体力を強化する検査は順位が同じなら正確?集団の並びと自分の記録の揺れを読む

体力の検査で順位が安定していても、自分の記録が細かく正確に測れるとは限らない。女性の筋力・歩行・立ち座りや肩の検査の再測定研究から、相対信頼性と絶対信頼性の違いを読む。高い係数だけで小さな伸びを成果と決めず、回数や秒数、重さで示す誤差を確認するための記事である。

前回も今回も、運動仲間の中では真ん中くらい。だからこの体力検査は正確で、自分の記録が少し伸びたのも確かな成果だろう。検査表の順位欄を見ていると、そう考えたくなる。しかし、集団内の並び方が安定することと、自分の数値の揺れが小さいことは別である。女性の筋力と身体機能を繰り返し測った研究でも、この違いが表れている。[10]

体力を強化する過程で検査を使うなら、「信頼性が高い」の後に何を調べたのかを確かめたい。相対信頼性は集団内の位置関係の安定、絶対信頼性は記録の精密さに関わる。同じ検査が前者では良好でも、後者では小さな変化を読み取りにくい場合がある。[10]

既存記事「ウェアラブルの数字はどこまで信じられるか|平均バイアスと一致限界は別物」には機器の数字の一致という問いを譲る。ここでは、運動を実際に行う検査について、集団を比べるための係数と、自分を追うための誤差を読み分ける。生活で満足できる改善の大きさを決める話とも分け、まず測定結果のどこまでを信用できるかに焦点を置く。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

順位を保つことと同じ記録が出ることは違う

この区別を明示しているのが、40歳を超える女性113人を対象とした再測定研究である。平均年齢は58歳で、筋力検査と歩行・立ち座りなどの身体機能検査を実施した。研究では相対信頼性を、繰り返し測ったときの集団内の順位の一貫性として扱い、絶対信頼性を得点の精密さとして調べた。筋力や体力を高める介入の効果を比べた試験ではなく、検査自体の性質を確認する研究だ。18〜39歳の女性にこの誤差の値をそのまま当てはめるには、年齢層の違いがある。[10]

たとえば、もともと重い負荷を扱える人は再検査でも重い負荷を扱い、軽い負荷の人は再検査でも軽い負荷にとどまる。そうした位置関係を安定して捉えることと、各人の測定値が前回のすぐ近くに収まることは同じではない。実際、この研究は集団内の位置がよく保たれる一方、記録の精密さには課題があると結論している。[10]

順位表には、前の人との距離が書かれていない。並びが同じという情報だけでは、自分の重さや回数がどこまで揺れたかは分からないのである。これは検査を捨てる理由ではなく、使う目的を確かめる理由になる。集団の中で身体機能を区別したいのか、自分の小さな変化を追いたいのかによって、確認する数値を変える必要がある。[10][20]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

高い係数の隣にある重さと回数を読む

相対信頼性の評価に使われるのが、級内相関係数という指標である。研究では英字の略称で示されることも多いが、ここでは係数と呼ぶ。女性の研究では、膝を伸ばす筋力検査の係数は一貫性について0.93、測定値の一致について0.91だった。それでも、測定誤差を超える変化の目安である最小可検変化量は9.2kg、相対値では35%であった。[10]

最小可検変化量は、記録の変化を測定誤差と区別するために使う値である。同研究の脚を曲げる筋力検査では9.2kg、51%とされ、椅子からの立ち座りを30秒間に何回できるかという検査では4.6回、30%だった。係数が良好という評価だけを切り取ると、これらの揺れの大きさを見落とす。[10]

「4.6回」は、椅子から半端な回数だけ立つという指示ではない。研究から求められた統計的な変化量である。回数の検査でも、小さな増加の判断には誤差の確認が要る。記録の単位が身近であることと、測定の精密さは別だ。この研究では立ち座りの係数は一貫性が0.85、一致が0.80でありながら、小さな変化を解釈する際の注意が示された。[10]

一方、同じ研究の歩行検査では、6分間に歩ける距離の最小可検変化量が50.9m、10%だった。検査間で単位も測る働きも違うため、kgとmをそのまま比べることはできない。それでも、「同じ参加者を同じ研究で測った検査」だから検査ごとに精度が異なることは読み取れる。検査名ごとに係数と誤差を組にして見るのが出発点となる。[10]

立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

若い成人の肩でも係数と秒数は別に示される

対象が中高年だったから起きた話、と片づけることもできない。健康な若い成人の頭上で腕を使う競技者30人と、座位中心の生活を送る成人62人を対象にした肩の持久力検査の研究がある。合計92人を7日間隔で測り、係数は0.78〜0.93と高い範囲にあった。一方、測定誤差を秒で表す指標は10.7〜16.45秒、最小可検変化量は29.6〜45.6秒だった。競技者を含む成人の結果であり、18〜39歳の女性一般に同じ秒数を当てはめるには対象の違いを考える必要がある。[15]

この研究では絶対信頼性も臨床的に許容できると評価された。したがって、女性の筋力研究と並べて「すべての運動検査は不正確」と結ぶのは誤りである。検査の目的や対象によって評価は変わる。ただし、高い係数と同時に、秒で表される誤差も示されているという読み方は共通している。[10][15]

肩を長く使えたという記録を受け取ったとき、係数の高さは集団を区別する性能の手がかりになる。しかし、その人の時間が少し延びたことを判断するには、秒の側の情報が要る。競技者と座位中心の成人を含む研究で得られた値を、自宅で形だけ似せた運動へ移しても同じ検査にはならない。ここでの数字は肩の検査の性質を示すもので、家で限界まで保持する課題の目標ではない。[15]

さらに、この肩の持久力検査と、肩をひねる方向へ動かさず力を出す筋力との相関は弱く、相関係数は0.309〜0.431だった。安定して測れることと、別の種類の筋力まで代表できることも区別したい。「肩の検査だから肩の力が全部分かる」という便利な読み方までは支えていない。[15]

科学的に確かめたとは誰に確かめたのか

多くの研究をまとめた系統的レビューとメタ分析でも、対象の確認は欠かせない。神経疾患のある人の姿勢制御を評価する臨床的なバランス検査を扱った研究では、36研究、計1,749人を集め、総得点の係数は0.96〜0.98だった。信頼性や測定誤差について質の高い根拠が得られた一方、疾患別に見ると根拠の確かさは下がると評価されている。対象も検査の目的も異なるため、健康な18〜39歳の女性が運動仲間と体力を比べる場面に、この係数をそのまま流用できない。[1]

このレビューはバランスを測る検査に肯定的な結果を示す。しかし、それを健康な若い女性の運動成果判定へ、そのまま移すことはできない。対象となる疾患ごとの研究数や人数も違い、特定の対象での使用を支える根拠には偏りがあった。研究をまとめたという肩書だけで、精度が確かめられた対象の範囲まで広がることはない。[1]

また、頭頸部がんの治療後の人50人を対象とした再測定研究では、各種の身体機能検査の係数が0.77〜0.98だった。それでも検査によって、検出できる変化を割合で示した値は5.4〜15.1%の範囲と、19.8〜44.7%の範囲に分かれた。著者らは人の身体機能を区別できる一方、繰り返し測定の解釈では誤差を考慮すべきだとしている。治療後の人の結果であり、健康な18〜39歳の女性への誤差の基準にはそのまま使えない。[20]

病気のある人を対象とした検査を紹介するのは、その基準を読者へ当てはめるためではない。係数を報告する研究でも、個人の変化を読むための情報は別に用意されるという共通点を見るためだ。「信頼性が高い」という結論を読んだら、対象と検査名までを一緒に持ち帰りたい。[1][20]

同じ検査について、一貫性と一致の係数が並ぶ理由にも目を向けたい。女性の研究では、胸の前で腕を閉じる筋力検査の係数は一貫性が0.90、一致が0.88であった。集団内の位置関係をどれだけ保つかと、測定値がどれだけ一致するかは、係数の表でも区別して報告されている。どちらを読んでいるかを省いて「係数が高い」と伝えると、検査の説明が粗くなる。[10]

そのうえで、同じ検査の最小可検変化量は8.8kg、44%だった。係数の小数点以下を見比べるだけで、自分の重さの増減の意味を決めるのは難しい。読む順番としては、対象となった人、測った運動、係数が示す性質、実際の単位で示す誤差へと進むと整理しやすい。身近な記録へ戻るまでが、検査結果を読む作業である。[10]

数字で読む順位と記録の精密さ

女性113人:筋力と身体機能の再測定を受けた人数。平均年齢は58歳である。[10]

0.93と9.2kg:膝を伸ばす筋力の一貫性の係数と最小可検変化量。同じ検査の別の性質を表す。[10]

4.6回:30秒間の椅子からの立ち座り検査の最小可検変化量。回数の少しの増減を即断しないための情報だ。[10]

29.6〜45.6秒:若い成人の肩の持久力検査で報告された最小可検変化量の範囲である。[15]

0.96〜0.98:神経疾患のある人のバランス検査をまとめた研究における総得点の係数。健康な人の基準値ではない。[1]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約