ダイエットの食事記録中だけ選び方が変わる?撮影日と日常を混同しない読み方

食事日記を始めたら食べる量が減った。その数字は普段の食事を映しているのか。画像による食事記録の研究から、記録中の行動変化、書き漏れ、食べたい感覚と実際の摂取量を区別する。記録を減量の成績表にせず、測った条件を添えて読み直すための視点と、日常でできる具体的な工夫を示す。

昼食のパンを袋から出す。食べる前に写真を撮ろうとして、今日は写しやすいものを選んだことに気づく。食事を残すつもりが、記録する予定も食卓に着席していた。

食事記録は、食べたものを写すだけで終わらない場合がある。画像で食事を記録した成人の研究では、記録期間中に推定摂取量が下がる傾向が観察され、別の小規模な研究では参加者の半数が記録による食行動への影響を答えた。ただし、記録された量の低下だけでは、実際に食べた量の低下と報告の変化を分け切れない。[5][9]

つまり、食事記録は誰にでも同じ減量効果をもたらす方法としては扱えない。確かめたいのは、記録がある日の食事と、いつもの食事を同じものとして読んでよいかである。続けやすい記録法の話は既存記事「食事記録とダイエットの科学 細かく書くより続けるために知っておきたい研究の答え」に譲り、ここでは測る行為が測られる側に入り込む問題を考える。

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食事を測る目的と、食事を変える目的は違う

食事日記を開く理由には、普段の食べ方を知りたい場合と、食べ方を見直したい場合がある。似ているが、数字の読み方は変わる。後者なら、記録をきっかけに選び方を考え直すことも目的に沿う。一方、普段の摂取量を知りたい場面では、記録中だけ選択が変われば、その数字をそのまま普段の食事の代表にはしにくい。画像式の食事記録の研究でも、測定に伴う反応を偏りの源として捉えることが勧められている。[9]

ここでいう反応とは、測られることに応じて行動や報告が動くことである。体に新しい代謝の仕組みが生まれたという意味ではない。研究では、記録中の推定摂取量が日を追って低下する傾きを、反応的な報告を示す指標として用いている。したがって「記録反応性」という言葉を見たら、まず何の変化をその研究が数えたのかを確認したい。[9]

例えば、自分の記録を見るときも、「食べた量を知るための記録」なのか、「選び直した後の食事の記録」なのかを書き添えると意味が明確になる。これは新しい減量法ではなく、記録の条件を残す工夫である。撮影の予定を考えて献立を変えたなら、その日の数字には、その選択をした自分も含まれる。

食事を変えたこと自体を失敗と呼ぶ必要はない。ただ、変える前の生活を測れたことにはならない。「普段どれほど食べるか」と「記録を意識してどう食べたか」は、別の問いとして置いておこう。測定への反応を扱った研究が役立つのは、この境目を見落とさないためである。[9]

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記録中に減った数字は、何を表していたのか

中心となる研究は、体格指数が25〜40 kg/m2の成人155人を対象にしたもので、年齢は18〜65歳だった。参加者は画像による食事記録を4日間つけ、心理社会的な質問票にも回答した。消費エネルギーは腰に着けた加速度計のデータから推定された。日常生活にいる成人の測定と関連要因を調べた研究であり、記録する群と記録しない群を無作為に比べた減量試験ではない。対象には中高年も含まれるため、18〜39歳の女性の普段の食事に同じ変化率をそのまま当てはめることはできない。[9]

記録から得られた摂取エネルギーは、全体の平均で推定消費エネルギーの72%だった。標準偏差は21%である。この数字を「参加者全員が必要な食事を同じだけ減らした」と読むことはできない。摂取量と推定消費量を比べた比率であり、食事記録と消費量推定の両方を通して得た値だからである。[9]

研究者は摂取量と消費量の比率が高い側の3分の1を、もっともらしい摂取量の群として扱った。その群では摂取量が推定消費量の平均96%、標準偏差13%だった。「もっともらしい」という分類はこの研究の操作上の区分であり、自宅の記録を合格か不合格かに分ける基準ではない。全体平均だけでは、参加者の記録の幅が隠れることを示している。[9]

さらに、全参加者の推定摂取量は、記録の日が進むにつれて1日当たり3%低下したと報告された。四分位範囲は−14%から6%である。四分位範囲とは、値を並べた中央の半分が入る範囲を指す。この広がりには増加側も含まれ、全員に一律の低下が起きた結果ではない。[9]

反応的な報告を示すと分類された52人では、低下は1日当たり17%、四分位範囲は−23%から−13%だった。しかし、この値を「食事日記を書けば毎日17%減らせる」という目標に転用してはいけない。低下を示す報告の群に付いた数字であり、誰にでも起きる介入効果として割り当てられた数字ではない。[9]

短期間の記録の傾きを、そのまま先の生活へ伸ばす読み方にも注意が要る。この研究が追ったのは4日間の記録である。記録の最後の日が最も少なかったとしても、その先も同じ勢いで摂取量が下がり続けるという予測にはならない。ノートに引ける直線と、明日の夕食は別のものである。[9]

写真を撮れることと、食事を全部残せることは別だ

もう一つの手掛かりは、日常生活を送る運動選手20人の単一群観察研究である。男性13人、女性7人で、平均年齢は25.2歳だった。食べる前と後の画像を、尺度の目印とともに4日間連続して残す方式で、使いやすさや受け入れやすさが調べられた。ここでも、体重を減らす効果を検証した研究ではない。男性が多い運動選手の集団であり、18〜39歳の女性一般に同じ記録のしやすさや行動への影響が当てはまるかは別に確かめる必要がある。[5]

参加者の85%は写真を撮ることを容易と答え、80%は再び使う意思を示した。それでも、4日間のすべての日に少なくとも食事機会を記録した人は13人、65%だった。この達成条件は「その日の食事を漏れなく撮った」ではない。操作が簡単という回答と、食事全体を記録できたという判定を交換してはいけない。[5]

主な食事の前に撮影を思い出すことを、取り組みやすいとする回答は55%だった。一方、間食前の撮影についての同意は15%だった。夕食の皿なら撮影を思い出せても、移動中の間食は撮り忘れる場面が想像できる。生活の場面を想像すると、撮影ボタンの押しやすさだけでは記録の抜けを説明し切れないことが分かる。[5]

研究では半数が、記録が食行動に影響したと答えた。自由記述では食品選択への意識の高まりが語られた。ただし、これは影響を感じたという回答であり、摂取量が半分になったという結果ではない。変わったと答えた人数の割合と、食べた量の変化率を混ぜないことが大切である。[5]

この観察から、「撮影ができた日」と「普段どおりに食べた日」を分けて考えたい。前者は記録への参加状況、後者は記録への反応に関わる。食事を変えずに写真だけ抜ける場合もあれば、全て撮れていても選び方が変わる場合も想定できる。どちらかの説明だけで、記録の数字を確定させないための区別である。[5][9]

数字の比較を始める前に、達成条件の言葉も読みたい。運動選手の研究では、記録を続けたかどうかの条件は、対象の日ごとに食事機会の記録があることだった。しかも、その条件はあらかじめ設定されていたものではない。したがって65%という数値は、別の研究の「すべての飲食を記録した人」の割合と、同じ名前で並べられる数字ではない。[5]

記録の入口から出口までをたどると違いが見える。まず食事があり、撮影を思い出し、画像を残し、そこから摂取量を推定する。主な食事と間食で撮影を思い出す難しさが違ったという回答は、この途中の段階に関わる。完成した記録だけを見ると、写っていないものは食卓にも存在しなかったように見える。その飛躍を避けたい。[5]

また、成人の研究で比べた消費量は、加速度計から推定されたものである。食事の写真と、身体活動からの推定という異なる経路の値を突き合わせている。比率が低いという結果は点検の手掛かりになるが、比率の差だけを使って、何がどれほど食事から抜けたかを具体的に埋め直すことはできない。推定の比較と、食べた現場の確認は役割が違う。[9]

数字で読む食事記録と測定への反応

155人:画像式記録を4日間つけた、過体重・肥満の成人を対象とする研究の参加者数。[9]

72%:全体の記録摂取量が推定消費量に占める平均比率。食事を減らした効果の割合ではない。[9]

3%:全参加者で報告された、記録日当たりの推定摂取量の低下。個人差のある短期の傾きである。[9]

65%:運動選手の研究で、4日すべてに少なくとも食事機会を記録した人の割合。[5]

50%:同研究で、記録が食行動に影響したと答えた人の割合。摂取量の減少率とは異なる。[5]

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宮川涼 Founder

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