ダイエット中のささみは白い筋も肉と同じ?加熱で溶ける話と硬さのずれを読む

ダイエット中のささみに残る白い筋は、長く加熱すれば肉と一緒に柔らかくなるのか。鶏肉の加熱実験、結合組織の比較、ゼラチン抽出の研究から、コラーゲンの溶けやすさと肉全体の硬さを分けて読む。筋だけが口に残る朝食で、下処理と加熱に何を期待するか、食感を観察する手掛かりを整理する。

朝の皿にほぐしたささみをのせたら、肉は食べやすいのに白い筋だけが口に残る。もう少し長く火にかければよかったのか。次は筋を取るべきなのか。同じ鍋で加熱したのに、ひと口の中で食感が分かれる。

答えの芯は、コラーゲンが熱で溶けやすくなることと、肉全体が柔らかくなることは別だ、という点にある。鶏胸筋を加熱した実験では、温度の上昇とともにコラーゲンの溶解性が増した一方、肉を切るのに必要な力や硬さも増していた。追加加熱を考えるなら、筋の変化と肉全体の変化を分けて見る必要がある。[13]

既存記事「ダイエットの間食のささみは繊維を断って切る?裂く方向と噛みやすさを考える」には切る方向の話を譲る。ここで考えるのは、白い筋を残した肉に熱を加えたとき、なぜ「溶ける」と「硬くなる」が同じ皿に起こり得るのか、という問いである。[13]

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白い筋と肉全体の硬さを、同じものとして扱わない

白い筋を気にするとき、まず分けたいのは、局所に残る筋の抵抗と、肉全体の噛み心地だ。鶏肉の品質を整理したレビューは、柔らかさだけでなく、ジューシーさ、しまり、水を保つ性質、コラーゲン量などを別の評価項目として挙げている。見た目も食感も、単独の指標では捉え切れない。[2]

ささみに相当する小胸筋を扱うレビューでも、筋線維の束の間に生じる離開と腱の断裂が区別して記述されている。筋肉の束と腱は、食肉の構造を考える際に同じ部品として扱われていない。白い筋が気になる問いを、単に「鶏肉は硬いか柔らかいか」に広げすぎないことが出発点になる。[1]

ここでいう結合組織は、肉の構造を支える組織である。鶏胸肉の研究では、筋肉内部の結合組織を取り出し、そのコラーゲン量や熱に対する性質を調べている。つまり、肉の中には噛み心地に関わる複数の構造があり、白い筋の印象だけで肉全体の状態を代表させるのは粗い見方になる。[6]

例えば、皿の上で肉がほぐれていても、噛んだときに局所の抵抗が気になることはある。その場合に確かめたいのは、全体がぱさついているのか、特定の筋が残るのか、という違いだ。これは家庭での観察の分け方であり、食感から肉の組織状態を診断する方法ではない。研究でも、水分の損失と硬さは別々に測られている。[6][13]

「たんぱく質だから全部同じように火が通る」と考えると、この違いを見落としやすい。肉の品質レビューがコラーゲン量、たんぱく質の溶解性、加熱で失う重量を分けて扱うのは、調べたい性質が異なるからだ。栄養表示を読むときのまとまりと、口の中で感じる構造のまとまりは一致しない。[2]

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コラーゲンが溶けやすくなっても、肉は硬くなり得る

加熱との関係を直接調べたのが、ブロイラーと台湾在来鶏の胸筋を対象にした食品実験である。到達温度を50〜95°Cの範囲で変え、理化学的な性質、機械で測る食感、人が食べて感じる性質を比べている。対象は肉そのものであり、18〜39歳の女性の食べ心地や減量効果へそのまま当てはめることはできない。[13]

温度が高くなるにつれて、両方の鶏で加熱損失、コラーゲンの溶解性、せん断力、硬さが増加した。加熱損失は加熱で肉が失う重量、せん断力は肉を切る際に必要な力の指標である。「コラーゲンが溶けやすいなら噛む力も小さくなるはず」という予想に対し、この実験の肉全体は反対の動きを示した。[13]

矛盾しているようで、測っている対象が異なる。コラーゲンの溶解性は成分の性質であり、せん断力や硬さは肉というまとまりへの測定だ。同じ実験では、たんぱく質の溶解性、加熱損失、加熱後の食感に強い関連があった。コラーゲンの変化だけを抜き出して、食べやすさの結論にすることはできない。[13]

人が食べる評価でも、ブロイラーでは温度の上昇に伴い、口の中に出てくる水分の感覚が減り、鶏肉らしい風味は増した。風味が強くなることと、しっとり感じることも別の変化である。鍋に長く入っていたという経歴だけでは、望んだ食感になったかは決まらない。[13]

ただし、この実験から家庭のささみに最適な温度を選ぶことはしない。比較したのは鶏の胸筋の品質であり、皿に残る白い筋だけの軟化試験ではない。示されるのは、「温度を上げれば、コラーゲンも肉も一緒に柔らかくなる」という一直線の説明を避ける理由である。[13]

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ゼラチンを作る実験は、ささみをゆでる手順ではない

「コラーゲンは加熱するとゼラチンになる」という話を聞くと、白い筋も待てば自然に消えるように思える。しかし、鶏由来のコラーゲンからゼラチンを作った研究を読むと、材料だけでなく前処理と抽出条件が重要な位置を占めている。[5]

鶏の胃を用いた実験では、微生物由来のたんぱく質分解酵素で材料を処理した後、熱水でゼラチンを抽出した。抽出温度は55.0、62.5、70.0°C、酵素量も変えて比較している。平均収率は65±8%だったが、これは酵素処理と熱水抽出を組み合わせた加工工程で得られた値だ。[5]

この数字を、ささみを家庭で加熱したときの「筋が溶ける割合」に置き換えることはできない。対象は鶏の胃から得るゼラチンであり、肉をそのまま食べる場面とは材料も目的も異なる。温度だけを抜き出した瞬間に、研究の条件のかなりの部分が落ちてしまう。[5]

さらに、得られたゼラチンのゲル強度は25±1〜439±6 Bloomと幅があった。ゲル強度とは、できたゲルの強さを表す指標である。同じ鶏由来のコラーゲンでも、工程を経て得た製品の性質は一定ではない。「ゼラチン」という名前だけでは、できたゲルの強さまでは決まらない。[5]

台所で参考にしたいのは抽出温度の数字そのものより、研究者が何を操作したかだ。熱だけを変えたのか、酵素で処理したのか、組織から成分を取り出したのか。その区別を残して読むと、白い筋が残ったからといって、抽出実験と同じ結果を目指して加熱を延ばす理由はなくなる。[5][13]

同じ鶏肉でも、出発時点の構造が違う

加熱だけに理由を求める前に、肉の側にも違いがある。鶏肉の品質レビューは、遺伝、飼育、食肉への変化、加工などが品質に関係すると整理している。家庭で調理条件をそろえても、材料側の違いは残る。[2]

加熱実験では、台湾在来鶏はブロイラーよりコラーゲン量とせん断力が高く、コラーゲンの溶解性は低かった。研究対象の鶏の違いを外すと、「鶏肉を何度まで加熱した」という説明だけが残ってしまう。温度の数字に、材料の違いを飛び越える力はない。[13]

筋肉の状態が異なる胸肉の比較も、その点をよく示す。木質化したような硬さを呈する胸肉と正常な胸肉を比べた実験では、食肉処理後の初日に、前者の生肉の硬さは27.0 N、後者は23.1 Nだった。流出する液の割合もそれぞれ1.8%と1.0%で異なった。[6]

同じ比較でも、処理後3日にはこれらの指標の群間差がなくなっていた。一方、不溶性コラーゲンと総コラーゲン量は、異常のある筋肉で高かった。コラーゲン量の群間差と生肉の硬さの群間差は、測定時点によって対応が変わっていた。[6]

この研究を家庭の保存日数の提案として使うべきではない。研究が比べたのは特定の胸肉の状態と測定時点である。ここで受け取れるのは、硬さの値を読むには、部位、組織の状態、生か加熱後かをそろえる必要があるということだ。[6]

さらに、熱への反応を比べる研究では、変性エンタルピーという指標も用いられる。これは、たんぱく質の構造が熱で変化するときに伴うエネルギーを扱う指標だ。初期保存中の胸肉を調べた研究では、筋肉内の結合組織について、この値が異常胸肉で正常胸肉より低かった。[6]

ところが、複数の胸肉異常を比較した別の研究では、木質化した胸肉の間質たんぱく質の変性エンタルピーが高いという結果が報告されている。方向だけを並べると食い違うが、一方は筋肉内から取り出した結合組織、他方は胸肉の表層と深層も調べた品質比較である。測定対象や比較の枠組みを省いて、どちらかだけを一般則にすることは避けたい。[6][12]

そもそも、熱で構造が変わるときのエネルギーと、食べるときの抵抗は別の指標だ。「変性しやすいから、食べれば柔らかい」という読み替えをすると、ここでも測定対象が飛んでしまう。温度、エネルギー、機械で測る力、人が感じる硬さを順番に区別すると、専門用語に料理の答えを背負わせずに済む。[6][13]

数字で読む、加熱と組織の別々の指標

50〜95°C:胸筋の加熱実験で比較した到達温度の範囲。家庭の推奨調理温度ではない。[13]

65±8%:酵素処理と熱水抽出を組み合わせ、鶏の胃から得たゼラチンの平均収率。[5]

27.0 N対23.1 N:処理後初日の異常胸肉と正常胸肉の生肉の硬さ。加熱した腱の測定値ではない。[6]

1.8%対1.0%:同じ胸肉比較での液の流出割合。コラーゲンの溶解率とは異なる。[6]

10〜12回:別の官能評価で、噛み進めた段階を比べた咀嚼回数。食事中の目標回数ではない。[15]

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宮川涼 Founder

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