運動が楽しくなるアプリは順位を隠せる?比較を止めた後に確かめたい意欲と負担

運動が楽しくなるアプリで、ランキングを見るたび気が重くなるなら、順位表示と自分の記録を分けて考えたい。比較が励みになる人と負担になる人の研究を読み、順位を隠した後に確かめる意欲、歩数、記録の負担を整理する。競争をやめても人とのつながりを残すための、画面の選び方も考える。

散歩から戻り、靴を脱ぐ前に運動の記録を開く。歩いた分を確認するつもりが、先に目へ入るのは友人の名前と自分の順位だ。さっきまで気持ちよかった散歩が、玄関で負け試合になっている。

運動が楽しくなるアプリを探していても、順位を見ることまで好きになる必要はない。他人との比較に対する反応は日ごとにも違い、比較する相手を自分で選んだ研究でも、意欲や行動への利益と関連したのは選択の一部だった[15]。順位を隠すのは試せる選択だが、それだけで楽しくなると約束できる方法ではない。

ここで考えるのは、比較を止めた後に何を残し、何を見て判断するかである。重量の目標は既存記事「ヒップアップの筋トレは他人の重さを目標にする?比較相手と継続意欲を考える」に譲る。また「運動が逆にストレスになるのは他人と比べるから?順位の表示と気分を研究で読む」と異なり、今回は表示を外した後の確かめ方に焦点を置く。

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順位を隠すことと、記録をやめることを分ける

運動の画面には、自分の歩数、目標までの進み具合、友人との順位などが一緒に並ぶことがある。これらをまとめて「アプリの効果」と呼ぶと、どの情報が自分を助け、どの情報が重荷なのかが見えにくい。まず、記録する機能と比べる機能を別々の候補として扱いたい。

成人を対象にした予備的なランダム化比較試験では、自分の歩数を見る条件、日々の歩数目標を示す条件、仲間の歩数を示す条件を比較した。対象は70人で、女性が44人、平均年齢は40.5歳、介入は4週間だった[2]。ランダム化比較試験とは、参加者を無作為に条件へ割り付けて比べる研究である。男女を含み平均年齢も異なるため、18〜39歳の女性に同じ結果をそのまま当てはめるには慎重さが要る。

この試験では、自己申告による総身体活動量に有意な変化は認められなかった。機器で測った歩数は、目標設定と仲間との比較の条件で自己記録の条件よりやや多かったものの、その差も統計学的に有意ではなかった[2]。したがって、仲間の歩数を見せれば確実に活動が増えるという読み方はできない。

一方で、自分の記録だけなら必ず気楽だとも言えない。日々の動機を調べると、自己記録の条件では、目標設定の条件よりも圧力や緊張の感覚の増加が大きかった[2]。順位を隠した画面に自分の数字が残っても、その数字が新しい採点者になる可能性を考えておく必要がある。

設定を変えるときは「人との順位を見るのを止めたい」のか、「数字を追うこと自体から離れたい」のかを言葉にしてみる。前者なら自分の履歴は残したいかもしれない。後者なら、歩数を毎回確認する運用も再検討の対象になる。これは研究で確立した処方ではなく、何を変えたかを自分で区別するための整理である。

さらに、この試験の参加者は機器をよく装着していた。有効な装着日数は平均で28日中26.43日、94%に当たり、脱落者はいなかった[2]。それでも活動量の明確な改善は確認されなかった。記録を取る仕組みが動いていることと、体を動かす行動が変わることを分ける必要がある。アプリを毎日開けているから運動にも役立っている、と判断を急がないための結果だ。

また、比較条件で示されたのは仲間の日々の歩数である[2]。順位を隠していた同じ人に順位を見せる、あるいは表示していた順位を途中から消す、という問いとは異なる。この試験を読むときは、機能同士を比べる材料として使い、非表示への切り替え後に何が起こるかまで先回りして決めない。表示を外した後の反応を自分で確かめる余地は、そこに残っている。

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上位の人を見たい日と、見ても動けない日は違う

社会的比較とは、他人を基準に自分を評価することである[15]。運動不足の大学生を対象とした研究では、自分より歩数の多い相手と少ない相手から比較対象を選べる仕組みを使い、選ぶ相手や閲覧のしかた、閲覧前後の運動意欲などを調べている[15]。大学生という集団の結果を、生活環境も幅広い18〜39歳の女性全体へそのまま広げることはできない。

研究は異なる集団による3つの調査から成り、合計112人が参加した。利用期間はそれぞれ7〜9日で、参加者は日々の歩数を測りながら、別の画面で比較対象を選んだ[15]。単に上位か下位かだけでなく、どれくらい相手の情報を見たかまで扱っている点が、この問いに近い。

参加者は自分より歩数の多い相手を選ぶことが多かった。しかし、比較対象の選択のうち、意欲や身体活動に良い結果と関連したのは一部だった。好みや反応には日々の違いもあった[15]。見たくなる情報と、見た後に動ける情報は必ずしも同じではない。

たとえば夕方、よく歩く友人の記録を見て「駅から家まで歩こう」と思う日もある。別の日には同じ画面を閉じて、そのままソファへ座るかもしれない。この場面は研究参加者の実例ではなく、日ごとに違う反応を生活の中で捉えるための例である。比較に強い人か弱い人かと、自分へ固定した札を付ける必要はない。

そのため、順位を隠すかどうかは性格診断の結果として決めるより、いま表示が何をしているかから考えたい。画面を開く前には散歩する気があったのに、閉じた後は歩きたくない。その繰り返しがあるなら、表示を外して様子を見る理由になる。反対に、見た後に気持ちよく出かけられるなら、他人の情報をすべて消すことが目標にはならない[15]。

競争が好きな人の声も、負担になる人の声もある

順位表を一律に悪者にするのも、研究の読み方としては粗い。米国南東部の身体活動が十分でないアフリカ系米国人の成人42人を対象にしたグループ面接では、競争的な要素が魅力的だという意見や、歩数と活動時間を順位表で見たいという好みが見いだされた。参加者の93%は女性で、平均年齢は約45歳だった[16]。年齢層と文化的背景が異なり、18〜39歳の女性全体にそのまま当てはめるには慎重さが要る。

ただし、この研究が示したのは設計への好みや受け止め方である。順位表が実際にどれだけ歩数を増やすかを比較した試験ではない。チームで取り組むことへの期待は、順位表を使えば全員が長く続くという証明とは分けて読む必要がある[16]。

逆の側面は、膝や股関節の変形性関節症がある人の身体活動を扱った、質的研究の系統的レビューに表れている。10研究をまとめた結果では、一緒に運動する人との否定的な比較が活動の妨げの一つとなり、専門家や周囲からの支援は助けとなっていた[4]。系統的レビューとは、定めた手順で研究を探し、結果をまとめる方法である。患者の経験をまとめた結果なので、健康な18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。

この患者集団では、他人が同じ場にいることの中に、支えと比較の重荷が両方含まれうる点は見逃せない[4]。仲間がほしいという希望と、順位は見たくないという希望は、別々に扱ってよい。

ここでの選択肢は、競争に参加し続けるか、運動から離れるかの二択ではない。個人の履歴を中心にする、励ましのやり取りだけ残す、比較が気になる日は画面を開かずに動く、といった使い方を候補にできる。どれを選ぶかより、選んだ後の運動と気持ちを確かめることが大切だ。以下の数字も、勝ち負けを決める点数ではなく、その判断の範囲を示している。

グループ面接では、毎週の活動課題を自分で選びたいという好みも挙がり、理想の仲間の属性や開始時点の活動量については意見が分かれていた[16]。競争が魅力的という声があっても、誰と何を競うかまで全員同じなのではない。順位表を見たい人の意見を尊重することと、その設計を自分にも採用することは別である。

この違いを画面選びへ移すなら、総合順位の存在だけで使いやすさを決めず、自分の活動をどこで確認するか、他人の情報を見る操作を選べるかを確かめたい。順位が最初に出る画面と、自分から開いたときだけ出る画面では、日常の使い方も違う。ここで挙げた画面は選ぶ際の仮の例であり、特定のアプリに備わる機能の紹介ではない。自分が避けたい表示を、設定の言葉へ置き換えるための確認である。

数字で読む比較表示と意欲

70人:自己記録、目標設定、仲間との比較を比べた予備的な無作為化試験の対象人数である[2]。

4週間:同試験の介入期間であり、長期の継続をそのまま示す長さではない[2]。

112人:比較対象を選ぶ日々の調査に参加した大学生の合計で、反応には日ごとの違いがあった[15]。

42人:チーム型の仕組みに対する好みを語ったグループ面接の参加者数である[16]。

10研究:否定的な比較を活動の障壁として挙げた、変形性関節症の質的研究レビューの規模である[4]。

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宮川涼 Founder

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