片付けの効果は発想の点数に出る?整った机と散らかった机の追試を読む

片付けの効果を発想の点数に期待する前に、整った机と散らかった机へ無作為に割り付けた追試を読む。創造性の課題でも実行機能でも有意な差は出なかった。報道が先に広めた主張は、この追試では支えられない。注意の制御や仕切りの少ない席は、机の表面を整える話とは別の問いである。

企画書の見出しが決まらず、机に積んだ領収書を引き出しへまとめて入れた。白い天板が見えると、別の案が一つ増える気がした。頭の中の滞りと、机の上の紙の山を、同じものとして扱っていた。

その期待を、机の状態と発想の点数で確かめた追試がある。参加者は、きちんと整えた机か、散らかった机かへ無作為に割り付けられ、創造性の課題と実行機能の課題に取り組んだ。独立した標本のt検定では、創造性に有意な差は再現されなかった。実行機能も、二つの条件のあいだで分かれなかった。[5]

散らかりを語るときの体の反応や、部屋を整えたあとの気分は、既存記事「片付けの心理的効果は研究でどこまで?散らかりを語る妻のコルチゾールと整った部屋の実験」に譲る。昼寝の長さとひらめきは、記事「昼寝は何分でひらめきにつながる?眠り始めの夢と隠れた規則の発見を読む」に譲る。ここでは、発想の課題の点数が机の見た目で動くかだけを読む。注意の向け方、仕切りの少ない職場、診断のある人が刺激を自分で絞る工夫は、引き出しを空にすることとは別の問いとして後ろに置く。[5][7]

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

報道が先に走った話を、机の割り付けで追った

2013年の報告は、整っていない環境が創造性を高めるとし、一般向けの報道が注目した、と2018年の論文は書き出している。その論文は、この知見を概念的に再現し、仕事場の散らかりが創造性へ与える影響を広げる設計にした。[5]

参加者が座ったのは、きちんと整理された机(秩序条件)か、散らかった机(無秩序条件)のどちらかである。割り当ては無作為だった。机に着いた人は、紙と鉛筆の課題と、コンピュータの課題をいくつか行った。創造性については、妥当性が確認された測り方を二つ使った。一つは成人向けトランス創造性検査の短縮版(ATTA)で、ゴフとトランスが2002年に示したものである。もう一つは、ギルフォードの1967年の課題を改めた代替用途課題である。[5]

結果は、再現に失敗した。秩序条件と無秩序条件のあいだで、創造性の有意な差は認められなかった。著者らは、2013年の実験に近い配置にし、人数を増やし、関心のある構成概念を複数の測り方で捉えても、仕事場の散らかりが認知の成績へ与える効果は見いだせなかった、と述べている。散らかりと認知の関係は捉えどころがなく、報道が生んだ主張を支える段階にはない、というのがこの論文の結びである。[5]

差がなかった、という結果の向きを取り違えたくない。散らかった机のほうが点が高かった、とも、整った机のほうが点が高かった、とも書かれていない。どちら側にも、有意な優位は残らなかった。机を空にした朝の手応えと、課題の点数は、同じ段に置けない。[5]

領収書をしまい終えてから企画の見出しを一つ書き換える、という夜の手順は、生活の習慣としては成り立つ。それは、見た目の条件を割り付けて創造性の点数を比べた、この実験の操作とは別の行為である。しまいながら考える時間が伸びたのか、紙を探す手間が減ったのかは、点数の差としては現れていない。現れたのは、見た目の条件だけでは創造性の点数が有意に分かれなかった、という結果である。[5]

レシートをしまえば才能が一段上がる、という夜の信仰は、この追試の前では静かに負ける。信仰を捨てたあとに残るのは、机の見た目より、今夜どの課題で詰んでいるかという問いのほうである。[5]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

二つの課題は、発想の別の顔を見ている

代替用途課題は、ふだんの使い道とは違う使い方を挙げるタイプの創造性測度として、この実験に入っている。成人向けの短縮版トランス検査は、もう一つの、妥当性が確認された測度である。著者らは、関心のある構成概念を複数の測り方で捉えた、と手順を説明している。[5]

一つの測り方だけが動き、もう一つが動かない、という分かれ方も、有意な差としては報告されていない。創造性について、いかなる有意差も再現されなかった、という書き方である。だから「使い道を挙げる課題なら散らかりが有利で、採点表の検査なら整頓が有利」という切り分けも、この結果からは取れない。[5]

企画の会議で欲しいのは、案の個数のときもあれば、採点者が創造的だと見る回答のときもある。実験が二つを並べたのは、発想を一つの数字に縮めないためでもある。それでも両方で差が出なかったのだから、机の見た目をどちらに振っても、この二つの顔は有意には動かなかった、と読むのが論文の範囲である。[5]

夕方、中央線の車内でメモを開くとき、頭に浮かぶのは別の使い道であることが多い。空いた瓶を花瓶にする、といった連想である。代替用途課題が扱うのは、その種の広がりに近い。ただし実験の机は、車内の揺れや隣の荷物とは条件が違う。通勤のメモの数を、この論文の点数として読み替えることはできない。[5]

講義のあとの90分で、レポートの見出しが決まらないときもある。机を空けるか、問いの文を一行だけ書き換えるか。追試が割り付けたのは机の見た目であり、問いの文面ではない。見出しが貧しいままなら引き出しより課題の文を疑う、というのはここでの読み方である。文面を直せば点数が上がる、という実験結果ではない。[5]

制御が落ちるから自由になる、という筋も机では分かれなかった

散らかった環境で発想が増える、という説明には、上からの制御が弱まるという筋がある。注意や手順を上から押さえる力が落ち、その分だけ連想が外へ出る、という見立てである。2018年の実験は、この見立てを調べるために実行機能の測度も入れた。使ったのはNIHのEXAMINERという一式で、クレーマーが2011年に示したものである。上からの制御が落ちることが、創造性と散らかりをつなぐのかを探るためだった。[5]

二つの机の条件は、実行機能を分けなかった。創造性の差が再現されなかっただけでなく、その差を説明するために置いた制御の測度も、条件のあいだで違わなかった。散らかりが制御を落とし、制御の低下が発想を増やす、という二段の話は、この割り付けでは最初の段から支持されなかった。[5]

制御という言葉は広い。締切を守ること、通知を切ること、課題の途中で別の紙を見ないこと。実験が測ったのは、その一式に含まれる実行機能であり、机の上の紙の枚数そのものではない。条件のあいだで実行機能が分かれなかった、というのが測定の結果である。紙の枚数を才能のスイッチとして読む材料にはならない。[5]

数字で読む机の散らかりと発想

2条件:きちんと整えた机と、散らかった机。参加者はどちらかへ無作為に割り付けられた。[5]

2種類:妥当性が確認された創造性の測り方。成人向けトランス検査の短縮版と、代替用途課題である。[5]

有意差なし:独立した標本のt検定で、二つの机の条件の創造性に有意な差は再現されなかった。[5]

実行機能も差なし:NIHのEXAMINERを用いた実行機能は、机の条件のあいだで分かれなかった。[5]

12人:ADHDの診断がある思春期の面接参加者。男子8人、女子4人で、外からの刺激を制御する工夫が方策の一つとして語られた。[4]

21人:ドパミン作動薬の治療のあとで芸術的な活動に取り組むようになった人。パーキンソン病が20人、むずむず脚症候群が1人である。[15]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約