プランクは前の失敗を忘れれば楽になる?消す指示より次の練習の合図を考える

プランクで前の失敗を忘れたいとき、忘れる努力と動きの学習は同じではない。指の運動記憶を調べた実験から、忘れる指示が働く条件を読み、姿勢への合図、疲れた日の記録、翌日の再現を分けて考える。毎日のきつさを記憶のせいと決めず、次に何を確かめるかを整理する。

肘をマットについたところで、昨日腰が落ちて途中でやめた場面が浮かぶ。今日は忘れてやろうと思うのに、開始前から昨日の自分が隣にいる。プランクを毎日続けようとすると、体を支える時間だけでなく、前の練習をどう扱うかも気になってくる。

答えの芯は、失敗を忘れることを次の成功の条件にしない、である。運動記憶の実験では「忘れる」という指示の効果は、その後に何をどちらの手で覚えたかによって変わった。忘れようとする意思だけで、動作の記憶を自由に消せるわけではない。[1]

ただし、これは指の動作の順番を思い出す実験であり、プランクへの不安や保持時間を調べた結果ではない。「ヨガ初心者は別の動きを習うと前を忘れる?練習後に起こる記憶の干渉を読む」には練習同士の干渉を譲り、ここでは忘れる指示と、次の試行に使う具体的な合図の違いに焦点を当てる。[1][14]

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「忘れて」は動きの記憶を消す命令になるか

選択的な意図的忘却とは、覚えたもののうち特定の内容を忘れるよう求め、その後の記憶を調べる実験の考え方である。運動記憶を対象にした研究では、参加者が指の連続動作を学んだ後、一部だけを忘れるよう指示された。この指の課題から18〜39歳の女性のプランクへの不安や保持時間を予測することはできない。日常の「嫌なことは忘れよう」に似た言葉でも、測っているのは指示された動作を後で再生できるかである。[1]

参加者が学んだのは、4本の指を順に動かす動作を4項目ずつ含む、3つのリストだった。最初のリスト、次のリスト、最後のリストを続けて学習する。途中で忘れる群には、直前に学んだ第2リストだけを忘れ、先に学んだ第1リストは保持するよう求めた。比較する群には、第1・第2リストの両方を覚えておくよう促した。[1]

この設計で大切なのは、忘れる対象を限定した点だ。残す内容と忘れる内容が同じ実験の中にある。したがって、結果を見る問いも「記憶力が悪くなったか」ではなく、「忘れるよう指定された内容の再生が、覚える群より低くなるか」になる。前日の運動全体が曖昧になることとも区別が必要である。[1]

最終的なテストでは、3つすべてのリストを思い出してもらった。ここで再生が低くなることを、実験上の忘却の効果として扱う。記憶の中身が完全に消去されたことや、二度と戻らないことまで意味する測定ではない。思い出せる量の違いと、記憶そのものの消滅は、同じ表現で片づけないほうがよい。[1]

プランクに置き換えるなら、「昨日の失敗を思い出した」と「昨日習った姿勢の説明を再現できない」は別々の出来事である。前者は出来事の受け止め方を含み、後者は動作や説明を取り出す場面だ。指の順序の再生を調べた実験から、失敗が頭に浮かぶ人ほどプランクが短くなる、と話を進めることはできない。[1]

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効果を分けたのは、その後に使った手だった

研究者は、第2リストから第3リストに移るとき、使う手を同じにする条件と、反対の手に替える条件を設けた。忘れる指示の後に覚える動作が、それまでの動作と競合しやすいかを変えるためである。言葉の指示だけでなく、その後に行う学習の条件も比較している。[1]

結果は条件によって分かれた。同じ手で第2・第3リストを学んだ場合には、忘れる群の第2リストの再生が、覚える群より低くなった。一方、途中で手を替えた場合には、その選択的な忘却効果は生じなかった。「忘れて」と言われたことは共通していても、記憶の成績は同じにならなかったのである。[1]

著者らは、後から学ぶ項目がすでに保存された項目と干渉しうるとき、記憶を抑える仕組みが働いた可能性を示している。ここでいう干渉は、複数の学習内容が競合することだ。ただし、この結果を「右手から左手に替えれば失敗を忘れられる」と読むと方向が逆になる。手を替えた条件では、忘れる指示による再生低下が見られなかった。[1]

毎日の練習に持ち帰れるのは、忘れたいという気持ちを強めれば記憶を操作できる、という処方ではない。指示の後に何を学ぶかまで含めて結果が変わる、という見方である。頭の中の消しゴムを強く押す話より、次に机の上へ何を置くかに近い。[1]

両腕で体を支えるプランクと、片手で指の順序を覚える実験では、手の役割から異なる。また、指の順番を再生する課題と、全身で姿勢を保つ課題では要求が違う。研究の条件を生活に移すときは、単語が似ていることよりも、どんな動作を覚え、何をもってできたとしたかを見る必要がある。[1][12]

前の失敗より、次に確認する動作を言葉にする

「崩れないように」「失敗しないように」とだけ考えると、次に何を確認するかはまだ決まっていない。そこで練習のメモを、消したい場面の説明と、次に試す合図に分けておく方法が考えられる。これは忘却を促進する技法としてではなく、次の練習内容を具体化するための工夫だ。姿勢を学ぶ研究でも、どこへ注意を向ける言葉を使うかが比較されている。[14]

健康な若年成人30人を無作為に分けた試験では、膝立ちから両腕を前へ伸ばし、バランスを保つ課題を行った。身体の姿勢に注意を向ける群、外の目標物に注意を向ける群、特別な注意の指示を受けない群を比較している。測ったのは前方へ届く距離と、肩・股関節・膝の角度だった。18〜39歳の女性のプランクにも同じ合図が有効かは、この膝立ち課題の結果だけでは判断できない。[14]

身体に注意を向ける群には「腕を耳にそろえる」といった合図を、外へ注意を向ける群には「バーを越えて伸ばす」といった合図を用いた。この課題では、身体への合図を受けた群が、外の目標物への合図を受けた群より、学び始めの段階から到達距離とフォームを大きく改善した。改善量をプランクの秒数へ換算することはできないが、姿勢が目的の課題で合図の内容が重要だった。[14]

外の目標だけを見るのがいつでも正解、という単純な説明には収まらない結果である。何を覚える課題なのかに合わせて、注意を向ける先を考える必要がある。プランクでも、記録を伸ばしたいのか、指導を受けた姿勢を再現したいのかを曖昧にしたままでは、合図の良し悪しを判断しにくい。[14]

たとえば指導者から姿勢の確認点を教わったなら、練習前のメモをその言葉に沿って作る。「昨日より頑張る」という評価と、「教わった配置を開始時に確かめる」という作業を分けるのである。後者が保持時間を必ず伸ばすという意味ではない。姿勢を目的にした試験の結果を参考に、何を試したかが分かる記録へ整える発想である。[14]

同じ手か違う手かという操作は、気分転換の種類を比べたものでもない。手を替えた参加者が楽しい気分になったから記憶が残った、と説明する材料にはならない。実験で変更した条件は動作を行う手であり、比較した結果はリストの再生だった。この対応を保つことが、研究を自分の経験に重ねる際の出発点となる。[1]

また、覚える群と忘れる群の違いにも注意したい。比較対象は何も言われなかった人ではなく、先に学んだ両方のリストを保持するよう促された人である。「忘れて」の作用を読むには、もう一方で何を求めたかも見る必要がある。自宅で昨日と今日の自分を比べる場合には、練習前の状態や指示が変わり、実験のようには比較条件がそろわない。[1]

練習の合図も、心強く感じたかと、目的の動作が変わったかを分けて考えられる。姿勢の試験は、合図への好みだけを尋ねたものではなく、到達距離や関節角度を評価していた。プランクのメモでも「よい言葉だった」という感想に加え、何を確認するためにその言葉を使ったかを残せば、次に指導を受ける際の相談が具体的になる。[14]

数字で読む、忘れる指示と動作の学習

3リスト:指の連続動作を学び、特定のリストを忘れるよう求めた実験の構成である。[1]

各4項目:それぞれのリストには、4本の指による連続動作がこの数だけ含まれていた。[1]

30人:姿勢へ注意を向ける合図と外の目標への合図などを比較した、若年成人の試験規模である。[14]

43実験:疲労と運動学習の系統的レビューで分析された実験数で、28実験では習得中の悪影響が見られた。[18]

24時間後:不安定な板の姿勢制御課題で、目標とフィードバックを組み合わせた効果を確認した保持テストの時点である。[17]

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宮川涼 Founder

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