有酸素運動と筋トレで筋肉が増えた?画像を撮る時刻と浮腫から体積の変化を読む

有酸素運動と筋トレを続けて筋肉が大きく見えたとき、画像の体積増加をどう受け止めるか。運動直後の水分移動を調べた試験と、数週間の併用トレーニングを比べ、撮影時刻、画像の信号、筋線維、筋力を分けて読む。翌日の脚の張りだけで成果や失敗を決めず、記録を続けるための視点を示す。

自転車と脚の筋トレを終えた更衣室で、太ももの張りに気づいた。来たときと同じ服なのに、脚の感覚が違う。「有酸素運動も足したから、筋肉が増えたのだろうか」。ここで、鏡の前の感想と、継続して育った筋肉の話をいったん分けたい。

答えの芯は、画像で筋肉が大きく見えても、運動直後なら水分の移動を含む変化がある、という点だ。一方、数週間の併用トレーニングで筋肉の大きさが増した試験もある。直後の張りをすべて筋肥大と呼ぶのも、継続後の増加をすべて水分として片づけるのも早い。[14][19]

既存記事「有酸素運動と筋トレは暑い室内で比べられる?体温と消費の数字を分けて読む」は室温と消費量の問いに譲る。ここで扱うのは、有酸素運動と筋トレを組み合わせたあと、筋肉の体積を測った数字を、どの時刻のどの変化として読むかだ。

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画像の「大きくなった」は、何を測った数字か

磁気共鳴画像、いわゆるMRIを使う運動研究では、筋肉の断面の面積や体積に加え、画像の信号も調べる。断面積は切った面の広さ、体積は立体としての大きさであり、同じ数字ではない。併用トレーニングの試験でも、太ももの前側にある大腿四頭筋の断面積、体積、信号強度を別々に評価している。[19]

この区別は、専門的な画像を自分で読むためというより、研究紹介の見出しを読み違えないために役立つ。「筋肉が増加」という短い言葉だけでは、測ったものが筋全体の体積なのか、採取した筋線維の断面積なのかが消えてしまう。成人男性を追った試験では、どちらも測定し、異なる大きさの変化を報告している。18〜39歳の女性にも同じ増加率が当てはまるかは、この男性対象の比較では判断できない。[15]

さらに、画像の信号は面積の別名ではない。運動直後の試験では、浮腫を反映する指標と、血液の状態に関係する指標、断面積、血流、水の動きを組み合わせている。浮腫とは組織の水分が増えた状態を指し、この試験では運動に伴う筋内の水分移動を調べる文脈で使われている。[14]

だから「画像が変わった」を、すぐ「筋肉を構成する組織がそのぶん育った」に置き換えない。画像で測った形と、画像の性質と、細胞に近い尺度を並べて初めて、何が変わったかの輪郭が見えてくる。研究の数字を読むときは、増加率より先に、その数字の名札を読む順番がよい。[14][15]

たとえば、スマホに保存した運動後の写真を見て「研究と同じ変化だ」と考える前に、研究が何を測ったかを確かめる。写真、服のきつさ、画像の体積は、記録する欄から分けておきたい。日常の記録に研究用の名前を借りて貼る必要はない。

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直後の水分移動は、軽い負荷でも起きていた

運動直後の反応を詳しく比較したのが、参加者10人によるクロスオーバー試験だ。同じ参加者が異なる条件の片脚の膝伸ばし運動を行い、そのあとのMRIを比較した。条件には、最大で1回持ち上げられる負荷の70%と20%、20%に血流制限を加えた運動などが含まれた。[14]

最大で1回持ち上げられる負荷は、研究で1RMと表す。ここで注意したいのは、負荷が軽い条件でも、限界まで反復する設定だったことだ。軽い重りを使ったという説明だけを切り取って、普段の軽い体操と同じ運動だったと考えることはできない。[14]

血流制限のない低負荷運動と、血流制限を伴う低負荷運動では、浮腫の指標であるR2の低下が大きく、細胞の外側にある水分の区画が広がり、戻る速さも遅かった。血流制限を加えた条件では、高負荷条件などより急性の筋断面積の増加が大きかった。細胞内の体積の急性増加は、血流制限条件でのみ見られた。[14]

ここから読めるのは、直後の大きさの変化には、どこへ水分が動いたかという問題が重なることだ。重い負荷ほど常に大きく張る、と単純には並ばない。また、血流は高負荷条件や血流制限のない低負荷条件のほうが高かった。断面積の増え方と血流の増え方も、同じ順位ではなかった。[14]

ただし、これは急性反応を比較した小規模な試験であり、その日の断面積の増加順位を、将来の筋肥大の順位に置き換える試験ではない。研究で使う血流制限条件を、自己流で再現するための情報として読むものでもない。この記事では運動の処方ではなく、画像の読み方を考える材料とする。[14]

この急性試験には、血流制限条件と仕事量をそろえた比較条件もあった。限界まで行った低負荷運動を比べるだけでなく、行った仕事量をそろえた条件を置くことで、条件の違いを検討している。単に「軽い重りと重い重りを使った人を撮影した」という紹介では、この比較の工夫が抜け落ちる。[14]

水の動きを示す平均拡散係数という指標の急性変化は、各運動条件で同程度だった。つまり、水分に関係する測定項目を増やしても、すべての項目が同じように条件の差を示したわけではない。浮腫の指標に違いがあり、別の指標には同じ程度の変化がある。その組み合わせ自体が、測っているものの違いを教えてくれる。[14]

ここで「水分」という言葉を便利に使い過ぎないことも大切だ。細胞の内側と外側、血流、筋肉全体の断面積を、この試験は区別して調べている。どこかの数字が上がったから、筋肉の中のすべての水分が一様に増えた、と説明してはいけない。普段の会話ならひと言で済む張りも、研究では複数の測定対象に分かれる。[14]

立川駅の改札に戻る前の張りを、そのまま数週間後の成果と呼ばなくてよい。張りの強さを点数化して競うより、「どんな運動の、いつの感覚か」と書いておく。そのほうが、研究が区別している急性反応という箱に、日常の経験を無理なく置ける。

有酸素運動を足した脚は、数週間後にどうなったか

有酸素運動と筋トレの併用を調べた試験では、平均年齢25歳の男性10人が、5週間にわたり片脚で両方の運動を行い、反対の脚は筋トレだけを行った。有酸素運動は約45分の片脚自転車運動で、筋トレの6時間前に実施した。筋トレは最大努力の膝伸ばしを7回ずつ4セット行う設定だった。18〜39歳の女性に同じ筋肥大や画像の信号変化が起こるかは、この男性対象の試験からは判断できない。[19]

同じ人の左右の脚を比べる設計は、普段の生活を共有する脚どうしで条件を比べられる。一方、全身を動かすレッスンに参加する場面とは運動の形が違う。対象も若い男性であり、この比較は、女性との反応の差を直接調べる設計ではない。[19]

結果として、併用した脚では、有酸素能力の向上とともに、筋トレだけの脚より筋肉の大きさがより増加する反応が示された。ただし、その大きさの差は、筋機能のより大きな改善にはつながらなかった。画像の信号強度は併用条件で12%増加し、筋トレだけの条件では増加しなかった。[19]

ここで大切なのは、体積の話、信号の話、機能の話を、ひとまとまりの「効果」にしないことだ。この試験は、有酸素運動を先に行うと必ず筋肥大が妨げられる、という一律の見方には合わない。しかし、有酸素運動を足せば必ず筋肉がより育ち、同じ割合で力も強くなる、という保証でもない。[19]

また、信号強度の増加率を、水分だけの増加率として読み替えることはできない。急性試験の水分移動に関する指標と、継続試験の信号強度は、それぞれの測定の中で解釈する必要がある。別の研究の数字を持ち込んで、体積から水分を引き算するような計算は避けたい。[14][19]

順番が気になる読者にとっても、ここで比べた条件は重要だ。有酸素運動の直後に休まず筋トレを始めた設定ではなく、間に6時間があった。「有酸素運動が先」という共通点だけで、仕事帰りに続けて行う予定の優劣まで決めない。研究の順番には、間隔も含まれている。[19]

この併用試験では、画像以外に、外側広筋という太ももの筋肉から採取した組織も調べていた。筋線維の断面積や、酵素の量、遺伝子の働きに関係する指標などである。併用条件では、有酸素的な代謝に関わるクエン酸合成酵素の活性が増加した。画像の大きさだけで、有酸素能力の変化を説明しているわけではない。[19]

一方、調べた遺伝子の伝令RNAの量には、どちらの条件でも変化がなかった。伝令RNAは、たんぱく質を作る情報を伝える分子だ。画像の変化があるなら、調べた分子の指標も必ず同じ向きに動くはずだ、という読み方は成り立たない。複数の測定を行う理由は、ひとつの結果を別の結果で飾るためではなく、反応の異なる側面を調べるためでもある。[19]

数字で読む画像の大きさと測定条件

10人:急性の膝伸ばし運動と水分移動を比べたクロスオーバー試験の参加者数だ。[14]

20%と70%:急性試験で比べた負荷条件。最大で1回持ち上げられる負荷に対する割合である。[14]

5週間:左右の脚で併用と筋トレのみを比べた継続期間である。[19]

6時間:併用試験で有酸素運動から筋トレまで空けた間隔である。[19]

12%:併用した脚で増えた画像の信号強度。筋体積の増加率と混同しない数字だ。[19]

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宮川涼 Founder

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