ダイエット向きのヨーグルトで血中脂質も変わる?菌と比較相手で異なる試験結果

ダイエット向きのヨーグルトを選ぶと、血中コレステロールや中性脂肪も変わるのか。特定の菌を加えた試験、普通のヨーグルトと牛乳の比較、全脂肪と無脂肪の比較を読み分ける。体重の話とは分け、改善が見られた対象と量、有意差のなかった項目、研究全体で残る不確かさを確かめる。

健診の紙を冷蔵庫に貼り、その下からヨーグルトを取り出す。体重に気を配って選んだつもりでも、今度はコレステロールの欄が気になる。「ダイエット向き」と「血中脂質に働く」は、同じ問いとして扱えるのだろうか。

答えの芯は、特定の菌を加えたヨーグルトで改善した試験はあるが、普通のヨーグルト全般に同じ結果を約束できない、である。健康な成人を対象とした通常の発酵乳の系統的レビューでは、介入研究の多くで脂質の有意な変化がなく、全体の証拠は説得的でも十分でもないと評価された。[8]

体重に関する話は既存記事「ヨーグルトと乳製品のダイエット効果は本当か 長期の体重変化が語る意外な差」に譲る。ここでは、血液検査の何が、誰に、何との比較で変わったかを追う。ヨーグルト売り場では似た容器が並ぶが、試験で比べている中身まで同じとは限らない。[1][2][7]

既存記事「ダイエット向きの豆は血中脂質も変える?枝豆と乾燥豆、比較相手まで読む」には豆の食品区分を、「食後のヨーグルトで血糖の上がり方は変わる?食べる順序と比較相手から読む」には食べる順序と血糖の話を譲る。こちらの焦点は、ヨーグルトの菌や脂肪の条件を変えたときの血中脂質である。

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普通のヨーグルトと、特定の菌を加えた製品を分ける

ヨーグルトの研究を読むとき、最初に確認したいのは商品の大きさより比較の組み合わせだ。通常のヨーグルト同士なのか、特定の菌を加えたものと通常品なのか。それとも牛乳との比較なのか。この違いを飛ばすと、「ヨーグルトはよい」という大きすぎる結論ができあがる。[1][13][14]

たとえば、ある菌を加えたヨーグルトの群が通常品の群より改善したなら、両群ともヨーグルトを食べている。その差は「食べる対食べない」の差ではない。通常品と比較した条件付きの結果である。朝食にヨーグルトを取り入れる行為そのものの効果へ、そのまま読み替えることはできない。[1]

菌の名前も途中で省略しないほうがよい。試験には、Lactobacillus acidophilus La5とBifidobacterium lactis Bb12を加えたものや、Lactobacillus reuteri NCIMB 30242を微小なカプセルに包んだものが登場する。菌の種類や株の識別名、製剤の作り方まで違う。試験を区別する目印として、名前の末尾まで残しておきたい。[1][2]

冷蔵棚で「乳酸菌入り」という言葉だけを見つけても、それで研究の条件がそろったことにはならない。論文の結果と手元の食品を近づけて読むには、菌の識別名と比較相手をセットにする必要がある。特定の配合への期待を、売り場全体への保証に広げないための確認である。[1][2][8]

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改善した試験でも、動く脂質の項目は異なる

2型糖尿病があり、LDLコレステロールが2.6 mmol/Lを超える60人を対象に、無作為に群を分けた二重盲検の比較試験がある。毎日300 gを6週間、La5とBb12を含むヨーグルトか、通常のヨーグルトを食べた。菌を加えた群では通常品の群に比べ、総コレステロールが4.54%、LDLコレステロールが7.45%低下した。対象は男性23人、女性37人の患者であり、健康な18〜39歳の女性に同じ低下率を当てはめる根拠にはならない。[1]

ここでのLDLは、検査票にLDLコレステロールとして示される項目である。この試験の対象は、その値が一定以上の2型糖尿病の人たちだ。健診で少し気になり始めた健康な若い成人全員について、同じ割合を当てはめる試験ではない。参加条件は結果の注釈ではなく、結果の一部として読む必要がある。[1]

さらに、この研究の菌を加えた群では、中性脂肪とHDLコレステロールについて、開始時からの有意な変化は認められなかった。総コレステロールが下がったという話だけを残すと、検査票の脂質欄が一斉によくなったように見えてしまう。実際には、動いた項目と動かなかった項目が隣り合っている。[1]

非アルコール性脂肪性肝疾患の患者72人を対象とした別の二重盲検無作為化試験でも、同じ菌の組み合わせを使っている。毎日300 gを8週間食べた群では、通常品の群より総コレステロールが4.1%、LDLコレステロールが6.92%低下した。一方、中性脂肪とHDLには両群とも有意な変化がなかった。患者を対象とする結果なので、健康な18〜39歳の女性への適用は別に検証する必要がある。[6]

似た方向の結果が別の対象で出たことには意味がある。ただし、前の研究と合わせて健康な人の効果を確定したことにはならない。対象となる病気、摂取期間、比較した検査項目を残したまま並べると、「特定の条件で総コレステロールとLDLに改善例がある」という輪郭になる。[1][6]

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菌の工夫をした試験は、製品の条件ごと読む

高コレステロール血症の成人を対象に、L. reuteri NCIMB 30242を使ったヨーグルトと、対照用のヨーグルトを比較した多施設の無作為化二重盲検試験もある。完了者は114人で、介入中は毎日2回、6週間摂取した。菌は微小なカプセルに包まれており、菌を加えた群でLDLは対照群より8.92%、総コレステロールは4.81%低下した。高コレステロール血症という参加条件があり、健康な18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[2]

この試験でも中性脂肪とHDLは変化していない。論文はこの製剤による脂質低下を肯定的に結論しているが、そこで評価されているのは、指定された菌と加工を組み合わせたヨーグルトである。「発酵していれば同じ」「菌が入っていれば同じ」とまとめてしまうと、研究が試したものから離れる。[2]

これは、よい結果を打ち消すための細かい注文ではない。結果を役立てるために、何を再現すべきかを見分ける作業である。試験で有効だった組み合わせが具体的なほど、買い物で確認する内容も具体的になる。逆に、菌の名称が違う食品へ同じ低下率を貼り付ける根拠にはならない。[2][8]

複数の研究を合わせると、単独試験の印象は変わる

2型糖尿病患者のプロバイオティクス発酵乳を調べた無作為化比較試験のメタ分析では、総コレステロールについて7試験を統合し、平均差は−5.15 mg/dLだった。95%信頼区間は−9.52〜−0.78 mg/dLである。信頼区間は推定の不確かさを幅で示すもので、この結果は総コレステロールの低下を支持している。患者の試験をまとめた結果であり、健康な18〜39歳の女性の効果量を示すものではない。[15]

ところがLDLは同じではない。7試験の平均差は−4.25 mg/dLで、95%信頼区間は−8.63〜0.13 mg/dL。差がない位置であるゼロをまたぎ、統計的に有意な効果とはされなかった。中性脂肪とHDLにも有意な効果はなかった。個別試験でLDLが下がった事実と、まとめた解析では明確にならなかった事実を、両方持っておきたい。[15]

一方、健康な成人の通常の発酵乳を扱った系統的レビューには68研究が含まれた。内訳は比較対照のある介入14研究、対照のない介入37研究、観察17研究である。全件が無作為化比較試験という意味ではない。介入研究の結果はおおむね一貫せず、多くの試験で脂質指標の有意な変化がなかった。[8]

一部には総コレステロールやLDLの低下、LDLとHDLの比の改善があったが、レビューは研究の質、結果の一貫性、仕組みを裏づける証拠を含めて、十分な根拠とは評価しなかった。観察研究の結果も混在していた。「改善した論文が存在する」と「一般に改善すると確かめられた」の間には、まだ距離がある。[8]

レビュー同士の対象も混ぜない。健康な成人の通常の発酵乳を扱う問いと、2型糖尿病患者に特定のプロバイオティクス発酵乳を用いる問いでは、対象食品も参加者も異なる。「レビューでは否定、別のレビューでは肯定」という見出しだけなら矛盾に見えるが、実際には別の条件に答えている部分がある。[8][15]

たとえば、職場で「ヨーグルトでコレステロールが下がったらしい」と聞いたら、まず自分の検査項目と照らし、次に研究の対象を確かめる。総コレステロールについての結果をLDLの説明に使っていないか。患者の試験を健康な人の結果として受け取っていないか。この順序なら、食品を評価する前に情報の取り違えを減らせる。[1][8][15]

数字で読むヨーグルトと血中脂質

60人、毎日300 g、6週間:2型糖尿病の試験で、特定の菌を加えた群のLDLは通常品の群より7.45%低下した。[1]

114人が完了、6週間:カプセル化した菌の製剤で、LDLは対照群より8.92%低下した。[2]

7試験、−5.15 mg/dL:2型糖尿病患者のメタ分析で示された総コレステロールの平均差である。[15]

68研究:健康な成人の通常の発酵乳を扱ったレビューの件数であり、介入研究と観察研究を含む。[8]

13人、各3週間:全脂肪と無脂肪を比較した探索的解析の対象と期間である。[7]

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宮川涼 Founder

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