラッカー類の咀嚼を調べた実験の対象である。[4]

蒸す時間5分・30分・60分:生地の加工条件によって、練る時間と硬さの関係が異なった食品実験である。[13]

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宮川涼 Founder

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