筋トレ後の有酸素運動は腕振りも確認、脚の疲労と上半身の動きを分ける初回の準備

筋トレ後のランニングで脂肪燃焼を狙うとき、脚の疲れと腕の動かしやすさをどう確かめるか。筋トレと走行を組み合わせた試験、上肢と下肢を分けた運動研究から、初回に残したい記録を考える。腕振りを大きくすれば効果が増すとは決めず、研究対象や測定項目の違いも読み分ける。

筋トレを終え、ランニングマシンへ向かう。脚は重いが、腕ならまだ動かせそうだ。「腕を大きく振れば、脂肪もよく燃えるのか」。スクワットの後に残った力を、腕振りで走る力に回せるのかが気になる。

ここで急いで腕振りを変えるより、先に分けたいことがある。トレーニング経験のある男性を対象に筋トレと走行を組み合わせた試験では、筋肉の大きさや筋力の変化と、走る能力の変化は同じ方向にそろわなかった。18〜39歳の女性の初回の運動に、その結果をそのまま当てはめることはできない。筋トレをどこまで続けるかによって、その後の持久的な適応が変わる可能性も示された。したがって、筋トレ後に走れたという事実だけで、目的に合った組み合わせだったとは決められない。[17]

この記事での腕振りは、脂肪燃焼を上乗せする技術ではなく、走り始める前に本人が動かしやすさを確認する項目である。既存記事「筋トレ前の有酸素運動は腕も動かす?脚だけの準備と上半身の温まり方を読む」には準備運動の話を譲り、ここでは筋トレを終えた後、何を記録して次の運動を相談するかを考える。

既存記事「疲労回復の有酸素運動は上半身だけでもよい?脚を休める軽い運動の研究を読む」には回復方法の比較を、「筋トレ後の有酸素運動は腕が疲れていても同じ?歩くときの腕振りと消費のずれ」には歩行中の腕の制限と消費の問いを譲る。ここで作るのは、筋トレ後に走行を予定した初回の相談メモである。

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筋トレ後に走るなら、追い込んだ量も見る

直接の手がかりになるのは、ある程度トレーニング経験のある男性41人を無作為に分けた試験である。筋トレと持久運動を組み合わせる群では、スクワット中の動作速度がどこまで落ちたら終えるかを変えた。比較対象には持久運動だけを行う群を置き、8週間の変化を調べた。18〜39歳の女性への適用には、性別とトレーニング経験の違いを考慮する必要がある。[17]

動作速度の低下とは、同じ筋トレの中で、反復するうちに重りを動かす速さが遅くなることである。この試験では速度低下の許容値を0%、15%、40%とした。組み合わせ群はスクワットを行い、10分の間隔を置いて走行した。頻度は週2回で、筋トレの重さは最大挙上重量の70〜85%だった。最大挙上重量は、その動作で持ち上げられる最大の重さを指す。[17]

この設定から分かるのは、単に「筋トレの後に走る」という順番を調べたのではないという点だ。筋トレで速度低下をどこまで許すかという条件を変えている。筋トレをしたかどうかに加え、どのように終えたかが比較の中心だった。自分の記録でも、種目名だけでなく、終盤に動作がどう変わったかを残すと、相談したい内容が具体的になる。[17]

結果は、組み合わせた群のすべてで筋肉の大きさが増え、速度低下を40%まで許す群の増加が最も大きかった。一方、最大有酸素速度はすべての群で向上し、持久運動だけの群で向上が最も大きかった。組み合わせ群の中では、許容する速度低下が小さいほど、最大有酸素速度の改善の効果量が大きい傾向があった。[17]

効果量は、変化や群の差の大きさを表す指標である。筋肉の大きさを伸ばす条件と、走る能力を伸ばす条件が完全には重ならなかったというのが、この試験の読みどころだ。ただし、これは経験のある男性に対する継続的な介入であり、初めて運動する女性のその日の走りやすさを予測する数字ではない。[17]

筋力の結果も加えると、速度低下を15%または40%まで許す群は、持久運動だけの群より最大挙上重量の伸びが大きかった。持久運動だけの群には筋力の向上がなく、筋肉の大きさにも変化がなかった。走る能力と筋力では、良好だった条件が異なる。この違いは、筋トレを残すか、走行を優先するかを相談する際の背景になる。[17]

スクワットを終えた直後に「腕が動くから脚も大丈夫」と判断するのは、この研究で測った内容を飛び越えてしまう。研究が結び付けたのは、筋トレの速度低下の条件と、その後の筋力・筋肉・持久能力の適応である。腕の勢いを、脚の余力を読み取る物差しに置き換える理由にはならない。[17]

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腕を使う運動と、走りながらの腕振りを分ける

上半身を使う有酸素運動の例として、腕で器具を回すアームエルゴメーターがある。膝の変形性関節症がある78人を対象とした無作為化比較試験では、筋トレに組み合わせる有酸素運動を、トレッドミル、自転車、腕で回す器具に分けた。比較したのは、脚に体重をかける運動、体重を支える負担の異なる運動、上肢を中心に行う運動である。膝の変形性関節症の患者の結果であり、同じ疾患のない18〜39歳の女性の運動選びにそのまま当てはめることはできない。[1]

8週間後、どの群でも痛みと機能検査の成績が改善した。しかし、開始時点の違いを調整した比較では、痛みの変化は腕の器具を使った群がトレッドミル群より良好だった。一方、立ち上がって歩き、戻って座る検査の変化は、トレッドミル群のほうが腕の器具の群より良好だった。優れている運動は、何を測るかによって変わった。[1]

この結果を「腕を使うほうが優秀」と短くすると、歩行に関する結果が消えてしまう。「走るほうが優秀」と短くすれば、痛みに関する結果が消える。膝の症状がある人の運動を選ぶ試験として、痛みと移動の機能を別々に見た点に意味がある。痛みのある読者は、この結果を自己判断での器具変更の指示にせず、医師に相談する際の話題にしたい。[1]

さらに、腕で器具を回す運動は、走りながら腕を振る動作と同じではない。研究で実際に比べた運動名を保って読む必要がある。上肢の運動に関する結果があるからといって、走行中の腕振りを大きくすれば同じ変化が起こる、と読み替えることはできない。[1]

上肢と下肢を分けて調べた別の例には、アマチュアランナー48人の無作為化試験がある。呼吸に使う筋肉のトレーニングを単独で行う群、それに上肢筋トレ、下肢筋トレ、有酸素運動をそれぞれ組み合わせる群に分け、6週間、週3回の監督付き運動を行った。呼吸に使う筋肉の力や、運動時の酸素摂取能力などを測定した。ランナーを対象にした結果なので、18〜39歳の女性が運動を始める場面への適用には、走行経験の違いを考える必要がある。[4]

このランナーの試験では、最大の酸素摂取能力はすべての群で上昇した一方、運動中の換気の効率に関わる指標の改善は、ほかの運動を組み合わせた群に見られた。呼吸や運動能力と呼ばれるものの中にも、異なる評価項目がある。息が楽に感じたという本人の感想だけで、それらを測定したことにはならない。呼吸の力、酸素を取り込む能力、主観的な感覚の名前を分けておきたい。[4]

各群で何らかの呼吸・運動能力の改善が見られたが、変化量の群間差は統計的に有意ではなかった。つまり、上肢を組み合わせた方法が、ほかの方法を明確に上回るという結果ではない。上半身の運動を追加する案を考える場合にも、運動を足した群の改善だけを取り出さず、比較相手との差まで確認する必要がある。[4]

脂肪燃焼という検索語から、測った成果へ戻る

検索窓に「筋トレ後 ランニング 脂肪燃焼」と入れたとしても、まず確かめたいのは、見つかった試験が何を測ったかである。先の筋トレ後に走る試験が中心に置いたのは、筋肉の大きさ、筋力、神経筋の働き、持久能力などである。そこで示された走る能力の向上を、そのまま体脂肪が減った量として紹介することはできない。[17]

代謝に関する大きな研究でも、指標の名前を残して読むことが大切だ。糖尿病のある人を対象とした21件の無作為化比較試験、計1140人をまとめた系統的レビューとネットワークメタ分析では、筋トレ、走行、自転車などの運動を比較した。ネットワークメタ分析は、複数の介入の比較をつなぎ、相対的な効果を検討する方法である。糖尿病患者を対象とした結果を、糖尿病のない18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[11]

この分析では、筋トレと走行の組み合わせに、インスリン抵抗性を表す指標の低下が報告された。インスリン抵抗性とは、血糖の調節に関わるインスリンへの反応が弱まった状態を指す。これは糖尿病のある人の代謝を評価した結果であって、腕振りで脂肪の燃焼率が増したという結果ではない。[11]

研究に登場する順位の数字にも注意したい。運動同士の相対的な順位を示す値を、本人の改善率として読むことはできない。たとえば「上位に位置した」という情報と、「血糖値がどれだけ変化したか」という情報は別物である。運動名の横に割合が書かれているだけで、それを体脂肪の減少率として読むのは誤りである。[11]

初回の相談では、「脂肪燃焼を増やしたい」という希望を消す必要はない。その希望とは別に、今日は筋トレ後の走行がどのように感じられたかを残す。長期の体の変化を確かめる話と、その場の動かしやすさを確かめる話を分けるのである。研究でも、筋肉の変化と持久能力の変化は同じ指標ではなかった。[17]

数字で読む筋トレと走行の組み合わせ

41人:筋トレ中の速度低下を変えて比較した、トレーニング経験のある男性の人数。[17] 8週間:その試験で筋力や持久能力などの適応を追った期間。[17] 10分:筋トレと走行の間に置いた、試験上の間隔。全員への休憩時間の推奨値ではない。[17] 78人:筋トレに組み合わせる有酸素運動の方式を比べた、膝の変形性関節症がある参加者の人数。[1] 48人:呼吸筋トレーニングと上肢・下肢などの運動の組み合わせを調べた、アマチュアランナーの人数。[4]

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宮川涼 Founder

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