ダイエットのプロテインとEAAは同じ濃さ?分解の形と胃の反応を読み分ける

ダイエット中のプロテインとEAAを、粉の量や飲み口だけで比べていないだろうか。乳たんぱく質と分解物の比較試験、アミノ酸を組み合わせた試験から、浸透圧と胃から出る速さ、吸収、食欲の違いを整理する。成分を小さくすれば必ず胃を早く通るとは限らない理由と、比較するときにそろえたい条件を読む。

台所でシェーカーに粉を入れ、計量スプーンを袋へ戻す。プロテインとEAA、どちらも水に溶かす粉なのに、同じ量なら同じ濃さなのだろうか。口当たりが軽いほうが胃も早く通り、ダイエットにも向くのか。選ぶ前に、「濃さ」と「体の反応」を切り離しておきたい。

答えの芯は、成分の分解の形だけでは胃から出る速さを決められない、である。健康な男性を対象にした比較試験では、量やエネルギー密度、浸透圧などをそろえた乳たんぱく質とその分解物は、同程度の速さで胃から出た。分解物なら必ず速い、という予想には沿わない結果だ。男性で得られた結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[15]

既存記事「プロテインを水で飲む日の濃さ、一杯の栄養量だけでは浸透圧が分からない理由」には、飲料全体の濃さの読み方を譲る。ここでは、たんぱく質を分解した形に変えることと、胃・腸・食欲の反応が変わることを、どこまで結び付けてよいかに焦点を置く。プロテインとEAAの減量効果の順位を、胃の通過時間から作る話ではない。[3][15]

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粉の量と、成分が分解された形を分ける

まず、たんぱく質そのものと、その分解物を同じ名前で扱わないことから始める。たんぱく質加水分解物とは、化学的または酵素的な分解によって作られ、主にアミノ酸とペプチドからなるものだ。ペプチドはアミノ酸がつながった形を指す。植物への利用を扱ったレビューでも、この組成が説明されている。対象は植物であり、生育反応を18〜39歳の女性の飲料摂取の効果へ当てはめることはできない。[8]

この区別があると、プロテイン、たんぱく質の分解物、アミノ酸の飲料を、全部「細かいたんぱく質」として扱わずに済む。乳たんぱく質の比較試験でも、ホエイとカゼインについて、元のたんぱく質とペプチド加水分解物を分けて調べている。成分の形を変えた実験であって、市販のEAA飲料を直接比較した試験ではない。[15]

ここで考える浸透圧は、研究では溶液の性質を表す測定値である。胃の反応を比べるとき、粉の重さとは別にそろえられていた条件だ。研究者が窒素含有量と浸透圧をそれぞれ設定した事実からも、「栄養成分の量を合わせた」という説明だけでは、比較の条件を言い尽くせないことが分かる。[15]

題名の「同じ濃さ?」に対して、ラベルの量だけを見て同じと決めるのは早い。反対に、分解された形だから必ず胃の負担が小さいと決めるのも早い。形が違うことは比較の出発点であり、その結果を先取りする答えではない。実際の胃の動きを測った試験へ進む必要がある。[15]

たとえば買い替え前後の飲料を比べるなら、「水に溶かした」という共通点のほかに、何を比べたいのかを言葉にしておく。成分の形なのか、飲料の量なのか、飲んだ後の感覚なのか。研究のように条件を区別すると、使った日の印象をそのまま成分一般の性質に変えずに考えられる。[15][18]

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条件をそろえると、分解物は必ずしも早く胃を出ない

乳たんぱく質の試験は、健康な男性6人を対象にした無作為化比較試験である。ホエイ、カゼイン、それぞれの加水分解物という4種類の溶液を胃内へ投与し、胃から出る速さ、胃液の分泌、アミノ酸の吸収、ホルモンの反応を調べた。18〜39歳の女性が日常的に飲む場合に同じ結果となるかは、この男性の胃内投与試験だけでは判断できない。[15]

溶液の体積は600mL、窒素含有量は9.3g/Lにそろえられた。エネルギー密度は1069〜1092kJ/L、浸透圧の測定値は288〜306mosmol/kgである。さらに酸性・アルカリ性を示すpHや温度も近い条件にしている。成分の形以外が大きく違う飲料を並べた比較ではない。[15]

胃の内容が半分出るまでの平均時間は、ホエイ加水分解物で21.4分、カゼイン加水分解物で19.3分、カゼインで18.0分、ホエイで19.4分だった。いずれも標準誤差を伴う平均値で、研究では胃排出速度は同程度とされた。数字を小さい順に並べ、カゼインを最速の製品カテゴリーとする読み方はできない。[15]

なぜなら、この試験で確かめたいのは、条件をそろえたときに分解の程度が胃排出を変えるかだからである。平均値に少し違いがあることと、比較の結果として違いが示されたことは別だ。研究の結論は、乳たんぱく質溶液の胃排出速度は分解の程度に依存しなかった、という範囲にある。[15]

したがって、この結果は「EAAとプロテインは全製品で同じ」も意味しない。比較対象がペプチド加水分解物である点を残す必要がある。同時に、分解されているほど必ず早いという一般則には、立ち止まる理由になる。胃の動きは、成分の「細かさ」以外の条件にも関わる。[15][18]

男性の小規模試験という対象の幅にも注意したい。立川で働く女性が、その日の体調にかかわらず同じ時間で胃を通ると予測するための時計ではない。使えるのは、分解の形を比べる際に、量や浸透圧まで合わせていたという実験の設計と、その条件下で速さに差が出なかったという知見である。[15]

胃を出る速さと、腸での吸収は別に測る

胃排出とは、内容物が胃から先へ送られる過程である。一方、腸での吸収は、そこから水やアミノ酸が取り込まれる過程を指す。この試験は両方を測っており、胃排出が同程度でも、カゼイン溶液では腸でのアミノ酸吸収がほかより遅かった。入口を通る時刻と、その先で取り込まれる経過は同じ指標ではない。[15]

「胃を早く通れば吸収も早い」という説明は、話をつなぎすぎることがある。この試験では、水とアミノ酸の腸での吸収速度は概ね同程度だったが、カゼインのアミノ酸吸収は例外だった。胃排出だけを示して、血液に届くまでの違いまで説明したことにはならない。[15]

胃液分泌にも違いがあった。ペプチド加水分解物では、元のたんぱく質溶液より約50%多くの胃液分泌が起こった。つまり「胃から出る速さは似ている」と「胃の反応がすべて同じ」は両立しない。分解の形を変えても何も変わらない、という結論に広げるのも誤りである。[15]

ホルモンも一括りにできない。加水分解物では、消化管ホルモンのGIPの血中濃度が胃排出の最初の20分間に高かった一方、別の消化管ホルモンであるGLP-1とPYYの反応は溶液間で同程度だった。消化の反応には、同じ方向に動くものと、そうでないものがある。[15]

飲料の広告で「反応が高い」という表現を見かけたら、何を測った反応かを確認したい。胃液分泌なのか、ホルモンなのか、アミノ酸吸収なのかで意味が変わる。分泌量の違いを、そのまま胃の不快感や減量効果の大きさとして読むこともできない。測定項目を残したまま数字を受け取るのが、この試験に沿った読み方だ。[15]

たとえば運動前の補給を考える場面でも、「すぐ吸収」という短い言葉を、胃に残らない、空腹にならない、食事量が減る、まで延ばさないほうがよい。胃の移動、吸収、食欲は別々に確かめる対象である。選ぶ目的が曖昧なままでは、都合のよい指標だけが入れ替わってしまう。[3][15]

この比較で示された平均値には、ホエイ加水分解物で標準誤差1.3分、カゼイン加水分解物で2.2分、カゼインで2.5分、ホエイで2.8分が添えられている。平均だけを抜き出すと、参加者の測定から得られた値であることが見えにくくなる。自分が飲んだ後に時計を見て、研究の平均より遅いか早いかを判定する用途には向かない。[15]

さらに、溶液は温度37℃、pH6.9〜7.0という近い条件だった。冷たい飲料と温かい飲料を並べて成分だけの違いを判断した実験ではない。この設定は家庭で同じ温度へ調整する勧めではなく、何を一定にして比較したかを理解する情報である。結果を普段の一杯へ当てはめる前に、実験で固定されていた条件を確認する価値がある。[15]

数字で読む、分解の形を比べた試験

6人:乳たんぱく質とペプチド加水分解物を比較した健康な男性の人数だ。[15]

600mL:比較した溶液の体積。普段の飲料の推奨量を示す数字ではない。[15]

288〜306mosmol/kg:溶液間で近くそろえた浸透圧の測定値である。[15]

18.0〜21.4分:各溶液の胃排出半減時間の平均値の範囲。胃が空になる時間とは異なる。[15]

約50%:加水分解物で多かった胃液分泌の割合。胃排出が同程度でも生じた違いだ。[15]

12人:アミノ酸の組み合わせと食欲を調べた、別の探索的試験の男性の人数である。[3]

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宮川涼 Founder

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