朝の餅は温めるほど飲み込みやすい?柔らかさだけで決めない口に残る粘りの話

朝に餅を食べるとき、温めて柔らかくなれば飲み込みやすいと考えてよいのか。健康な成人の咀嚼測定、飲み込みの観察、食品の物性実験から、硬さと付着性の違いを読む。加熱時間や噛む回数を安全の目安にせず、運動へ出かける朝に食感をどう受け止めるかを具体的に考える。

朝、皿の上の餅が箸で伸びる。これならするりと食べられそうだ、と時計を見る。しかし、柔らかくなった手応えだけを、飲み込みやすさの保証にはできない。餅を使った人体測定では、硬さの変化と付着性の変化は同じ動きをしていない。[16]

温めるほど安全になる、という答えには進めない。健康な人は食べ物の量や食感に合わせて噛み方を調整する一方、噛む負担の差が、そのまま飲み込みの測定値の差になるわけではなかった。[2] 朝に餅を選ぶなら、「歯でつぶしやすい」と「口から喉へ送りやすい」を分けて考えたい。

大きさの話は既存記事「間食の餅は小さく切ると飲み込みやすい?大きさと粘着性を分けて読み解く」に譲る。ここでは、朝の加熱後の柔らかさをどう読むかに焦点を置く。運動後の補食や血糖を主題にするのでもなく、出発前に口の中で起きる変化が中心だ。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

柔らかさ、くっつきやすさ、まとまりは別の性質だ

餅の食感を「もちもち」で済ませると、違う性質が同じ袋に入る。硬さは押しつぶすときの抵抗、付着性はくっついて離れにくい性質、凝集性はひとかたまりとしてまとまる性質として区別される。健康な成人に米飯と餅を食べてもらった比較研究では、これらの物性を別々に測定し、噛んでいる間の動きも調べている。[16] 対象は健康な成人であり、18〜39歳の女性にも同じ変化が生じるかは、この比較だけでは判断できない。

この研究には健康な成人10人が参加し、米飯と餅をそれぞれ15 g用意した。食べ物の硬さは似ていたが、餅では噛む間の咬筋と舌骨上筋群の活動が米飯より大きかった。咬筋は顎を閉じるときに働く筋肉、舌骨上筋群は口の底付近にある筋肉のまとまりだ。同じ硬さでも、口が引き受ける仕事は同じにならなかったのである。[16]

餅の付着性は噛み始めに増加し、測定した過程では低下しなかった。一方、米飯の付着性には有意な変化がなかった。凝集性はどちらも大きく変わらず、餅のほうが高かった。[16] 「噛めば噛むほど、すべての食感がさらさらに近づく」という想像とは違う経過だ。

食卓では、箸の先で簡単につぶせるかを見がちだ。それは硬さの手掛かりにはなるが、口の中で離れやすいかまで代わりに測ってくれるわけではない。先の研究で硬さが似た食品の筋活動が異なったことを考えると、押した感触だけで食べやすさ全体を順位づけるのは粗い。[16] 箸の試験に、喉の仕事まで兼任させないほうがよい。

口の中で噛まれ、唾液と混ざって飲み込まれるまとまりを、食塊という。食品そのものの物性と、食塊になった後の物性も区別が必要だ。皿の上の餅を眺めている時間には見えない変化が、咀嚼の途中に起きている。[16] 温めた直後の見た目は出発点であり、口の中でできる食塊の完成図ではない。

筋活動にも途中経過がある。先の成人の研究では、咀嚼を初期、中期、後期に分けると、咬筋の一回ごとの活動は段階によって変わらなかったが、舌骨上筋群の活動は咀嚼の進行に伴って低下した。噛む周期も徐々に短くなった。[16] 食べ始めの力の入れ方と、飲み込む直前の口の働きは、ずっと同じ調子ではなかった。

さらに、米飯と餅の食塊の硬さは、初めに増えた後、徐々に元の水準へ戻った。[16] 食品を歯でつぶすのだから最初から一直線に柔らかくなる、と想像すると、この経過を取り落とす。食べ物を口に入れた後の評価では、どの時点の食塊を測ったかも大切だ。加熱後の食品の値と、咀嚼の途中の値をそのまま横に並べることはできない。[16]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

温め直しの研究は、飲み込みの試験と分けて読む

蒸すことで米の食品が柔らかくなった実験はある。うるち米を使った韓国の米菓を調べた食品実験では、蒸し時間を6分、8分、10分と変えて比較し、長く蒸したものほど柔らかく、10分の試料は短い時間の試料より硬さが低かった。[18] 熱を加えた後の食感が変わる、というところには実験の裏付けがある。

ただし、対象はうるち米の米菓である。家庭で焼くもち米の切り餅と、原料も作り方も同じものとして扱えない。この実験の時間を、そのまま自宅の加熱時間に置き換える読み方は避けたい。蒸した試料の硬さの比較は、家庭の餅がその時間で飲み込みやすくなるという試験ではないからだ。[18]

同じ研究では、冷凍した米菓を再び蒸す過程で、でんぷんの老化と水分の分離が硬さの増加に関わった。でんぷんの老化とは、調理後のでんぷんの構造が再び整っていく変化である。最初に蒸すときと、保存した後に蒸し直すときは、硬さの変化を同じ向きに決めつけられない。[18]

もち米を使った別の食品実験でも、保存に伴う変化が観察されている。処理していない加糖もち米菓を4℃で14日間保存した比較では、硬さの測定値は720 gから1096 gへ増加した。ここでのgは食品の重さではなく、硬さを表す測定値の単位である。同時に付着性も測られており、硬さだけで品質を判断する設計にはなっていない。[13]

この数字は、保存してから食べる餅をすべて同じ状態と考えないための例だ。家庭での保存期限や、再加熱後の安全な食感の基準に使う数字ではない。食品実験が答えているのは、決まった試料と条件で物性がどう変わるかである。[13][18] 朝の食卓への応用では、原料、保存の経過、加熱の方法という条件を飛ばさないことが大切になる。

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

噛む時間が短くても、飲み込みの差とは限らない

健康な人が餅を食べた研究では、普通の餅の9 gと3 g、さらに食感を変えた製品の9 gを比較した。顎を開閉する筋肉の電気活動に加え、飲み込むときの筋活動、喉頭の動き、音を測定している。単なる「食べやすかった」という感想だけの比較ではない。[2]

小さい餅では咀嚼時間が短く、噛む回数と顎を閉じる筋肉の活動が少なかった。食感を変えた製品の9 gも、普通の餅の9 gより少ない咀嚼の負担で食べられ、普通の餅の3 gと同程度だった。[2] 口に入る量と食品の食感は、どちらも噛む過程を変えうる。

ところが、飲み込みの特徴には、量でも食感でも有意な差がなかった。研究者は、健康な対象者が量や食感に合わせて噛み方を調整し、食塊が飲み込みに適した状態になったところで飲み込んだ可能性を示している。[2] 飲み込む前の作業量が違っても、飲み込む時点で似た状態へ近づいていた、という読み方だ。

ここで「差がなかった」を、「どれも同じように安全だった」に広げてはいけない。測っているのは健康な対象者の咀嚼と嚥下の特徴であり、窒息事故の発生率を比べた結果ではない。[2] 嚥下とは飲み込む動作のことだが、嚥下の測定結果と、長い期間の事故の有無とは別の結果として読む必要がある。

朝の準備では、食べ終わる速さを便利さとして受け取りやすい。しかし、噛む手間が減ることと、飲み込みの条件が良くなることは同義ではない。[2] 柔らかく調理できた日ほど早く出発できる、と食卓の時間を先に縮めるより、実際に食べるときの負担を見て予定を組むほうが、この研究の区別に沿っている。

唾液が混ざっても、粘りは一方向に減らない

唾液が入れば餅の粘りは必ず減るのだろうか。口の働きを模した食品実験は、その単純な説明に待ったをかける。窒息に関わる食品として餅など6種類を選び、切る作用、圧縮する作用、加える唾液の量を変えて、食塊の粒の大きさ、硬さ、付着性、凝集性を調べた研究がある。[9]

餅では、唾液の添加量を多くすると粒の大きさの中央値と硬さは低下した一方、付着性は増加した。切る作用を増やすと、餅の食塊の硬さは低下した。強い圧縮では、ほかの食品と違って餅の粒の大きさの中央値が増える結果も出ている。[9] 口の働きを増やせば、どの性質も都合よく変わるわけではなかった。

この研究は人体で水を飲ませた試験ではなく、口の中の作用を模した実験だ。したがって、唾液を多く混ぜた結果を、「飲み物で流せばよい」という勧めに変えることはできない。[9] 実験で操作した唾液の量と、食事中に口へ入れる飲み物は同じ条件ではない。似ている言葉を橋にして、別の行動まで正当化しないようにしたい。

食品によって反応が異なる点も見逃せない。同じ実験で唾液を多く加えると、餅、卵、魚では硬さが下がったが、パンやパイナップル、ソーセージでは粒が集まる性質の変化が観察された。切る作用を増やした場合も、パンでは付着性が増えた。[9] 別の食べ物で覚えた「口の中でこうなるはず」を、そのまま餅に持ち込めない理由である。

数字で読む餅の食感と口の働き

10人:硬さの似た米飯と餅でも筋活動が異なった、健康な成人の比較研究の人数だ。[16]

15 g:その比較で用意された各試験食品の量であり、推奨される一口量ではない。[16]

9 gと3 g:咀嚼の負担に差が出た餅の比較条件で、安全を区切る境界値ではない。[2]

6種類:唾液、切断、圧縮の作用を変えた食品実験の対象数で、結果は食品ごとに違った。[9]

720 gから1096 g:加糖もち米菓の保存実験での硬さの変化で、食べた重量を示す数字ではない。[13]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約