産後の体型戻しと運動、同じ服への不満を体重だけで判断しないための記録

産後、昨日と同じ服なのに鏡の前で落ち込む。その感覚を体重や運動不足だけで説明しないために、身体像のメタ分析、SNSを見せた実験、自分への思いやりを扱う試験を読む。服の着心地、体への満足、運動したい気持ちを別々に記録し、妊娠前の服を回復の期限にしない考え方を整理する。

出かける前に、昨日と同じパンツをはく。昨日は気にならなかった鏡の中の姿が、今日はどうにも好きになれない。「運動が足りないからだろうか」と思ったとき、服の着心地と、自分の体への評価を分けて書き留めてみたい。

産後の体への不満には、体重だけではなく、目にする身体の画像も関わりうる。産後の母親に体型中心のSNS投稿を見せた無作為化試験では、対照の投稿を見た群より身体への不満が高くなった。[6] 同じ服への感想が変わった日に、まず運動を増やすと決める必要はない。ここでは服を研究の測定器として扱わず、生活の中で違和感に気づく場面として取り上げる。

既存の「産後の体重と運動、安全に戻すには何が必要か 授乳と食事支援を論文で読む」に体重管理の論点を譲る。こちらが考えるのは、服を着た瞬間の不満をどう読み、体の変化と自分を評価する言葉をどう分けるかである。

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服の着心地と、体を好きになれるかは別の問い

「この服がきつい」と「この体では外に出たくない」は、似て見えて違う言葉だ。前者は着用中の感覚を表し、後者には自分に向けた評価が含まれる。どちらかを否定するために区別するのではない。相談するとき、何がつらかったかを相手に渡せる形にするためである。

身体像、つまりボディイメージは、自分の体をどう捉えるかという話題である。妊娠期と産後を対象にした瞑想の試験でも、体への不満、体に対する恥、体を肯定的に受け止める感覚は、それぞれ評価されている。[5] 「体重が戻ったか」という問いだけで、これらを代表させない読み方が必要になる。

例えば、椅子に座るとウエストが当たるなら、その場面を書けばよい。一方、鏡に映った全身を見て「前の自分でなければだめだ」と思ったなら、出てきた言葉をそのまま残す。同じ「服が嫌だ」という短い感想でも、後で見返したときに考えたいことが異なる。これは診断用の記録ではなく、困りごとを整理するための提案だ。

服を着る前に何を見ていたか、という欄も用意できる。赤ちゃんの写真を送っていたのか、引き締まった産後の体を並べた投稿を見ていたのか。体型中心の投稿を見せる実験で身体への不満に差が出たことを踏まえ、服だけに原因を集めないための欄である。[6] 前後関係は相談の手がかりとして残す。

妊娠前の服に入ることを、運動を始めてよい条件や、自分を認めてよい条件にする必要もない。本記事では、服が入ったかどうかを成果判定に用いない。着ていて困ったこと、動くときに気になったこと、人と比べたくなった場面を、それぞれ言葉にする。鏡の前で始まった悩みを、すべて腹筋の宿題に変えなくてよい。

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産後の不満を「まだ戻らない」と急がせない

一般の女性や摂食障害の既往・現在の診断がある女性を対象に含めることを採用条件とした、周産期の身体像と食行動の系統的レビュー・メタ分析では、身体への不満を扱う10研究、計2,625人が分析に含まれた。妊娠の進行とともに不満が高まり、産後少なくとも12か月まで高い状態が続く傾向が示された。[4] 出産が済んだら気持ちもすぐ妊娠前に戻る、という見通しとは合わない結果である。対象条件に幅があるため、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは慎重に考える必要がある。[4]

ただし、これは「産後12か月までは全員が不満を感じる」という意味ではない。研究に含まれた人々の傾向を、自分への期限や予告に置き換えないことが大切だ。[4] 気にならない日も、つらい日も、研究の平均に合わせる必要はない。長く気になるから本人の努力が足りない、と責める根拠にもならない。

このメタ分析では食行動の問題を扱う7研究、計2,551人も検討され、食行動上の問題の高まりは産後12か月時点で観察された。[4] 身体への不満と食行動では、高まりが観察された時期が異なる。鏡で気になったから食事を減らす、という流れを当然の対処にしないでおきたい。

研究結果を暮らしへ移すなら、「いつまでに戻すか」だけが相談事項にならないようにする。服選びで外出をためらうこと、写真に入りたくないこと、食事中も体型のことが離れないこと。もし自分に当てはまるなら、これらも伝えてよい困りごとである。体重の数字を整えてからでなければ相談できない、という順番にはしなくてよい。

カナダで産後4〜6か月の女性にグループで話を聞いた質的研究では、産後の体への現実的でない期待を背景に、身体像との複雑な関係が語られた。食事や運動、体重管理についての案内が足りないという経験も示された。[7] ここでいう質的研究とは、語られた経験の内容を分析する研究であり、何割の母親がそう感じるかを求める調査とは異なる。

この研究は無作為化試験の中に組み込まれているが、今回の問いへの答えは参加者の語りから得られている。運動を割り付けて服への満足が変わるかを試した結果として読むことはできない。[7] 「自分だけうまく戻せない」と感じたときに、期待や支援のあり方も話題になる、と受け止めるのが適切だ。

SNSで動きたくなることと、体への満足は分けて読む

SNSには育児の情報も、人とのつながりもある。一方、産後の女性とSNSを扱ったスコーピングレビューでは、採用された8研究から、現実的でない美的基準、体への不満、食事制限や強い運動との関連が整理された。[3] スコーピングレビューは、どのような研究があるかを見渡す方法である。投稿を見れば必ず同じ影響が出る、と断定するための結果ではない。

より直接的に投稿の影響を調べたのが、乳児の月齢が0〜6か月の母親132人を対象にした無作為化試験だ。65人は体型を中心にしたSNS投稿を、67人は乳児の食事に関する助言の投稿を見た。[6] 比較対象は「SNSをまったく見ない生活」ではなく、内容の異なる投稿である点を押さえたい。

投稿を見た直後、体型中心の投稿群では身体への不満が高く、群間の平均差は1.54だった。身体像の評価も悪く、平均差は0.41であった。[6] これらは質問票の評価値の差であり、体重や服のサイズが増えた量を表す数字ではない。鏡の中の体が変わったことと、体への評価が変わったことを分けるために読む結果である。

同じ試験で、体型中心の投稿群は活動したいという刺激も強く感じ、その平均差は0.48だった。[6] 「運動する気になれた」という感想だけでは、この投稿の影響を評価できない。動きたい気持ちと体への不満が同時に強まる場合があることを、この実験は示している。[6]

運動への意欲を大切にすることと、不満を燃料にし続けることは分けて考えたい。投稿の後で「散歩に出たい」と思ったのか、「食べた分を消さなければ」と自分を責めたのか。自分が使った言葉を残すと、単にやる気が出た、という感想より相談しやすくなる。体型投稿を見た後の反応を整理する提案であって、言葉だけで健康状態を判定する方法ではない。[6]

さらに、1か月後まで差が残ったのは食事制限の行動と食事への態度で、ほかの評価項目には持続する効果が認められなかった。[6] 直後の不満がそのまま長く続くと決めつけるのも、直後の刺激を見過ごすのも違う。何を、いつ測った結果なのかを分けると、研究を怖い話にも成功談にも作り替えずに済む。

立川駅の改札へ向かう前、服を選ぶ時間より画面を眺めた時間のほうが気にかかったなら、そのことをメモしてよい。同じ服を使って気持ちを観察することはできても、服の感想だけから脂肪や筋力の変化までは判定しない。本記事の記録は、こうした別々の問いを混ぜないためのものだ。

研究で示された平均差は、目の前の人がどれだけつらいかを点数で決める道具ではない。SNSの試験にある1.54という差を、家庭で書いた満足度の点数に当てはめることはしない。[6] 自分で作った欄は研究の質問票と同じ尺度ではないからだ。研究と日常のメモは、同じ数字に見えても用途が違う。

また、ここで取り上げた投稿の試験では、直後と1か月後に評価が行われている。[6] 朝の着替えで感じた不満を夕方に思い出して書く場合には、「そのときの気持ち」なのか「今振り返った感想」なのかも区別したい。正確な実験を家庭で再現するためではない。相談相手と話すとき、いつの困りごとを話しているかが分かるようにするためだ。後で書いた感想を、着替えた瞬間の気持ちだったと無理に決めなくてよい。

数字で読む産後の身体像

身体への不満の分析は10研究、計2,625人。周産期のメタ分析に含まれた対象である。[4]

不満の高まりは産後少なくとも12か月まで。個人の回復期限を表す数字ではない。[4]

SNS投稿の実験は産後の母親132人。体型中心の投稿と乳児の食事の助言を比較した。[6]

身体への不満の直後の平均差は1.54。質問票の値であり、体重差ではない。[6]

自分への思いやりを扱う瞑想の予備試験は71人、介入は3週間。妊娠中と産後の女性を含む。[5]

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宮川涼 Founder

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