ダイエット効果は一週間ずつ試せば比べられる?切り替え前の影響と順番を読む

ダイエットの効果をすぐ確かめようと、食事法を一週間ごとに替えていないだろうか。同じ人が複数の方法を試す研究を手がかりに、前の方法の影響、休止期間、試す順番を読み解く。体重の変化と続けやすさを分け、短い自己比較で言えることと、結論を急がず記録したいことを考える。

先週は食べる時間を変え、今週は食事の組み合わせを変える。日曜の朝、体重の記録を並べて「後の方法のほうが効いた」と決めたくなる。だが、同じ自分で比べたというだけで、方法の違いを取り出すには、比較条件をそろえる必要がある。同じ人が食事を替える研究でも、試す順番を無作為に決め、間に別の期間を置く設計が使われている。[8][17]

答えの芯は、短い自己比較を勝敗表にしないことだ。食事法を各1週間試した予備的な無作為化クロスオーバー試験では、減量や摂取エネルギーの変化には方法間の差がなく、受け入れやすさには差があった。「続けやすかった」と「体重をより減らした」は、同じ答えではなかったのである。[8]

既存記事「ダイエットの停滞期とは?減量を直線で予測せず体重の曲線と必要熱量を読む」に長期の体重推移の話は譲る。ここで考えるのは、方法を替える前後をどう比べるかだ。体重を減らす必要があるかは人それぞれであり、比較のために食事を厳しくすることを勧める記事ではない。

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同じ自分で試す研究にも、順番の工夫がある

クロスオーバー試験とは、同じ参加者が異なる介入を順に受ける比較の方法である。たとえば肥満の男女17人を対象にした無作為化試験では、炭水化物を制限する食事と、脂質を抑える食事などを各4週間実施し、それぞれの間に4週間の休止期間を置いた。同じ人の中で食事を比べるときにも、介入だけを隙間なく連結してはいない。対象は肥満の男女であり、18〜39歳の女性全般に同じ結果が当てはまるかは別に確かめる必要がある。[17]

自分を自分の比較相手にできるのは、この設計の分かりやすい点だ。一方、先の食事が終わった日を境に、次の食事の影響だけが始まると考えてよいか、という問題が残る。前の介入の影響が次の評価に入り込むことを、ここでは持ち越しと呼ぶ。休止期間を挟む設計は、この区切りを意識して研究を読む手がかりになる。ただし、休止を設けたという事実そのものは、影響が完全に消えた証明ではない。[17][20]

月曜に食事法を替えても、体の経過は月曜始まりの手帳のようには区切れない。減量を行ったあとに体重維持用の食事を比較した試験は、この点を考えるよい例だ。20〜62歳の過体重の成人19人(女性11人、男性8人)が減量食を21日間続け、その後、内容の異なる維持食を各10日間、休止期間を挟まずに試した。後半は、減量前の状態に戻ってから始めた比較ではなく、減量を経たあとの比較なのである。中高年と男性も含むため、18〜39歳の女性の日常の食事変更にそのまま当てはめることはできない。[20]

この研究では、減量期間に血中のグレリンが36%増え、インスリンが46%減った。その後の維持食同士では、これらに有意な差は見られなかった。前段階で起きた変化と、後段階の食事間の違いを分けて扱う必要がある。後の食事の終了時に測った値を、その食事だけが一から作った成果と呼ぶのは慎重でありたい。[20]

日常の自己比較に置き換えるなら、開始日の数字を横並びにする前に、その日まで何をしていたかを書き添えたい。これは前の影響が必ず残ると断定するためではない。前の食事から何が引き継がれているかを切り分けられない比較では、「今週はこうだった」という観察と、「この方法だからこうなった」という説明を分けるためだ。減量後の維持食という研究の条件を読む姿勢は、自分の記録の見出しにも使える。[20]

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休止期間は、誰にも共通するリセット日数ではない

研究で使われた休止期間を、そのまま生活の処方箋にしないことも大切だ。健康な大学生28人を対象とする食事時刻の無作為化クロスオーバー試験では、各4週間の介入の間に2週間を置いた。肥満の男女17人の食事組成を比べる試験では、介入も休止も各4週間だった。似た食事研究でも、日程は同じではない。[5][17]

さらに、2型糖尿病で腹囲が増加した成人14人の試験では、異なる食事を各4週間実施し、間に6週間を置いていた。こちらは体重を減らすことを目的とした比較ではなく、研究中に食事のエネルギー量を調整して体重を安定させ、血糖管理への影響を調べている。休止期間の数字だけを抜き出すと、何をそろえ、何を測ったかが消えてしまう。患者を対象とした結果なので、18〜39歳の健康な女性の減量にそのまま当てはめることはできない。[4]

休止は、何も食べず何もしない時間という意味でもない。肥満の女性24人を対象にしたクロスオーバー試験では、食事を切り替える前の2週間を、体重維持のための低脂質食で過ごす設計だった。研究では「休止中もどのような食事をするか」が比較条件の一部になっている。休止中にも食事条件が設定されている。[10]

そのため、「何日空ければ前の方法は消えるか」に、これらの研究から共通の数字を答えることはできない。食事時刻、食事組成、減量後の維持では、研究の目的も対象も異なる。休止が短い試験を探して、自分も短く切り替えてよいと判断するのも、長い試験を見て、その日数だけ待てば十分と保証するのも飛躍になる。[4][5][10][17][20]

休止中に食事を大きく変えれば、その期間にも名前の付いていない別の方法を試していることになる。自宅の記録で実用的なのは、無理に「リセット期間」を作ることより、切り替え前後に何を食べ、生活の予定がどう変わったかを残すことだ。研究が休止中の食事まで設定している点を、記録の具体性として受け取ればよい。短期で答えを出すために食事を抜く方向へ進む必要はない。[10]

すぐ変わる指標と、比べたい効果を取り違えない

「すぐ効くか」の前に、何が変われば効果と呼ぶのかを決めておく必要がある。体重、体脂肪、食欲、血糖、続けやすさは、それぞれ別の評価項目である。減量後に維持食を比べた研究では、難消化性の炭水化物であるレジスタントスターチを含む食事と対照食で、終了時の体重は90.7 kgと90.8 kgで、主観的な食欲にも差がなかった。一方、空腹時血糖は前者で低かった。[20]

血糖の値は、レジスタントスターチを含む維持食の後が5.59 mmol/L、対照食の後が5.75 mmol/Lだった。統計的に有意な差である。ただし、これは過体重の成人が減量を経たあとの維持食の比較であり、食欲や体重まで同じ方向に変わったという結果ではない。ある検査値が変化したことから、総合的な「痩せやすさ」を足し算することはできない。[20]

健康な過体重・肥満の成人12人を対象とした別のクロスオーバー試験では、短い食事介入の翌朝に食後の代謝を調べた。介入は夜間の絶食まで含めて36時間で、間には5日間の休止があった。炭水化物を抑えた食事で、食後の中性脂肪の反応や呼吸商などは変化した一方、インスリン反応や安静時・食事誘発性の熱産生には有意な変化がなかった。参加者は平均約27歳で女性は6人だが、過体重・肥満の男女を合わせた結果であり、18〜39歳の女性全般への適用には対象の違いを考える必要がある。[6]

呼吸商は、呼吸のガスから体内で使う燃料の傾向を見る指標だ。この試験で短期間に代謝の指標が変わったことは、同じ短期間に長期の減量効果まで比較できることを意味しない。研究が追ったのは、食事介入後の混合食に対する反応である。数値が早く動くことと、読者が望む変化が早く確かめられることの間には、評価項目という区切りがある。[6]

食欲についても、印象だけで話を大きくしないでおきたい。超加工食品が少ない食生活を普段送る32人を対象に、超加工食品の多い食事を各14日間試した無作為化クロスオーバー試験では、基準時点に比べ空腹感と満腹感の時間全体を合算した評価に小さな差があった。しかし、個々の時点の評価や満腹関連ホルモンの反応には有意な差がなく、食事期間中の朝食前の食欲評価も安定していた。[1]

研究の結論は、超加工食品の多い食事を経験すると満腹への反応が乱れるという仮説を支持しなかった、である。小さな差だけを拾って「前の食事で食欲が壊れ、次の週にも残った」と物語を作るのは、その結論を越える。持ち越しを考慮することと、気になった変化をすべて持ち越しで説明することは別なのだ。[1]

体重を保ちながら血糖管理を比べた試験を、減量の速さの根拠に使わないことも同じ原則だ。食事の名前が似ていても、研究の目的まで同じとは限らない。自分の問いと研究の問いが重なる範囲を確かめてから、数字を記録の参考にしたい。[4]

数字で読む食事法の切り替え

32人:各1週間の食事法を試した予備的試験。体重変化の差と受け入れやすさの差は一致しなかった。[8]

2週間:大学生の食事時刻を比べた試験の休止期間。各介入は4週間だった。[5]

4週間:肥満の男女の食事組成を比べた試験では、各介入間に同じ長さの休止を置いた。[17]

6週間:体重を安定させた2型糖尿病の食事比較で用いた休止期間である。[4]

10日間:減量後の維持食を各々試した期間。この比較には休止期間がなかった。[20]

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宮川涼 Founder

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