腹筋を鍛えた夜のお酒はプロテインで補える?たんぱく質を足した筋合成を読む

腹筋を鍛えた夜、プロテインを飲めばお酒の影響を補えるのか。たんぱく質とアルコールを一緒に摂った比較試験を軸に、筋合成の低下と筋力の回復を分けて読む。大量飲酒の研究を少量の晩酌や女性へそのまま当てはめず、食事を削らずに回復の予定を考えるための、数字の見方と具体的な工夫を示す。

腹筋のトレーニングを終え、夕食の横にプロテインとお酒を並べる。たんぱく質を先に摂れば、飲酒による筋肉への影響を補えるのだろうか。食べる量を増やす前に、同じ量のたんぱく質で飲酒の有無を比べた結果を確かめたい。

しかし、たんぱく質を摂っても大量飲酒による筋合成の低下が残った比較試験がある。活動的な男性を対象にした試験で、たんぱく質だけの条件に比べ、お酒とたんぱく質を組み合わせた条件の筋合成は24%低かった。「たんぱく質さえ足せば同じになる」という考えは、この条件では否定された。脚の筋トレと自転車運動後の骨格筋を調べた結果で、腹筋運動後の腹筋の合成を測ったデータではない。18〜39歳の女性に同じ低下率が起きるかは、この男性の試験からは判断できない。[1]

これは腹筋の見え方や、晩酌をした全員の将来を予測する数字ではない。運動後の筋肉内で起こる合成を測った結果である。[1] 既存記事「ホットヨガ後のお酒は回復の食事と分けて考える、筋肉の合成に関わる飲酒量」に飲酒量の論点は譲り、ここでは食事にたんぱく質を追加することで、お酒の影響を埋め合わせられるのかを考える。

既存の「女性のプロテインはじゃがいも由来でもよい?抽出したたんぱく質と筋合成を読む」には原料の比較を、「女性のプロテインは全身を鍛えた日も同じ量?脚だけの試験と筋合成を読み分ける」には運動範囲と量を、「朝の運動のプロテインは前と後で違う?空腹の時間と筋合成を分けて研究で読む」には摂取時刻を譲る。この記事の比較軸は、たんぱく質を摂る運動後にアルコールが加わるかどうかである。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

たんぱく質を摂った条件どうしで比べる意味

筋合成とは、筋肉のたんぱく質を新しくつくる働きのことである。筋肉量は合成と分解の釣り合いで決まり、食事や運動はその調節に関わる。したがって、食事のたんぱく質と運動後の飲酒は、筋合成の調節という共通の観点で考える必要がある。アルコールと筋トレに関するナラティブレビューは、この両者が細胞内の合図に及ぼす作用を整理している。[6]

最も問いに近いのは、活動的な男性8人が条件を替えて参加した無作為化クロスオーバー試験である。同じ参加者が異なる条件を経験する方式なので、たんぱく質だけの場合と、たんぱく質にアルコールを加えた場合を比べられる。研究では、脚の筋トレに持続的な自転車運動と高強度の間欠的な自転車運動を組み合わせた。18〜39歳の女性への適用には、性別と運動条件の違いを考慮する必要がある。[1]

飲食の条件は、ホエイたんぱく質を摂る条件、アルコールとホエイたんぱく質を摂る条件、アルコールと炭水化物を摂る条件である。ホエイは乳由来のたんぱく質で、研究では運動直後と4時間後にそれぞれ25gが与えられた。さらに運動2時間後には炭水化物を含む食事も摂っている。何も食べずに酒だけを飲んだ場合と、十分に食べた場合の単純な対比ではない。[1]

アルコール量は体重あたり1.5g/kgだった。飲酒とたんぱく質を併用した条件でも、たんぱく質だけの条件より筋原線維たんぱく質合成の速度は24%低かった。筋原線維は筋肉の収縮を担う構造であり、この試験はそこに含まれるたんぱく質の合成を追ったものである。飲酒と炭水化物の条件では、たんぱく質だけの条件より37%低かった。[1]

ここで比較の基準を見失わないようにしたい。24%も37%も、たんぱく質だけを摂った条件を基準にした低下である。「たんぱく質を摂れば飲酒の害が24%減る」という意味ではない。また、アルコールなしで炭水化物を摂る条件は、この試験の比較に含まれていない。食べ物の優劣をあらゆる場面へ広げるより、お酒を加えてもたんぱく質だけの場合と同じにはならなかった、という直接の答えを受け取るのがよい。[1]

研究で用いたたんぱく質の量を、晩酌時の追加ノルマにする必要はない。これは比較条件をそろえるための量であり、酒を飲むたびに上乗せすれば影響が消えるという処方ではない。[1] 夕食の皿を増やす話と、飲酒をどう扱うかという話を、同じ計算式に押し込まないことが出発点になる。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

筋合成が低いことと、運動がゼロになることは違う

この試験では、安静時と比べるとすべての条件で筋合成が増えた。増加の範囲は約29〜109%である。飲酒条件でも合成は続いていた。一方で、たんぱく質だけの条件ほど大きな増加にはならなかった。「飲んだら筋トレは全部無駄」と「飲んでも同じ」は、どちらも結果を言い過ぎている。[1]

日常では、この違いが行動を左右する。飲んだ翌朝に昨日の運動をなかったことにすると、食事を抜いたり、埋め合わせのために運動を足したりする発想へ進みやすい。だが、この試験の観察は、そうした帳尻合わせを支持するものではない。示したのは特定の運動後、特定の飲食条件で筋合成の反応が違ったことである。[1] 予定を立て直すなら、反省の量より、次の回の飲食をどう決めるかに目を向けたい。

測定した時間にも意味がある。筋肉の検体は安静時、運動2時間後、8時間後に採られている。この時間帯の反応は、長く続けたときの腹筋の厚みと同じ指標ではない。24%という低下を、将来の筋肉量が24%少なくなるという予言に置き換えることはできない。[1] 鏡の中の腹筋と、筋肉の中の合成速度は、測る場所も時間も違う。

また、運動内容は腹筋だけではなかった。脚の筋トレと自転車運動を組み合わせた負荷であり、家で短く行う腹筋運動や、スタジオで受けるヨガと等しい条件ではない。[1] それでも「運動をしたうえにたんぱく質も摂ったから、お酒は別枠」という考えを見直す材料にはなる。運動と食事の刺激に加えて、飲酒の作用も合成反応に関わるからだ。[1]

細胞内の調節を扱うレビューでも、急性のアルコール摂取は合成に関わる経路を抑え、筋トレはその経路を活性化するという大きな方向が示されている。ただし、性別、食事、トレーニング歴、摂取量などで結果は変わり、合成を促す刺激がアルコールによる抑制を部分的に救う可能性も論じられている。「部分的に」という点が、完全な埋め合わせとの境目である。[6]

この経路はmTORC1と呼ばれ、筋たんぱく質の合成と分解の調節に関わる細胞内の仕組みである。[6] 名前を暗記しなくてもよい。食事を材料の搬入だけで考えると、材料をどう使うかという調節が視野から落ちる。たんぱく質を追加したという事実だけでは、飲酒後の合成反応全体を説明しきれない。[1][6]

翌日に力が出るかと、筋肉をつくる反応は別に読む

「翌日も普通に動けたから、筋肉には影響がなかった」という判断にも注意が要る。筋トレ後の飲酒と回復を扱った系統的レビューは、12研究を集めて生物学的な指標と身体機能などを整理した。筋力、パワー、筋持久力、筋肉痛、運動のきつさの主観的な評価は、飲酒によって変わらないという結果だった。一方で、筋たんぱく質合成の速度や血中のアミノ酸は低下する方向が示されている。[11]

つまり、筋肉痛の程度や動ける感じだけを、筋合成の代わりに読むことはできない。レビューでは、多くの身体機能の指標に変化が見られなくても、内部の指標は別の動きをしていた。[11] 翌朝の駅の階段を普通に上れたという体験と、たんぱく質を摂った条件どうしで合成速度に差が出た実験結果は、両立しうる。[1][11]

別の無作為化試験では、筋トレを日常的に行う9人が、アルコール量の異なる条件と対照条件を経験した。対象は男性8人、女性1人である。女性が少ないため、18〜39歳の女性で同じ結果になるかをこの試験だけで決めることはできない。筋機能の回復には飲酒による悪影響が認められなかった一方、高用量ではコルチゾールが増え、遊離テストステロンとコルチゾールの比率が下がった。どちらも体内の調節に関わるホルモンだが、その比率の変化をそのまま筋肉量の減少と呼ぶことはできない。[12]

このような結果を並べる目的は、不安を増やすことではない。体感、力の測定、血液、筋肉の合成で、答えている質問が違うと理解するためだ。食事をどうするか考える夜には、翌日に困らないかという問いに加え、回復中の合成をプロテインで元に戻せるかという問いもある。後者への直接の比較では、飲酒の影響は残った。[1]

比較試験で見られた差には、統計的にも意味があった。たんぱく質だけの条件に対する24%と37%の低下はいずれも有意だった。[1] ただし、有意という言葉は、同じ差が誰にでも起きる保証ではない。少人数の男性が経験した条件の違いとして読むことで、結果を軽く扱わず、同時に読者自身への断定も避けられる。

数字で読むたんぱく質と飲酒の比較

8人:中心となるクロスオーバー試験の対象は活動的な男性である。[1]

25g:ホエイたんぱく質は運動直後と4時間後にそれぞれ摂取した。[1]

1.5g/kg:同試験で用いた体重あたりのアルコール量である。[1]

24%:飲酒とたんぱく質の条件で、たんぱく質だけの条件より筋合成が低かった割合である。[1]

12研究:回復を扱う系統的レビューの採用数で、筋機能と筋合成の結果は同じ方向にそろわなかった。[11]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約