ダイエットサプリは成功した試験だけ見ていない?事前登録と結果の見分け方

ダイエットサプリの「効果あり」を読むときは、成分名より先に試験の計画と結果を分けたい。体重差が出たメタ分析、差が出なかった比較試験、結果発表前の研究計画を照合し、登録番号や資金源が何を示すかを考える。未公表の結果を決めつけず、購入前に確認する順序を整理する。

サプリの購入ボタンの横に「研究で効果を確認」とある。添えられた論文は、本当に結果を報告したものだろうか。だが、開いた先にあるのが試験の結果なのか、これから試す計画なのかで、その一文の意味は違う。実際に、肥満の成人を対象とする栄養補助食品の論文には、結果ではなく試験計画を報告したものがある。[4]

ダイエットサプリの効果は、成功したように見える論文を並べるだけでは判断しにくい。過体重または肥満の成人を対象にしたメタ分析では小さな体重減少が報告される一方、別の比較試験では便に出る脂肪が増えても、体重の変化に群間差はなかった。何を成功と呼んだかまで読む必要がある。[12][5]

ここで考えるのは、隠された失敗の数を推測することではない。登録された計画、実際に測った結果、まとめ直した研究を分け、見えている証拠でどこまで判断できるかを確かめることだ。成分混入の問題は既存記事「ダイエットサプリに表示のない医薬品成分 海外の痩身製品から見つかった薬と健康被害の記録」に譲り、こちらでは効果の根拠が読者に届く形を扱う。

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「効果あり」の前に、何を成功としたかを読む

体重、腹囲、体脂肪、筋肉量。広告では同じ方向の話に見えても、研究では別々の結果である。肥満の成人に対して行うHMB配合栄養補助食品の試験計画では、主に確かめる項目は全身の骨格筋量の平均変化だった。体脂肪量や筋機能などは、それとは別の評価項目として置かれていた。肥満の成人を対象とする計画で、18〜39歳の女性一般への効果は別に検証する必要がある。[4]

この計画が問いかけているのは、食事のエネルギーを制限する期間に筋肉量や機能を保てるかである。「ダイエット用の補助食品を研究している」という説明から、体重を大きく落とす効果の検証だと読み替えてはいけない。減量中の体組成を調べる試験と、体重減少そのものを主目的とする試験は、確かめたいことが異なる。[4]

結果を見る前に、測定項目の名前を紙に書き出すとよい。紹介文が腹囲を強調しているなら、研究の中心も腹囲だったのかを確認する。筋肉量が保たれたという話なら、体重の減少幅だけで採点しない。これは優劣をつけるための作業ではなく、質問と答えの組み合わせを取り違えないための読み方だ。

実際、ベルガモットを含む補助食品の無作為化比較試験をまとめた研究では、体重、体格指数、腹囲には有意な変化があったが、ほかの体組成の指標には有意な効果がなかった。体重に差があったことから、体のあらゆる指標が良くなったとは広げられない。同じ論文の中でも、結果の向きは項目ごとに読む必要がある。[1]

「科学的に確認」という言葉の後ろに、何が確認されたのかを戻す。体重なのか、筋肉量なのか、便の成分なのか。そこで初めて、自分が知りたかった問いとつながる。商品紹介の見出しをそのまま研究の問いにせず、測定されたものを主語にして読み直したい。

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登録番号がある論文にも、計画と結果がある

HMBの試験計画は、中国の肥満成人72人を、配合栄養補助食品か偽薬に割り付ける設計である。期間は12週間で、両群とも栄養士の個別指導に基づくエネルギー制限を受ける。参加者と研究者が割り付けを知らない二重盲検で行い、試験登録番号としてNCT04953936が示されている。[4]

ここまで読むと、研究はかなり具体的に見える。人数、期間、比較相手、測定項目がそろっている。だが、これはどう調べるかという設計の説明であり、補助食品を受け取った人の筋肉量が実際にどうなったかという成績ではない。「72人を調べる計画」と「72人で効果が出た」は、同じ文にしてはいけない。[4]

登録番号は、照合したい研究を特定するための手がかりとして使いたい。論文の題名や紹介文だけを眺めるより、同じ番号を持つ計画と結果なのかを確認するほうが、別の研究をつないでしまうのを避けやすい。ただし、番号があるだけで、登録が参加者の募集より前だったと決めつける読み方はしない。事前登録を確かめたいなら、時点も照合の対象になる。

また、登録の対象も区別したい。ベルガモットのメタ分析には、系統的レビューの登録先と番号が示されている。これは研究を集めて評価する作業の登録である。そこに含まれた個々の試験の登録と、同じ意味ではない。レビューに登録番号があることを、その中の全試験が事前登録済みという説明に変えてはいけない。[1]

購入を考えている画面で登録番号を見つけたら、まず「何の登録か」と問い直す。個々の試験なのか、試験を集めるレビューなのか。そして、リンク先は計画の文書か、結果の報告か。登録を飾りの印にせず、読み進めるための住所として扱うのである。

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便の脂肪が増えても、体重差は別の結果だった

脂肪が便に出る量が増えたと聞くと、そのまま体重も多く減ると思いたくなる。このつながりを立ち止まって読めるのが、肥満成人38人が導入期間を終えた食事介入試験だ。参加者は脂肪の吸収を抑える薬を使いながら、亜麻仁の食物繊維や乳由来カルシウムを加える条件に無作為に割り付けられた。肥満成人が薬を併用する条件なので、18〜39歳の女性が補助食品だけを日常生活に足す場合へ直接適用できない。[5]

12週間の介入で、食物繊維とカルシウムを併用した条件では、薬だけの条件に比べ便中への脂肪排泄が約10g/日多かった。一方、体重はどの群でも減少したが、群間の差はなかった。腹囲は併用群で最も減少したと報告されている。便の脂肪、体重、腹囲は、ここでも同じ結果ではなかった。[5]

この試験の主要評価項目は胃腸症状だった。補助食品の併用によって、薬に伴う胃腸症状を改善するという結果は支持されなかった。便に出る脂肪が増えた部分だけを抜き出せば、全体が成功した試験のように見える。しかし、中心となる問いへの答えも含めて読むと、研究の姿は変わる。[5]

逆に、体重に群間差がなかったからといって、便中脂肪が増えた観察まで消す必要はない。測定した結果を項目ごとに保つのが大切だ。「効いた論文」「効かなかった論文」という棚だけでは、この違いが入り切らない。研究の結論を短い札にするほど、札から落ちる情報を確認したい。

日常の紹介文で「脂肪を外へ」という表現を見つけたら、体重の結果まで同じ方向だったかを探す。この研究を根拠にする場合には、薬の併用と食事介入という条件も一緒に残す必要がある。便の数字を、自分が購入する補助食品だけの減量幅として受け取らないことだ。[5]

メタ分析の人数が多くても、差の幅を残して読む

過体重または肥満の成人を対象に、18種類の補助食品を比較したネットワークメタ分析は、111件の無作為化比較試験、計6171人を集めている。複数の介入の比較をつなぎ、体重への効果を推定した研究である。全試験を含む主解析では、補助食品による体重減少を小さいものと結論している。18〜39歳の女性への適用を考える際も、過体重または肥満という対象条件を外せない。[12]

たとえばスピルリナは、比較相手に対する平均体重差が−1.77kg、95%信頼区間は−2.77〜−0.78kgだった。研究は、この推定を支える証拠の確実性を高いと評価した。緑茶では平均差が−1.25kg、95%信頼区間は−1.68〜−0.82kgだが、証拠の確実性は低いとされた。数字の符号が同じでも、支える証拠の評価まで同じではない。[12]

ここでの体重差は、各成分を使った人が必ずその量だけ減るという約束ではない。研究がまとめた比較の平均である。緑茶とスピルリナの数字だけを見て、個人の結果を小数点まで予測する読み方は避けたい。そもそも対象は過体重または肥満の成人であり、体重を減らす必要のない人まで購入候補に含める根拠にはならない。[12]

ベルガモットのレビューは成人を対象にした11件の無作為化比較試験を統合した。18〜39歳の女性だけの効果を示す数字としては扱えない。体重について標準化平均差は−0.64、95%信頼区間は−1.15〜−0.13だった。これはkg単位の体重差として報告された数字ではないため、「平均で0.64kg減る」とは読めない。体重の解析には研究間のばらつきを示す指標も90%と報告されている。[1]

違う方法で表された効果量を、同じランキング表へそのまま移すのは難しい。本文で使われた単位と、確実性の評価を一緒に残したい。大きな人数は目を引くが、自分にとって知りたい差の大きさ、対象、比較条件が消えたら、購入の判断材料はかえって薄くなる。

数字で読むサプリの研究と報告

111件・6171人:過体重または肥満の成人を対象にした補助食品のネットワークメタ分析。[12]

−1.77kg:同解析でのスピルリナの平均体重差。95%信頼区間は−2.77〜−0.78kg。[12]

11件:ベルガモットを含む補助食品のメタ分析に採用された無作為化比較試験。[1]

72人・12週間:HMB配合栄養補助食品を調べる試験計画の規模と期間。効果が出た人数ではない。[4]

74報中44報:減量用補助食品の試験を調べた迅速レビューで、商業的資金を報告した論文数。[7]

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宮川涼 Founder

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